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第8話 契約と信頼と依頼人
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「ふぅー、取り乱して申し訳ない」
少し時間が経って、立花は頭を下げた。
「いやぁ、【自信がない】って言われちゃうと我を忘れてしまっちゃうんだよねぇ。まあ、気にしないでおいてくれ。むしろ忘れてくれ」
立花はさっきまでの調子に戻っていた。
「ええーっと、はい」
あたしは、返事をした。
うーん、この人と話すとペース持っていかれるなぁ。
「それでね。依頼の確認なんだけど、【君のお父さんを見つけ出して、元の世界に君を返す】でよろしいかな?」
立花はあたしに確認した。当然、あたしは頷いた。
「よしっ。それじゃあ正式に私と涼子くんは探偵と依頼人の関係になった。私から依頼人に、お願いすることは基本的には1つだけなんだ。それは‥」
立花は今までで、一番真剣な顔をした。
何を言うのだろうか?
「何があっても私のことを、【信頼】すること。この約束が私との契約書の代わりってことになる。これさえ守ってくれれば、私はどんなことをしてでも依頼を完遂させてみせよう」
ゆっくりと低い声があたしの耳を刺激した。
えっ、それだけなの?
「私を【信頼】してくれるかね?」
立花はじっと、あたしの目を見つめた。
そんなの決まっている。この人しか頼れる人は居ないのだから……。
「【信頼】します。よろしくお願いします」
あたしも、立花の黒い瞳を見つめ返しながら答えた。
「くっくっく、君は素直で良い子だねぇ。きっと、お父さんもいい人なんだろうな。エクセレント! これで契約成立だ。ニーナくん、君も自己紹介したまえ」
立花はニーナに声をかけた。促されてニーナは頭を下げる。
「先程は突然失礼致しました。私、ニーナ=フィル=セイファーと申します。立花先生の探偵助手をさせてもらっていますの。ニーナと呼んでくださいまし」
ニーナはペコリと頭を下げた。
やっぱり、綺麗な人だなぁ。
「よろしくお願いします。ニーナさん」
あたしも頭を下げた。
「自己紹介も終わったところで、ニーナくん。涼子くんの話でちょっと気になったのだが、先日雑貨屋にモニターを頼まれた新型の結界札は外してくれたんだよねぇ?」
立花がニーナに質問した。
「ええ、もちろん外しましたわ。言われた通り今日の12時に……」
自信満々にニーナは答える。
「はぁ、やっぱり……」
立花は吐き捨てるように、呟いた。
何か不都合でもあったのだろうか?
「私は、君に昨日の夜の12時に取り外すように頼んだのだが……。それじゃあ涼子くんがココに来るのに3時間もかかるはずだよ」
立花はやれやれといった表情になった。あたしは、よく意味が分からなかった。
「まあ、簡単に言うと魔法だねぇ。お札に登録した人以外は事務所に近づけなくなる魔法で出来た結界が張られたんだ。君には助手の不手際で悪いことをしたねぇ」
立花は頭を掻きながら謝罪した。
簡単に言えば魔法って……、全然簡単じゃないんですけど……。
「はぁ、魔法……ですかぁ。へぇ……」
にも関わらず、すんなり受け入れようとしている自分があたしはちょっと怖かった。
「涼子様ぁぁ、申し訳ありませぇぇん! 私は、私は、何とお詫びすれば良いか。どうか、お許しくださいまし」
ニーナが目にいっぱいの涙を溜めて、頭を下げた。
えっ、泣いてるの?
「大丈夫ですよぉ、ニーナさん。頭を上げて下さい。あたし全然気にしていませんから。沢山歩けて健康に良いなぁって思ってましたから。あはははっ」
あたしは、泣き出したニーナを見て動揺した。
「涼子様ぁ。貴女は凄く良い人ですわ。お許しいただきまして、ありがとうございますぅ」
グスグスしながらニーナはまた頭を下げた。
「まぁ、何の疑問も持たずに3時間も歩けたんだから、君の素直さも大したものだねぇ。ハッハッハ」
立花は私の顔を見て笑っていた。
「むむ、それってもしかして、あたしのこと馬鹿にされてるんですか?」
あたしは少し不機嫌そうな声を出す。
「とんでもない。褒めているんだよ。今時こんなに素直な子も珍しい。くっくっく」
立花はそう言いながら、笑うのはやめようとしなかった。
何はともあれ、こうしてあたしは、【立花探偵事務所】の依頼人となったのだ。
しかし、あたしはまだ知らなかった。
未知の世界の冒険と想像を越える事件との遭遇を……。
あたしの物語はまだ、始まったばかりだった。
少し時間が経って、立花は頭を下げた。
「いやぁ、【自信がない】って言われちゃうと我を忘れてしまっちゃうんだよねぇ。まあ、気にしないでおいてくれ。むしろ忘れてくれ」
立花はさっきまでの調子に戻っていた。
「ええーっと、はい」
あたしは、返事をした。
うーん、この人と話すとペース持っていかれるなぁ。
「それでね。依頼の確認なんだけど、【君のお父さんを見つけ出して、元の世界に君を返す】でよろしいかな?」
立花はあたしに確認した。当然、あたしは頷いた。
「よしっ。それじゃあ正式に私と涼子くんは探偵と依頼人の関係になった。私から依頼人に、お願いすることは基本的には1つだけなんだ。それは‥」
立花は今までで、一番真剣な顔をした。
何を言うのだろうか?
「何があっても私のことを、【信頼】すること。この約束が私との契約書の代わりってことになる。これさえ守ってくれれば、私はどんなことをしてでも依頼を完遂させてみせよう」
ゆっくりと低い声があたしの耳を刺激した。
えっ、それだけなの?
「私を【信頼】してくれるかね?」
立花はじっと、あたしの目を見つめた。
そんなの決まっている。この人しか頼れる人は居ないのだから……。
「【信頼】します。よろしくお願いします」
あたしも、立花の黒い瞳を見つめ返しながら答えた。
「くっくっく、君は素直で良い子だねぇ。きっと、お父さんもいい人なんだろうな。エクセレント! これで契約成立だ。ニーナくん、君も自己紹介したまえ」
立花はニーナに声をかけた。促されてニーナは頭を下げる。
「先程は突然失礼致しました。私、ニーナ=フィル=セイファーと申します。立花先生の探偵助手をさせてもらっていますの。ニーナと呼んでくださいまし」
ニーナはペコリと頭を下げた。
やっぱり、綺麗な人だなぁ。
「よろしくお願いします。ニーナさん」
あたしも頭を下げた。
「自己紹介も終わったところで、ニーナくん。涼子くんの話でちょっと気になったのだが、先日雑貨屋にモニターを頼まれた新型の結界札は外してくれたんだよねぇ?」
立花がニーナに質問した。
「ええ、もちろん外しましたわ。言われた通り今日の12時に……」
自信満々にニーナは答える。
「はぁ、やっぱり……」
立花は吐き捨てるように、呟いた。
何か不都合でもあったのだろうか?
「私は、君に昨日の夜の12時に取り外すように頼んだのだが……。それじゃあ涼子くんがココに来るのに3時間もかかるはずだよ」
立花はやれやれといった表情になった。あたしは、よく意味が分からなかった。
「まあ、簡単に言うと魔法だねぇ。お札に登録した人以外は事務所に近づけなくなる魔法で出来た結界が張られたんだ。君には助手の不手際で悪いことをしたねぇ」
立花は頭を掻きながら謝罪した。
簡単に言えば魔法って……、全然簡単じゃないんですけど……。
「はぁ、魔法……ですかぁ。へぇ……」
にも関わらず、すんなり受け入れようとしている自分があたしはちょっと怖かった。
「涼子様ぁぁ、申し訳ありませぇぇん! 私は、私は、何とお詫びすれば良いか。どうか、お許しくださいまし」
ニーナが目にいっぱいの涙を溜めて、頭を下げた。
えっ、泣いてるの?
「大丈夫ですよぉ、ニーナさん。頭を上げて下さい。あたし全然気にしていませんから。沢山歩けて健康に良いなぁって思ってましたから。あはははっ」
あたしは、泣き出したニーナを見て動揺した。
「涼子様ぁ。貴女は凄く良い人ですわ。お許しいただきまして、ありがとうございますぅ」
グスグスしながらニーナはまた頭を下げた。
「まぁ、何の疑問も持たずに3時間も歩けたんだから、君の素直さも大したものだねぇ。ハッハッハ」
立花は私の顔を見て笑っていた。
「むむ、それってもしかして、あたしのこと馬鹿にされてるんですか?」
あたしは少し不機嫌そうな声を出す。
「とんでもない。褒めているんだよ。今時こんなに素直な子も珍しい。くっくっく」
立花はそう言いながら、笑うのはやめようとしなかった。
何はともあれ、こうしてあたしは、【立花探偵事務所】の依頼人となったのだ。
しかし、あたしはまだ知らなかった。
未知の世界の冒険と想像を越える事件との遭遇を……。
あたしの物語はまだ、始まったばかりだった。
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