ヤンデレ不死鳥の恩返し

リナ

文字の大きさ
130 / 159
十一話

心配する幼馴染

しおりを挟む
「ライ、今まで何してたんだよ。スマホ失くしたにしても…半年以上音信不通になるっておかしいだろ。そもそも昨日の男らはなんなんだ?あんなえげつないイケメン揃えてロマンス詐欺でもする気か?」
「ロマンス詐欺って…んなわけねえから…」

 セツに幻獣の話をするわけにもいかないし、とりあえず幻獣要素は伏せて、前職を辞めた所からグレイに拾われる所までを話した。

「厄介な後輩に目をつけられて、辞職に追いやられて、家を追い出されて、夜の店に拾われて、そして…あのイケメンズと暮らすことになったと」
「…うん」
「…え、お前がロマンス詐欺を受けてるってコト…?」
「ちげえわ」

 話を聞いてなかったのかと冷静に突っ込むと「聞いた結果の感想だっつの」と腕を組みながらいわれた。

「“失恋につけこまれて変な男に引っ掛かる"ってレベルじゃねえよ!お前大丈夫か?!宗教入れられたり高そうな壺買わされたり怪しい仕事させられてねえか??」
「全部大丈夫だ」
「即答されると逆に怖えよ!」

 二か月前に同じ質問をされたら俺も不安になってたかもしれないが今は心の底からグレイ達を信頼しているし迷うことはなかった。だが、セツはいまいち信じられないのか、顔をしかめたまま「絶対あの男達は胡散臭い!」と唸ってる。

「俺の見立てじゃ、あのイケメン共はだ」

 フィン=タラシ、ユウキ=猫かぶり、ソル=ヤリチン

 (…あってるかもしれない…)

「ライ、悪いことは言わないからあの男達は止めとけ。お前には難易度が高すぎる…というか、どれ選んでも絶対泣かされるぞ」

 ガチの心配顔で諭されるが、すでに付き合ってしまっている為なんとも返しにくかった。俺が気まずそうにしてるのを見て「まさか」とセツが目を見開いた。

「お前!まさか!すでに奴らの手に!!?」
「…敵の手に落ちたのかみたいなテンションで言うな。やべえ感じに見えるだけで根は良い奴らだから(※下半身緩いけど)」
「(疑いの目)」
「ほんとだってば。…で、金髪の男、フィンって言うんだけど…その人と今は付き合ってる」
「なんっ…これまた一番胡散臭そうな男を選びやがって…っ」

 言いながらがばっと頭を抱えてしまう。カミングアウトをした時並みの動揺っぷりだろう。
 (まあ…セツが戸惑うのも当然だよな…)
 突然姿を消した幼馴染が、えげつない面した外人イケメンを連れてきて「一緒に仕事してる同居人かつ恋人です」なんて紹介してきたら、普通何かしら疑って入るだろう。セツは頭を抱えていた手を額に置きかえ、はぁ…と深いため息を吐く。

「てか真人さんと別れてんのが何より驚いたわ…。真人さんあんなにお前にベタ惚れだったのに、一体どうしちまったんだ」
「…」
「いや…悪い、終わった恋愛に口出すのは野暮だよな」

 真人との関係は基本誰にも話してないが、唯一セツだけは開示していたし、会わせてもいた。ノーマルのセツにとって男の恋人というのはかなり複雑そうだったが、真人の俺への態度を見て思う所があったのか…その日の帰り道では「コイツ、面倒臭い奴ですけどよろしくお願いします」と幼馴染らしい暖かい言葉を送ってくれた。
 (懐かしいな…)
 後輩のやり口(インキュバスの魅了)を話すわけにもいかないし軽いすれ違いからの自然消滅…と誤魔化すしかないのだが、変に嘘をつきたくなかったから俺もそれ以上は頷くだけに留めた。

「そうか、なんというか…辛かったな」

 セツが気遣うように肩を叩いてくる。

 ぽんぽん…

 俺達は普段あまりスキンシップをしない。避けているというより元々女好きのセツは男に触りたがらないし、俺も俺で妙な感じになるから、お互いに暗黙の了解でそうしているのだが、この時ばかりはセツの大きな手が優しく肩を叩いてきて特別な感じがした。何も言わず、二人で公園を眺めながら感傷に浸ってると、

「お客様、大変お待たせしました」

 女性がお盆を二つもって現れる。そこには頼んでいたお団子の他にも、おにぎりやお新香などの小皿ものっていて「あれ」とセツと一緒に首を傾げた。

「おにぎりは母からです。きっとお昼食べれてないからって…もしよければこちらも召し上がってください」
「マジですか!腹減ってたんで嬉しいです!」
「ありがとうございます、いただきます」

 互いに礼を言うと「ごゆっくりどうぞ」と女性が笑顔で去っていく。その背中を見送った後、セツは手元のお盆に視線を落とし苦笑を浮かべた。

「こりゃ…すげえうまそうだけど、炭水化物祭りでトレーニーなら発狂しちまうな」
「セツは今も筋トレしてんの?」
「そりゃしてる。いっそ筋トレが仕事だ」
「うわぁ…」

 今のセツはフィット感のある半袖シャツに白パンツを着てるので脱がなくても体形がわかる。消防士らしく全体的に筋肉質な体をしていて(特に上半身は分厚い)、背が高いからそこまでマッチョ感はないが、筋トレしてる男なら一度は憧れる立派な体をしていた。ちなみに胸元は少し開けられ、そこにサングラスがかけられている。
 (チャラいけど…すげえ似合ってるから腹立つ…)
 どうでもいいが、サングラスの先が胸筋の厚みで着地できてないのを見て「自分も胸筋鍛えよう…」と心に決めたのだった。

「ライはちょっと痩せたか?」

 俺と同じように互いの体を確認していたセツが腹辺りを指さしてくる。

「ああ、仕事辞めた時に結構こけちまって…今は戻してる所」
「お前…元々痩せ方なんだから食わねえと骨になっちまうぞ。肉を食え、肉を」
「食ってる。お前の周りのマッチョと比べるな」
「あー悪い悪い。俺の周りマッチョ率高えもんな…って!おいやめろ、せっかくの休日にむさ苦しい男(※同僚)を思い出させるな!」
「はは、酷い言い草だな」
「お互い暑苦しいと思ってるからいいんだよ!」

 セツの男への拒絶っぷりに笑いながらついでにと近況報告をしあう。

「へえ、セツは先月こっちに来たばかりなのか」
「ああ、元々人が足りてねえのは聞いてたからな。試しに異動願いを出してみたら速攻通って驚いたぜ」
「え、異動願い?お前が希望をだしたのか?」

 セツは中学で地元に戻って以来一度も外に出てない。てっきり地元に永久就職を決め込むと思ってたが、一体どんな心境の変化だろう…と驚く俺に、セツはお茶をすすりながらとんでもない事を言い放った。

「何他人事みたいな面してんだ。俺はこっち来たんだぞ」
「?!」
「昨日も言ったろ。警察に届けかけてたって。あれはマジの話だ。音信不通になってすぐにお前の職場と部屋の管理人に連絡したが“知らない”の一点張り。時間をあけて連絡したら今度は繋がりもしねえ。一度連休を使ってこっちに探しに来たが…まあ手掛かりも無しに見つけられるわけもなく、長期休暇なんて優雅なもんをとれる仕事でもねえから、泣く泣くその時は地元に帰ったわけだ」
「そんなに…探してくれてたのか…」
「そりゃたった一人の幼馴染だし、お前を探そうとする物好きも俺ぐらいだろうからな…。だがやっぱ遠隔じゃどうしようもなくてな。万策尽きた俺は、仕方ねえから役立たずの警察さんに届けようとしたわけだが………まさかのそのタイミングで見つけちまったんだ」
「見つけた?」

 セツがスマホの画面を見せてきた。

「!!!」

 そこには、やはりというべきか、狐ヶ崎の秘伝羽織で幼くなった俺が映っていた。まさかお前もコレを…とギョッとするのと同時にどんだけ拡散されてるんだと不安になる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

陥落 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな
BL
 眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。  国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。  そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる

桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」 首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。 レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。 ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。 逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。 マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。 そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。 近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...