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第2章 神奮闘~マカダミア王国編~
第29話 新たな協力者
クロウさんがネックレスの材料を持って再び下に降りてきた。
「……見られてると緊張して失敗しちゃうので、離れて後ろを向いてて下さい」
全員分の魔力石を受け取ると、クロウさんは遠慮がちにそう言った――
「……わかった」
サンセは意外とすぐ従って離れて後ろを向く。さっきの話で疑いが晴れ、クロウさんを新たな協力者と認めたのかもしれない――
クロウさんは早くもふたりの扱い方を心得たようで――
「メティーはふたりが振り返らないように見張っててくれる?」と、優しく微笑む。
(あ! なるほど!)
「うん! ふたりとも みちゃだめよー?」
私は言われた通りにふたりをジーっと見張る。
(うん……こう言われてしまえば、ふたりは絶対振り返れない)
私だって、ちっちゃい子供が見張ってたら逆らう自信がない。振り返った場合“だめっていったのにー”という無垢な目が心に痛く突き刺さるから――
そんな事を考えてたら、私の頭にクロウさんが手を乗せた――
「終わったよー」
(え? もう? あ、ひとつ終わったのかな?)
すると、目の前に金具とチェーンがついた魔力石を3つ見せられた。
「はやっ! しゅごーい! どうやって ちゅけたのー?」
興味津々に私がはしゃいで聞くと、クロウさんは人差し指を口元に持っていき「……秘密」と、微笑んで教えてくれなかった。
「うー……もっと“なかよち”になったら おちえてくれりゅー?」
「……うん……約束するよ」
そう言って、クロウさんは私の頭を優しく撫でて微笑む――
「……よく金具があったね?」
サンセが再び疑いの眼差しをクロウさんに向ける――
(もう! サンセったらまた疑ってー)
「……前にネックレスを作った時にセットで売られてて、使わず残った分も何かに使えないかと持ってただけです。……僕は捨てれないタイプなんですよ……」
クロウさんは苦笑いしつつ俯く――
「ものもちいーんだね! だいじにしゅりゅのいーこと!」
「……ありがとう」
クロウさんはまた私の頭を撫でてくれた――
(いっぱい撫でてくれる……)
まさに“子供は可愛いな”的なやつかもしれない。何だか、クロウさんの声や触れる手が心地よくて、ドキドキして――
(ずっと撫でて欲しい……ん!? 私ったら何考えてるの!?)
「……皆さんまだお疲れなのでは? どうぞゆっくり休んでいて下さい」
クロウさんはそう言って裏口の方へと歩いて行く――
「くりょーしゃん どこいくのー?」
私はクロウさんを自然と追いかけて服の裾を掴む――
「畑に貰った種を植えようかと思――」
「わたちもてつだう!」
クロウさんが言い終わる前に、私は手をあげてぴょんぴょん飛び跳ねて宣言する。
(お世話になりっぱなしはよくないもん!)
「しゃんしぇとカイトは“ねんね”しないとだめー!」
(私よりも絶対疲れてるふたりには、ゆっくり休んでもらいたいもん)
そう思って、ふたりを強引に階段の方へ押そうとするものの、私の力じゃ当然動くわけがなかった。
「……おふたり共、どうぞ休んで下さい。畑も裏口側の部屋の窓から見えますし。……あー……こう言うと、おふたりは窓から見て休まなそうですね……」
そう言って、私に助け船を出してくれたクロウさんも苦笑いを浮かべる――
サンセがクロウさんをジッと見て深い溜息を吐く――
「……わかった……君にメティーを任せる……その代わり――」
「何かあったらどうぞ斬り殺して下さい」
クロウさんはサンセの言葉の続きを待たず、サラッと冗談とも取れない声色でとんでもない事を言った。サンセとクロウさんが無言のまま少し睨み合う――
「……カイト、言葉に甘えて仮眠をとろう……」
サンセがクロウさんの言葉に大丈夫と判断したのか階段を上って行く――
カイトも私をチラッと見たものの、寝ていいという意味で頷いた私を見て階段を上っていった。
「……メティーを守る良いナイト様達だね。メティーの事ほんとに心配してる」
クロウさんが上っていったふたりの方を見て微笑む。“お姫様”と言われてドキッとしつつ、ふたりをわかってくれてる言葉に私も微笑む――
「だからこそ……メティーも少し手伝ったらちゃんと休んでね? ナイト様達をあまり困らせないように……ね?」
クロウさんは屈んで私に目線を合わせ、優しく言い聞かせる――
こう言われたら私は何も言えない。
クロウさんは私の扱い方も心得たみたい――
クロウさんの手伝いをする為に、廃墟の裏に出てきた。畑と聞いて農家みたいな立派な畑を勝手に想像していたけど――
(家庭菜園だね)
そう思いながら近くで見ると、秋に獲れる作物が実っていた。
(この葉っぱ……さつまいもかな? ここから獲って焼き芋にしたんだぁ!)
あの美味しい焼き芋を思い出すと、自然と笑顔になる――
「さっきは おいちかったよーありがとー」
私は無意識にお礼を言っていた。
「ふふっ、メティーがそう言うならもっと美味しくなるかもね」
「え!? やだ! こえにだちて? はずかち……」
クロウさんが微笑ましそうに笑う横で、私はしゃがみ込んで顔を隠す――
(見た目だけでなく、日に日に中身もお子ちゃまになってきてる……。痛い子じゃなかったかな……)
見た目ではセーフでも、中身の私が恥ずかしさの精神ダメージを負うぐらいにアウトだ――
「恥ずかしがることないよ。おじいさんがよく言ってた。話しかけてあげると美味しくなるって」
(ほんとにおじいさんの事大好きなんだなぁー)
クロウさんが微笑んで話す声や雰囲気が穏やかで優しいからそう思う――
この“独特な”眼鏡の下で、どんな風に微笑んでるんだろう――
(きっと、優しい目で笑っているんだろうなぁ……見てみたいなぁ……)
クロウさんをぼんやり眺め、我に返る――
(今、何考えてた!? 手伝うんだからしっかりしないと!)
クロウさんが何も植えてない場所を指差す――
「ここに、この種を蒔くよ」
「なに できりゅのー?」
「ふふっ……何が育つかお楽しみ」
はしゃいだ私を見て、クロウさんは楽しげに微笑んだ――
クロウさんは何かと内緒にするのが好きなのかと思ったけど、確かに何が育つか楽しみだから、大切に育てたいと思った――
私が種をひとつ蒔いて土を被せると――
「はい! 手伝ったからメティーはもう休んで?」
「え! まだ、ひとつちか――っわぁ!」
“まだ、ひとつしかやってない”と言い終わる前にクロウさんにお姫様抱っこされた――
「……わぁー! くりょーしゃん“おーじしゃま”みたい!」
さっき“お姫様”と言われたからなのか、笑顔でそう口走っていた――
「……ふふっ……それは光栄です。お姫様」
クロウさんは一瞬キョトンとしてからふわっと微笑み、優しい声でそう言った――
(うっ……ほんとにお子ちゃまが喜ぶ事わかってらっしゃる!)
またお姫様呼びされて、子供扱いだとわかっていてもドキドキして顔が熱い――
(眼鏡なしの笑った顔が見てみたい……もっと……クロウさんの事……知りたいな――)
――廃墟に戻り手を洗った後、再びお姫様抱っこでベッドに運ばれ寝かしつけられた。
眠くないと思ってたのに、布団をかけられるとほんとに眠気がやってくる――
(私が眠いの分かってて、それでも私を満足させるために手伝わせてくれたんだ……)
クロウさんの優しさに胸が高鳴る――
(……まだ……負けない! クロウさんともう少し話したい――)
「くりょーしゃん……」
「ん?」
「てぃしゅしゃんと……なかよちだったー?」
私はウトウトしながら話しかける――
ビターさんの事、クロウさんにも話してないかもしれない。それでも、やっぱり気になってしまう――
「……うん」
「てぃしゅしゃ……は……おにーしゃん……こと……どうおもって……りゅか……わかりゅー?」
寝まいと頑張っても眠くて、意思に反して言葉が途切れだす――
「……ティスから聞いた事ないからわからないけど……僕にも兄がいてね。……だから、たぶん……ティスもお兄さんを尊敬してるんじゃないかな?」
クロウさんの優しい声の心地良さにウトウトする。閉じようとする瞼の所為でよく見えないけど、きっと優しく笑ってるだろうとわかる声に私も微笑む――
「……おにーしゃ……いるんだー?……じゃあ……てぃしゅしゃ……と……おんなじ……ねー」
「そうだね……」
「……くりょーしゃんは……おにーしゃ……ちゅきー?」
「……うん……僕が好きだから、きっと……ティスもそうだよ……」
クロウさんはウトウトしながら喋る私の頭を優しく撫でながら話してくれる――
「そうだと……いーなぁ……びたーしゃ……てぃしゅしゃ……のこと……しんぱい……してりゅ……から……なかなおり……できりゅと……いーなぁ…………」
私はついに睡魔に負けて眠りに落ちた――
クロウさんが耳元でおやすみと優しく囁いてくれたような気がした――
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
次回、ビターがメティーの謎を考える!? サンセとカイトが再び話を!? アビスがクロウを狙う者達と合流!?
「……見られてると緊張して失敗しちゃうので、離れて後ろを向いてて下さい」
全員分の魔力石を受け取ると、クロウさんは遠慮がちにそう言った――
「……わかった」
サンセは意外とすぐ従って離れて後ろを向く。さっきの話で疑いが晴れ、クロウさんを新たな協力者と認めたのかもしれない――
クロウさんは早くもふたりの扱い方を心得たようで――
「メティーはふたりが振り返らないように見張っててくれる?」と、優しく微笑む。
(あ! なるほど!)
「うん! ふたりとも みちゃだめよー?」
私は言われた通りにふたりをジーっと見張る。
(うん……こう言われてしまえば、ふたりは絶対振り返れない)
私だって、ちっちゃい子供が見張ってたら逆らう自信がない。振り返った場合“だめっていったのにー”という無垢な目が心に痛く突き刺さるから――
そんな事を考えてたら、私の頭にクロウさんが手を乗せた――
「終わったよー」
(え? もう? あ、ひとつ終わったのかな?)
すると、目の前に金具とチェーンがついた魔力石を3つ見せられた。
「はやっ! しゅごーい! どうやって ちゅけたのー?」
興味津々に私がはしゃいで聞くと、クロウさんは人差し指を口元に持っていき「……秘密」と、微笑んで教えてくれなかった。
「うー……もっと“なかよち”になったら おちえてくれりゅー?」
「……うん……約束するよ」
そう言って、クロウさんは私の頭を優しく撫でて微笑む――
「……よく金具があったね?」
サンセが再び疑いの眼差しをクロウさんに向ける――
(もう! サンセったらまた疑ってー)
「……前にネックレスを作った時にセットで売られてて、使わず残った分も何かに使えないかと持ってただけです。……僕は捨てれないタイプなんですよ……」
クロウさんは苦笑いしつつ俯く――
「ものもちいーんだね! だいじにしゅりゅのいーこと!」
「……ありがとう」
クロウさんはまた私の頭を撫でてくれた――
(いっぱい撫でてくれる……)
まさに“子供は可愛いな”的なやつかもしれない。何だか、クロウさんの声や触れる手が心地よくて、ドキドキして――
(ずっと撫でて欲しい……ん!? 私ったら何考えてるの!?)
「……皆さんまだお疲れなのでは? どうぞゆっくり休んでいて下さい」
クロウさんはそう言って裏口の方へと歩いて行く――
「くりょーしゃん どこいくのー?」
私はクロウさんを自然と追いかけて服の裾を掴む――
「畑に貰った種を植えようかと思――」
「わたちもてつだう!」
クロウさんが言い終わる前に、私は手をあげてぴょんぴょん飛び跳ねて宣言する。
(お世話になりっぱなしはよくないもん!)
「しゃんしぇとカイトは“ねんね”しないとだめー!」
(私よりも絶対疲れてるふたりには、ゆっくり休んでもらいたいもん)
そう思って、ふたりを強引に階段の方へ押そうとするものの、私の力じゃ当然動くわけがなかった。
「……おふたり共、どうぞ休んで下さい。畑も裏口側の部屋の窓から見えますし。……あー……こう言うと、おふたりは窓から見て休まなそうですね……」
そう言って、私に助け船を出してくれたクロウさんも苦笑いを浮かべる――
サンセがクロウさんをジッと見て深い溜息を吐く――
「……わかった……君にメティーを任せる……その代わり――」
「何かあったらどうぞ斬り殺して下さい」
クロウさんはサンセの言葉の続きを待たず、サラッと冗談とも取れない声色でとんでもない事を言った。サンセとクロウさんが無言のまま少し睨み合う――
「……カイト、言葉に甘えて仮眠をとろう……」
サンセがクロウさんの言葉に大丈夫と判断したのか階段を上って行く――
カイトも私をチラッと見たものの、寝ていいという意味で頷いた私を見て階段を上っていった。
「……メティーを守る良いナイト様達だね。メティーの事ほんとに心配してる」
クロウさんが上っていったふたりの方を見て微笑む。“お姫様”と言われてドキッとしつつ、ふたりをわかってくれてる言葉に私も微笑む――
「だからこそ……メティーも少し手伝ったらちゃんと休んでね? ナイト様達をあまり困らせないように……ね?」
クロウさんは屈んで私に目線を合わせ、優しく言い聞かせる――
こう言われたら私は何も言えない。
クロウさんは私の扱い方も心得たみたい――
クロウさんの手伝いをする為に、廃墟の裏に出てきた。畑と聞いて農家みたいな立派な畑を勝手に想像していたけど――
(家庭菜園だね)
そう思いながら近くで見ると、秋に獲れる作物が実っていた。
(この葉っぱ……さつまいもかな? ここから獲って焼き芋にしたんだぁ!)
あの美味しい焼き芋を思い出すと、自然と笑顔になる――
「さっきは おいちかったよーありがとー」
私は無意識にお礼を言っていた。
「ふふっ、メティーがそう言うならもっと美味しくなるかもね」
「え!? やだ! こえにだちて? はずかち……」
クロウさんが微笑ましそうに笑う横で、私はしゃがみ込んで顔を隠す――
(見た目だけでなく、日に日に中身もお子ちゃまになってきてる……。痛い子じゃなかったかな……)
見た目ではセーフでも、中身の私が恥ずかしさの精神ダメージを負うぐらいにアウトだ――
「恥ずかしがることないよ。おじいさんがよく言ってた。話しかけてあげると美味しくなるって」
(ほんとにおじいさんの事大好きなんだなぁー)
クロウさんが微笑んで話す声や雰囲気が穏やかで優しいからそう思う――
この“独特な”眼鏡の下で、どんな風に微笑んでるんだろう――
(きっと、優しい目で笑っているんだろうなぁ……見てみたいなぁ……)
クロウさんをぼんやり眺め、我に返る――
(今、何考えてた!? 手伝うんだからしっかりしないと!)
クロウさんが何も植えてない場所を指差す――
「ここに、この種を蒔くよ」
「なに できりゅのー?」
「ふふっ……何が育つかお楽しみ」
はしゃいだ私を見て、クロウさんは楽しげに微笑んだ――
クロウさんは何かと内緒にするのが好きなのかと思ったけど、確かに何が育つか楽しみだから、大切に育てたいと思った――
私が種をひとつ蒔いて土を被せると――
「はい! 手伝ったからメティーはもう休んで?」
「え! まだ、ひとつちか――っわぁ!」
“まだ、ひとつしかやってない”と言い終わる前にクロウさんにお姫様抱っこされた――
「……わぁー! くりょーしゃん“おーじしゃま”みたい!」
さっき“お姫様”と言われたからなのか、笑顔でそう口走っていた――
「……ふふっ……それは光栄です。お姫様」
クロウさんは一瞬キョトンとしてからふわっと微笑み、優しい声でそう言った――
(うっ……ほんとにお子ちゃまが喜ぶ事わかってらっしゃる!)
またお姫様呼びされて、子供扱いだとわかっていてもドキドキして顔が熱い――
(眼鏡なしの笑った顔が見てみたい……もっと……クロウさんの事……知りたいな――)
――廃墟に戻り手を洗った後、再びお姫様抱っこでベッドに運ばれ寝かしつけられた。
眠くないと思ってたのに、布団をかけられるとほんとに眠気がやってくる――
(私が眠いの分かってて、それでも私を満足させるために手伝わせてくれたんだ……)
クロウさんの優しさに胸が高鳴る――
(……まだ……負けない! クロウさんともう少し話したい――)
「くりょーしゃん……」
「ん?」
「てぃしゅしゃんと……なかよちだったー?」
私はウトウトしながら話しかける――
ビターさんの事、クロウさんにも話してないかもしれない。それでも、やっぱり気になってしまう――
「……うん」
「てぃしゅしゃ……は……おにーしゃん……こと……どうおもって……りゅか……わかりゅー?」
寝まいと頑張っても眠くて、意思に反して言葉が途切れだす――
「……ティスから聞いた事ないからわからないけど……僕にも兄がいてね。……だから、たぶん……ティスもお兄さんを尊敬してるんじゃないかな?」
クロウさんの優しい声の心地良さにウトウトする。閉じようとする瞼の所為でよく見えないけど、きっと優しく笑ってるだろうとわかる声に私も微笑む――
「……おにーしゃ……いるんだー?……じゃあ……てぃしゅしゃ……と……おんなじ……ねー」
「そうだね……」
「……くりょーしゃんは……おにーしゃ……ちゅきー?」
「……うん……僕が好きだから、きっと……ティスもそうだよ……」
クロウさんはウトウトしながら喋る私の頭を優しく撫でながら話してくれる――
「そうだと……いーなぁ……びたーしゃ……てぃしゅしゃ……のこと……しんぱい……してりゅ……から……なかなおり……できりゅと……いーなぁ…………」
私はついに睡魔に負けて眠りに落ちた――
クロウさんが耳元でおやすみと優しく囁いてくれたような気がした――
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