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一話
★発情期不順でごめんなさい
しおりを挟む「もーいいだろ!ノンちゃん!!我慢できねえよ!」
ふと、横から別の手が伸びてきて、あっという間に僕の体は二人の男の間に戻された。片方に唇を奪われ、もう片方には下着の中に手を突っ込まれ…
「んくぅっ…!?ふっ!んうぅ…!」
望との行為で反応していた性器をぐちゅぐちゅと擦られて…僕は思いっきり背中を仰け反らせた。一度火のついた体は、直接的な刺激に引っ張られる形でどんどん盛り上がっていく。アルコールで理性を解かされているからさっきほどの拒絶感は男達に抱かなかった。
「んう~っ、ふは、あっ、んぁ、うあ…っ」
カリッ
「んんぅ?!」
ふと、背中側の男が僕のうなじに歯を当ててくる。
(え、え…、噛まれない…よね…?)
オメガに寛容になった現代社会では、ネックガードの着用義務はなくなった。したい人はすればいいけどわざわざオメガだと晒すのも権利の侵害という事で…今はやる人の方が少ない。オメガに自衛させるのではなく「みんなで気を付けましょう」と社会全体で自制する形になったのだ。だから僕もネックガードはつけてないし、あえてオメガとわかるような行動もしてない。
「はぁー、はぁーっ」
うなじに荒い鼻息があたる。
(万が一…ここで発情期が来たら…)
この興奮しきった男だと噛まれてしまうかもしれない。発情期不順で周期が読めない僕は、半年ぐらい発情期が来てないし、抑制剤の入ったポーチも荷物と一緒に取り上げられた。
(やば…い…)
ふにゃふにゃの頭なりに危機感を覚えた僕は唯一話が通じそうな望に手を伸ばした。
「の、ぞむ、さぁ…っ」
「…悪いが、始まったら生挿入しない限りは止めねえって約束してんだ」
だけど、望は酒を煽るだけでこちらを見てはくれなかった。いや、見ないのではなく見ないようにしてるのかもしれないが。グラスを置く音がガタンとやけに響いた。
「のぞむさ、んむ、ふ、んんう…っ」
言葉の途中で唇を塞がれ、それ以上は言えなくなる。やばいやばいどうしよう。焦る心とは裏腹に体は与えられる刺激によって火照っていく。どちらかの手が僕の性器の先端を包み込み、思いっきり擦った。
「ひゃぁ、ああっ」
甘く跳ねた声につられて望がこちらを盗み見る。その怒ったような視線とぶつかった瞬間、
ゾクリ
背筋が震えて、性器からぴゅくりと熱いものが溢れた。
「ンアあぁッ…!はう、あぁ…ッ」
とぷとぷと溢れる液体は捲れたスカートで先端を包まれ飛び散る事はなかった。黒くしっとりとした染みを作っていくのをぼんやりと見つめ、はあはあと息を乱しながらくたりとソファの上で脱力する。
「はーやば!ちょっと足借りるよ!」
足側にいた男が仰向けの僕の太ももを掴み、自分の性器を挟むようにして押し付けてくる。
(あ、これ素股…?)
BLのシーンをいくつか思い出しつつ、僕の足って全然肉がないからやりにくそう…なんて思ったりした。膝を交差するようにして挟みやっと満足のいく締め付けになったのか男が腰を振り出した。
「うわっズル…、じゃあウタ君、こっちは口でお願いね。歯あてちゃダメだぞー」
「へぁ、んむ、むっ、ンンっ、んぐ…むぅっ」
「うん上手上手」
揺すられながら唇に性器を押し付けられ、半田店長にやられたように吸いつけば上から褒める言葉が降ってくる。
(ほ…ほめられたぁ…)
どん臭くて特技もない僕は滅多に褒められない。常にやらかすポジだから、色んな人に助けてもらいながらなんとかここまで生きてこれたのだが、まさか久しぶりに褒められたのがフェラになるなんて。ちょっと複雑だった。複雑だけどやっぱり嬉しかった。
「んく、ちゅ、んむぅ、ちゅぷ、んむっ」
「はは、ウタ君必死に舐めてくれて可愛い~」
良い子だね、可愛いね、そんな言葉が嬉しくてますます舌を動かした。男は興奮して喉を突いてきた。
「ううっ、ンッ、んく、んうぅ~っ」
気持ち悪かったが、ここでは吐きたくないから頑張って我慢した。吐き気を堪え、男臭いそれに舌を這わせ、ゴクリと喉の奥におさめて嚥下すれば、口の中の性器が大きく脈打った。
(あ、出される…)
僕がさっき半田店長にしたように口の中に出されるのだと体が強張る。だが、あの時半田店長にしてもらったのがあまりにも気持ちよかったからそこまで不快感はなくて、脈打つのも構わず舌や喉、口全体で刺激し続けた。
「はっ、はあ、やばっ、ウタ君、口に出していい?」
汗を垂らして求められるのがゾクリと震えるほど興奮して、うん、と小さく頷いて見せた。男は「ほんとかわいっ」と興奮した顔で腰を振ってくる。勢い余ってイラマになってたけどうでもよかった。足側にいる人が僕のも擦ってくれて更に思考が快楽に解けていく。
(気持ちいい…っ)
「んう、んく、んんんっ、んぅーっ」
「は、出すよ、口の中…ちゃんと飲むんだよ…くっ」
「俺もっ腹にかけてやるっ」
喉の奥で性器が脈打ち、ぴゅるっと吐き出される。ほぼ同時でお腹に熱い液体がぱたたっと降りかかってきた。少し遅れて僕のからもぴゅるりと薄くなったものが出てきて、一気に僕の学生服がイヤらしい衣装に変わった。赤く染まった肌を晒すセーラー服。白濁の染みたスカート。体の方は更に酷くて、太ももは先走りとかローションでべとべとだし(いつの間にローション使ったんだろ)、胸にまで届いた精液の白い道は薄い腹筋や自分の性器にまで繋がっていて、はあ、はあと息を整える合間も脇からたらりとソファに溢れ落ちていた。
「やばい、全然収まんねー」
「なんかウタ君良い匂いしない?」
「あーわかる…そのせいかなぁめちゃくちゃ興奮する」
「ゴムってどこいれたっけな…」
上で二人が何か話していたが僕はぽけぇとしていて頭に入ってなかった。
(はぁ……なんか…体がすごく熱い…)
熱が出てるのかと思うぐらい体が熱くて、服を脱ごうとすれば、頭側の男に止められた。「せっかく可愛いんだから」とかなんとか言われたが僕はそれどころじゃなかった。
(熱い…)
とにかく熱くて、早く体の熱を放ちたかった。
(あれ…、…)
自分の体を抱きながら違和感を覚える。この感覚おかしい。ただの風邪じゃない。でも初めての感じもしなくて、必死に記憶を遡った。
(確か、前にも…同じ状態になったような…)
そう、半年前の、自宅で
ザワリ
鳥肌が立つ。
あ、やばい。これ…発情期だ。そう気付くのと同時に望から鋭い視線を感じた。まるで獣みたいな理性を失った目。僕を挟んでいた男達も目の色を変えて見てくる。
「え、この匂い、ウタ君…まさか、オメガ……?」
「マジかよ…すげえ…」
今時オメガが風俗店にいるなんて、という驚きで二人は目を見開いていた。発情期の強いフェロモンに煽られ、二人の指がぎりっと肌に食い込んでくる。
「どけ」
その時、望が仲間を押し退けながら乗り上げてきた。文句を言おうとした仲間を一睨みして封じ、僕に覆い被さってくる。ギラつく目に見下ろされ、本能的な震えと悦びが込み上げた。
(ああ、望さんって、アルファなんだ…)
早く、早く欲しい。本能のまま自分から腕を伸ばせば、望も体を倒してきた。
「こんな所でオメガが発情期起こして…自業自得だぜ」
望が唸るように言って喉元をガリッと噛みついてくる。うなじじゃなくても、そのすぐ近くを噛まれたのだとわかるとゾクゾクした。
(ああ、止めないと…いけないのに)
体が内側から焼かれそうなほど熱い。アルファの体が欲しくて欲しくてたまらない。
(はやく、たすけて、楽に…して)
望の体に腕を回す。
(…あれ、そういえば…僕、何のために、ブルームに来たんだっけ…)
ぐちゅりと濡れた音が足の間からした。
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