オメガで腐男子の僕がBL展開期待して女装風俗店に勤務したら何故かノンケドライバーに惚れていた件

リナ

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一話

★BL展開ってマジですか

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 大柄の怖い顔をした男の人だった。いや、このタイミングで強面メンズは怖いんですが。僕は扉に背を預け、喉の奥で「ひぇぇ」と怯える声を吐き出した。

「あ?何してんだ?」

 強面男は壁に張り付いて震えてる僕を不審げに見てくる。僕はあまりの恐怖に何も言えず首を振ってとりあえず「No」とだけ応えた。

「そっち系で売りたいのか?」

 (そっち系??)

 強面男の台詞に内心首を傾げていたが、現実ではブンブンと首を振り続けた。僕のなけなしの本能が「Yes」と言ってはいけないと告げていた。

「まあいいけど、立ったまま脱がせるの面倒なんだよな…」

 渋々といった感じで男がテーブルにスマホとバインダー(何か書類がはさまってる)を置いて近寄ってくる。え?え?と慌ててると男に「ジッとしてろ」と低く命じられ、荒れ狂う脳内はそのままに、体だけが停止した。男の手によってTシャツとジーンズを脱がされ…

 (え、なんで僕脱がされてんのおおおお?!!)

 パンツだけになった状態で震えていると…男がつまらなそうな顔で見てくる。

「うーん、細い。だが悪くもねえ…」

 強面男は僕の体を見て考え込むように唸った。僕がパンツだけなのにあっちがキッチリスーツを着こなしてるのがシュールである。

「腕と足は剃ってんのか?」
「(首ブンブン)」
「なるほど、脱毛か。最近の若いのは意識高えな」

 (若いのって言うほど僕と年離れてないと思うけど…30代…後半?いや若く見える40代?)

 よくわからないが、どうやら謎の確認は終わったようなので僕はソファの背にのせられてるジーンズに手を伸ばした。

「おい、待て」

 それを男の手が阻んでくる。

「何着ようとしてる。パンツそれも脱げ」
「ええ?!!」
「お、やっと喋ったか。てか喋れんなら挨拶ぐらいしろよ。声が出ない奴なのかと変に気を遣っちまったじゃねえか」
「す、すみませ…」
「悪いが、時間なくて前もって確認できてないんだが、お前名前は?俺は店長の半田はんだだ」

 (半田さん…)

 半田と名乗った男の胸ポケットに、ふと、ボールペンがささっているのに気付く。持ち手のところにパンダの絵柄がついてて可愛い。

「半田だからパンダ…」
「ああ??」
「ひっスミマセン」
「で、名前は?早く言わないと脱がすぞ」
「前原兎太です!!」

 ほとんど悲鳴のような声で名乗った。パンダ店長…じゃなく半田は「兎太か」と呟き

「本名っぽくねえしそのまんまウタでいいか」
「へ?」
「よし、脱がすぞ」
「え?!!さっきの話は?!」
「言えば脱がさないとは言ってないが」
「!!!!」

 なんだそれ、顔に負けない極悪非道っぷりに絶句する。これじゃまるでBLの無理矢理襲われるシーンじゃないか。いやもちろんBLがそういう展開ばかりじゃないのは百も承知だし、これ程までに強引に男に脱がされる展開って普通はありえないのだけど、僕のBL脳にとってはとても見覚えのある展開でもあって

 スルッ

 大混乱のまま僕はパンツを脱がされ一糸まとわぬ姿になる。

 (ひええっ!見知らぬ事務室で裸に…!)

 羞恥心で顔から火が出そうになってると、半田は至って普通の顔で言った。

「下は剃ってねえのか」
「あ、」

 半田と一緒に自分の足の間を見て、コクリと頷く。

「は、はぃ……、たまに、兄貴と…銭湯行くんで…」

 腕と足はなんとか誤魔化せても下の毛を男の身で脱毛するのはなかなかハードルが高い。BL愛好家なのは兄にバレてるが、女装してBLを買いにいってる事は内緒にしてるので(流石にね)、下手に怪しまれるわけにはいかないのだ。

 (女装するにしてもここの毛は関係ないしね…)

 脱がなければわからない場所の処理は流石にBLのためとはいえやってられない。

 (…まあコースプランの関係で下の毛以外は全て脱毛したけど)

 そっちの方が安かったし、手入れも簡単になるし、清潔だしでやって正解だったけど。あえてそこを半田にアピールする必要はないので、僕は俯いたまま、もじもじと足を擦り合わせるだけに留めた。

「ま、なるほど。全体的にガキくせえが…合格って事にするか」

 半田から謎の合格をもらった。よくわからなすぎて喜びも悲しみもないが、とにかくやっと解放されるのかと安堵していると「胸を張れ」と言われた。

「?」

 言われるまま胸を張ると、

 さわっ

 何を思ったのか、半田が胸に触れてくる。

「ひっ?!!!」
「やけに肌が綺麗だな。女みてえだ…」

 肌の吸いつきを確認するように撫でたと思えば、次の瞬間、中心を親指でむぎゅっと押し潰される。ピリッと痺れる感覚に「うひゃっ」と思わず声が出た。

「感度もよし、と。ウタ、セックスの経験は?」
「な、ないです…っ」
「ふーん、処女か」

 いや男で未経験なら童貞と言ってほしいのですが。まあBL脳の僕には処女でも意味が通じちゃうけどね。ははは。

 (って待て待て!処女発言ってつまりやっぱりかなりヤバイ状況なのでは????!)

 体は半田の指示で固まったまま脳内は大パニックである。

 どうしよう??
 いやどうしようもない!

 この体格差!!密室!!スマホもなし!!

 !!


「じゃあフェラもした事ねえか」


 焦りまくる僕の脳内を置いて、無常にも現実の会話は進んでいく。

「あ、はぃ…した事ないです…恋人もいた事ないんで…」
「はあ?そのなりで?お前どんだけ根暗なんだ。まあいい。試しに俺のでやってみろ」
「へぁ?!」

 (やるって何を?!フェラ??いやフェラーリの聞き間違いだよね?!フェラーリだと余計意味わかんなくなるんだけどお願いだからそうだと言ってーー!!)

「いくら想像ではいけても、実際の男を前にするとダメって奴は結構いるんだよ。男がいけるかわかんねえまま出すわけにいかねえし、ダメだった場合どっちにしても不幸だろ?俺の店でそんな悲しい思いはさせたくねえからな」

 なんか格好いい事を言ってるように聞こえるが性器出しながら言われても説得力はない。というか無理矢理裸にされ尊厳を傷つけられた今の僕は十分悲しい思いをしてるので(現在進行形で)やっぱり格好いいと思ったのは幻覚だと思う。ショックで判断能力が著しく低下しているのだ。落ち着け前原兎太。冷静になれ前原兎太。ちなみに半田はソファの背もたれに軽く腰掛けた状態でスラックスの前だけを開けている。服は一切乱れてない…というか脱いでない。僕はそのあまりにもどしーんと構えて性器を露出する男を、壁に張り付いたまま見つめた。

 (え、え、本当に、フェラやらないといけないの…?)

 こんな初対面の関係で性器に触れ合うなんてありえない。それではまるで風俗店みたいだ…

 (…はっ!そういう事か!この展開、BLで見た事があるぞ!!)

 ピピンと閃いた。僕の脳内にBLのワンシーンが浮かぶ。

 (謎の事務室に呼び出された主人公が脅されたり誘導されたりしながら面接という名のセックスをして、なんだかんだ丸め込まれて風俗店に勤める事になる…みたいな流れだったはず!!)

 エロくて僕は好きだけど実際にそんな面接があるわけがないし完全にファンタジーセックスの一つとして捉えていた。まさかこんな目の前で、面接セックス(BL展開)が現実として起きるなんて。

 (えー??てことはこの後半田さんにレイプされるの?!!いやーー!!むりむりむり!!!!)

「何突っ立ってる。ほら、早く来い」
「いや、あの、ぼ、僕…」
「んなビビらなくても自分に同じモンついてるだろうが」

 不思議そうに言うが、僕と半田のそれじゃ到底“同じ物”とは言えない。一回り、いや倍以上大きいそれにドン引きしつつ、これが大きくなったらどうなるんだろう…という興味も出てきた。僕が魅入られたように性器を見ている事に気付いた半田は小さく笑って

「お前が嫌がったらすぐに止めてやるから、ほら」

 ちょいちょいと手招いてくる。


「…ウタ」


 名前を呼ぶ声が、まるで恋人を呼ぶみたいな甘さを孕んでいて、

 ゾクリ

 僕は一気にドキドキと胸が高鳴るのがわかった。

 (す、少しだけ…、僕が嫌がったら止めてくれる、なら…試してみる価値は…あるのかも……?)

 半田は強面だが清潔感がある。汗臭くもないし、体の魅力は…(性器を確認する)…申し分ない。なら、これを機に僕が本当に男が好きなのか。男じゃないとダメなのか。知りたい。試したい…。

 とん

 僕はその探求心に操られるようにして半田の胸の中に飛び込んだ。

「よし、良い子だ」

 半田は腰掛けたまま容易く僕を受け止め、筋肉に覆われた力強い腕を、肩と腰に回してくる。ぎゅっと体を包み込まれるような感覚に…僕の中の本能的な男性欲が擽られる気がした。いつもBLでしか埋めてくれない、男性欲。

 (すごく…ドキドキする…)

 期待にゾクゾクと体が震え、喉が乾いてくる。半田はそんな僕の反応を確認しつつ、耳元で囁いてきた。

「ウタ、キスはした事あるか?」
「なぃ…です、」
「誰かに捧げようとか思ってるのか?」
「い、いぇ…んむ、ん?!」

 僕の返答を聞いてから半田は唇に噛みついてきた。ちゅ、ちゅ、とリップ音が響いて顔が熱くなる。そんな僕の様子を見て半田は喉で笑っていたが、言葉で責める事はせず、やり方を教えるようなまるでチュートリアルのようなキスをしていく。

「口、開けろ」

 誘導されるまま開けると、舌先がぬるりと入ってくる。
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