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第三章:【リメルトリア共和国】の危機編

第68話:フィリアとフィアナが決着をつける話

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 私はガーディアン4体との戦闘をなんとか凌いだ。
 ミランダはこれ以上の戦闘は不利と判断し、ガーディアンを連れて撤退をした。
 リメルトリア共和国のクーデターが終結した。

「なんか、釈然としないな。勝ち逃げされたみたいで」
 私はモヤモヤした気持ちだった。

「そりゃあ、勝ち逃げされてっからな。すまねぇ、ルシア姐さん。肝心なところを全部任せちまった」
 いつの間にか傷口が塞がっていたメフィストが私に声をかけた。

「でも、国は守れた。貴女のおかげよルシア。国を代表してお礼を言わせてもらうわ。まさか、ガーディアン4体をあそこまで追い詰めるなんて、脱帽したわ。作った身としては少しだけ複雑だけどね」
 フィリアは頭を下げた。いや、ガーディアン持っていかれたし、割と苦戦しちゃったし……。

「このレーザーブレードのおかげですよ。これが無かったら、ヤバかったです。あっ、フィリアさんに返せばいいんですかね?」
 私はフィリアにレーザーブレードを手渡そうとした。

「あら、これは貴女のものでしょ。なんで、返そうとするの?」
 フィリアはキョトンとした顔をした。

「いや、この武器はこの国から出すべきじゃないでしょう。私が使うと要らない混乱の元となりそうですから。それに……、やっぱり私はエリス様からもらった剣で強くなりたいんです」
 私は無理やりフィリアにレーザーブレードを手渡した。
 これは本来世界には存在しないはずの武器だ。この国の痕跡になるものはなるべく持って帰らず、そっとしておきたい。

「そう、心遣い感謝するわ。くすっ貴女って本当にお人好しね」
 フィリアは私の顔を見て笑った。
 そっそうかな。あんまり、考えたことないけど……。

「ルシア様ぁ、よくぞご無事で。ラミアは心配して胸がはち切れそうでしたわぁ」
 
「ルシア先輩、勉強させていただきました。やはり、素晴らしいスキル捌きです。帰ったらまた、ご指導よろしくお願いします」
 ラミアとグレイスが近づいてきた。
 
「ははっ、だから何とかなったのは武器のおかげだ。私も更に腕を上げなきゃならない。修行に付き合ってもらうからなグレイス」
 私はグレイスの肩を叩いた。

「はっはい! 命を懸けて修行相手を務めさせていただきます!」
 グレイスは背筋を伸ばしてそう答えた。そこまでしなくていいから。

「それで……、フィリアはフィアナのことをどうするつもりなんだ?」
 私はもっとも気になっていることを質問した。

「そうね、フィアナ達がしたことは重大な背信行為……。特にミランダとフィアナは中心人物なの。極刑は免れないわね……。そうしないと住民は納得しないわ」
 フィリアはうつむきながら説明した。
 そうか、だからフィリアは自分の手で……。

「ふん、今さら命乞いなどせんわ。そもそも、私は姉さんの考え方を認めた訳じゃない。魔王と不可侵条約などを結んだあの日からな……。復讐のために生きて、死ぬのだから悔いはない……」
 フィアナは毅然とした態度だった

「そう、あたしは悔いはあるわ……。フィアナ……」
 フィリアはフィアナを抱き締めた。

「――ごめんなさいね。あなたの気持ちを蔑ろにして、昔からあたしは人の心を察することが苦手だったわ。ミランダの企みにも、あなたの痛みにも気づいてあげられなかった。これだけは信じて、あたしは今も、そしてこれからもあなたを愛している……」
 フィリアはゆっくりとフィアナに気持ちを伝えた。

「……姉さん。本当だよ、あなたはずっとそうだった。私は姉さんにはもっと自己中心的に振る舞ってほしかった。父の仇討ちなんて本当はどうでもいいんだ。この国が戦いの中に飲まれ、姉さんが出ていけば、もっと自由に生きてくれるって思ったんだ……」
 フィアナは胸の内を明かした。
 なんていうか、不器用すぎるだろ2人とも……。そんなすれ違いのせいで姉が妹を殺さなくてはならなくなるのか……。

「最後にあなたときちんと話せてよかったわ。あたしもケジメをつける決心がついた。ありがとう」
 フィリアは少し目を赤くして静かに話していた。

「待ってくれないか、フィリア!」
 私は自然に声が出た。
 フィリアはキョトンとした顔で私を見た。

「いや、そのう。成功報酬だけどさ、お金じゃなくて人じゃダメかな? ほら、私のパーティーって3人だけだし、ラミアは戦えないからさ。強い助っ人が欲しいんだ」
 私はフィリアに話を切り出した。

「あら、そう。じゃあメフィストなんかどうかしら?」

「姐さんっ? そりゃ酷ぇぜ!」
 フィリアの発言にメフィストが反論する。

「いや、メフィストさんはフィリアさんの護衛だろ? 私がその、欲しいのはフィアナさんだ」
 
「はぁ? この子を仲間に?」
 フィリアは驚いた顔をした。

「ルシアが……私を欲しいだと/// はっ、イカン……、死を覚悟したところじゃないか……」
 フィアナはブンブンと頭を振っていた。

「フィリア、確かにフィアナがやったことは重罪だ。だから、罪を償うチャンスを与えてくれ。私はダルバート王国の【勇者】として仕事をしている。フィアナにはその手伝いをさせたい」
 私はフィリアに頭を下げた。さっきも感じたが、フィリアはフィアナが死ねば必ず生き長らえようとは思わないだろう。
 私にはこの姉妹が亡くなるなんて耐えられなかった。

「ふぅー、貴女って頭に馬鹿が付くぐらいのお人好しね。いいわ、貴女にならあたしの妹を任せられる。国の者たちには上手く言っておくわ。フィアナ、あなたは死ぬのとルシアの仲間になる道、どちらを選ぶ?」
 フィリアは諦めたような顔をした。

「――ふんっ、馬鹿にするな! 今さら命など惜しくは……。 ちっ違う! 私は……、私は……、くそっ! くそっ! どうしてだ……、どうしてこんな気持ちが溢れるんだ?」 
 フィアナは苦しそうな表情をした。

「――やっぱり……、私は……、ルシアと共に行きたくてたまらない気持ちを抑えられない……。行かせてくれ……」
 フィアナは絞り出すような声を出した。目から涙が溢れ出ている。

「ははっ、断られると思って焦ったよ。フィアナさん。じゃあ、今から私達は仲間だ」
 私はフィアナの拘束を解きながら声をかけた。

「るっルシア……、一つだけ頼みを聞いてくれ……」
 フィアナが私の目を真剣に見つめた。えっと、あまり無理めなのは勘弁して……。

「フィアナと呼び捨てにしてほしい。私はあなたの物だからな/// ルシア……」
 フィアナは頬を赤らめながらそう言った。
 へっ、そんなことなら別にいいけど……。

「ああ、わかったよ。よろしくなフィアナ」

「はっはい、よろしくお願いします。ルシア様……」
 フィアナの口調が急に変化した。
 ん? ルシア様? ちょっとおかしくないか……。

「当たり前です。私はルシア様の所有物なのですから……」
 待て、そういう意味じゃ断じてない! ナニコレ怖い。

「あーっ、フィアナさん。新入りのクセにルシア様に色目を使うなんて許しませんわー」
 ラミアがフィアナに食って掛かる。

「なんだ、君はルシア様のじゃないか。見苦しいぞ、君は昔の女なんだ」
 フィアナはラミアに言い返した。

「はぁぁぁ? 誰が元カノですのぉぉぉ!」
 ラミアとフィアナの言い争いが始まった。
 
 あっなんか、面倒なことになった……。私の選択は間違えていたのだろうか?
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