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第ニ章:新たな侵略者、【魔界貴族】編
第31話:ダルバート王国に帰国し【勇者のスキル】を使う話
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【女神】に殺されかけた私はジェノスに助けられた。
しかし、無理な戦いをした反動により【ラミアの力】の封印が解けてしまう。
私は何とか【ラミアの力】を従属させ、一命を取りとめた。
――ジェノスの別荘、ジェノスの私室――
私が【ラミアの力】を従属させてから3日間が経った。
ジェノスの勧めで【勇者登録書】に私の名前が記入されるまでラミアと共に身を隠させてもらっていた。
「じゃっ、寂しくなるけどお別れだねぇ」
ジェノスは私に声をかけた。
「ええ、何から何まで力を貸して頂いて本当に感謝してます。いつかご恩は返させてもらいますよ」
私は頭を下げた。
本当に、ジェノスが居なかったら今頃私は死んでいただろう。
「ふふっ、待っているよ」
ジェノスが一瞬鋭い目つきになったような気がした。
しかし、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「ジェノス様は、わたくしとルシア様の恩人です。本当に感謝しております」
ラミアも隣で頭を下げる。
「本当にお礼はいいって、僕が好きでやったことなんだから。それよりもルシアちゃん、今日まで引き止めて置いて、アレなんだけどさ。なるべく早くダルバート王国に戻ったほうがいいよー」
ジェノスは妙なことを口走った。
早く戻ったほうが良いだって?
どういうことだろう?
「【魔界貴族】の連中がね、どうやら地上の国々を相手に喧嘩を吹っかけて回っているらしいんだ。邪な心の人間に【悪魔の力】を渡しながらね」
ジェノスは髭を触りながらそう言った。
【魔界貴族】か……、そう言えば地上にも宣戦布告したようなことを天使が言っていたな。
「ダルバートにも【魔界貴族】の手が……?」
なんてことだ、私は嫌な汗が出てきた。
エリス様達に危険が迫っているのに、のんびりはしてられない。
「うーん、幸いダルバート王国は国力がそんなに大きくないことから後回しになってるみたいだよ。アレクトロン、ボルメルン、パルナコルタ辺りはかなりの被害が出てるみたいだけど……」
ジェノスはどこから仕入れて来たのか世界の情勢に詳しいみたいだ。
しかし、そんなに【魔界貴族】は派手に暴れているのか……。
――コンコン
――ガチャ
「失礼します。ルシア様、良くない知らせです。【魔界貴族】の【シャックス侯爵】が悪魔の軍勢を率いて、ダルバート城下町に侵攻を開始した模様です。他の国と比べると数は少ないみたいですが……」
レイラは部屋に入るなり私にそう言った。
「行くぞ、ラミア。ダルバート王国を守るんだ! それでは、ジェノスさん。また会いましょう!」
「わかりましたわ」
私はラミアの手を引いて走り出した。
「ああ、必ず……」
ジェノスの声を背中に受けて私はダルバート王国の場所をイメージする。
【賢者スキル発動】
空間移動魔法
――バシューン
私とラミアは光に包まれてダルバート王国に飛んだ。
――ダルバート王国、宮殿前広場――
「ふぅ、久しぶりに移動魔法を使ったな。うまくたどり着いたみたいだ……」
私とラミアはダルバート王国の宮殿前にたどり着いた。
「あーっ、ルシア! 戻ってきたのね。体は大丈夫なの? 大丈夫なら早速で悪いんだけど……」
城門からエリスがこちらに向かって歩いてきている。
――ザシュッ
私は咄嗟に剣を抜き、エリスを後ろから襲おうとした真っ白な肌色で、あばら骨が浮き上がるほど痩せている悪魔の腹を突き刺した。
「エリス様、ご無事で何よりです。おかげさまで、私は絶好調ですよ」
私は剣を引き抜いて、エリスに話しかけた。
「あっありがとう。最近、【魔界貴族】と名乗る悪魔達が世界中で暴れ回っているみたいなのよ。【魔界貴族】ってラミアを攫った連中よね?」
エリスは白い悪魔を指さしてそう言った。
「グォォォン」
「グルッギャァ」
「ピギェァァァァ」
紫色の悪魔の集団が今度は私達を取り囲んだ。
「エリス様、その話はまた後で……」
「そうね、片付けちゃいましょ」
私とエリスは背中合わせに剣を構える。
――ザシュ、バシュ、ザシュッ
一瞬で紫色の悪魔の集団は絶命し、倒れた。
「ふぅ、雑魚は片付いたわね。さあて、後は……」
エリスが、チラッと倒れている白い悪魔を見た。
「エリス様もお気付きでしたか。ラミア、もう少しそこでじっとしていろ!」
私はラミアに指示を出した。
「わかりましたわ」
ラミアは物陰に隠れながら返事をする。
「おい、死んだ振りをするなら、息ぐらい止めたらどうだ?」
私は剣の切っ先を白い悪魔に向けた。
――ムクッ
「ちっ、スキを見て不意打ちしてやろうと思ったんだけどなぁ」
白い悪魔は青い血をドクドク流しながら立ち上がった。
「いでぇぇなぁぁ! 容赦なく刺しやがって! この【シャックス侯爵】を人間ごときがぁぁぁ!!」
白い悪魔は自らを【シャックス侯爵】と名乗った。
先程突き刺して出来た傷がみるみる塞がっていく。
へぇ、自然治癒力がこれほど高いのは面倒だな。
――ガシンッ
【シャックス侯爵】の右手が刃物に変化し、こちらに斬りかかってきたので、私はそれを剣で受け止める。
――ガキン、ギンッ、ガキンッ
以前戦った2人の【公爵】程ではなかったが、かなりの腕前だな。
【魔界貴族】の幹部クラスは厄介なヤツが多い……。
――ガキーン
私とシャックスの間合いが離れた。
「はぁはぁ……、やるじゃねぇか。色男……」
シャックスは息を切らせながら私を睨んだ。
「……」
私は無言でシャックスを見据える。
「ちょっと、ルシア。コイツ、只者じゃないわよ」
エリスが私の後ろに身を隠す。
「なんだぁ、得意顔しやがって。色男が女に良いとこ見せたってか? 調子に乗るんじゃねぇよ」
シャックスはイライラとした口調になった。
「死ね! 色男ぉぉぉぉ!!」
猛スピードでシャックスは私に突っ込んできた。
誰が男だ!
まったく、久しぶりの感覚だ……。
お前は私を怒らせた……。
ルシア→シャックス
【勇者スキル発動】
初級無属性消滅魔法
私は右手をシャックスに向けた。
――カッ
右手から銀色の光の弾丸が放たれる。
そして、光の弾丸はシャックスの右肩を貫いた。
「へっ、こんなショボい攻撃ごときじゃあ、オレは……ぐぎゃぁぁぁぁっ! なんだっ!? どうなってやがる!!」
シャックスの右肩から下が銀色に輝き、綺麗さっぱり消えてしまった。
軽く放ったつもりだったのに、結構魔力を消費するな。
しかし、精霊憑依(エレメンタルコネクト)みたいに体力までは持っていかれないし、威力も申し分ない。
さて、【シャックス侯爵】だっけ?
名前を覚えたばかりで、申し訳ないが……。
「今度はお前自身の未来を消滅させる!」
私はシャックスの体の中心に狙いを定める。
――カッ
再び放たれた、銀色の光の弾丸はシャックスの胸を貫いた。
「ぐっ、あれっ? 嫌だ……。オレが無くなる……。うわぁぁぁぁっっ………」
断末魔すらぶつ切りになり、シャックスの体は跡形も無く消え去ってしまった。
「ちょっと、ルシア。あんた、あんな技まで使えるの?」
エリスは唖然とした様子で私に尋ねた。
ああ、ちょっと最近【勇者】になったみたいだからな。
「ルシア様ぁ、わたくしの【加護の力】を使いこなしてくれたのですね…………ぐすん……。あっ」
ラミアは涙目になりながら口を押さえた。
アホ堕天使、口を滑らせたな。
「ん、【勇者】とかラミアの【加護の力】とか何の話なの? あんた達、あたしに何か隠し事してるでしょ!」
エリスは私とラミアに詰め寄った。
えーっと、どうしようかな……。
仕方がないな、ラミアのことも、私の【魔王の血】のことも全て話そう。
「――とまあ、そういうことでして、今まで黙っていて申し訳ありませんでした……」
私は【女神】とのイザコザも含めて全てをエリスに話した。
こりゃあ、また追放だろうな……。
まぁ、私達が全面的に悪いから、文句はないけど。
「そっ、じゃあダルボート王国は【勇者】が2人になったのね。あー良かったわぁ。ルシアならベテランの【勇者】よりも強いし、これで私たちの国も安泰よ」
エリスは私の肩を叩いた。
へっ、私達はこの国に居て良いの?
「当たり前じゃない。ルシアの先祖とかどうでもいい話よ。もちろん、ラミアが【天使】とか【堕天使】とかなんていう小さい話もね。あたし達の絆はそんなに簡単に崩れるわけないでしょ。見損なわないで頂戴!」
エリスは私の目をじっと見ながらそう言った。
この人は……、やっぱり器が大きい……。
「ははっ、ラミア。私達、この国に居て良いらしいぞ」
「ええ、よかったですわ。ルシア様」
私とラミアは手を取り合って喜んだ。
「じゃあ、さっそく仕事よ。ボルメルン帝国に【魔界貴族】の主力が侵攻しているの。壊滅寸前まで追い詰められているらしくって、各国に救援を要請している状況よ。ターニャ達は既に向かっているから、合流して共に戦ってほしいの。この国がまだ無事なのは他の国の方々が戦ってくれているおかげだからね。やっぱり助け合わないと……」
エリスは私とラミアに指示を出した。
よし、さっそく【勇者】としての初仕事だ。
【竜騎士スキル発動】
白竜召喚
「よし、ターニャ達に追いつくぞ! ラミア準備はいいか? あれ? エリス様が何故、一緒にオリゲルトちゃんに乗っているのですか?」
私はエリスに質問した。
「何言ってるのよ。あたしも一緒に行くに決まってるでしょ。お父様は説得したから問題ないわ」
エリスは当然といった顔付きで答えた。
うーん、ダルボート国王も無理やり説得されたんだろうな。
絶対にこの人だけは守らなくては……。
「わかりました。しっかりと掴まって下さいね」
私はオリゲルトに指示を出し、ボルメルン帝国に向かった。
30分後、ボルメルン帝国の国境付近でターニャ達が悪魔の集団と戦闘している光景が見えた。
【魔界貴族】と地上の【勇者】達の雌雄を決する戦いがこのボルメルンの地で始まろうとしていた。
しかし、無理な戦いをした反動により【ラミアの力】の封印が解けてしまう。
私は何とか【ラミアの力】を従属させ、一命を取りとめた。
――ジェノスの別荘、ジェノスの私室――
私が【ラミアの力】を従属させてから3日間が経った。
ジェノスの勧めで【勇者登録書】に私の名前が記入されるまでラミアと共に身を隠させてもらっていた。
「じゃっ、寂しくなるけどお別れだねぇ」
ジェノスは私に声をかけた。
「ええ、何から何まで力を貸して頂いて本当に感謝してます。いつかご恩は返させてもらいますよ」
私は頭を下げた。
本当に、ジェノスが居なかったら今頃私は死んでいただろう。
「ふふっ、待っているよ」
ジェノスが一瞬鋭い目つきになったような気がした。
しかし、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「ジェノス様は、わたくしとルシア様の恩人です。本当に感謝しております」
ラミアも隣で頭を下げる。
「本当にお礼はいいって、僕が好きでやったことなんだから。それよりもルシアちゃん、今日まで引き止めて置いて、アレなんだけどさ。なるべく早くダルバート王国に戻ったほうがいいよー」
ジェノスは妙なことを口走った。
早く戻ったほうが良いだって?
どういうことだろう?
「【魔界貴族】の連中がね、どうやら地上の国々を相手に喧嘩を吹っかけて回っているらしいんだ。邪な心の人間に【悪魔の力】を渡しながらね」
ジェノスは髭を触りながらそう言った。
【魔界貴族】か……、そう言えば地上にも宣戦布告したようなことを天使が言っていたな。
「ダルバートにも【魔界貴族】の手が……?」
なんてことだ、私は嫌な汗が出てきた。
エリス様達に危険が迫っているのに、のんびりはしてられない。
「うーん、幸いダルバート王国は国力がそんなに大きくないことから後回しになってるみたいだよ。アレクトロン、ボルメルン、パルナコルタ辺りはかなりの被害が出てるみたいだけど……」
ジェノスはどこから仕入れて来たのか世界の情勢に詳しいみたいだ。
しかし、そんなに【魔界貴族】は派手に暴れているのか……。
――コンコン
――ガチャ
「失礼します。ルシア様、良くない知らせです。【魔界貴族】の【シャックス侯爵】が悪魔の軍勢を率いて、ダルバート城下町に侵攻を開始した模様です。他の国と比べると数は少ないみたいですが……」
レイラは部屋に入るなり私にそう言った。
「行くぞ、ラミア。ダルバート王国を守るんだ! それでは、ジェノスさん。また会いましょう!」
「わかりましたわ」
私はラミアの手を引いて走り出した。
「ああ、必ず……」
ジェノスの声を背中に受けて私はダルバート王国の場所をイメージする。
【賢者スキル発動】
空間移動魔法
――バシューン
私とラミアは光に包まれてダルバート王国に飛んだ。
――ダルバート王国、宮殿前広場――
「ふぅ、久しぶりに移動魔法を使ったな。うまくたどり着いたみたいだ……」
私とラミアはダルバート王国の宮殿前にたどり着いた。
「あーっ、ルシア! 戻ってきたのね。体は大丈夫なの? 大丈夫なら早速で悪いんだけど……」
城門からエリスがこちらに向かって歩いてきている。
――ザシュッ
私は咄嗟に剣を抜き、エリスを後ろから襲おうとした真っ白な肌色で、あばら骨が浮き上がるほど痩せている悪魔の腹を突き刺した。
「エリス様、ご無事で何よりです。おかげさまで、私は絶好調ですよ」
私は剣を引き抜いて、エリスに話しかけた。
「あっありがとう。最近、【魔界貴族】と名乗る悪魔達が世界中で暴れ回っているみたいなのよ。【魔界貴族】ってラミアを攫った連中よね?」
エリスは白い悪魔を指さしてそう言った。
「グォォォン」
「グルッギャァ」
「ピギェァァァァ」
紫色の悪魔の集団が今度は私達を取り囲んだ。
「エリス様、その話はまた後で……」
「そうね、片付けちゃいましょ」
私とエリスは背中合わせに剣を構える。
――ザシュ、バシュ、ザシュッ
一瞬で紫色の悪魔の集団は絶命し、倒れた。
「ふぅ、雑魚は片付いたわね。さあて、後は……」
エリスが、チラッと倒れている白い悪魔を見た。
「エリス様もお気付きでしたか。ラミア、もう少しそこでじっとしていろ!」
私はラミアに指示を出した。
「わかりましたわ」
ラミアは物陰に隠れながら返事をする。
「おい、死んだ振りをするなら、息ぐらい止めたらどうだ?」
私は剣の切っ先を白い悪魔に向けた。
――ムクッ
「ちっ、スキを見て不意打ちしてやろうと思ったんだけどなぁ」
白い悪魔は青い血をドクドク流しながら立ち上がった。
「いでぇぇなぁぁ! 容赦なく刺しやがって! この【シャックス侯爵】を人間ごときがぁぁぁ!!」
白い悪魔は自らを【シャックス侯爵】と名乗った。
先程突き刺して出来た傷がみるみる塞がっていく。
へぇ、自然治癒力がこれほど高いのは面倒だな。
――ガシンッ
【シャックス侯爵】の右手が刃物に変化し、こちらに斬りかかってきたので、私はそれを剣で受け止める。
――ガキン、ギンッ、ガキンッ
以前戦った2人の【公爵】程ではなかったが、かなりの腕前だな。
【魔界貴族】の幹部クラスは厄介なヤツが多い……。
――ガキーン
私とシャックスの間合いが離れた。
「はぁはぁ……、やるじゃねぇか。色男……」
シャックスは息を切らせながら私を睨んだ。
「……」
私は無言でシャックスを見据える。
「ちょっと、ルシア。コイツ、只者じゃないわよ」
エリスが私の後ろに身を隠す。
「なんだぁ、得意顔しやがって。色男が女に良いとこ見せたってか? 調子に乗るんじゃねぇよ」
シャックスはイライラとした口調になった。
「死ね! 色男ぉぉぉぉ!!」
猛スピードでシャックスは私に突っ込んできた。
誰が男だ!
まったく、久しぶりの感覚だ……。
お前は私を怒らせた……。
ルシア→シャックス
【勇者スキル発動】
初級無属性消滅魔法
私は右手をシャックスに向けた。
――カッ
右手から銀色の光の弾丸が放たれる。
そして、光の弾丸はシャックスの右肩を貫いた。
「へっ、こんなショボい攻撃ごときじゃあ、オレは……ぐぎゃぁぁぁぁっ! なんだっ!? どうなってやがる!!」
シャックスの右肩から下が銀色に輝き、綺麗さっぱり消えてしまった。
軽く放ったつもりだったのに、結構魔力を消費するな。
しかし、精霊憑依(エレメンタルコネクト)みたいに体力までは持っていかれないし、威力も申し分ない。
さて、【シャックス侯爵】だっけ?
名前を覚えたばかりで、申し訳ないが……。
「今度はお前自身の未来を消滅させる!」
私はシャックスの体の中心に狙いを定める。
――カッ
再び放たれた、銀色の光の弾丸はシャックスの胸を貫いた。
「ぐっ、あれっ? 嫌だ……。オレが無くなる……。うわぁぁぁぁっっ………」
断末魔すらぶつ切りになり、シャックスの体は跡形も無く消え去ってしまった。
「ちょっと、ルシア。あんた、あんな技まで使えるの?」
エリスは唖然とした様子で私に尋ねた。
ああ、ちょっと最近【勇者】になったみたいだからな。
「ルシア様ぁ、わたくしの【加護の力】を使いこなしてくれたのですね…………ぐすん……。あっ」
ラミアは涙目になりながら口を押さえた。
アホ堕天使、口を滑らせたな。
「ん、【勇者】とかラミアの【加護の力】とか何の話なの? あんた達、あたしに何か隠し事してるでしょ!」
エリスは私とラミアに詰め寄った。
えーっと、どうしようかな……。
仕方がないな、ラミアのことも、私の【魔王の血】のことも全て話そう。
「――とまあ、そういうことでして、今まで黙っていて申し訳ありませんでした……」
私は【女神】とのイザコザも含めて全てをエリスに話した。
こりゃあ、また追放だろうな……。
まぁ、私達が全面的に悪いから、文句はないけど。
「そっ、じゃあダルボート王国は【勇者】が2人になったのね。あー良かったわぁ。ルシアならベテランの【勇者】よりも強いし、これで私たちの国も安泰よ」
エリスは私の肩を叩いた。
へっ、私達はこの国に居て良いの?
「当たり前じゃない。ルシアの先祖とかどうでもいい話よ。もちろん、ラミアが【天使】とか【堕天使】とかなんていう小さい話もね。あたし達の絆はそんなに簡単に崩れるわけないでしょ。見損なわないで頂戴!」
エリスは私の目をじっと見ながらそう言った。
この人は……、やっぱり器が大きい……。
「ははっ、ラミア。私達、この国に居て良いらしいぞ」
「ええ、よかったですわ。ルシア様」
私とラミアは手を取り合って喜んだ。
「じゃあ、さっそく仕事よ。ボルメルン帝国に【魔界貴族】の主力が侵攻しているの。壊滅寸前まで追い詰められているらしくって、各国に救援を要請している状況よ。ターニャ達は既に向かっているから、合流して共に戦ってほしいの。この国がまだ無事なのは他の国の方々が戦ってくれているおかげだからね。やっぱり助け合わないと……」
エリスは私とラミアに指示を出した。
よし、さっそく【勇者】としての初仕事だ。
【竜騎士スキル発動】
白竜召喚
「よし、ターニャ達に追いつくぞ! ラミア準備はいいか? あれ? エリス様が何故、一緒にオリゲルトちゃんに乗っているのですか?」
私はエリスに質問した。
「何言ってるのよ。あたしも一緒に行くに決まってるでしょ。お父様は説得したから問題ないわ」
エリスは当然といった顔付きで答えた。
うーん、ダルボート国王も無理やり説得されたんだろうな。
絶対にこの人だけは守らなくては……。
「わかりました。しっかりと掴まって下さいね」
私はオリゲルトに指示を出し、ボルメルン帝国に向かった。
30分後、ボルメルン帝国の国境付近でターニャ達が悪魔の集団と戦闘している光景が見えた。
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