オメガで腐男子の僕がBL展開期待して女装風俗店に勤務したら何故かノンケドライバーに惚れていた件

リナ(腐男子くん準備中)

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一話

★店長わりと好きかもしれない

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 初めてのキスがこんなディープなものになるなんて思ってもみなかった。

「ん…っ、うぅ、ん、ふぅ、ンン、ふぁ…っ」

 歯列を舐められ、舌を弄ばれ、吸われ、甘噛みされ、舌の裏まで念入りに舐められて…少し強引な半田の舌が恐ろしいほど気持ちいい。全身から力が抜けて、半田の腕の支えなしでは立っていられない程ふにゃふにゃになる。途中で「鼻で息をしろ」なんて言われたが緊張してうまくできない僕は酸欠も相まってクラクラとへたり込みそうになった。色々限界になった所で半田の顔が離れていく。

「はぁ、はっ、ふぁ、はぁっ」
「ウタ、どうだ。不快感はないか?」

 不快感はおろか、半田に抱いていた警戒心も全て、跡形もなく消えていた。残ったのは「キス、気持ちいい」というアホすぎる感想のみ。たった一回のキスで即落ちとは我ながらチョロいと思う。

 コクリ

 目を蕩かせながらゆっくりと頷くと半田が笑った。

「ま、この反応みりゃわかるけどな」
「う…」
「男相手が問題なさそうでよかったが、ウタ…お前、よくこんなんで処女を守れたな」

 どういう意味だろうとふわふわしながら顔を上げると、半田はニヤリと笑って耳に吸い付いてきた。そのまま鼓膜の近くで低く囁かれた。

「警戒心がなさすぎる。さてはお前、ベタベタに甘やかしてくれる奴が周囲にいるだろう」
「!」

 甘やかしてくれる、という言葉で浮かんだのは兄の顔だった。

「この顔と性格じゃ大層大切にしたくなる気持ちも理解できるが…そいつが今のお前を見たら卒倒するぞ。いいのか、こんな所にいて」 

 確かに兄貴がこんな場面を見たら卒倒する。というか怒り狂うだろう。いくら僕が重度のBL愛好家だと知ってても、実際に男と抱き合いたがってるとは思ってないはずだ。特に半田みたいな大柄の強面男に襲われるなんて言語道断。木刀片手にカチコミにくるブチギレ姿が目に浮かんだ。キレられる対象は、半田と、もちろん…僕自身も含められる。

 (ブチギレ兄貴は…怖い、けど…)

 でも不思議と僕は、兄に怒られる恐怖より“半田がこの後何をしてくれるか"の方が気になっていた。

 (キスがこんなに気持ちいいんだから、他もきっと…、)

 身も心も溶かすようなファーストキスをされてからは半田に触られても嫌じゃなかった。むしろもっと触って欲しくて、蕩けながらその胸に寄りかかる。

「ウタ、そんな可愛がってくれる奴がいるのにどうしてうちを受けようと思ったん、ン?」

 期待に胸を高鳴らせている僕に気付かず、まだ喋り続けようとする半田の口を、ちゅっと自分の唇で覆った。

 ちゅ、ちゅく

 半田にやってもらったように舌を入れてみたら、半田は瞬きを一つしてからすぐに絡ませてくる。ぬるりと舌を絡み合わせた瞬間、ぞわわっと体の奥から快感が駆け上がってきた。熱い吐息が漏れ、再び体が溶け始める。

「ンん、んぅ、ん~…ふぁ、んう、…う、んぅ…っ」

 こうやるんだとリードしてくれる舌がとにかく気持ちよくて、もっと欲しくて、追いかけて舌先に吸いつけば…半田はぎゅっと僕を抱く腕の力を強めてきた。

「勃ってんぞ」

 半田が苦笑するように笑ってツンツンと指先で弾いてきた。

「んん…っ」

 そんな刺激にすら感じてしまい、ゾクリと背筋を震わせながら…恐る恐る自分の下半身を確認する。

 (ほんとだ、勃ってる…)

 半田の愛撫が上手すぎるのか、僕が男好きなのか、はたまたとびきりの淫乱なのか(あまり深く考えたくない)、僕の性器は今にも出してしまいそうな程しっかりガッチリ勃起していた。

 (うう、イきたい…)

 一度認識したら我慢できなくて、自分で慰めようと半田の首から手を下ろしたら、


「待て」


 半田の手に止められる。

「な、なんで、…はんだ、さ…」

 イきたいのにとうるうると見つめれば「ばか」と甘く笑いかけられた。

「違えよ。特別サービスで俺がやってやるって意味だ」
「ふぇ…?わ!」

 何を、と聞く前に体を持ち上げられ、ソファに座らされる。そのソファにはすでにバスタオルが敷いてあって裸の僕が座っても問題なさそうだった。先走りを垂らした程度では貫通しなさそうな高級そうな分厚いふわふわのタオル。やけに準備が良いし、やっぱり面接セックス(BL展開)予想は当たっていたらしい。蕩けた頭でそれらの情報をまとめてると、ソファの前に回り込んできた半田が「浅く座れ」と指示してきた。

「俺がやってやったなんて他の奴には内緒にしとけよ。嫉妬されまくって…下手したらイジめられるからな」
「え、あの、…はんださぁ、んん?!」

 言葉の最後は、膝をついた半田に性器を咥えられ中断された。あまりの驚きに声が裏返ってしまう。

「ひゃ!?えっ、あっ、まっ、ふぁっ、ああっ…!」

 半田の口の中は温かくて濡れていて、キスの時に確かめ合った太くて長い舌が絡みついてきて…震えるほど気持ちよかった。

 (やばい…フェラって、こんなに気持ち良いんだ…)

 BLで想像していたよりずっと気持ちいいし生々しい。ちゅぷ、じゅぷと鳴る音が更に興奮を掻き立ててくる。キスの時も思ったが“BLを読む”のと“実際に触れ合う”では全然違った。

 (どっちもエロいけど…)

 熱を伴う刺激はドキドキするし、普段は眠っているオメガの欲求が呼び覚まされる気がした。この男が欲しい。繋がり、子を作りたいという原始的な欲求。現代社会では表立って抱けない本能が、半田の愛撫によって暴かれ「僕はオメガなのだ」とありありと自覚させられた。

 (ゾクゾクする…)

 その自覚に、僕は不快感を抱かなかった。むしろ待ち望んでいたとすら思えて…体もそれにつられてあっという間に高められていく。

「あぅ、はぁ…、はっ、んんぁ…、はんだ、さ、んっ」
「んー?」
「も、もう、んんっ、い、いきそ、です…っ」
「くっくっ」

 しゃぶりながら笑われる。喉が震えるとそれがまた絶妙に気持ち良くて、更に追い込まれた。本当にダメ。いっちゃう。でちゃいます、半田さん!!と太ももで頭を挟み必死に訴える。すると半田は

 ぐぐっ

 両手で太ももを押し開き、あろうことか、喉の奥まで飲み込んできた。

「ひゃぁッ?!アアッ、ま、まって、それだめっ、」

 舌で裏筋を刺激され、じゅるるっと思いっきり吸われる。そして最後の止めに、ごくりと喉で絞られた。

「うああぁ…ッ!!」

 ぴゅくり

 腰が跳ねて、先端から熱いものが溢れ出してくる。

「んはぁ…っ…、ゃ…、うぁ…っ」

 昨日抜いたはずなのにどくどくと全然終わる気配がなくて、僕は自分の顔を覆って「ひええ…」と襲い来る羞恥心に悶えた。半田はその間も咥え続け、やっと出なくなった所でまとめてごくりと嚥下された。部屋が静かな分やけに音が響いてカアアッと顔が真っ赤になる。

「は、はんだしゃ…ッ」
「結構出したな」

 半田は荒々しく口元を拭いながら笑った。その野性的な笑みにキュンとしてしまう。

「出したばっかなのに期待してんのか?処女の癖にエロい奴だな」

 そういって半田は半勃ちの性器をピンッと弾いてきた。

「んあううっ…!」

 イったばかりで敏感になった性器をさっきよりも強く弾かれて、痛みと快感が痺れるように広がる。半田も、茶化す言葉とは裏腹に、しっかりとその瞳に熱を灯らせていて(入室した時はあんなにつまらなそうな顔をしてたのに)、雄の顔をしながら迫ってくる。それにつられ、僕も迎えるように手を伸ばす。早く欲しい、とシャツを手繰り寄せると


 ピピピ!…ピピピ!


 テーブルに置かれた半田のスマホが鳴った。

「…と、時間切れか」

 半田は立ち上がり、スマホのアラームを止めつつささっと身なりを整えていく。あんなに色気に満ちた顔をしていたのに次にこちらを向いた半田の顔は元の強面に戻っていた。しゅん、と僕の中の何かが落ち込む。ナニも、落ち込む。

「面接終了。ウタ、お前は合格だ。せっかくだし今日から体験してみろ」
「へ…?え?合格?体験?」
「ほら行け。シャワーはそこを出て左だ」

 半田が入ってきた扉(僕はまだ使ってない)を指して、僕はよく分からないまま、やっとこの謎の事務室から脱出したのだった。


 ***


 シャワー室から出るとバスタオルと着替えが置いてあった。僕が着ていたTシャツとジーンズじゃない。薄くてスケスケ生地のワンピースだった。

「え??」

 今日何度目かのパニック。一応言っておくが、僕はマニメイトに行く為に仕方なく女装しているだけで、女装が好きな訳ではない。ワンピースという機能性皆無の服もあまり好きじゃないし、特にこういう薄い生地はポケットが装備されてないので最悪だ。

「これじゃほとんど裸じゃん…」

 こんなスケスケワンピを着るぐらいなら裸の方がましだ。僕はバスタオルを腰に巻いて廊下に出た。

「僕の服は…あの事務室にまだあるのかな…?」

 ふにゃふにゃになってたから記憶がおぼろげだが、確かソファの背に全て並べられていたはず。

「う~ん……」

 来た道を見つめ考え込む。シャワーに入ってから三十分ぐらい経過してるがまだ半田が残っていたらと思うと戻りにくかった。さっきは欲望のまま半田を求めてしまったが、理性が戻った状態で考えると「とんでもない事をしてしまった」と今更罪悪感に襲われた。

 (どうしよう、僕、会ったばかりの人と、あんな事を…)

 もっとヤバいのは、また半田に会った時ちゃんと抵抗できるか自信がない事だ。普通に自分から求めてしまう気すらして

 ブンブン!!

 必死に首を振って、脳内に浮かんだ自分の姿を否定した。

 (もう服は諦めて…ボンキ購入品(BL)だけ、回収しよう…!!)

 君子危うきに近寄らず。事務室も、半田も、近付かないでおこう。僕には安心安全のBL世界があるのだからそれでいいじゃないか。下半身が未だムズムズしてようが…気にしない気にしない。


「ちょっと、君、何してんの?」


 背後から声をかけられ、僕はビクリと飛び上がる。

 (え???この声…!)

 聞き覚えのある声に慌てて振り向くと、廊下の奥から、シンジが歩いてくるのが見えた。
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