夢の記憶【朗読台本集】

叶った

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読み手…♂♀


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夢があった。追いかけた。

夢があった。追いかけて来た。

夢があった。夢じゃなくなった。

夢があった。夢だった…。私は夢を掴んだ。



どれだけの人の協力があっただろうか。

どれだけの人が関わっているだろうか。

そんなこと言ったらキリがない…

ただ言えるのは…私の夢ではなく、私たちの夢。

叶えたのは私であり、私ではない。



寂しくなった。バラバラになったから。

寂しくなった。誰もいなくなったから。

寂しくなった。君が居ないから。

寂しくなった。叶ったから。夢が、叶ったから。



夢を持たない私は何をしたらいいのだろうか。

仲間が其々の道を歩みだした。

独りになった私は、何をしたらいいのだろうか。


私は…私だけでは何もできず、何も持たず。

自身に大した価値がない事を知る。



私は俯いた。前が見えなくなった。

真っ暗な中…どこが前か分からず、歩いても歩いても…何もない、誰もいない。

どこ…どこなの。ここは…あの人は……。



もう…一人には、なりたくない…よ…。



声が響いた。

あの声…あの人の声…彩、音…あの人。


私は追いかけた、走った。暗闇の中。

憧れた、好きだった。


…なにも無い…なんて事、無かったんだ。



私には、まだ、心があった。



…。


夢が叶った、失ったと思った…

人の繋がりは、そう簡単に切れていなかった。


好きにも色々あるけれど、そのどれもが私。



私は想う。伝わる人に伝わればいい…私の想いと憧れと夢。

私は想う。大好き、…って。



私は今日も歩く。歩き始める。
私の足で、私の心で。


自分を歩く。










END