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第五章 エンドの街にて
四話 愛がすべて
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ネックレスの留め金をかけた終えたおっさんは、リルアの肩に両手を優しく置いた。
「出来ましたよ♪」
「……」
両肩を小刻みに振るわせたリルアは、ゆっくりと振り向きおっさんを見詰めた。
その時、微笑むリルアのおっさんを見つめた潤んだ瞳から、一筋の涙がゆっくりと流れる。
「…旦那様、これからもよろしくニャ♪」
「だ・ん・な・さま?」
山猫美女リルアの微笑みは、それまで見たどんな笑みよりも美しく、妖艶である。おっさんの耐性能力は全くの無抵抗で、心の歯止めとなっていた理性が溶かされていく。
「「御婚約おめでとうございます♪」」
それは、道具屋の女性店員からの祝福の言葉。
リルアの涙に祝福の言葉。
おっさんがパニックにならなかったのは、スキル様の活躍のおかげとしか考えられない。
「…どうして、泣いてるの?」
「……うれしいの」
涙を流しながらのその微笑みは、どんな最新鋭兵器よりも最強である。
おっさんは、その場の空気に流されて思わずリルアを抱きしめた。
『やってしまった』
状況に流されてとった行動。
義弘は、おっさんと呼ばれるような年になるまで、女性に愛された記憶がない。例外と言えば、母とその母のたったの二人。血の繋がった人間二人だけの事である。
無償で向けられたリルアの愛は、おっさんの理性を完全に崩壊させたのであった。
その後しばらくして、おっさんは、ネックレスを着けるという行為の真実を知る。
限りなく理想に近い女性からの好意を受け止めていく事になったと同時に、大きな悩みを抱える事になってしまったおっさんである。
その大きな悩みとは、自身が好意を向けられているのではなく、あくまでも発現したスキルの効果による、いかさまに近いものではないかということである。
「ほんとうに、私で良いのですか?もしかしたら‥私の持つ魅惑のスキルのせいで‥」
「おっちゃん♪おっちゃんは勘違いしてるニャ…」
道具屋を出た二人は、少し歩いた場所にある災害時、防災避難所となる公園のベンチに腰を掛けていた。
「おっちゃん、獸人族の女はね、強い男に惹かれるニャ♪」
「しかし、それは…」
「おっちゃん、話は最後まで聞くもんニャ」
平静時には公園は建前みたいなもので、滅多に起こらない災害時の利用よりも遥かに近隣の住人の憩いの場として認識が定着している。
二人の座ったベンチの前を五つか六つの犬耳の三つ子が走り回る。
「可愛いニャ♪」
「そうだね♪」
リルアは突然、隣に座るおっさんに半身を傾け、そばにあった手を握りしめる。
「おっちゃん、私ニャ、初めておっちゃん見たとき、ここんとこがキュとなったニャ♪」
おっさんの手を握ったまま、リルアは、その手を胸の真ん中へと移動させた。
「それに、スキルの力もそれも力ニャ♪スキルだけの力なんか存在しないニャ」
「……ほんとうに、おれ‥私なんかで、いいんですか?…四十も過ぎてるし、無職だし、それから、この世界の事も全然わからないし…それから」
「それでも、全部ニャ♪全部、全部、好きだニャ♪」
真っ赤になったリルアは、おっさんを見つめ続けていた瞳をゆっくりと閉じた。
《いけ!おっさん!!男だろ、決める時ぐらい決めるんだ!》
おっさんは、心の中の声に後を押された訳ではない。
おっさんも男。決める時に決めなくて何が男。瞳が閉じられたリルアに近づき、そっと唇を重ね併せるのであった。
「出来ましたよ♪」
「……」
両肩を小刻みに振るわせたリルアは、ゆっくりと振り向きおっさんを見詰めた。
その時、微笑むリルアのおっさんを見つめた潤んだ瞳から、一筋の涙がゆっくりと流れる。
「…旦那様、これからもよろしくニャ♪」
「だ・ん・な・さま?」
山猫美女リルアの微笑みは、それまで見たどんな笑みよりも美しく、妖艶である。おっさんの耐性能力は全くの無抵抗で、心の歯止めとなっていた理性が溶かされていく。
「「御婚約おめでとうございます♪」」
それは、道具屋の女性店員からの祝福の言葉。
リルアの涙に祝福の言葉。
おっさんがパニックにならなかったのは、スキル様の活躍のおかげとしか考えられない。
「…どうして、泣いてるの?」
「……うれしいの」
涙を流しながらのその微笑みは、どんな最新鋭兵器よりも最強である。
おっさんは、その場の空気に流されて思わずリルアを抱きしめた。
『やってしまった』
状況に流されてとった行動。
義弘は、おっさんと呼ばれるような年になるまで、女性に愛された記憶がない。例外と言えば、母とその母のたったの二人。血の繋がった人間二人だけの事である。
無償で向けられたリルアの愛は、おっさんの理性を完全に崩壊させたのであった。
その後しばらくして、おっさんは、ネックレスを着けるという行為の真実を知る。
限りなく理想に近い女性からの好意を受け止めていく事になったと同時に、大きな悩みを抱える事になってしまったおっさんである。
その大きな悩みとは、自身が好意を向けられているのではなく、あくまでも発現したスキルの効果による、いかさまに近いものではないかということである。
「ほんとうに、私で良いのですか?もしかしたら‥私の持つ魅惑のスキルのせいで‥」
「おっちゃん♪おっちゃんは勘違いしてるニャ…」
道具屋を出た二人は、少し歩いた場所にある災害時、防災避難所となる公園のベンチに腰を掛けていた。
「おっちゃん、獸人族の女はね、強い男に惹かれるニャ♪」
「しかし、それは…」
「おっちゃん、話は最後まで聞くもんニャ」
平静時には公園は建前みたいなもので、滅多に起こらない災害時の利用よりも遥かに近隣の住人の憩いの場として認識が定着している。
二人の座ったベンチの前を五つか六つの犬耳の三つ子が走り回る。
「可愛いニャ♪」
「そうだね♪」
リルアは突然、隣に座るおっさんに半身を傾け、そばにあった手を握りしめる。
「おっちゃん、私ニャ、初めておっちゃん見たとき、ここんとこがキュとなったニャ♪」
おっさんの手を握ったまま、リルアは、その手を胸の真ん中へと移動させた。
「それに、スキルの力もそれも力ニャ♪スキルだけの力なんか存在しないニャ」
「……ほんとうに、おれ‥私なんかで、いいんですか?…四十も過ぎてるし、無職だし、それから、この世界の事も全然わからないし…それから」
「それでも、全部ニャ♪全部、全部、好きだニャ♪」
真っ赤になったリルアは、おっさんを見つめ続けていた瞳をゆっくりと閉じた。
《いけ!おっさん!!男だろ、決める時ぐらい決めるんだ!》
おっさんは、心の中の声に後を押された訳ではない。
おっさんも男。決める時に決めなくて何が男。瞳が閉じられたリルアに近づき、そっと唇を重ね併せるのであった。
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