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第五章 エンドの街にて
八話 二度目のクエストと◯◯危機
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若奥さまを誘ってギルドの扉を潜ったおっさんは、クエストボードの前へと佇んでいた。
「旦那様、いかがしましたかニャ?」
「あの、リルア…旦那様は止めるようにとお願いしましたよね…」
「これは、失礼しましたニャ♪。旦那様♪‥では、これよりは、【あなた】とお呼びしますニャ」
どうにもからかわれている気のするおっさんである。
それでも愛してしまったものは仕方ない。それより何よりも、こんなにも可愛い女性が妻となってくれたのは人生最大の奇跡としか言い様はない。
かゆくもない頬を照れ隠しにぽりぽりとかくと、リルアから視線をボードへと戻すおっさんである。
「やっぱり、薬草採取かなぁ‥」
それは年中張り出されたままのクエスト。
傷薬から病気の薬。体力回復、精神回復、更には解毒と薬草の用途は幅広い。
辺境の地だからこそ、多様な薬草の大量の採取量を誇る。
最果ての街エンドの最大の輸出品でもあり、そんな薬草だからこそ、いつも絶対数が不足する。
冒険者という生き物は、レベルの上昇とともにランクの高い収入の多いクエストへと移行していく。
それはつまり、初心者以外の冒険者達が薬草採取クエストの依頼を避けるようになるということである。
「ゲン爺さんにも頼まれてるしなぁ…それに紙のほうも早く何とかしたいしなぁ」
しばらくの再考を終えると、おっさんは薬草採取クエストの張り紙をボードから外し、カウンターへと歩き始めた。
「あなた、護衛の方はあたしに任せてニャ♪」
「えっ?山茶花の方は?」
「ハネムーン休暇ニャ?!しばらくお休みを貰ったニャ♪」
「そ、そうなんだ…、では、頼りにしてますよ♪奥さま♪」
二人は微笑み合いながらクエスト受付カウンターまで来ると依頼書を受付嬢へと差し出した。
「はい♪薬草採取ですね♪気をつけて行って来てください」
「はい、有り難うございます」
これで受付完了。後は薬草の森喜朗へ向かえば良いはずである。
「あの、少し、良いですか?」
「はい?」
受付嬢、名をクルアといい二十歳前後でネコ耳お姉さんである。
そんなお姉さんがおっさんの隣のリルアを手招く。
「ねぇねぇねぇ、結婚したってほんとニャ?」
「うん♪」
ネコ耳お姉さんに近づきながらリルアは、一つ頷いた。
「で、どう?あっ、それよりもおめでとうリルア♪‥で??」
「うん…эчъыцясцзиё…」
「うそ~、うんうん‥ъчяцэс」
おっさんは完全に外野に置かれ、ネコ耳美女二人のカウンター越しのひそひそ話の終わりは見えない。
「いい加減にしなさい!!」
「あっ、ミリア先輩‥」
「クルア、いくら幼馴染み相手でも今は業務中。私用の話は仕事が終わってからにしなさい!」「ヨッシーさん、申し訳ありません」
おっさんは、ミリアの登場により永遠に続くと思われた蚊帳の外から解放される。
薬草の森への道中は、新婚間もない二人のハッピーウェディングロードなどではなく、完全なる葬儀ロード。
これまで明るく話しかけてきていた嫁リルアは、下をうつむきずっと無言でおっさんについてくる。
『これじゃあ、俺が虐めてるみたいじゃないか‥』おっさんたまらなくなって立ち止まり、後ろからついてくるリルアに正対した。
「奥さんや、いい加減、反省は止めにしませんか‥」
「……でも…」
「旦那様の俺としては、可愛い奥さんの明るい笑顔がみたいだけで、さっきのことは少し反省してもらえれば全然問題ないことだよ、ね♪」
「ほんと?怒ってない?」
「はい、全然♪」
上目遣いにおっさんをみていたリルアは、涙目ながらに微笑み一つ。そして
、おっさんの胸へと飛び込むのであった。
「旦那様、いかがしましたかニャ?」
「あの、リルア…旦那様は止めるようにとお願いしましたよね…」
「これは、失礼しましたニャ♪。旦那様♪‥では、これよりは、【あなた】とお呼びしますニャ」
どうにもからかわれている気のするおっさんである。
それでも愛してしまったものは仕方ない。それより何よりも、こんなにも可愛い女性が妻となってくれたのは人生最大の奇跡としか言い様はない。
かゆくもない頬を照れ隠しにぽりぽりとかくと、リルアから視線をボードへと戻すおっさんである。
「やっぱり、薬草採取かなぁ‥」
それは年中張り出されたままのクエスト。
傷薬から病気の薬。体力回復、精神回復、更には解毒と薬草の用途は幅広い。
辺境の地だからこそ、多様な薬草の大量の採取量を誇る。
最果ての街エンドの最大の輸出品でもあり、そんな薬草だからこそ、いつも絶対数が不足する。
冒険者という生き物は、レベルの上昇とともにランクの高い収入の多いクエストへと移行していく。
それはつまり、初心者以外の冒険者達が薬草採取クエストの依頼を避けるようになるということである。
「ゲン爺さんにも頼まれてるしなぁ…それに紙のほうも早く何とかしたいしなぁ」
しばらくの再考を終えると、おっさんは薬草採取クエストの張り紙をボードから外し、カウンターへと歩き始めた。
「あなた、護衛の方はあたしに任せてニャ♪」
「えっ?山茶花の方は?」
「ハネムーン休暇ニャ?!しばらくお休みを貰ったニャ♪」
「そ、そうなんだ…、では、頼りにしてますよ♪奥さま♪」
二人は微笑み合いながらクエスト受付カウンターまで来ると依頼書を受付嬢へと差し出した。
「はい♪薬草採取ですね♪気をつけて行って来てください」
「はい、有り難うございます」
これで受付完了。後は薬草の森喜朗へ向かえば良いはずである。
「あの、少し、良いですか?」
「はい?」
受付嬢、名をクルアといい二十歳前後でネコ耳お姉さんである。
そんなお姉さんがおっさんの隣のリルアを手招く。
「ねぇねぇねぇ、結婚したってほんとニャ?」
「うん♪」
ネコ耳お姉さんに近づきながらリルアは、一つ頷いた。
「で、どう?あっ、それよりもおめでとうリルア♪‥で??」
「うん…эчъыцясцзиё…」
「うそ~、うんうん‥ъчяцэс」
おっさんは完全に外野に置かれ、ネコ耳美女二人のカウンター越しのひそひそ話の終わりは見えない。
「いい加減にしなさい!!」
「あっ、ミリア先輩‥」
「クルア、いくら幼馴染み相手でも今は業務中。私用の話は仕事が終わってからにしなさい!」「ヨッシーさん、申し訳ありません」
おっさんは、ミリアの登場により永遠に続くと思われた蚊帳の外から解放される。
薬草の森への道中は、新婚間もない二人のハッピーウェディングロードなどではなく、完全なる葬儀ロード。
これまで明るく話しかけてきていた嫁リルアは、下をうつむきずっと無言でおっさんについてくる。
『これじゃあ、俺が虐めてるみたいじゃないか‥』おっさんたまらなくなって立ち止まり、後ろからついてくるリルアに正対した。
「奥さんや、いい加減、反省は止めにしませんか‥」
「……でも…」
「旦那様の俺としては、可愛い奥さんの明るい笑顔がみたいだけで、さっきのことは少し反省してもらえれば全然問題ないことだよ、ね♪」
「ほんと?怒ってない?」
「はい、全然♪」
上目遣いにおっさんをみていたリルアは、涙目ながらに微笑み一つ。そして
、おっさんの胸へと飛び込むのであった。
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