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第4章 Open Your Eyes For The Elf's Past
第85話 エルフの氏族争い
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……リンはいつもの明るい口調から……真剣な口調に変わった。
そして……息を整え、語りだした。
「私は……エルフの氏族の一つ、『ラサル氏族』の族長の娘なの」
「し、氏族?」
氏族って要するに……共通の祖先をもつ集団ってこと?
確か、スコットランドや韓国、あとソマリアとかが例として挙げられるのかな?
「リンっていう名前も実は偽名……本当の名前は別にある、あんなところで貰った名前なんて……もう名乗りたくない」
「……」
リンという名前も偽名で、自分の故郷を「あんなところ」と言った……。
私は思わず、言葉に詰まった。
「それで、内戦の事だけど……それって、氏族が関係してるの? 氏族同士でなにか争いが起きてるとか?」
私がそれとなく予想を立てると、リンは小さく頷いた。
「そう……エルフは長年、氏族争いが絶えないの、どこの氏族が偉いとか、どこの氏族が別の氏族を隷属したとか……」
「……複雑だね」
リンの年齢を考えると、数千年単位で争いが続いているのだろう……長年の恨みは消えないのか……。
実際、昔のことを「ハイ終わりです」の一言でパッタリなくなったら苦労しないよね……。
「……正直、昔のことをそんな風に永遠に引きずるのって……くだらないと私は思うの」
「……」
くだらないか……そうは言っても自分が当事者だったら、自分たちを迫害した氏族に対して、憎しみや怒りをぶつけたくなるかな?
「内戦なんてほとんど当たり前みたいに起きてた……毎日誰かが死んで、誰かが殺して……死体を生で見ることなんてしょっちゅう……そんな様子を見ていると、そもそも氏族って何なんだろうって思うんだ」
「……」
あんまりな惨状……私は思わず言葉を失ってしまった。
「私ね、故郷にいたときは友達が一人もいなかったんだ……実家は厳しくて家からはめったに出られないし……街のみんな私を氏族の長の娘として見ていて……そう、まるで神様みたいに見られてた……私はそんな大そうな人じゃないんだけどね」
「……今はラピスやキセノン、ゴルドがいるけどね」
「……ルリルリもそのうちの一人だよ」
「……ありがとう」
なんだろう……少し照れ臭い。
「でもある時……そんな辛い中でも、友達ができたんだ。突然家の庭にやってきてね……同じ年ぐらいで、その子も毎日外へ飛び出してるって言ってた」
「へぇ……」
「だから……その子の助けを借りて、暇な時は家を飛び出した。色んなところを冒険したり……ダンジョンにも2人で入ったりしてた、ボウガンの使い方もその子から教わったの」
「それは……凄いね」
2人でダンジョン……リンってやっぱりアクティブだな……。
昔のことを語るリンの表情は……どこか明るかった。
「その子と過ごした日々は本当に楽しかった……だけど」
「……だけど?」
リンの表情が再び暗くなり……下を向いた。
そして……息を整え、語りだした。
「私は……エルフの氏族の一つ、『ラサル氏族』の族長の娘なの」
「し、氏族?」
氏族って要するに……共通の祖先をもつ集団ってこと?
確か、スコットランドや韓国、あとソマリアとかが例として挙げられるのかな?
「リンっていう名前も実は偽名……本当の名前は別にある、あんなところで貰った名前なんて……もう名乗りたくない」
「……」
リンという名前も偽名で、自分の故郷を「あんなところ」と言った……。
私は思わず、言葉に詰まった。
「それで、内戦の事だけど……それって、氏族が関係してるの? 氏族同士でなにか争いが起きてるとか?」
私がそれとなく予想を立てると、リンは小さく頷いた。
「そう……エルフは長年、氏族争いが絶えないの、どこの氏族が偉いとか、どこの氏族が別の氏族を隷属したとか……」
「……複雑だね」
リンの年齢を考えると、数千年単位で争いが続いているのだろう……長年の恨みは消えないのか……。
実際、昔のことを「ハイ終わりです」の一言でパッタリなくなったら苦労しないよね……。
「……正直、昔のことをそんな風に永遠に引きずるのって……くだらないと私は思うの」
「……」
くだらないか……そうは言っても自分が当事者だったら、自分たちを迫害した氏族に対して、憎しみや怒りをぶつけたくなるかな?
「内戦なんてほとんど当たり前みたいに起きてた……毎日誰かが死んで、誰かが殺して……死体を生で見ることなんてしょっちゅう……そんな様子を見ていると、そもそも氏族って何なんだろうって思うんだ」
「……」
あんまりな惨状……私は思わず言葉を失ってしまった。
「私ね、故郷にいたときは友達が一人もいなかったんだ……実家は厳しくて家からはめったに出られないし……街のみんな私を氏族の長の娘として見ていて……そう、まるで神様みたいに見られてた……私はそんな大そうな人じゃないんだけどね」
「……今はラピスやキセノン、ゴルドがいるけどね」
「……ルリルリもそのうちの一人だよ」
「……ありがとう」
なんだろう……少し照れ臭い。
「でもある時……そんな辛い中でも、友達ができたんだ。突然家の庭にやってきてね……同じ年ぐらいで、その子も毎日外へ飛び出してるって言ってた」
「へぇ……」
「だから……その子の助けを借りて、暇な時は家を飛び出した。色んなところを冒険したり……ダンジョンにも2人で入ったりしてた、ボウガンの使い方もその子から教わったの」
「それは……凄いね」
2人でダンジョン……リンってやっぱりアクティブだな……。
昔のことを語るリンの表情は……どこか明るかった。
「その子と過ごした日々は本当に楽しかった……だけど」
「……だけど?」
リンの表情が再び暗くなり……下を向いた。
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