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69.三馬鹿の末路
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いきなりの決定に各閣僚達も側近達も驚いていたが、最近のレナードの仕事に対する姿勢や、各貴族の子息たちも弛んでいると言われかねない行動だったので、反発する声は全くなかった。
むしろ、勝手に婚約破棄を申し出たバカ王子や馬鹿貴族の子息達に婚約者の令嬢達の両親はご立腹。下手をすれば王家にも大批判が巻き起こりかねない状況なので、この決定は大炎上しそうな状況が少しは緩和されたと言ってもよかった。
「父上、なぜ私を王太子から外したのですか!弟のレオンを王太子にするなんて。それにリリアを国外追放処分とするなんてっ!彼女は平民ですよ?国外追放だなんて可哀想ではありませんか!」
「黙れ!まだ自分がしでかした事がわからぬのか!まずお前の王太子の身分をはく奪したのは、昨今の仕事に対する姿勢と国民の税金で遊び歩いているという情報がいくつもあがっているからだ。しかもその税金を国民のために使うならともかく、カジノで豪遊して一部を使い果たし、お前が宿泊施設に出入りしている瞬間を新聞社にすっぱぬかれていた。そんな愚かな愚息に次期国王陛下の身分を与えるわけがなかろう!この愚か者め!!」
「ひっ……!そ、それは……その、悪いと思っています。自覚が足りていなかったというか、調子に乗ってしまいまして……ですがリリアは可哀想ですよ!」
その台詞は事の重大さを何もわかっていないようで、ヴァユ王は心底疲れたため息を吐いた。
「お前はまだあの女にうつつを抜かしておるのか!女に見る目がなさすぎるぞ!市井の娘に一途なのは結構だと見守っていたわしもバカだったが、メルキオール殿下のおかげで目が覚めたわい。あの女はいろんな男を悪気なくたぶらかし、メルキオール殿下にちょっかいをかけようとした。メルキオール殿下は運命の番の相手と番契約も済んでいるというのに、そんな女が調子に乗ってメルキオール殿下とその相手の邪魔をしてみろ。わしらの国が災いに巻き込まれて滅んでしまいかねない。わしは国を守るという義務があるのだからな」
「で、ですが、悪気があって彼女はそういう真似をしているわけではないのですよ。みんなと仲良くしようと頑張る彼女を応援してあげてもいいのでは……」
「それで国が滅んでは元も子もあるまい!どうしてもその女がいいならお前も国外追放にしてやるぞ。それでその女を追いかけるといい」
「うう……そ、それは……すみません」
「ふんっ……彼女を気遣うような事を言う割には国外追放には及び腰か。情けない。結局はお前は自分に甘いだけの愚息だった。お前のその腐った性根を叩き直すには明日から城下で平民生活をしてこい!メイドや小間使いは一人もいないので頑張って自分で生活するように」
「ひ、ひいい~~そげなあぁあ!!」
その後、レナードはただの王子に格下げされ、しばらく城下で御付の者一人と共に平民生活を送る事になった。リリアにゾッコンになっていた三馬鹿のうち二人も両親に失望され、家では針の筵状態に陥っているのだとか。
婚約破棄されたレナードの婚約者キャロラインは、アカシャの有力貴族の紹介を受けて再び婚約する運びとなり、それぞれ婚約破棄された令嬢達も同じようにアカシャに引き抜かれていった。
そして、リリアは――この先に馬車乗り場があるとされる森を歩いていた。
(もうレナードもディアスもレイモンドも結局は親には逆らえないんだからっ!ぷんぷん!もういいもんっ!私自らメルキオール君に近づくんだからっ!恋する乙女の邪魔はさせないんだからねーっだ!)
「ねえ、そこのイケてる馬車のおじさんっ!私をアカシャに連れて行ってくれないかな?私、どうしてもアカシャに行きたくってぇ、どうしたらいいかわからないの」
ウルウル上目遣いで馬車を運転する御者の男を見つめた。たちまち男はだらしなく鼻の下を伸ばし、頬を赤らめた。
「ほほぉ、お嬢ちゃん超かわゆいねえ。胸も大きいし。だが、金を持っていない子は乗せられないんだ。それなりの対価を出せば送ってやってもいいけど」
「それなりの対価?」
「ああ。たとえば体で、とか」
男がリリアの体を見て邪悪に笑う。
「え、そんなのでいいの?いいよぉ。困った時はお互い様だもんね。おじさん溜まってそうだし、リリアが抜いてあげるっ。私、抜いてあげるの得意なのっ。今までいっぱい男の人のを出してあげたんだ。男の人とエッチするの気持ちいいしぃ、セックス大好きなのっ」
「うへえ、そんな純情そうな顔してセックスが好きでやり手だなんておじさん、びっくりだ。いろんな男を銜えてるなんて悪い子だな」
むしろ、勝手に婚約破棄を申し出たバカ王子や馬鹿貴族の子息達に婚約者の令嬢達の両親はご立腹。下手をすれば王家にも大批判が巻き起こりかねない状況なので、この決定は大炎上しそうな状況が少しは緩和されたと言ってもよかった。
「父上、なぜ私を王太子から外したのですか!弟のレオンを王太子にするなんて。それにリリアを国外追放処分とするなんてっ!彼女は平民ですよ?国外追放だなんて可哀想ではありませんか!」
「黙れ!まだ自分がしでかした事がわからぬのか!まずお前の王太子の身分をはく奪したのは、昨今の仕事に対する姿勢と国民の税金で遊び歩いているという情報がいくつもあがっているからだ。しかもその税金を国民のために使うならともかく、カジノで豪遊して一部を使い果たし、お前が宿泊施設に出入りしている瞬間を新聞社にすっぱぬかれていた。そんな愚かな愚息に次期国王陛下の身分を与えるわけがなかろう!この愚か者め!!」
「ひっ……!そ、それは……その、悪いと思っています。自覚が足りていなかったというか、調子に乗ってしまいまして……ですがリリアは可哀想ですよ!」
その台詞は事の重大さを何もわかっていないようで、ヴァユ王は心底疲れたため息を吐いた。
「お前はまだあの女にうつつを抜かしておるのか!女に見る目がなさすぎるぞ!市井の娘に一途なのは結構だと見守っていたわしもバカだったが、メルキオール殿下のおかげで目が覚めたわい。あの女はいろんな男を悪気なくたぶらかし、メルキオール殿下にちょっかいをかけようとした。メルキオール殿下は運命の番の相手と番契約も済んでいるというのに、そんな女が調子に乗ってメルキオール殿下とその相手の邪魔をしてみろ。わしらの国が災いに巻き込まれて滅んでしまいかねない。わしは国を守るという義務があるのだからな」
「で、ですが、悪気があって彼女はそういう真似をしているわけではないのですよ。みんなと仲良くしようと頑張る彼女を応援してあげてもいいのでは……」
「それで国が滅んでは元も子もあるまい!どうしてもその女がいいならお前も国外追放にしてやるぞ。それでその女を追いかけるといい」
「うう……そ、それは……すみません」
「ふんっ……彼女を気遣うような事を言う割には国外追放には及び腰か。情けない。結局はお前は自分に甘いだけの愚息だった。お前のその腐った性根を叩き直すには明日から城下で平民生活をしてこい!メイドや小間使いは一人もいないので頑張って自分で生活するように」
「ひ、ひいい~~そげなあぁあ!!」
その後、レナードはただの王子に格下げされ、しばらく城下で御付の者一人と共に平民生活を送る事になった。リリアにゾッコンになっていた三馬鹿のうち二人も両親に失望され、家では針の筵状態に陥っているのだとか。
婚約破棄されたレナードの婚約者キャロラインは、アカシャの有力貴族の紹介を受けて再び婚約する運びとなり、それぞれ婚約破棄された令嬢達も同じようにアカシャに引き抜かれていった。
そして、リリアは――この先に馬車乗り場があるとされる森を歩いていた。
(もうレナードもディアスもレイモンドも結局は親には逆らえないんだからっ!ぷんぷん!もういいもんっ!私自らメルキオール君に近づくんだからっ!恋する乙女の邪魔はさせないんだからねーっだ!)
「ねえ、そこのイケてる馬車のおじさんっ!私をアカシャに連れて行ってくれないかな?私、どうしてもアカシャに行きたくってぇ、どうしたらいいかわからないの」
ウルウル上目遣いで馬車を運転する御者の男を見つめた。たちまち男はだらしなく鼻の下を伸ばし、頬を赤らめた。
「ほほぉ、お嬢ちゃん超かわゆいねえ。胸も大きいし。だが、金を持っていない子は乗せられないんだ。それなりの対価を出せば送ってやってもいいけど」
「それなりの対価?」
「ああ。たとえば体で、とか」
男がリリアの体を見て邪悪に笑う。
「え、そんなのでいいの?いいよぉ。困った時はお互い様だもんね。おじさん溜まってそうだし、リリアが抜いてあげるっ。私、抜いてあげるの得意なのっ。今までいっぱい男の人のを出してあげたんだ。男の人とエッチするの気持ちいいしぃ、セックス大好きなのっ」
「うへえ、そんな純情そうな顔してセックスが好きでやり手だなんておじさん、びっくりだ。いろんな男を銜えてるなんて悪い子だな」
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