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二話
甘口さんは左固定でお願いします(完)
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チュンチュン
「はっ!!」
気付くと僕は自室の布団にいた。
「…え、ぇ?! まさか、また夢オチ?!!」
焦って布団を取り払うと…僕の体にはユニ●ロの服が着せられたままで、
「ゆ、夢じゃない……!!!」
信じられない気持ちで服を引っ張った。昨日は久しぶりに女装した所から始まって、甘口と再会して、ブルームに寄る事になって、最後はあーんまでしてもらって…夢でもありえないぐらいの出来事が続いた。
「えええええ夢じゃないのあれええええ」
むしろ夢オチでない事に動揺する。
(だって、だって、あれが現実って事は…、ぼ、僕、あああ甘口さんと間接キスしちゃった…ってコトでしょ??!)
「うわああああ!!」
布団の中で悶絶する。一晩寝ると昨日の僕がいかにおかしくなっていたのかがわかった。
“僕…、甘口さんと、みかんの…、ふ、フルーツサンドを食べたい…です…!"
“はい!甘口さんも…どうぞ!"
(…僕はなんてことをしてしまったんだ)
甘えたい❤なんて言葉じゃ片付けられないやらかしの数々に目眩すらした。嫌な顔せず付き合ってくれた甘口には頭が上がらないし、きっと酔っ払い(※僕)にウザ絡みされてドン引きしていたはず。また謝らなくてはいけないことができてしまいガクリと肩を落とした。振り出しに戻るとはこのこと。
(ううう、しばらく禁酒しよう……あと、セックスも、禁止…)
昨日の僕を振り返ると、望とのイチャイチャが始まってから一気に理性を失っていったように思う。どうやら僕はそういう事になると一気にタガが外れてしまうみたいだ。自分で衝動?欲望?をコントロールできない以上、軽はずみな行動は避けた方がいいだろう。
「まあ…恋人もいないしセックスしようがないんだけどね…はは…」
はあ、と布団の上で正座しながらため息を吐いていると、あれ、と胸に残るもやもやに気付く。
「…まだなんか、大事なことを忘れてるような…」
ガチャリ
「ただいまー…」
「!!」
玄関から兄貴の声がして、びくり!と冗談抜きで十センチぐらい飛び上がった。
(ああ、そうだった!兄フラだ!!)
恐る恐る廊下から顔を出すと、スーツ姿の兄が靴を脱いでいるのが見えた。
(兄貴が珍しく朝帰りだ!!)
潰れてたし当然なのだが、一体朝までどこにいたのだろう。まさかブルームで介抱(※という名の営業)されてないよね…と怖くなりつつ、無視するのもあれで「おかえり」と声をかけると、少し顔色の悪い兄が振り向いてくる。
「ウタ…起きてたのか」
「う、うん…(寝たふりしとけばよかったかな…)」
普段通りの感じではあったが、兄と目が合うと、背中にたらりと冷や汗が伝っていくのがわかった。
(お、おお、落ち着け、昨日は確かにヤバすぎる兄フラをかましたけど…、僕だってわかるような直接的なドジは踏んでないはず…っ)
その辺は望の協力もあって死守できたはず。だから、ここでボロを出さなければ大丈夫だ。…多分、きっと。
「なあ、ウタ。昨日…お前、どこかに出掛けてたか?」
(ひいっ!!早速核心突いてきたぁ!!!!)
僕は目を泳がせながら「う、うん」と頷いた。下手に嘘をつくと僕はすぐボロを出してしまうので大まかな流れは変えずにそれっぽく誤魔化す。
「で、出掛けたよぉ…いつものオタクのお店と…ユニ●ロ…」
「ふーん」
「あ、で、でもちゃんと二十時には帰ってたよ!」
「そうか…」
怪しむようにじーっと見つめられ
(ううう、寿命が縮むううう…)
あははと乾いた笑いを漏らす僕の背中は冷や汗でびっしょりだった。兄はしばらく僕を見つめた後、何か言おうとして「あいてて…」と額をおさえる。
「あークソ、久々に二日酔いした…頭いてぇ…」
「!! 亮兄大丈夫?? はい、お水!!」
これはチャンスだと急いでコップに水を入れてとてとてと両手で渡しにいく。“亮兄"と呼んだこともあって兄は少し機嫌を良くしていた。
「お、ありがとな、兎太」
「ううん。飲み会って言ってたもんね。誰と飲みに行ってたの?彼女?(このまま話をそらせええぇ)」
「彼女に潰されて朝帰りとかダサすぎだろ…、会社の同期だよ。勉強会って言われてついていったら散々な目にあってさ…」
「あはは、まさか野宿してないよね?」
「いや、望の家で介抱してもらった。あ、望って同期の名前なんだけど、案外面倒見がいいタイプだって昨日知ってビックリしたわ」
「!!(まさかの望さんルート!)」
「明日礼言わねえと。…とにかくシャワー浴びてくるわ。これかけといてくれ」
「うん、任せて」
スーツを受け取ってハンガーにかけにいく。兄はそのままシャワーへと消えた。僕は数秒様子を窺っていたが、どれだけ待っても「やっぱり昨日の事なんだが」と兄が顔を出してくることはなく
(やったー!誤魔化せたぞー!!)
ルンルンで自室に戻った。昨日兄に出くわした時はどうなるかと思ったけど、無事に兄も誤魔化せたし、甘口とも和解できたし(新たなやらかしは一旦置いといて)…もう僕としては何の文句も悔いもない土曜日として終われ…
「って、まてええええい!!! 色紙ッ!!!」
そうだ。そうだった。一番大事な、というと甘口や他の人に失礼になるが、僕にとってかなり大事なことを忘れていた。
ブルームに行ったのも「色紙を探すため」なのに。
ガサガサ!!
ユニ●ロの紙袋を漁る。
(確かこの中には…!)
「あった!封筒!!」
助手席の下、僕の足元に落ちていた小さめの封筒。昨日これを見つけた時、実は一瞬拾い上げて中身を確認していたのだ。そして、
カサ…
封筒を開くと、あられもない姿をしたイケメン。ぐっちゃぐちゃになったBLイラストが目に飛び込んでくる。
「やっぱこれ僕の色紙だあああ!!!!」
ずっと探していたBLミニ色紙がまさかあんな所に落ちているなんて…。しかもビニールで二重に包装され板紙も挟まれていた状態だったので状態もすごくいい。折れや汚れもなく、包装に守られたピカピカに輝く肌色が無駄に眩しかった。
「ウゥッ…よがっだぁ…諦めなぐて、よがっだよぉ…」
べしょべしょに泣きながらミニ色紙を抱きしめる。もう離さないぞ、とひしと抱いていると
ひらり
「?」
視界の端で、青色の付箋が落ちていくのが見えた。どうやら色紙の裏に張られていたらしい。僕はよくわからないままそれを拾い、裏返す。走り書きでメッセージが書かれていた。
メッセージは四行あった。
“ちいきゃわへ
これ、ロッカーで拾ったやつなんだけど
お前のっぽいから返しとくわ"
三行目まで読んで、クロが色紙を保管してくれていた本人だとわかり感動した。なるほど、色紙を持ち出す時間稼ぎの為に僕をブルームに呼びつけたんだ。渡し方も含めてクロらしい。
(BL愛好家でもない人がみたら「うわ!何これ!」って投げ捨ててもおかしくないイラストなのに…こんなに綺麗に保管してくれて…やっぱりクロさんは優しいなぁ)
ニコニコとクロの優しさに笑みを浮かべながら最後の四行目に目を通した。
“あ、ちなみに甘口さんのケツは俺が奪うんでヨロシク🖕”
「ふぁ…???」
ものの見事に三行分の感動を吹き飛ばされる。
(えッッ??甘口さんのケツ???!!!)
何言ってんの???と激しく動揺する。だって、だってクロは澄ましイケメンだけど女王様で、僕と一緒で甘口が大好きで…だからてっきりそっちとして狙っているのかと思ったが
(そういえば…クロさん…一度も“受け”がいいって、言ってない……)
「うわああああああ!甘×黒でなく、まさかの黒×甘??!嘘でしょ!!ダメダメ!!甘口さんは左固定なんだかっ…、……いや、甘口さんなら存在しているだけで格好いいし…受けでもいい気が……いや、やっぱりいやだああああ!!」
何より「クロが甘口を抱く」と考えると…もやつくなんてレベルじゃなく胸騒ぎがした。
(“奪うんで"ってすでに決定してるみたいじゃん、女王様め…!!)
クロなら毎日甘口に送り迎えしてもらえるし、距離を縮ませるタイミングはいくらでもある。しかもあの顔面に、押せ押せな強気姿勢、時々見せる優しさ(ギャップ)。…落ちないわけがない。
「あああ甘口さん逃げてええええっ」
ゴロゴロと布団の上を転げまわり悶絶する僕。しばらくそうして発狂した後、スン…と妙な悟り顔になって呟く。
「でも…まぁ、甘口さんノンケだし…、…大丈夫か」
そう、甘口はノンケなのでそもそも僕もクロも論外。意味のない牽制なのだ。
「ああ、僕もまた…甘口さんの車に乗せてもらいたいな…」
車に乗って、もっと甘口と話したい。甘口の好きな物とか嫌いな物を教えて欲しい。人伝じゃなく、直接甘口の口から知りたい。
(車でなら…また…甘えれる…かもだし…)
拭いてもらえたほっぺを撫でながらエヘヘと思い出し笑いをした後、僕は「そうだ!」と一人閃いた。
「僕もキャストになれば…合法的に…甘口さんの車、乗せてもらえるんじゃ…!?!」
…全く懲りていない前原兎太なのであった。
二話…完
「はっ!!」
気付くと僕は自室の布団にいた。
「…え、ぇ?! まさか、また夢オチ?!!」
焦って布団を取り払うと…僕の体にはユニ●ロの服が着せられたままで、
「ゆ、夢じゃない……!!!」
信じられない気持ちで服を引っ張った。昨日は久しぶりに女装した所から始まって、甘口と再会して、ブルームに寄る事になって、最後はあーんまでしてもらって…夢でもありえないぐらいの出来事が続いた。
「えええええ夢じゃないのあれええええ」
むしろ夢オチでない事に動揺する。
(だって、だって、あれが現実って事は…、ぼ、僕、あああ甘口さんと間接キスしちゃった…ってコトでしょ??!)
「うわああああ!!」
布団の中で悶絶する。一晩寝ると昨日の僕がいかにおかしくなっていたのかがわかった。
“僕…、甘口さんと、みかんの…、ふ、フルーツサンドを食べたい…です…!"
“はい!甘口さんも…どうぞ!"
(…僕はなんてことをしてしまったんだ)
甘えたい❤なんて言葉じゃ片付けられないやらかしの数々に目眩すらした。嫌な顔せず付き合ってくれた甘口には頭が上がらないし、きっと酔っ払い(※僕)にウザ絡みされてドン引きしていたはず。また謝らなくてはいけないことができてしまいガクリと肩を落とした。振り出しに戻るとはこのこと。
(ううう、しばらく禁酒しよう……あと、セックスも、禁止…)
昨日の僕を振り返ると、望とのイチャイチャが始まってから一気に理性を失っていったように思う。どうやら僕はそういう事になると一気にタガが外れてしまうみたいだ。自分で衝動?欲望?をコントロールできない以上、軽はずみな行動は避けた方がいいだろう。
「まあ…恋人もいないしセックスしようがないんだけどね…はは…」
はあ、と布団の上で正座しながらため息を吐いていると、あれ、と胸に残るもやもやに気付く。
「…まだなんか、大事なことを忘れてるような…」
ガチャリ
「ただいまー…」
「!!」
玄関から兄貴の声がして、びくり!と冗談抜きで十センチぐらい飛び上がった。
(ああ、そうだった!兄フラだ!!)
恐る恐る廊下から顔を出すと、スーツ姿の兄が靴を脱いでいるのが見えた。
(兄貴が珍しく朝帰りだ!!)
潰れてたし当然なのだが、一体朝までどこにいたのだろう。まさかブルームで介抱(※という名の営業)されてないよね…と怖くなりつつ、無視するのもあれで「おかえり」と声をかけると、少し顔色の悪い兄が振り向いてくる。
「ウタ…起きてたのか」
「う、うん…(寝たふりしとけばよかったかな…)」
普段通りの感じではあったが、兄と目が合うと、背中にたらりと冷や汗が伝っていくのがわかった。
(お、おお、落ち着け、昨日は確かにヤバすぎる兄フラをかましたけど…、僕だってわかるような直接的なドジは踏んでないはず…っ)
その辺は望の協力もあって死守できたはず。だから、ここでボロを出さなければ大丈夫だ。…多分、きっと。
「なあ、ウタ。昨日…お前、どこかに出掛けてたか?」
(ひいっ!!早速核心突いてきたぁ!!!!)
僕は目を泳がせながら「う、うん」と頷いた。下手に嘘をつくと僕はすぐボロを出してしまうので大まかな流れは変えずにそれっぽく誤魔化す。
「で、出掛けたよぉ…いつものオタクのお店と…ユニ●ロ…」
「ふーん」
「あ、で、でもちゃんと二十時には帰ってたよ!」
「そうか…」
怪しむようにじーっと見つめられ
(ううう、寿命が縮むううう…)
あははと乾いた笑いを漏らす僕の背中は冷や汗でびっしょりだった。兄はしばらく僕を見つめた後、何か言おうとして「あいてて…」と額をおさえる。
「あークソ、久々に二日酔いした…頭いてぇ…」
「!! 亮兄大丈夫?? はい、お水!!」
これはチャンスだと急いでコップに水を入れてとてとてと両手で渡しにいく。“亮兄"と呼んだこともあって兄は少し機嫌を良くしていた。
「お、ありがとな、兎太」
「ううん。飲み会って言ってたもんね。誰と飲みに行ってたの?彼女?(このまま話をそらせええぇ)」
「彼女に潰されて朝帰りとかダサすぎだろ…、会社の同期だよ。勉強会って言われてついていったら散々な目にあってさ…」
「あはは、まさか野宿してないよね?」
「いや、望の家で介抱してもらった。あ、望って同期の名前なんだけど、案外面倒見がいいタイプだって昨日知ってビックリしたわ」
「!!(まさかの望さんルート!)」
「明日礼言わねえと。…とにかくシャワー浴びてくるわ。これかけといてくれ」
「うん、任せて」
スーツを受け取ってハンガーにかけにいく。兄はそのままシャワーへと消えた。僕は数秒様子を窺っていたが、どれだけ待っても「やっぱり昨日の事なんだが」と兄が顔を出してくることはなく
(やったー!誤魔化せたぞー!!)
ルンルンで自室に戻った。昨日兄に出くわした時はどうなるかと思ったけど、無事に兄も誤魔化せたし、甘口とも和解できたし(新たなやらかしは一旦置いといて)…もう僕としては何の文句も悔いもない土曜日として終われ…
「って、まてええええい!!! 色紙ッ!!!」
そうだ。そうだった。一番大事な、というと甘口や他の人に失礼になるが、僕にとってかなり大事なことを忘れていた。
ブルームに行ったのも「色紙を探すため」なのに。
ガサガサ!!
ユニ●ロの紙袋を漁る。
(確かこの中には…!)
「あった!封筒!!」
助手席の下、僕の足元に落ちていた小さめの封筒。昨日これを見つけた時、実は一瞬拾い上げて中身を確認していたのだ。そして、
カサ…
封筒を開くと、あられもない姿をしたイケメン。ぐっちゃぐちゃになったBLイラストが目に飛び込んでくる。
「やっぱこれ僕の色紙だあああ!!!!」
ずっと探していたBLミニ色紙がまさかあんな所に落ちているなんて…。しかもビニールで二重に包装され板紙も挟まれていた状態だったので状態もすごくいい。折れや汚れもなく、包装に守られたピカピカに輝く肌色が無駄に眩しかった。
「ウゥッ…よがっだぁ…諦めなぐて、よがっだよぉ…」
べしょべしょに泣きながらミニ色紙を抱きしめる。もう離さないぞ、とひしと抱いていると
ひらり
「?」
視界の端で、青色の付箋が落ちていくのが見えた。どうやら色紙の裏に張られていたらしい。僕はよくわからないままそれを拾い、裏返す。走り書きでメッセージが書かれていた。
メッセージは四行あった。
“ちいきゃわへ
これ、ロッカーで拾ったやつなんだけど
お前のっぽいから返しとくわ"
三行目まで読んで、クロが色紙を保管してくれていた本人だとわかり感動した。なるほど、色紙を持ち出す時間稼ぎの為に僕をブルームに呼びつけたんだ。渡し方も含めてクロらしい。
(BL愛好家でもない人がみたら「うわ!何これ!」って投げ捨ててもおかしくないイラストなのに…こんなに綺麗に保管してくれて…やっぱりクロさんは優しいなぁ)
ニコニコとクロの優しさに笑みを浮かべながら最後の四行目に目を通した。
“あ、ちなみに甘口さんのケツは俺が奪うんでヨロシク🖕”
「ふぁ…???」
ものの見事に三行分の感動を吹き飛ばされる。
(えッッ??甘口さんのケツ???!!!)
何言ってんの???と激しく動揺する。だって、だってクロは澄ましイケメンだけど女王様で、僕と一緒で甘口が大好きで…だからてっきりそっちとして狙っているのかと思ったが
(そういえば…クロさん…一度も“受け”がいいって、言ってない……)
「うわああああああ!甘×黒でなく、まさかの黒×甘??!嘘でしょ!!ダメダメ!!甘口さんは左固定なんだかっ…、……いや、甘口さんなら存在しているだけで格好いいし…受けでもいい気が……いや、やっぱりいやだああああ!!」
何より「クロが甘口を抱く」と考えると…もやつくなんてレベルじゃなく胸騒ぎがした。
(“奪うんで"ってすでに決定してるみたいじゃん、女王様め…!!)
クロなら毎日甘口に送り迎えしてもらえるし、距離を縮ませるタイミングはいくらでもある。しかもあの顔面に、押せ押せな強気姿勢、時々見せる優しさ(ギャップ)。…落ちないわけがない。
「あああ甘口さん逃げてええええっ」
ゴロゴロと布団の上を転げまわり悶絶する僕。しばらくそうして発狂した後、スン…と妙な悟り顔になって呟く。
「でも…まぁ、甘口さんノンケだし…、…大丈夫か」
そう、甘口はノンケなのでそもそも僕もクロも論外。意味のない牽制なのだ。
「ああ、僕もまた…甘口さんの車に乗せてもらいたいな…」
車に乗って、もっと甘口と話したい。甘口の好きな物とか嫌いな物を教えて欲しい。人伝じゃなく、直接甘口の口から知りたい。
(車でなら…また…甘えれる…かもだし…)
拭いてもらえたほっぺを撫でながらエヘヘと思い出し笑いをした後、僕は「そうだ!」と一人閃いた。
「僕もキャストになれば…合法的に…甘口さんの車、乗せてもらえるんじゃ…!?!」
…全く懲りていない前原兎太なのであった。
二話…完
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