その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第三章 第一異世界人発見

五話 ご挨拶とこれからの事

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「「「いただきまーす」」」


口々の宣言が、きっかけとなり、一斉に食事が始まった。


「うわ、美味い!!」


それは空腹のなさせたせいなのか?
その一口、口に運ばれたシチューの味は、過去にそれなりの美食を誇ったおっさんの舌をうならせた。





「さて、それじゃあ、先ずは私たちの方から紹介しましょうか」


少し堅めのパンとシチューを食べ終わったあと、手元にある木製カップに濃いめのコーヒーらしきものを注がれるのを待って、四人にの中でも最も体格の良い女性が言葉を発した。


『たぶん、あの人がリーダーなんだろうな…』


四人それぞれの個性的な美女を一通り眺めた義弘は、力強いその言葉のはしからもそう感じとっていた。


「先ずは、私。このパーティー、山茶花のリーダーで、アトリ・パールーディ。アトリと呼んで‥」


義弘がリーダーと感じた女性は、当然のように、雰囲気そのものそのままがパーティーリーダーであり、簡単な紹介を済ませると、右隣に座るローブを纏った如何にも魔法使いという格好の女性に目配せをした。


「えっ、わ。私が先?」


「ああ♪」


ニッコリと微笑むアトリは、肯定を持って促す。

戸惑う魔法使い風女性の様子と残りの二人の笑顔の様子から、それはいつもとは違う悪戯が発生していたようである。
そんな悪戯成功が、場の空気を和ませる。

どうやら緊張でガチガチになっているおっさんは、気遣われたようである。


「ひ、ひどい‥いつもは左廻り……」


「どうしたニャ、ローリー?何だったら、私が先に紹介するニャ?」


ニヤニヤとうれしそうにネコ耳美少女が、魔法使い風女性ローリーを囃す。


「うっ…、私、パーティー山茶花で、魔術師のローリー‥、よろしく…」


「はい、よろしく」


義弘は、勢いよく頭を下げたローリーにつられるようにお辞儀をして返す。


『魔術師かぁ…やっぱりあるんだあ…』


「ははっ、じゃ、私の番ね。私は、シンディー。一応は、斥候職。得意武器は、短剣とロングボウ。前後衛、どちらでもO.K.」


年の頃なら十代後半。おっさんには、若さがなんとも眩しい笑顔である。


「最後は、あたしニャ♪あたしは、リルア。猫族ニャ♪得意は料理♪このパーティーのマスコットニャ♪」


最後の紹介の女性。
種族の特徴故からか年齢に関しては全く判らない。それでもこれでも何でも、とにかく、ネコ耳である。

ラノベをご馳走とするようになったおっさんの興味の一番は、やはりネコ耳尻尾の美少女であった。


「えっと、ではおれ‥わたくしの紹介をば‥年齢42‥いや、もう3かな‥43才。種族は、たぶん人?えっとそれから出身地は地球、日本国…日本海側の北陸にある、F県F市で…」


「ちょっ、ちょっと待って!」


勢いに任せて、考え抜いた紹介を一気にしゃべり始めたおっさんの勢いをアトリが止めた。


「…?はい?」


「ニホン?ホクリク?チキョウ?…どれも聞いたことがないんだけど…」


「………やっぱり、そうですか…」


おっさんは、この想像通りの展開に意気消沈するしかなかった。

異世界であることなど、とうの昔に知り得ていた事実である。

しかし、あわよくば、自分以外の転移者がいて、この世界に自分の世界の事が少しでも知られていればなと期待していたのである。


「たぶん、わたくし、異世界からの来訪者です…」


「「ら、来訪者?」」

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