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六章初デート
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改めて風呂に入りなおして体を洗った後に戻ってくると、濡れていたシーツがいつの間にか交換されて綺麗になっていた。この短時間の間に交換とはさすがだなーと感心していると、男同士であんな事をシテいたのバレた!?という事実に気づく。
ぐあああ!うわあああ!恥ずかしさになんとも言えねえええ!!
矢崎に校内放送でエロ本朗読されたのと同じくらいの羞恥心が俺に襲い掛かり、俺は頭を抱えてしゃがみこんだ。
翌日の朝にチェックアウトする際、俺、支配人や従業員の顔まともに見れねえわ。軽く恥ずかしさに死寝る。おホモ達だって視線で見られながら「ゆうべはおたのしみでしたね」なんて言われるんだろう。おんぎゃあ~オーマイがー!!
言い訳になりますが、フェラはしあいましたが決してセクロスはしてないですから!そこだけは本当ですから!一線は越えておりませんゆえにどうか誤解だけは~……と、言い訳をしてもほぼ無意味なんだろう。あれだけイカ臭い匂いを充満させておいての言い訳なんて見苦しいにもほどがある。無念。
「何、百面相してんだお前」
矢崎が髪を拭きながらバスローブ姿で現れた。相変わらずその姿も妙に似合っていてなんか腹立つな。バスローブって所がなんか悪代官みたいなのがワイン飲みながらソファーに座り、部下に暗殺とか命令出すシーンを連想しちまったよ。
「いや、いつの間にかシーツ交換されていたり、片付いてるなーって思って……ね」
「普通だろ」
矢崎はどかりと柔らかそうなソファーに座る。俺からすれば普通じゃねえし。高級ホテルどころかスイートルームのサービスなんて受けたことねえし。
「それよりメシも用意してもらってるから食うぞ。腹減ったし、時間的に夜食どころか深夜食になっちまうけど」
矢崎がワゴンカートに乗った食事一式を押して持ってきた。次々銀蓋を開けて広いダイニングテーブルに並べていくと、高級イタリアンのコース一式がどどんと優雅に並ぶ。
「おお、コース料理!高級イタリアンなんて初めてかも……うまそー」
「深夜に作らせたものにしてはまあまあだな。格式高いレストランで食べるのよりかはグレードは下がるが、まあいいだろう」
「グレードは下がるって……お前は普段どんなの食ってんだよ」
矢崎の辛口評価に支配人さん泣いてそうだな。気の毒な。
「架谷の料理の方がオレは好きだからな。それ以外のなんてオレからすればどれも似たようなのにしか思えない」
「……そ、そうかい。そう言ってくれると嬉しくなるじゃねーか」
俺が照れて赤くなっていると、矢崎が俺の腰に手をまわして抱き寄せてくる。
「そんな可愛い反応するなよ。止まらなくなるだろ」
「それが可愛く見えるお前の目の節穴具合に俺は驚きだよ」
「惚れた贔屓目だ。悪いか」
「悪くないよ。俺も……同じだし」
「オレの事……そんなにも好き?」
「どうしようもなく好きだと思ってるよ、悪いか」
「……全然。死ぬほどうれしい」
女どころか男相手を好きになるなんて思わなかったよ。ホモっ気なんて全くないと思っていたのに。
男だろうが、女だろうが、矢崎そのものを好きになったんだから、性別なんてあんまり関係ないのかもしれないけれど。それも最初は大嫌いだと思っていた相手。
意外な一面を知ってから嫌いじゃなくなって、放っておけなくなって、笑顔を引き出してやりたい、寂しさを拭ってあげたい、そばにいてやりたいと思うようになった。
時間に限りはあるけど、いつか離れ離れになる時が来るまで、俺もお前を思い出にしたい。一生お前を忘れられない呪いのおかげで、誰かを本気で好きになる事なんて絶対にないほどに。
お前と別れた直後は辛くて、悲しくて、寂しくて、何度も会いたくなると思うけれど……それが愛してしまったお前からの呪いなら、甘んじて受けるしかないだろう。
一生童貞の神でいいやと思っている俺が、もし仮に誰かと結ばれて結婚したとしても、俺の心は矢崎にずっとずっと囚われる。永遠に……。
「あー食った食った!やっぱステーキ最高!」
ぽんぽんと腹を二度ほど叩いて満腹感を得た俺。いやー余は満足ぢゃ。くるしゅうないぞえ。
「お前の大食いさには驚きだよ。よく20人前のステーキをぺろりと食えるもんだ」
おかわりをする度に支配人さんや従業員の人を慌てさせちゃったけどね。
「毎日鍛錬していたら嫌でも疲れて爆食いしないと持たないからな、自然と胃袋がでかくなったんだ」
俺の胃袋は同じクラスメートで百貫デブの屯田林とどっこいどっこいなのだ。よく大食い対決している俺としては、矢崎の小食ぶりに心配になってくるよ。身長高いくせして小食とはやはりイケメンは反則だ。
「さーて寝るかな」
「一緒に、寝るんだろ」
「ベット一つしかないからな」
何もしないとはいえ、一緒に寝るとなると緊張するな。
柔らかいベットの上でゆっくり横になると、すぐに矢崎もぴったりとくっついてきてドキドキする。しかし、今日結構歩いたり遊んだりしたからか、ドキドキよりすぐに眠気がやってきて微睡む。俺は知らぬ間に眠って熟睡していた。
ん……まだ夜中の0時過ぎか……。
ふと目を覚ますと、時計を見ればまだ午前過ぎ。窓の外は雷が鳴っていて、帰らなくて正解だったと思うほど激しく雨が降り注いでいた。
矢崎の方を見れば、俺を抱き寄せながら規則正しい寝息をたてている。
こうしてみると、幼くて綺麗な寝顔だよな。暗い中でもわかるが、コイツは本当に綺麗な顔をしている。
そこらの女以上に綺麗な見た目と肌の白さや顔つきから見て、きっとハーフかクォーターっぽいな。そういえば悠里も自分がクォーターって昔言っていたっけ。どいつもこいつも日本人離れしてんなぁ。
「何、人を観察してんだよ」
寝ていたはずの矢崎がいきなりぱっと目を開けたので驚いた。
「起きてたのかよ。まあ、なんとなくそんな感じはしてたけど」
「お前がモゾモゾ動いてたからな。それに気づいた」
「睡眠浅い奴」
「で、オレの顔を見て何を考えてた?」
「何をって……お前が綺麗な顔してんなーって改めて見てたんだよ」
「ふーん……まあよく言われるから別にって感じだ」
日本で一番モテる御曹司様だもんな。日々あちこちから黄色い悲鳴が絶え間なく響いてくるので、聞き慣れた本人からすれば当たり前な事を言われ慣れ過ぎたって所か。
けっ……イケメン野郎め。
「そうかい。さすがモテる男は言われ慣れて辛いもんだねー」
「でも……お前から言われるのはちょっとうれしい」
「え、そう?じゃあ言ってやる。……綺麗だ。俺の直。……なんつって!」
苗字ではなく名前でちょっと気取って言ってみた。
ふははは、どうだ。ちょっとは動揺して……あ、あれ?
矢崎の奴は急に顔を背けてしまった。
え、思ってたのと反応違うじゃねーか。なんで?やっぱ気色悪かったか?
「おまえ……いきなり名前呼びかよ……反則技使いやがって」
矢崎の頬はものの見事にりんごみたいで、どうやら照れてしまったようだ。
ふむ、これは大成功である。こんな赤い顔の矢崎はレアなので目に焼き付けておこう。
「おやおや~顔真っ赤~。反則はダメだったかねえ。それともうれしかった?」
「っ……そうだな。うれしいに決まってるよ……甲斐」
俺も名前で呼ばれてドキっとしたが、照れる前に唇をふさがれた。
「ん……んふ……あ」
いきなりの息もできないキスに翻弄して、急激に全身が熱くなってくる。
ああ、くそ……このキスに……弱い。
「ぷ、は……い、いきなりすぎるのはやめろよ」
「お前が照れる事を言うからだ。クソ……ホントお前といると退屈しない」
「ちょ……っ……」
俺は顔をそらすが、矢崎は俺の額にキスを落とす。額から頬、鼻、そして最後に再び唇にキスをした。
「ん……や、やざ、き……あ」
俺の着ている寝間着を少しはだけさせながら、首筋、胸元、肩などにもキスを落とし、俺は恥ずかしそうに、でもドキドキしながらすべてを受け入れている。抵抗せずに。
「は、あぁ……っ」
やべ……矢崎の手が気持ちよくて、変な声が出ちまう……。
ぐあああ!うわあああ!恥ずかしさになんとも言えねえええ!!
矢崎に校内放送でエロ本朗読されたのと同じくらいの羞恥心が俺に襲い掛かり、俺は頭を抱えてしゃがみこんだ。
翌日の朝にチェックアウトする際、俺、支配人や従業員の顔まともに見れねえわ。軽く恥ずかしさに死寝る。おホモ達だって視線で見られながら「ゆうべはおたのしみでしたね」なんて言われるんだろう。おんぎゃあ~オーマイがー!!
言い訳になりますが、フェラはしあいましたが決してセクロスはしてないですから!そこだけは本当ですから!一線は越えておりませんゆえにどうか誤解だけは~……と、言い訳をしてもほぼ無意味なんだろう。あれだけイカ臭い匂いを充満させておいての言い訳なんて見苦しいにもほどがある。無念。
「何、百面相してんだお前」
矢崎が髪を拭きながらバスローブ姿で現れた。相変わらずその姿も妙に似合っていてなんか腹立つな。バスローブって所がなんか悪代官みたいなのがワイン飲みながらソファーに座り、部下に暗殺とか命令出すシーンを連想しちまったよ。
「いや、いつの間にかシーツ交換されていたり、片付いてるなーって思って……ね」
「普通だろ」
矢崎はどかりと柔らかそうなソファーに座る。俺からすれば普通じゃねえし。高級ホテルどころかスイートルームのサービスなんて受けたことねえし。
「それよりメシも用意してもらってるから食うぞ。腹減ったし、時間的に夜食どころか深夜食になっちまうけど」
矢崎がワゴンカートに乗った食事一式を押して持ってきた。次々銀蓋を開けて広いダイニングテーブルに並べていくと、高級イタリアンのコース一式がどどんと優雅に並ぶ。
「おお、コース料理!高級イタリアンなんて初めてかも……うまそー」
「深夜に作らせたものにしてはまあまあだな。格式高いレストランで食べるのよりかはグレードは下がるが、まあいいだろう」
「グレードは下がるって……お前は普段どんなの食ってんだよ」
矢崎の辛口評価に支配人さん泣いてそうだな。気の毒な。
「架谷の料理の方がオレは好きだからな。それ以外のなんてオレからすればどれも似たようなのにしか思えない」
「……そ、そうかい。そう言ってくれると嬉しくなるじゃねーか」
俺が照れて赤くなっていると、矢崎が俺の腰に手をまわして抱き寄せてくる。
「そんな可愛い反応するなよ。止まらなくなるだろ」
「それが可愛く見えるお前の目の節穴具合に俺は驚きだよ」
「惚れた贔屓目だ。悪いか」
「悪くないよ。俺も……同じだし」
「オレの事……そんなにも好き?」
「どうしようもなく好きだと思ってるよ、悪いか」
「……全然。死ぬほどうれしい」
女どころか男相手を好きになるなんて思わなかったよ。ホモっ気なんて全くないと思っていたのに。
男だろうが、女だろうが、矢崎そのものを好きになったんだから、性別なんてあんまり関係ないのかもしれないけれど。それも最初は大嫌いだと思っていた相手。
意外な一面を知ってから嫌いじゃなくなって、放っておけなくなって、笑顔を引き出してやりたい、寂しさを拭ってあげたい、そばにいてやりたいと思うようになった。
時間に限りはあるけど、いつか離れ離れになる時が来るまで、俺もお前を思い出にしたい。一生お前を忘れられない呪いのおかげで、誰かを本気で好きになる事なんて絶対にないほどに。
お前と別れた直後は辛くて、悲しくて、寂しくて、何度も会いたくなると思うけれど……それが愛してしまったお前からの呪いなら、甘んじて受けるしかないだろう。
一生童貞の神でいいやと思っている俺が、もし仮に誰かと結ばれて結婚したとしても、俺の心は矢崎にずっとずっと囚われる。永遠に……。
「あー食った食った!やっぱステーキ最高!」
ぽんぽんと腹を二度ほど叩いて満腹感を得た俺。いやー余は満足ぢゃ。くるしゅうないぞえ。
「お前の大食いさには驚きだよ。よく20人前のステーキをぺろりと食えるもんだ」
おかわりをする度に支配人さんや従業員の人を慌てさせちゃったけどね。
「毎日鍛錬していたら嫌でも疲れて爆食いしないと持たないからな、自然と胃袋がでかくなったんだ」
俺の胃袋は同じクラスメートで百貫デブの屯田林とどっこいどっこいなのだ。よく大食い対決している俺としては、矢崎の小食ぶりに心配になってくるよ。身長高いくせして小食とはやはりイケメンは反則だ。
「さーて寝るかな」
「一緒に、寝るんだろ」
「ベット一つしかないからな」
何もしないとはいえ、一緒に寝るとなると緊張するな。
柔らかいベットの上でゆっくり横になると、すぐに矢崎もぴったりとくっついてきてドキドキする。しかし、今日結構歩いたり遊んだりしたからか、ドキドキよりすぐに眠気がやってきて微睡む。俺は知らぬ間に眠って熟睡していた。
ん……まだ夜中の0時過ぎか……。
ふと目を覚ますと、時計を見ればまだ午前過ぎ。窓の外は雷が鳴っていて、帰らなくて正解だったと思うほど激しく雨が降り注いでいた。
矢崎の方を見れば、俺を抱き寄せながら規則正しい寝息をたてている。
こうしてみると、幼くて綺麗な寝顔だよな。暗い中でもわかるが、コイツは本当に綺麗な顔をしている。
そこらの女以上に綺麗な見た目と肌の白さや顔つきから見て、きっとハーフかクォーターっぽいな。そういえば悠里も自分がクォーターって昔言っていたっけ。どいつもこいつも日本人離れしてんなぁ。
「何、人を観察してんだよ」
寝ていたはずの矢崎がいきなりぱっと目を開けたので驚いた。
「起きてたのかよ。まあ、なんとなくそんな感じはしてたけど」
「お前がモゾモゾ動いてたからな。それに気づいた」
「睡眠浅い奴」
「で、オレの顔を見て何を考えてた?」
「何をって……お前が綺麗な顔してんなーって改めて見てたんだよ」
「ふーん……まあよく言われるから別にって感じだ」
日本で一番モテる御曹司様だもんな。日々あちこちから黄色い悲鳴が絶え間なく響いてくるので、聞き慣れた本人からすれば当たり前な事を言われ慣れ過ぎたって所か。
けっ……イケメン野郎め。
「そうかい。さすがモテる男は言われ慣れて辛いもんだねー」
「でも……お前から言われるのはちょっとうれしい」
「え、そう?じゃあ言ってやる。……綺麗だ。俺の直。……なんつって!」
苗字ではなく名前でちょっと気取って言ってみた。
ふははは、どうだ。ちょっとは動揺して……あ、あれ?
矢崎の奴は急に顔を背けてしまった。
え、思ってたのと反応違うじゃねーか。なんで?やっぱ気色悪かったか?
「おまえ……いきなり名前呼びかよ……反則技使いやがって」
矢崎の頬はものの見事にりんごみたいで、どうやら照れてしまったようだ。
ふむ、これは大成功である。こんな赤い顔の矢崎はレアなので目に焼き付けておこう。
「おやおや~顔真っ赤~。反則はダメだったかねえ。それともうれしかった?」
「っ……そうだな。うれしいに決まってるよ……甲斐」
俺も名前で呼ばれてドキっとしたが、照れる前に唇をふさがれた。
「ん……んふ……あ」
いきなりの息もできないキスに翻弄して、急激に全身が熱くなってくる。
ああ、くそ……このキスに……弱い。
「ぷ、は……い、いきなりすぎるのはやめろよ」
「お前が照れる事を言うからだ。クソ……ホントお前といると退屈しない」
「ちょ……っ……」
俺は顔をそらすが、矢崎は俺の額にキスを落とす。額から頬、鼻、そして最後に再び唇にキスをした。
「ん……や、やざ、き……あ」
俺の着ている寝間着を少しはだけさせながら、首筋、胸元、肩などにもキスを落とし、俺は恥ずかしそうに、でもドキドキしながらすべてを受け入れている。抵抗せずに。
「は、あぁ……っ」
やべ……矢崎の手が気持ちよくて、変な声が出ちまう……。
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