35 / 53
第三十五話
しおりを挟む
いよいよ、結婚式まであと2日。
準備が始まると早いものです。これがアルビニア流なのでしょうか。
少し前にリーンハルト様から婚約破棄すると言われてしまったのに、今は隣国の王太子の元に嫁ぎに行っているのですから。
自分の状況を冷静になって考えてみると、夢見心地というか、現実味が湧きません。
「やぁ、シャルロット! 久しいな! アルフレートも元気そうで何より!」
「ジークフリート殿下、もうこちらに来られたのですか?」
「ジークフリート、来てくれて嬉しいよ」
エゼルスタ王国の第二王子であるジークフリート・エゼルスタ殿下が私たちの結婚式に出席するために早くも王宮に来られました。
彼はアルフレート殿下と友人らしく、私に関することも相談されていたらしいです。
語学を頑張るようにとアドバイスされたのは、アルビニア語を幼いときより学習されて、少年時代より通訳無しでアルフレート殿下とコミュニケーションを取っていたという彼らしい助言でしょう。
アルビニアとエゼルスタの外交の要を担っている存在でもあり、明後日の式にはアルフレートの友人というだけでなく、エゼルスタ王家の代表という側面も持って出席されるのです。
「はっはっはっ! せっかく久しぶりにアルビニアに行けるから、観光もして行こうと思ってね! シャルロットは才色兼備と我が国でも多くの男たちが狙っていたというのに! この幸せ者が!」
「ありがとう。僕もそう思うよ。彼女を妻に迎え入れることが出来て幸せだ」
「アルフレート殿下……」
私の肩を抱いて、はっきりと幸せだと断言してくださったアルフレート殿下。
そのように仰せになってもらえて私も幸せです。
アルビニアとエゼルスタ。文化の違いはあれど、その違いこそがどれも輝かしいものに見えて……私はこれからの人生が楽しみだと感じていました。
「そうか。そうか。幸せなら何よりだ。アルビニア王家にエゼルスタ貴族が嫁ぐ、これは歴史的なことだからな。両国の悠久の平和に繋がると俺は信じてるよ。良い結婚式になることを期待している……!」
機嫌良さそうにアルビニアとエゼルスタの平和について語り、結婚式を楽しみにされているジークフリート殿下の顔を見ながら、私はあの妹がエルムハルト様と共に出席するという事実を思い出します。
もし、あの子が粗相を犯したら――ジークフリート殿下もお怒りになるのではないでしょうか。
仮にアルフレート殿下がお許しになられても、ジークフリート殿下が許さないとなるとエゼルスタ王国にある我が家と公爵家は無罪放免とはいかないでしょう……。
「どうした? シャルロット、顔が青いが体調でも悪いのか?」
「い、いえ、大丈夫です……。お気遣いありがとうございます」
心配そうな顔をされて私の顔を覗き込むジークフリート殿下。
この方はお優しい方なのですが、その反面、怒ると容赦もない方なのです。
義憤に駆られた彼によって、幾人もの役人たちが不正を暴かれて処分されました……。
王宮の正義は自らが守るという、一本気なところはアルフレート殿下と気が合う性質なのかもしれません。
「ジーク、まだ新しい生活に慣れていなくて、結婚式の重圧もあるんだ。シャルロットもナーバスになるさ。悪いが、ちょっと、休ませることにするよ」
私が何に対してナーバスになっているのか察したアルフレート殿下は休ませると仰せになられて、私室へと向かわせました。
考えないようにとはしているのですが、どうも不安が拭いされないのです。
「お、おう。そうか、そうだよな。悪かった。じゃあ、俺は観光にでも行ってくる。また、式で会おう」
ジークフリート殿下はそう言い残して手をこちらに振って、観光に出かけられました。
気を遣わせて申し訳ありません。もっと精神的に強くならねば――。
準備が始まると早いものです。これがアルビニア流なのでしょうか。
少し前にリーンハルト様から婚約破棄すると言われてしまったのに、今は隣国の王太子の元に嫁ぎに行っているのですから。
自分の状況を冷静になって考えてみると、夢見心地というか、現実味が湧きません。
「やぁ、シャルロット! 久しいな! アルフレートも元気そうで何より!」
「ジークフリート殿下、もうこちらに来られたのですか?」
「ジークフリート、来てくれて嬉しいよ」
エゼルスタ王国の第二王子であるジークフリート・エゼルスタ殿下が私たちの結婚式に出席するために早くも王宮に来られました。
彼はアルフレート殿下と友人らしく、私に関することも相談されていたらしいです。
語学を頑張るようにとアドバイスされたのは、アルビニア語を幼いときより学習されて、少年時代より通訳無しでアルフレート殿下とコミュニケーションを取っていたという彼らしい助言でしょう。
アルビニアとエゼルスタの外交の要を担っている存在でもあり、明後日の式にはアルフレートの友人というだけでなく、エゼルスタ王家の代表という側面も持って出席されるのです。
「はっはっはっ! せっかく久しぶりにアルビニアに行けるから、観光もして行こうと思ってね! シャルロットは才色兼備と我が国でも多くの男たちが狙っていたというのに! この幸せ者が!」
「ありがとう。僕もそう思うよ。彼女を妻に迎え入れることが出来て幸せだ」
「アルフレート殿下……」
私の肩を抱いて、はっきりと幸せだと断言してくださったアルフレート殿下。
そのように仰せになってもらえて私も幸せです。
アルビニアとエゼルスタ。文化の違いはあれど、その違いこそがどれも輝かしいものに見えて……私はこれからの人生が楽しみだと感じていました。
「そうか。そうか。幸せなら何よりだ。アルビニア王家にエゼルスタ貴族が嫁ぐ、これは歴史的なことだからな。両国の悠久の平和に繋がると俺は信じてるよ。良い結婚式になることを期待している……!」
機嫌良さそうにアルビニアとエゼルスタの平和について語り、結婚式を楽しみにされているジークフリート殿下の顔を見ながら、私はあの妹がエルムハルト様と共に出席するという事実を思い出します。
もし、あの子が粗相を犯したら――ジークフリート殿下もお怒りになるのではないでしょうか。
仮にアルフレート殿下がお許しになられても、ジークフリート殿下が許さないとなるとエゼルスタ王国にある我が家と公爵家は無罪放免とはいかないでしょう……。
「どうした? シャルロット、顔が青いが体調でも悪いのか?」
「い、いえ、大丈夫です……。お気遣いありがとうございます」
心配そうな顔をされて私の顔を覗き込むジークフリート殿下。
この方はお優しい方なのですが、その反面、怒ると容赦もない方なのです。
義憤に駆られた彼によって、幾人もの役人たちが不正を暴かれて処分されました……。
王宮の正義は自らが守るという、一本気なところはアルフレート殿下と気が合う性質なのかもしれません。
「ジーク、まだ新しい生活に慣れていなくて、結婚式の重圧もあるんだ。シャルロットもナーバスになるさ。悪いが、ちょっと、休ませることにするよ」
私が何に対してナーバスになっているのか察したアルフレート殿下は休ませると仰せになられて、私室へと向かわせました。
考えないようにとはしているのですが、どうも不安が拭いされないのです。
「お、おう。そうか、そうだよな。悪かった。じゃあ、俺は観光にでも行ってくる。また、式で会おう」
ジークフリート殿下はそう言い残して手をこちらに振って、観光に出かけられました。
気を遣わせて申し訳ありません。もっと精神的に強くならねば――。
101
あなたにおすすめの小説
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
【完結】貴方の傍に幸せがないのなら
なか
恋愛
「みすぼらしいな……」
戦地に向かった騎士でもある夫––ルーベル。
彼の帰りを待ち続けた私––ナディアだが、帰還した彼が発した言葉はその一言だった。
彼を支えるために、寝る間も惜しんで働き続けた三年。
望むままに支援金を送って、自らの生活さえ切り崩してでも支えてきたのは……また彼に会うためだったのに。
なのに、なのに貴方は……私を遠ざけるだけではなく。
妻帯者でありながら、この王国の姫と逢瀬を交わし、彼女を愛していた。
そこにはもう、私の居場所はない。
なら、それならば。
貴方の傍に幸せがないのなら、私の選択はただ一つだ。
◇◇◇◇◇◇
設定ゆるめです。
よろしければ、読んでくださると嬉しいです。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
【完結】婚約破棄?勘当?私を嘲笑う人達は私が不幸になる事を望んでいましたが、残念ながら不幸になるのは貴方達ですよ♪
山葵
恋愛
「シンシア、君との婚約は破棄させてもらう。君の代わりにマリアーナと婚約する。これはジラルダ侯爵も了承している。姉妹での婚約者の交代、慰謝料は無しだ。」
「マリアーナとランバルド殿下が婚約するのだ。お前は不要、勘当とする。」
「国王陛下は承諾されているのですか?本当に良いのですか?」
「別に姉から妹に婚約者が変わっただけでジラルダ侯爵家との縁が切れたわけではない。父上も承諾するさっ。」
「お前がジラルダ侯爵家に居る事が、婿入りされるランバルド殿下を不快にするのだ。」
そう言うとお父様、いえジラルダ侯爵は、除籍届けと婚約解消届け、そしてマリアーナとランバルド殿下の婚約届けにサインした。
私を嘲笑って喜んでいる4人の声が可笑しくて笑いを堪えた。
さぁて貴方達はいつまで笑っていられるのかしらね♪
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
妹の嘘を信じて婚約破棄するのなら、私は家から出ていきます
天宮有
恋愛
平民のシャイナは妹ザロアのために働き、ザロアは家族から溺愛されていた。
ザロアの学費をシャイナが稼ぎ、その時に伯爵令息のランドから告白される。
それから数ヶ月が経ち、ザロアの嘘を信じたランドからシャイナは婚約破棄を言い渡されてしまう。
ランドはザロアと結婚するようで、そのショックによりシャイナは前世の記憶を思い出す。
今まで家族に利用されていたシャイナは、家から出ていくことを決意した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる