その物語は、悲劇から始まった

ろくさん

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第四章 異世界生活

十一話 おっさん、初クエストへ

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準備万端、おっさんズの二人はエンドの正門を出て南に向かっていた。


エンドの街から馬車で1日、北へ移動すると、死の森の入り口にあたる還らずの森にたどり着く。

それとは、反対の方角、南へ馬車で10日足を伸ばせば、この国アリファールスの公都へとたどり着く。
エンドの街から公都まで、大小あわせて4つの町があり、繋ぐ街道わきには、いくつもの未開の森林が、今にも街道を呑み込まんと生い茂っていた。


本日のおっさんズのクエストは、冒険初心者定番の薬草採取に決定していた。


「ゴルちゃん、もっと速くても大丈夫だぞ♪」


「ほう、とてもルーキーとは思えないなぁ‥俺としては十分の速さのつもりだったんだが‥」


目的地まであと僅か。思いのほか、おっさん快調な足取りである。

《身体強化は、それなりに使えるようになったか‥》

おっさんの成長を影から暖かく見守る一人?一匹?の存在は、未だ気配の欠片も感じ取れなかった。




「さて、この森について少し説明しとくか‥」


「よろしく、先生♪」


おっさん、にっこりと毛むじゃに微笑む。


「ごほん。まずは、ギルド資料室で確認してもらった回復草についてだ。大木の元、日の当たらない場所などに群生しているケースがよく見られる。そんな回復草がよく採取できる場所がこの森になる」

一つ咳払いをした毛むじゃ先生は、生徒が頷く姿を確認すると、素人でも判るように丁寧に説明を続ける。


「冒険初心者がよく陥るミスなんだが、回復草を見つけた後に大概ミスをやらかす‥」


「??」


なんとなく回答は解っているものの義弘は、毛むじゃ先生の次の言葉を大人しく待った。


「その顔は、解っているみたいだな?!…まあ、いい。ヨッシ、お前の想像通り。採取に夢中で魔物の接近に気がつかない。魔物の不意討ち、これほど最悪なことはない。どんなに良いスキルを持っていても不意討ちされれば一溜まりもない。冒険者たるもの街から一歩出たなら常に注意を怠るな」


「サー、イエッサー」


おっさんは軽快に敬礼をして見せた。


眼前に広がる森林。
鬱蒼と茂った草木がまだまだ未開の森林だと教えてくれる。

そんな未開の森林にもこれまでに開拓してきた冒険者達の足跡は残っている。
獣道程度の細い道。ゆっくりとおっさんズは、薬草の森へと侵入を開始した。


森へと入った主人公(たぶん?)佐伯義弘は、自他共に認める索敵能力を全開に展開する。

およそ半径7キロの森の中に、現在把握中の小動物と魔物が小さな野ネズミクラスを除くと172匹。
命の危険を全く感じないことから余程のことが無い限り、この薬草の森でのクエストの失敗はないと思われた。


「さて、先ずは最初の薬草♪ゲットだぜ!」


おっさんは楽しかった。
まるで子供のはしゃぎよう。もしも俯瞰して自分を見たならば穴があったら飛び込んだかもしれない。


「ゴルちゃん♪これ、確か貴重な上回復草?じゃないかな?」


*上回復草

薬草の一種。
回復草の上位にあたる。
ハイポーションの材料となる稀少な薬草である。

《ほう、鑑定までも開放するか…》


「ヨッシ♪よく見つけた♪♪その草は、ベテランでさえなかなか見つけることはできない」


「そうか♪ラッキー♪♪」


義弘が、薬草を探す間、ゴルドは辺りを警戒する。

おっさんの索敵能力のスペックを知らないゴルドは、親友のサポートを万全にすべく集中を継続していた。

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