51 / 61
第五章 エンドの街にて
八話 二度目のクエストと◯◯危機
しおりを挟む
若奥さまを誘ってギルドの扉を潜ったおっさんは、クエストボードの前へと佇んでいた。
「旦那様、いかがしましたかニャ?」
「あの、リルア…旦那様は止めるようにとお願いしましたよね…」
「これは、失礼しましたニャ♪。旦那様♪‥では、これよりは、【あなた】とお呼びしますニャ」
どうにもからかわれている気のするおっさんである。
それでも愛してしまったものは仕方ない。それより何よりも、こんなにも可愛い女性が妻となってくれたのは人生最大の奇跡としか言い様はない。
かゆくもない頬を照れ隠しにぽりぽりとかくと、リルアから視線をボードへと戻すおっさんである。
「やっぱり、薬草採取かなぁ‥」
それは年中張り出されたままのクエスト。
傷薬から病気の薬。体力回復、精神回復、更には解毒と薬草の用途は幅広い。
辺境の地だからこそ、多様な薬草の大量の採取量を誇る。
最果ての街エンドの最大の輸出品でもあり、そんな薬草だからこそ、いつも絶対数が不足する。
冒険者という生き物は、レベルの上昇とともにランクの高い収入の多いクエストへと移行していく。
それはつまり、初心者以外の冒険者達が薬草採取クエストの依頼を避けるようになるということである。
「ゲン爺さんにも頼まれてるしなぁ…それに紙のほうも早く何とかしたいしなぁ」
しばらくの再考を終えると、おっさんは薬草採取クエストの張り紙をボードから外し、カウンターへと歩き始めた。
「あなた、護衛の方はあたしに任せてニャ♪」
「えっ?山茶花の方は?」
「ハネムーン休暇ニャ?!しばらくお休みを貰ったニャ♪」
「そ、そうなんだ…、では、頼りにしてますよ♪奥さま♪」
二人は微笑み合いながらクエスト受付カウンターまで来ると依頼書を受付嬢へと差し出した。
「はい♪薬草採取ですね♪気をつけて行って来てください」
「はい、有り難うございます」
これで受付完了。後は薬草の森喜朗へ向かえば良いはずである。
「あの、少し、良いですか?」
「はい?」
受付嬢、名をクルアといい二十歳前後でネコ耳お姉さんである。
そんなお姉さんがおっさんの隣のリルアを手招く。
「ねぇねぇねぇ、結婚したってほんとニャ?」
「うん♪」
ネコ耳お姉さんに近づきながらリルアは、一つ頷いた。
「で、どう?あっ、それよりもおめでとうリルア♪‥で??」
「うん…эчъыцясцзиё…」
「うそ~、うんうん‥ъчяцэс」
おっさんは完全に外野に置かれ、ネコ耳美女二人のカウンター越しのひそひそ話の終わりは見えない。
「いい加減にしなさい!!」
「あっ、ミリア先輩‥」
「クルア、いくら幼馴染み相手でも今は業務中。私用の話は仕事が終わってからにしなさい!」「ヨッシーさん、申し訳ありません」
おっさんは、ミリアの登場により永遠に続くと思われた蚊帳の外から解放される。
薬草の森への道中は、新婚間もない二人のハッピーウェディングロードなどではなく、完全なる葬儀ロード。
これまで明るく話しかけてきていた嫁リルアは、下をうつむきずっと無言でおっさんについてくる。
『これじゃあ、俺が虐めてるみたいじゃないか‥』おっさんたまらなくなって立ち止まり、後ろからついてくるリルアに正対した。
「奥さんや、いい加減、反省は止めにしませんか‥」
「……でも…」
「旦那様の俺としては、可愛い奥さんの明るい笑顔がみたいだけで、さっきのことは少し反省してもらえれば全然問題ないことだよ、ね♪」
「ほんと?怒ってない?」
「はい、全然♪」
上目遣いにおっさんをみていたリルアは、涙目ながらに微笑み一つ。そして
、おっさんの胸へと飛び込むのであった。
「旦那様、いかがしましたかニャ?」
「あの、リルア…旦那様は止めるようにとお願いしましたよね…」
「これは、失礼しましたニャ♪。旦那様♪‥では、これよりは、【あなた】とお呼びしますニャ」
どうにもからかわれている気のするおっさんである。
それでも愛してしまったものは仕方ない。それより何よりも、こんなにも可愛い女性が妻となってくれたのは人生最大の奇跡としか言い様はない。
かゆくもない頬を照れ隠しにぽりぽりとかくと、リルアから視線をボードへと戻すおっさんである。
「やっぱり、薬草採取かなぁ‥」
それは年中張り出されたままのクエスト。
傷薬から病気の薬。体力回復、精神回復、更には解毒と薬草の用途は幅広い。
辺境の地だからこそ、多様な薬草の大量の採取量を誇る。
最果ての街エンドの最大の輸出品でもあり、そんな薬草だからこそ、いつも絶対数が不足する。
冒険者という生き物は、レベルの上昇とともにランクの高い収入の多いクエストへと移行していく。
それはつまり、初心者以外の冒険者達が薬草採取クエストの依頼を避けるようになるということである。
「ゲン爺さんにも頼まれてるしなぁ…それに紙のほうも早く何とかしたいしなぁ」
しばらくの再考を終えると、おっさんは薬草採取クエストの張り紙をボードから外し、カウンターへと歩き始めた。
「あなた、護衛の方はあたしに任せてニャ♪」
「えっ?山茶花の方は?」
「ハネムーン休暇ニャ?!しばらくお休みを貰ったニャ♪」
「そ、そうなんだ…、では、頼りにしてますよ♪奥さま♪」
二人は微笑み合いながらクエスト受付カウンターまで来ると依頼書を受付嬢へと差し出した。
「はい♪薬草採取ですね♪気をつけて行って来てください」
「はい、有り難うございます」
これで受付完了。後は薬草の森喜朗へ向かえば良いはずである。
「あの、少し、良いですか?」
「はい?」
受付嬢、名をクルアといい二十歳前後でネコ耳お姉さんである。
そんなお姉さんがおっさんの隣のリルアを手招く。
「ねぇねぇねぇ、結婚したってほんとニャ?」
「うん♪」
ネコ耳お姉さんに近づきながらリルアは、一つ頷いた。
「で、どう?あっ、それよりもおめでとうリルア♪‥で??」
「うん…эчъыцясцзиё…」
「うそ~、うんうん‥ъчяцэс」
おっさんは完全に外野に置かれ、ネコ耳美女二人のカウンター越しのひそひそ話の終わりは見えない。
「いい加減にしなさい!!」
「あっ、ミリア先輩‥」
「クルア、いくら幼馴染み相手でも今は業務中。私用の話は仕事が終わってからにしなさい!」「ヨッシーさん、申し訳ありません」
おっさんは、ミリアの登場により永遠に続くと思われた蚊帳の外から解放される。
薬草の森への道中は、新婚間もない二人のハッピーウェディングロードなどではなく、完全なる葬儀ロード。
これまで明るく話しかけてきていた嫁リルアは、下をうつむきずっと無言でおっさんについてくる。
『これじゃあ、俺が虐めてるみたいじゃないか‥』おっさんたまらなくなって立ち止まり、後ろからついてくるリルアに正対した。
「奥さんや、いい加減、反省は止めにしませんか‥」
「……でも…」
「旦那様の俺としては、可愛い奥さんの明るい笑顔がみたいだけで、さっきのことは少し反省してもらえれば全然問題ないことだよ、ね♪」
「ほんと?怒ってない?」
「はい、全然♪」
上目遣いにおっさんをみていたリルアは、涙目ながらに微笑み一つ。そして
、おっさんの胸へと飛び込むのであった。
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―
酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。
でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。
女神に導かれ、空の海を旅する青年。
特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。
絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。
それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。
彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。
――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。
その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。
これは、ただの俺の旅の物語。
『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる