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85.無我夢中(3)※

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「ね……もうパスカルのナカ、はいりたい。いっぱい濡れてるし、いいでしょ?」
「……ぅん。い、いいよ、メル……きて」 

 オメガやレアオメガでなければ後孔は濡れはしなかっただろう。オメガやレアオメガにだけ存在する前立腺の他に子宮が胎内にある。性的興奮を感じれば女のようにちゃんと濡れるようにできているので、前戯を念入りにする必要もなく慎重になりすぎなくて済むが、それでもレアオメガという傷つきやすい心と体なので労わりながら行為を進める。

「痛かったら言ってね」

 パスカルの足をもう一度開かせて、そそり立つ自らの尾をぐっと膣口に擦り付けて宛がう。ずくずくに濡れそぼった入口は今までの性的興奮によりすんなりメルを受け入れてくれそうだった。

「っ……は……」


 何度もパスカルの窪みに先端を押し付けたり、すりすりと擦り付けたりして余韻に浸る。いろんな粘膜がそこに早くイレテほしいと言わんばかりに逸物に吸い付くように糸が引く。

「メル……はやく……」
「っごめん……力、ぬいて」

 切なそうに見つめる可愛い番に胸が苦しくなって、一思いに腰を押し進めた。

「あっ、ひ、あぁ――!」

 ぐっと押し込められたと思ったら、ぬぷぷと粘着質な音がしてぐっと熱い物体が胎内にめり込んでくる。浅い場所から奥へ奥へと侵食されていくのを肌で感じ、想像も絶する快楽と満たされていく心に鳥肌がぞわりと立つ。少しの圧迫感と痛みはあるものの、レアオメガとして濡れて潤った胎内は柔軟にメルを最奥へ導いた。

「やっば……気持ちよすぎる」

 メルがそんな事を言う。パスカルも同じ気持ちだった。あまりに気持ちがよくて眩暈がする。心と体がアルファとレアオメガとして満足する。さらに運命の番同士だからだろうか。挿入したばかりなのにもう限界が近くなる。想像以上だった。

「っ、あぁ、熱い。あついよぉ」
「あつい、ね……パスカルの、なか。痛い?」

 ふるふると顔を横に振る。最初は痛いと思っていた。男同士でするセックスなんて普段は排出器官でしかない入口を使うのだ。前世で見た漫画では大げさに描写されていて、現実では痛くないはずがないとどこか身構えていたけれど、実際はそうでもなかった。自分がレアオメガだからというのもあるが、少しの圧迫感と痛みだけで動くたびに快楽の方がどんどん勝っていく。

「っひ、ああっ」
「ッ――!」

 ある一定の場所を突くと、パスカルが可愛らしい女のように啼いた。
 なにこれ。なにこれ。なんだこれ。頭がおかしくなる。快楽に狂ってしまう。

「あっ、あんっ、ひゃ、あぁあ、め、めるぅっ、そこ、いや。へんに、なっちゃう」

 パスカルの一番感じる場所を無意識に突いてしまっているのだろう。そこを狙わないはずがない。

「っ、へんに、なればいい。わざと、パスカルの、気持ちいいとこっ、突いてんだからっ」

 それに反応するようにメルもパスカルの喘ぐ姿と快楽にイキそうになってしまう。

「やばい……もう……出そう」

 地球の人間との体質とは違うからなのだろうか。先ほどから体が打ち震えて快楽に頭がおかしくなりそうになる。極端な話だが、まるで危ない薬を飲んでヤク中になってしまったくらいの、そんな恐ろしいほどの快楽まやくに心酔する。

 精液ですら甘いと感じてしまうくらいだ。やっぱりオメガバースという特殊な性別同士のせいなのかもしれない。それも運命の番同士。前世から女遊びがひどかった百戦錬のメルでさえもう絶頂に近かった。

「はあ、あ、あんっ、ひゃうっ、あっ、あっ、ああ!」

 始めは浅い所を突かれて、じわじわと内側から侵食する快感へと熟れていく。突くたび、引くたび、そんな単調な動作を繰り返してすぐ、無意識に欲望が弾けた。

「あぁあ――っ!」
「ッ……!」

 自分では過去最速だと思った。
 それほど気持ちよすぎて早漏になってしまった事が少し気恥ずかしい。前世ではこれでもかというほど女性関係にだらしなくて、今生でも女を抱いてもなんとも思わなかった自分が。不感症で淡白になったと思っていた自分が。こうもこんなに早く達してしまうとは思わなかった。

「メル……?」

 なぜか放心して固まっているメルに首をかしげるパスカル。

「な、なんでもない。気持ちよくて早くイっちゃった。パスカルのナカがよすぎるから……」

 もちろん、これだけで欲望は収まりはしない。続けざまにパスカルを抱え直し、腰を持ち上げてがつがつと今度は激しく動いた。

「あっ、あう、や、あんっ、しゅご、い。ひぃ、あぁん」

 とろんとした目でうっとりするパスカル。そんな可愛い番に早くも興奮がじわじわ襲ってくる。もう早漏でもなんでもいい。この悦楽状態に浸っていたくて仕方がない。

「メルじゃない。名前で呼んで、ユウキ」
「きょ、た……キョウタさっ、きもち、いい、よぅっ」
「うん……オレも、すごく、きもちよくて……たまんないっ。くそ……理性が失いそ……」

 
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