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魅了魔法など使わなくとも(ウォルフ視点)
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「やあ、シャルロット。よくぞ参った。今日は面白い話をいくつか仕入れてきたのだ。ゆっくり聞いていくがよい」
「え、ええ。畏まりましたわ」
「んっ? どうした、体調でも悪いのか?」
今日のシャルロットはどうも様子がおかしい。
僕はとっておきのトークをするためにエリーシャに王都で流行っている都市伝説とやらを仕入れてもらったのだが……。
元気が無さそうに見える。体でも壊したのか……。
「……実はそうなのです。あの、ウォルフ様……私に何か隠していませんか?」
「――っ!?」
しゃ、シャルロット? ぼ、僕に隠していることが無いかと聞いているのか?
まさか、魅了魔法を使っていることがバレた?
……いや、そんなはずはない。大体、どうやってそんなことを知ることが出来るのだ。
「実は私は呪術アレルギーでして、呪術にかかると命に関わると医者にも言われているのです。聞けば王都では魅了魔法と呼ばれる呪術が流行っているとか」
「じゅ、呪術アレルギー? 魅了魔法……? そ、そ、そうなのか? は、初耳だな……」
呪術アレルギーなんてものがあるのか? し、知らなかった。
それでは僕のせいでシャルロットは、し、死んでしまう?
ぼ、僕はなんてコトをしてしまったのか……。
「ウォルフ様のことはお慕い申し上げております。しかし、思えば胸が張り裂けんばかりに気持ちが大きくなったのはいきなりのことでした。この気持ちがもしも魅了魔法に依るモノだと考えると怖くて仕方がありません」
「しゃ、シャルロット……、ぼ、僕は」
「もう一度、お尋ねします。ウォルフ様、魅了魔法は使っていないと信じてよろしいのですね?」
ど、どうすればいい。
このままだと、シャルロットは死んでしまうかもしれない。
だが、本当のことを話せば僕は……。
いや、魅了魔法を使ったことは事実なのだから、素直に認めるべきだろうな――。
「シャルロット、僕はあなたに魅了魔法を使った……」
絶対に言いたくなかった。
これが僕の心の拠り所だったから。
シャルロットにどうしても振り向いて欲しかったから。
愛して欲しかったから、僕は卑劣な手段を使ってしまったのだ……。
「……そ、そうですか。お認めになるのですね。意外でした。ウォルフ様は簡単にはそういったことを認められるとは思えませんでしたので」
「えっ? いや、僕だって人の心はある。大切な人の一大事に変な嘘は付かない!」
「た、大切な人!? ちょっと待ってください……」
シャルロット、どうしてそんなに顔が赤いのか?
まさか、魅了魔法のせいで体調が急変して……。
くっ、何故僕は安易に呪術などに頼ったりしたんだ……。
「……ウォルフ様は嘘は付かないのですね?」
「ああ、もちろんだ。ラースアクト王家の名に懸けて嘘などつかぬ」
「それでは、ウォルフ様……、何故私に魅了魔法を? 理由をお聞かせ下さい」
「そ、それは、シャルロットの心が欲しかったからだ。あなたに初めて会ったときに一目惚れした。あなたほど美しい女性を見たことが無かったから」
「あ、あれは社交辞令では……? ううっ……」
僕がシャルロットの質問に答える度に彼女は頭を押さえて、足をジタバタする。
こんなにも、こんなにも苦しませて、僕は本当に最低の人間だ……。
とにかく、何とかせぬば。シャルロットを死なせるわけにはいかないのだから。
彼女を助けるために動かなくては……。
「シャルロット、僕にできることが何でも言ってくれ。その呪術アレルギーとやらは治すことが出来ぬのか?」
「…………ってください」
「シャルロット? すまんが、もう一度言ってくれ」
「謝って下さい! わ、私に意地悪なことを言ったこと全部謝って下さい! 好きなら好きだって言ってくれれば良いじゃないですか! どう考えても、まどろっこしいのですよ、魅了魔法なんて!」
えっ? 謝るのはそこなのか?
て、てっきり、魅了魔法を使ったことを謝れと言うのかと思っていたが。
シャルロットの感情が分からない。
しかし、彼女の顔はどうしてこんなにも赤いのだろうか……。
「え、ええ。畏まりましたわ」
「んっ? どうした、体調でも悪いのか?」
今日のシャルロットはどうも様子がおかしい。
僕はとっておきのトークをするためにエリーシャに王都で流行っている都市伝説とやらを仕入れてもらったのだが……。
元気が無さそうに見える。体でも壊したのか……。
「……実はそうなのです。あの、ウォルフ様……私に何か隠していませんか?」
「――っ!?」
しゃ、シャルロット? ぼ、僕に隠していることが無いかと聞いているのか?
まさか、魅了魔法を使っていることがバレた?
……いや、そんなはずはない。大体、どうやってそんなことを知ることが出来るのだ。
「実は私は呪術アレルギーでして、呪術にかかると命に関わると医者にも言われているのです。聞けば王都では魅了魔法と呼ばれる呪術が流行っているとか」
「じゅ、呪術アレルギー? 魅了魔法……? そ、そ、そうなのか? は、初耳だな……」
呪術アレルギーなんてものがあるのか? し、知らなかった。
それでは僕のせいでシャルロットは、し、死んでしまう?
ぼ、僕はなんてコトをしてしまったのか……。
「ウォルフ様のことはお慕い申し上げております。しかし、思えば胸が張り裂けんばかりに気持ちが大きくなったのはいきなりのことでした。この気持ちがもしも魅了魔法に依るモノだと考えると怖くて仕方がありません」
「しゃ、シャルロット……、ぼ、僕は」
「もう一度、お尋ねします。ウォルフ様、魅了魔法は使っていないと信じてよろしいのですね?」
ど、どうすればいい。
このままだと、シャルロットは死んでしまうかもしれない。
だが、本当のことを話せば僕は……。
いや、魅了魔法を使ったことは事実なのだから、素直に認めるべきだろうな――。
「シャルロット、僕はあなたに魅了魔法を使った……」
絶対に言いたくなかった。
これが僕の心の拠り所だったから。
シャルロットにどうしても振り向いて欲しかったから。
愛して欲しかったから、僕は卑劣な手段を使ってしまったのだ……。
「……そ、そうですか。お認めになるのですね。意外でした。ウォルフ様は簡単にはそういったことを認められるとは思えませんでしたので」
「えっ? いや、僕だって人の心はある。大切な人の一大事に変な嘘は付かない!」
「た、大切な人!? ちょっと待ってください……」
シャルロット、どうしてそんなに顔が赤いのか?
まさか、魅了魔法のせいで体調が急変して……。
くっ、何故僕は安易に呪術などに頼ったりしたんだ……。
「……ウォルフ様は嘘は付かないのですね?」
「ああ、もちろんだ。ラースアクト王家の名に懸けて嘘などつかぬ」
「それでは、ウォルフ様……、何故私に魅了魔法を? 理由をお聞かせ下さい」
「そ、それは、シャルロットの心が欲しかったからだ。あなたに初めて会ったときに一目惚れした。あなたほど美しい女性を見たことが無かったから」
「あ、あれは社交辞令では……? ううっ……」
僕がシャルロットの質問に答える度に彼女は頭を押さえて、足をジタバタする。
こんなにも、こんなにも苦しませて、僕は本当に最低の人間だ……。
とにかく、何とかせぬば。シャルロットを死なせるわけにはいかないのだから。
彼女を助けるために動かなくては……。
「シャルロット、僕にできることが何でも言ってくれ。その呪術アレルギーとやらは治すことが出来ぬのか?」
「…………ってください」
「シャルロット? すまんが、もう一度言ってくれ」
「謝って下さい! わ、私に意地悪なことを言ったこと全部謝って下さい! 好きなら好きだって言ってくれれば良いじゃないですか! どう考えても、まどろっこしいのですよ、魅了魔法なんて!」
えっ? 謝るのはそこなのか?
て、てっきり、魅了魔法を使ったことを謝れと言うのかと思っていたが。
シャルロットの感情が分からない。
しかし、彼女の顔はどうしてこんなにも赤いのだろうか……。
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