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五話
★ハチミツレモン
しおりを挟む「フィ、ン…?」
「すまない。意地悪するつもりはなかった」
「んっ…なにっ、ああっ?!」
フィンの指先が性器の先端に触れてくる。それだけで軽くイキかけた。触れられたところがビリビリするぐらい気持ちがいい。しかもその刺激を受けとる頭が馬鹿になってて何倍にも感じてしまう。薬の作用が憎い。
「んっ、ああっ…くっ…!」
じわりと先走りが溢れてくる。
くちゅり
塗り込むように撫でつけられそのまま全体を掌で包まれた。ひんやりとした掌に包まれ上下に動かしてくる。よく知ってる感覚のはずなのに背中が粟立つ程震えた。あまりの気持ちよさに息ができない。
(やばいやばい…!)
「はあっ、ハッ、はっ、あっ…これっ、すぐでる、っ」
助けを求めるようにフィンの肩に手を置く。フィンの体も汗ばんでいた。チラリと顔をみれば噛み付くようにキスされる。
「んんーっ…んっ、ふっ、はあっ、んう…!ふうっ」
「ライ…舌をだして」
「うぁ、んん…」
言われた通り従えばフィンの舌が絡みついてきた。いつもは熱く感じる舌がぬるい。変な感じがするのに気持ちが良い。舌を絡めてると頭の奥がボーッとしてきた。
「んあっ…はっ、ンンッ…、もっ、やば、んんっ!いっ、ハッ…!」
キスしながらも手の動きは止まらない。何もかも刺激が増してる体でこんなの耐えられるわけがない。限界を伝える為、肩を掴む手に力を込める。気付いたフィンがチラリとこちらをみてきた。
「ライ、出そうなのか」
「そ、だ!言わせん、なっ…!もうっ、あっ、はなせっ」
「そうか…」
ちゅっと口付けられる。突然可愛らしいキスをされ戸惑ってるとおもむろに下を握られた。
ぐちゅり
思いっきり擦られ一気に高められる。無理矢理にも近い波の高まりに溺れそうになった。
「はあ?!あああっ、くっ、んんっ!フィ、ン、あっ…!い、いく…!!」
あっけなく達した。数日ぶりの射精というのもあってかなり出た。フィンがもう片方の手で受け止めているが、彫刻のように美しい手が俺ので汚れていく背徳感。
(精液かぶっても綺麗って意味わかんねえ…)
出しながら脳内で謝っていると
「さて、ライ」
フィンは手に残った俺のを舐めながら見下ろしてくる。
「おい!ばかっそんな、の、舐めるなって!」
「美味しいから安心してくれ」
「あんた味覚音痴なのか…うっ!?」
どさりとベッドに転がされた。出したことでスッキリするはずがあまり状況は変わってなかった。相変わらず体は熱いし半勃ちみたいになってる。
(なんだよもうっ…!)
自分の体じゃないみたいだ。フィンもそれをわかってて俺を押し倒したらしい。
「追加が必要だな」
「ハッ、はあっ、待てっ、ちょっと休憩し」
「しない」
顎を掴まれ上を向かされる。そのままコップの水を注がれた。
「ゴク、ゴク…うっげほっ、ゲホッ、んぐっ」
「大丈夫か?」
「誰のっゴホッ…せいっ、だ!もう、飲めねえって、ゲホッ…!」
「まだ入りそうだが」
そういって腹を確認してくる。優しい手付きだが目はギラギラしていた。
(フィンのやつ変なスイッチ入ってるって…!)
身の危険を感じる。ぶっちゃけレッドと対峙した時より恐ろしかった。慌てて起き上がろうとするとフィンに腕を掴まれ引き戻された。
「ライ、どこへ行くんだ?」
「タオル…とりに、いく、だけだっ」
「大丈夫。私があとで拭くからライはここで寝ててくれ」
(いや、寝るだけですまねえじゃんっ!)
半勃ちのを絞り上げられ腰がびくりと浮いた。ストッパーが壊れてて触られると触られるだけ気持ちが良い。何度でもイケそうだった。
「はっ…ああっ、フィ、ン…っ」
フィンとの噛み付くようなキスも下を擦られるのも何もかも気持ちがいい。
「ハアッ、あッ、んっ!ああっ!ハアッ、くっ…んんっ」
唇が離れたと思えば喉に移動していく。それから甘く噛み付かれた。
「んアっ?!」
快感が染み込んだ体は噛まれる刺激すら気持ちよくて。
(ヤバイ…頭が馬鹿になってる…)
わかっていても止められる理性はなかった。噛まれた刺激で先端からトプリと漏れてくる。今までで一番強い刺激を与えられ体が喜んでいた。
「ライ、痛かっただろう?ここの消毒もしておこう」
「イっ?!ぐっ、う…っ、ハアッハッ…!」
「じっとして」
鎖骨まで舌が移動したと思えば、レッドに噛まれた部分を舐められた。つんと染みる痛みと舐められる気持ち良さ両方に襲われる。
ぐちゅぐちゅ
俺が気持ち良さを追えるようにという配慮なのか下の刺激も続いている。おかげで脳内は大混乱だった。
「ぐっ…あ、ううっ、フィ、ン…!やめっ」
「レッドキャップめ。次会ったら干からびるまで血を抜いてやる…許せん…」
「んんっ、首もとで唸るなっ、アッっ、こわ、いって…!!アアッ、くうっ、ん、ああっ、またっ、イっ……!」
鎖骨の傷を舐められながらまたイッてしまった。二回目なのに量が減らず動揺した。まさかずっとこのまま出し続けるのかと自分の体が怖くなる。
「くっ、んっ…はっ…ハッ、ハアッ、はあ…、はっ…」
脱力して動けない。半ば諦めてフィンに身を任せていると
「ああ、下に垂れてしまったな」
フィンの指が俺の半勃ちのから更に下へ移動していく。ずっと使われてない部分に添えられ、流石の俺も飛び起きた。
「はあ…はっ、え…?あっ…!そこっ」
「ライ、大丈夫だから」
「でも…っ、くっ」
「ここも使った方が出るはずだ」
指がツンツンとつついたあと入ってくる。声をあげようとしたら唇で塞がれた。
「フィ、んんーっ!?うっ…んうう…!んぐぅ」
久しぶりの後ろの感覚はとろけるようだった。薬のせいだと思いたいが。フィンの骨張った指が入ってくる度ゾクゾクと震えた。内側を広げる感覚と外からの刺激に襲われじっとしてられない。足がひきつる。
「うああっ…くっ、も、やめっ…やばい、からっ」
「ライ、好きなだけ出せばいい」
「はあっあっ…んんっ…フィン…っ」
また吐き出す。少し量は減ったがまだ勃っていた。波が全然引いてくれない。こんな状態でレッドに襲われなくてよかったと内心ホッとした。
「ライ?」
「はっ、はあっ、はあっ…」
助けを求めるように手を伸ばせばフィンが顔を近づけてくる。指は後ろにいれたまま優しくキスしてきた。
「んん…っ、ふっ、んぅ…」
恋人のように求めあうキスだった。抱き合って、互いの存在を確かめるようなキスだ。昨日したかったフィンとの続きを今やっと取り戻せた気がする。
(全然、足らねえ…)
物足りなさからか無意識にフィンのに触れていた。固くてすでに限界を迎えているそれを握る。こんな状態になっててよく我慢できるなと驚いた。
「はっ…これ、大丈夫か、よ…っ」
「大丈夫ではないが、今のライを抱くつもりはない」
「はあ…!?んっ、ああっ、おいっ、?!んぐっなんでっ」
フィンの手が胸を弄ってきて体が跳ねる。それから歯形を上書きするように鎖骨に噛みつかれた。
「ああっ…!!」
逃げ場がない。何もかも気持ちが良い。このまま快楽に溺れてしまいたい。一緒にフィンと気持ちよくなりたい。だけどフィンは自分のには一切触れようとしなかった。
(絶対辛いだろそれ…!)
ぐっ
俺が触ろうとすると手首を掴まれ恋人繋ぎのように指を絡ませてくる。抜けられない。
「それっ、んぐうっ、あっ、んんう…っ!ん~っ!!」
フィンは全身びっしょりと汗をかいていて必死に耐えてる。どうして我慢するんだ。早くくれと欲しがるように口を開けても塞ぐように口付けられてしまう。そうしてる間にも次の波が近づいてきていた。
「っんん~~…!!」
フィンと舌を絡ませながら何度目かの放出をする。流石にほとんど出すものはなかったし、体も自分では動かせないほどぐったりしていた。この疲労感。指1本動かせる気がしない。
「ハアッ、ハッ、ハア…」
「ライ」
(もう無理だって…!)
目だけで訴えるとフィンが汗を拭いながら見下ろしてきた。
するり
頬を撫でられる。見下ろしてくるフィンの表情があまりにも色気がすごくて息をのんだ。フィンもこんな顔をするのかと見惚れてしまう。
「ライは誰にも渡さない。私が見つけた…私だけの宝物だ」
「……はあ…はっ、フィン…?」
「さあ、もう一度」
「…!!!?」
水の入ったコップを手に「もう一度」と囁いてくる。色気で濡れたイケメンをこんなに恐ろしいと思うのは初めてだった。
***
翌日。昼の日差しで目が覚めた。
「…うっ、けほっ…喉も体もいってえ…」
朝までやってたらしいがぶっちゃけ後半の記憶がない。玉も喉も枯れてるし相当ヤンチャしたのは間違いない。後ろを使った感じはないのでそれだけは不幸中の幸いといえる。
(マジで俺だけやってたのか…)
フィンも勃ってたのに大丈夫なのだろうか。前はあんなに俺とやりたがってたのにどんな心境の変化だ。頭を傾げてると
ブーブー
「うわっ」
スマホが鳴り出した。ベッド横の棚に置かれていたのを拾い上げる。
「もしもし」
《もしもーし!俺だよー!》
「ああ、ユウキか」
《あれ?なんか声枯れてる?》
「…違えよ。電話だからだ。で、不良学生とはどうだよ。うまくやれてるか?」
《それがめちゃ盛り上がり!下ネタしか話してないけど!》
「そりゃ何より」
男子高校生なんて大体そんなもんだ。エロい事しか考えてないといっても過言じゃない。
(俺なんかに好意を向けてるから不安だったがちゃんと女性にも興味あるんだな…)
両方いけるタイプなのかと首を傾げつつ話を戻した。
「じゃあ学校にも行けたのか?今昼休みだろ」
《そそー全員こっぴどく怒られてたけど体はピンピンしてるよ!あ、記憶操作される前に山田と話したんだけどさ。なんで今回の事件に関わることになったのかわかったよ》
「流石、で?」
《どうやら切り裂き事件の最初の目撃者があいつらだったみたい。んで、いつまで経っても犯人捕まらないし報道もされないから自分達で動こうとして赤い女に捕まった、と!ほんとバカだよね~》
「ボンキでナイフ買おうとしてる時はどうかと思ったが…正義感で動いてたんだな」
《だねーまあ話してみたら普通にいい奴らだったし…バカなりに思うところがあったんでしょ》
「バカバカ言ってやるな」
殺された被害者を見たのだ。なかなかショックだったはず。それでも自分たちで考えて行動しようとしたのは素直にすごいなと思った。
《結局店長さんの霧でその辺りもうやむやになってたから…こっちはとりあえず問題ないと思う》
「そうか。なんかあれば言えよ」
《ん!それでライの方は大丈夫?》
「あ?」
《ほら…なんか、悪い夢とか見たかなって思って》
「…」
喉が枯れてて心配してくれたのだろうか。ユウキは変なところで鋭い。誤魔化しても他で追求されそうなのでそれっぽく伝えた。
「大したことじゃない。元恋人の夢見て、ちょっとうなされてただけだ」
《あらら。悲しい感じ?》
「いや…俺を探してただけっつーか、なんかちょっとな」
切ない気持ちになったとは流石に言えず口を閉じる。ユウキの方でうーんと考え込む声が聞こえた。
《夢に出てくる人って自分が会いたいんじゃなくて、実は夢に出てきた人が会いたがってるらしいよ。まあ、迷信だとは思うけど…。うーん、言うの悩むなあ》
「なんだよ。歯切れが悪いな」
《じゃあ言うけど怒らないでよ。俺と初めて会った時のこと、ライ覚えてる?》
「ああ、もちろん」
忘れられるわけがない。真人に化けたユウキを俺が引き止めて出会ったわけだし。
《でさ、不思議に思わなかった?俺がなんで真人って男に変化したのか》
「…!!」
そういえば確かにおかしい。ユウキは変化する対象を観察してから化けるはず。ということは真人とユウキは前に会っていたということか。
(いつ、どこでだ??)
《変化の試験が言い渡されてすぐに駅前で見かけたんだ。なんか必死に誰かを探しててさ。この男に変化すれば知り合いに声かけてもらえそうだなーって思って選んだわけ》
「なるほど…って、もっと先に言えよ!めちゃくちゃ重要じゃねえかその話!!」
真人とまさか遭遇してたなんて。駅前なら真人と遭遇してもあり得なくはないが「誰かを探してる感じ」ってどういうことだ。
《ほら怒った~!!でもそれ以降は見かけてないからさ、今の今まで忘れてた★》
「ったく…」
《また見かけたら連絡するからさ。機嫌直してよ~…え?今電話中なんだけどー仕方ないなあ…ライごめん。山田がゴミ捨て手伝えってうるさいからちょっと行ってくる》
「ああ、わかった。またな」
《またね!勉強会よろしく!!》
最後までそれかと笑いながら通話を切る。途端に部屋が静かになった。
(今ユウキ、山田って言ってたか。あの山田だよな?)
不良学生の一人、唯一のクラスメイトの山田。車の中で打ち解けたのか知らないが仲良くなれたみたいでよかった。色々今回の事件は大変だったがユウキが友人を得られたのは大きな収穫だ。願わくばこのまま俺を忘れるぐらい青春してほしい。
ガチャリ
「ライ、起きたのか」
「!」
フィンが個室の扉を開けて覗き込んでくる。昨日の今日なのでギョっとしたがいつもの紳士的なフィンに戻っていて安心した。
(昨日のフィンって全部幻覚だったり…)
「おはよう。ライ。よかった、薬はほとんどぬけたようだな」
うん。幻覚じゃないな。顔をひきつらせつつ「おかげさまで」と応えた。
「ライ、よければこれを」
ふわっと甘い香りがした。ハチミツだろうか。
「ハチミツレモンというやつだ。グレイに教えてもらってな。作ってみた。飲んでみてほしい」
「え?!フィンが作ったのか…!?」
「うむ。私も“体に優しいもの"を作って看病をしてみたかったのだ」
「そ、か」
焼き芋を除けば、フィンが作った料理を食べるなんて初めての事だった。ドキドキしながら受け取る。熱々に温められたハチミツレモン。色も香りも申し分ない。
「い、いただきます…」
ごくっ
「……」
「ライ…?」
「………」
「ら、ライ?!大丈夫か!!白目になってるぞ!!」
「あっっっっま!!!!」
このハチミツレモン甘すぎる。ぶっちゃけレモンのレの字もない。ハチミツを直接飲んでる感じだ。ASMRで似たようなのが流行ってた気がする。
「ライー!!すまないっ!作り直してくる!!」
「いやっ大丈夫、飲む」
「いや!飲まなくていいっ!」
「ちょっとあとでお湯で薄めるけど…ちゃんと飲むから持ってくな」
俺のだ、とコップを手で守るとフィンが驚いた顔をしていた。それからベッド横で項垂れる。
「うう…私が不慣れなばかりに申し訳ない…」
「何言ってんだよ。作ってくれただけですげー嬉しいから」
料理は味じゃなくて用意してくれた気持ちを味わうものだろう。そこに味が伴ってれば更に良いってだけで。
「ありがとな、フィン」
看病という言葉は昨日教えたばかりだ。龍矢に教わらなかった言葉を、自分なりに噛み砕いて今の俺に効くものを作ってくれたのだ。どんな料理になったとしてもその気持ちが嬉しかった。
「おかげで薬も抜けたし体も楽に…はなってねえな。普通に精液出しすぎてぐったりだわ」
「それに関しても申し訳ない…加減を忘れていた…」
「あのやり方、体力ない奴だったら普通に死ぬからな」
「承知した…」
ぐーー
そこで大きなお腹の音がした。俺からではない。
「フィン…」
「す!すまない!これを作るのに必死で…食べてなくて…!」
「いや…俺も腹減ったし作りに行くか」
「!!」
立ち上がろうとしたところで膝から力が抜ける。危うく転びかけたがフィンの腕に受け止められ事なきを得る。
「ライ…まだフラついてるぞ。今日はまだ寝ていた方がいいのでは…」
そう言われながらフィンと至近距離で見つめあった。お互い一瞬息が止まる。
すっ
それから体を離した。俺の方は昨日の事もあって心臓バクバクである。フィンの方は比較的涼しい顔をしていて感情が読めない。
「俺は十分寝たからいい。でもちょっと歩く時に手かりていいか」
「もちろん構わない」
使ってくれと差し出される。それを取ろうとして
《夢に出てくる人って自分が会いたいんじゃなくて、実は夢に出てきた人が会いたがってるらしいよ》
ユウキの言葉を思い出す。
(真人が俺に会いたがってる?ありえないだろ)
ありえないとわかってるのに脳内でずっとユウキの言葉が反響していた。俺が固まっているのをみてフィンが自ら手を伸ばして掴んでくる。
「さあ、行こう。これ以上待たされるとライの腕を食べてしまいそうだ」
「それは勘弁してくれ」
笑いながら廊下を進んだ。
その後俺たちは起きてきたグレイと共に大量のうどんを食べた。シソやナス、ネギなどを加えて各々の体調と合わせる看病食スタイルにした。体に優しい食材で胃を休ませつつ、他愛のない会話を弾ませる。そのうどんのお供には少し甘めのハチミツレモンが添えられてるのだった。
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