【完結】妹の天然が計算だとバレて、元婚約者が文句を言いに来ました

冬月光輝

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第七話

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 アルフォンス殿下に元婚約者であるヨシュア様が私を呼び出したことを伝えると、自らの護衛を私につけてくれました。

「その日は都合がつかないから、同行出来なくてごめん。でも、僕の護衛は優秀だから君を必ず守るよ」

 彼はそう告げて、ヨシュア様の元に向かうことを許してくれたのです。 
 妹が不穏なことを口にしていましたから、どうしてもそれが気になった私はアルフォンス殿下に感謝して、侯爵家に向かいました。

 どうやら、ヨシュア様の父である侯爵様はいらっしゃらないみたいです。
 あえて、この日を指定したのは侯爵様に聞かれたくない話があるからでしょうか?

「やっと来たか! 待たせやがって! この不義理者が!」

「不義理者……?」

 テーブルに足を置いて、怒りの形相を見せながらヨシュア様は私を睨みつけます。
 不義理者という言い回しは気になりますね……。
 婚約者を簡単に乗り換えたヨシュア様こそ不義理者なのではありませんか……?

「なんだ、エラソーに護衛なんか連れてきて。たかが伯爵家の護衛がこの俺に手出し出来ると思っているのか!? 気に入らない……!」

 そして、私の背後にいるアルフォンス殿下の護衛を一瞥して、ヨシュア様は更に暴言を吐きます。
 一体、何がここまで彼を怒らせているのでしょう。
 やはり、妹が何かしたのでしょうか……。

「あの、ヨシュア様。今日、私を呼んだ用件というのは?」

「お前の妹のことに決まっているだろ!? よくも、あんな性悪な最低女を紹介しやがったな! あいつのせいで俺は父上にどれだけ叱られたか――」

 ここからヨシュア様は妹のエレナが馬車で自分の悪口を言っていた事から始まって、それを追求すると彼女が開き直ったことや自分の父である侯爵様に泣きついた事などを話しました。

 そして、最終的にエレナの挑発的な態度に怒って、彼女を打ったらしいです。

「あんな女だと知っていたら婚約などしなかったのに! お前、なんであのとき教えてくれなかったんだ!? 話すチャンスは沢山あっただろう!?」

 どうやらヨシュア様の中で私は悪者に仕立て上げられているようでした。
 エレナと婚約する前に彼女の本性を話していれば――と言われていますが、それを言おうとしたとき彼が自分で遮ったことを覚えていないらしいです。

「知りませんよ。あなたが勝手に私を捨ててエレナを婚約者にしたのではないですか」

 私は自分勝手なヨシュア様に怒りを覚えましたが、どうにか堪えてそれだけ伝えました。
 今さら、私に出来ることもありませんし……。

「なんだと! お前もクソ女かよ! うぐっ……!」

 血走った目で私を見たヨシュア様は、立ち上がって私を殴ろうとします。
 しかし、目にも止まらぬスピードで前に出てこられた護衛たちによって彼の腕は止まります。

「退け! 俺を誰だと心得る!?」
「貴様こそ、アリシア様に無礼は許さん! 何としても彼女を守れ……! これはアルフォンス殿下より授かった私たちの使命だ!」
「あ、あ、アルフォンス殿下ぁ……?」

 殿下の名前を聞いたヨシュア様はへなへなと力の抜けた声をだしました――。
 
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