上 下
71 / 87
第三章:【リメルトリア共和国】の危機編

第67話:ガーディアンと決着をつける話

しおりを挟む
 私とガーディアンの戦いは一進一退の攻防が続いた。
 そして、なんとかガーディアンの右腕部分を消滅させることに成功したが、新たに3体のガーディアンが現れた。

「ガーディアンが一体のみとは申し上げておりませんの。これで、貴女の負けは必至ですわね」
 ミランダは再び落ち着き払った声に戻った。

 くそっ、確かに4対1では分が悪い。
 分身の術を使うか? しかし、攻撃を受けたときのリスクが……。

「まだ、目が死んでおりませんのね。わたくしも、油断しませんわ。一斉攻撃で、葬って差し上げますの」
 ミランダがそう言うと、ガーディアン達は一斉に飛びかかってきた。

「くっ、なんとか……。なんとかしなくては……」

ルシア→ガーディアン(ベータ)
【大魔導士スキル発動】

 最上級閃熱魔法

 私はフィーナの得意技の最上級魔法を一体のガーディアン(ベータ)に放った。
 消滅魔法を除けば、最大威力の魔法だが……。

 ガーディアン(ベータ)は吹き飛んで、壁に直撃した。
 しかしすぐに立ち上がった。予想はしてたが丈夫だな……。
 これは、ちょっと勝てないかも……。

ルシア→ガーディアン(ガンマ)
【忍者、魔法剣士スキル同時発動】

 狼王咆哮ロウオウノホウコウ

 私は分身の術を利用し、最上級氷魔法を纏わせた魔法剣でガーディアン(ガンマ)を攻撃した。

――ビキビキ

 ガーディアン(ガンマ)の腹の部分が少しだけ凍ったようだったが、動きを止めるまでには至らなかった。

「あっあの剣……どこかで……、まさか……。――うぐっ、そういうことだったのかぁぁぁぁぁぁ!」
 突然フィアナが叫び始めた。どうしたんだ? 私は振り返りフィアナを見た。

「るっルシアールなのか? お前は?」
 フィアナは絶望した顔で私を見つめた……。
 何をいまさら……、と思ったが、彼女には軽い話じゃないか。

「フィアナさん、何を今更仰ってますの? ウフフ、頭が沸いてますわね。だから騙されるんですの、わたくしにも、この方にも……。ウフフフ……」

「黙れっ! 彼女を笑うな! フィアナ、国を救うためとはいえ非道なことをしたと思っている。私を恨んでも構わない……。すまなかった……」
 私はフィアナに頭を下げた。本気で悪かったと思っている。

「ルシアール、いや、ルシア……。貴様を恨める訳がないだろ……。確かに、騙された……。全てが偽りだったのも今なら理解できている。それでも、それでも……、私は貴様を愛してしまっているのだ……。本当に馬鹿な愚か者だ……私は」
 フィアナは涙を流しながら叫んだ。
 これは、恨まれるより私の業が深くなっている気がする……。

「あっ愛してるって、ルシア様! どういうことですの!」
 ラミアが大声を出した。面倒なのが増えた……。

「そんなのどうでもいいですわ。そろそろ本当に終わらせますわ」
 ミランダはガーディアンを再び一斉に動かした。
 くっ、試してないスキルはたっぷりあるが……。

「ルシアール! じゃなかった、ルシア! レーザーブレードを使えっ! ガーディアンの金属にも傷をつけることは可能になる!」 
 フィアナは私に向かって叫び出した。
 ああ、あの筒どこやったっけ? ええーっと……。

ガーディアン(デルタ)→ルシア
【最高峰カラクリスキル発動】

 蒼龍光刃(ブルーブレード)

ルシア→ガーディアン(デルタ)
【剣士スキル発動】

 竜神斬り

――ガキン、ガキン、ズバンッ

――ボトンッ

 私のレーザーブレードによる斬撃がガーディアン(デルタ)の左腕を切り落とした。
 なっなんて、切れ味なんだ……。これなら……。

「馬鹿なっ!? レーザーブレードを使ったとはいえ、ガーディアンの装甲が……」

「当たり前よ、ミランダ。ルシアは普通の鋼の剣で戦っていたのよ。レーザーブレードの硬度と切れ味なら軽く32倍の威力の斬撃を放つことが可能でしょうね」
  フィリアは自信たっぷりに解説した。
 32倍ってよくわからんが……。確かに切りやすさが全然違った。

「くっ、それならコンビネーションですの!」
 ミランダの声にガーディアンが応じて、私を4体のガーディアンが取り囲む。

 なるほど、考えたな。というか、普通にピンチだ。
 しかし、ちょっと遅かったよ。その作戦は……。
 レーザーブレードは伸縮自在だったはず……。

ルシア→ガーディアン(4体)
【剣士スキル発動】

 大回転斬り

 私はレーザーブレードを5メートル程まで伸ばして、竜巻の如く回転した。

――スババババハバババッ

 ガーディアン達の腹の部分が尽く抉れていく。
 
「クソっクソっ、離れなさいですのっ!」
 ミランダの口調は安定しなくなってきた。
 ガーディアン達は私から距離をとった。さぁ、次はどうする?

「くっ、ルシア=ノーティス……。さすがは【女神】様が今暗殺したい人間ナンバーワンに指定するだけはありますわね。舐めてましたわ……。ふぅ、わかりました。わたくしは撤退します。ガーディアンをこれ以上壊されるのはリスクが高すぎますので……。追撃されてもよろしいですが、わたくし、そのときは躊躇なく爆弾のスイッチを押しますわ」
 ミランダは最後の駆け引きに出たようだ。

「だが、どっちみちお前が爆弾のスイッチを持っているんだから、逃しても同じじゃないか?」
 私が質問を投げかけたが、ミランダはさっさとガーディアン達を撤退していった。
 くっ、どうするのが正解だ……。

「ルシア! 彼女を止めなさい! 今、この国の爆弾は全て処理されたわ!」
 フィリアは銀装飾銃をガーディアンに向けながら私に指示を出した。

「さすがは、わたくしの親友ですわね。手際が早い。貴女に完全に勝てなかったのも、もう会えなくなるのも、残念で仕方ないですわ……」
 ミランダはそう言い残して、ガーディアン(アルファ)に乗って去って行った。

 なんなんだ、掻き回すだけ掻き回して……。結局ミランダの一人勝ちじゃないか。くそっ!

 リメルトリア共和国のクーデターは騒ぎはこうして集結した。
 


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,100pt お気に入り:845

転生王子はダラけたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:11,132pt お気に入り:29,330

【完結】転生後も愛し愛される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:858

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:4,510

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:988pt お気に入り:33

婚約破棄させてください!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:3,011

処理中です...