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第2話 異世界に来てみたら… 1
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夢から覚める直前のような、現実と夢の狭間のような気分だった。
浮かんでいるような、落ちているような気持ちの良い感覚を味わっていると、永遠の耳に不思議な音が聞こえてきた。
初めはそれは機械から出るノイズのようでもあり、動物の鳴き声がいくつも重なっているようでもある、なにかよくわからないものだった。
次第にその音が複数聞こえてきて、音の違いで会話をしているように聞こえてくる。
(…なんだ…? ここは…??)
そしてその会話のような音は、今度はなにかの言葉の様に聞こえてきたが、永遠の聞いたことのある言語ではなさそうで、意味が理解できなかった。
そのままうっすらと意識が覚醒を始めると、それは永遠の耳にもはっきりと言葉として聞こえてきた。
「これで我々の戦況はさらに有利に運ぶであろう。ご苦労だったな、ヴェリデ」
「もったいのうございます。有り難き幸せ…♡」
「王様ァ、こいつの≪魔力≫に中てられてノビちまったヤツらァ、どうします?」
「ああ…しばらくしたら落ち着くだろうが…、残っている者で救護室へ運んでやれ」
「へぇーい」
「イグニス様、魔力の採取と貯蔵をするための陣へ、この者を移動させますがよろしいですか」
「そうだな…」
このあたりまでの言葉を理解して、うたた寝を楽しんでいた永遠は、慌てて跳び起きた。
「…ちょ、ちょっとまって…!」
声を上げると、今まで喋っていたであろうモノたちが、永遠へ視線を集中させた。
「……ヒッ」
思わず、悲鳴を上げる永遠。
このすぐ前まで、現代日本に生きていたのだ。
そんな永遠が目にしたのは、背丈が2メートル以上はありそうなほどの、銀色の毛をしたオオカミ男。
頭だけ、角の生えた白いヤギのような、燕尾服を着た男。
上半身は露出度の高い服を着た美女だが、下半身は緑色をした大蛇。
そのモノ達の奥、一つ高い位置にある大きな椅子に座っていたのは、ぐるりと巻いた大きなヒツジの角のようなものを頭に生やした、肌の黒い、赤い髪の男だった。
永遠はそのファンタジー極まりない様子に、また意識を失いかけた。
突然、その大きな角の男は立ち上がった。
すると、周りにいたヤギ頭と狼男と蛇女は道を開けるように下がり、頭を下げる。
「よく来たな、異世界の人間よ。我はイグニス。魔の者たちを統べる者、この国の王である」
ビリビリと鼓膜を揺らす、低くてハリのある声。
どうやっても適うことはないと思わせる、圧倒的な力の差を声だけで見せつけられ、永遠は思わずその場に平伏してしまった。
浮かんでいるような、落ちているような気持ちの良い感覚を味わっていると、永遠の耳に不思議な音が聞こえてきた。
初めはそれは機械から出るノイズのようでもあり、動物の鳴き声がいくつも重なっているようでもある、なにかよくわからないものだった。
次第にその音が複数聞こえてきて、音の違いで会話をしているように聞こえてくる。
(…なんだ…? ここは…??)
そしてその会話のような音は、今度はなにかの言葉の様に聞こえてきたが、永遠の聞いたことのある言語ではなさそうで、意味が理解できなかった。
そのままうっすらと意識が覚醒を始めると、それは永遠の耳にもはっきりと言葉として聞こえてきた。
「これで我々の戦況はさらに有利に運ぶであろう。ご苦労だったな、ヴェリデ」
「もったいのうございます。有り難き幸せ…♡」
「王様ァ、こいつの≪魔力≫に中てられてノビちまったヤツらァ、どうします?」
「ああ…しばらくしたら落ち着くだろうが…、残っている者で救護室へ運んでやれ」
「へぇーい」
「イグニス様、魔力の採取と貯蔵をするための陣へ、この者を移動させますがよろしいですか」
「そうだな…」
このあたりまでの言葉を理解して、うたた寝を楽しんでいた永遠は、慌てて跳び起きた。
「…ちょ、ちょっとまって…!」
声を上げると、今まで喋っていたであろうモノたちが、永遠へ視線を集中させた。
「……ヒッ」
思わず、悲鳴を上げる永遠。
このすぐ前まで、現代日本に生きていたのだ。
そんな永遠が目にしたのは、背丈が2メートル以上はありそうなほどの、銀色の毛をしたオオカミ男。
頭だけ、角の生えた白いヤギのような、燕尾服を着た男。
上半身は露出度の高い服を着た美女だが、下半身は緑色をした大蛇。
そのモノ達の奥、一つ高い位置にある大きな椅子に座っていたのは、ぐるりと巻いた大きなヒツジの角のようなものを頭に生やした、肌の黒い、赤い髪の男だった。
永遠はそのファンタジー極まりない様子に、また意識を失いかけた。
突然、その大きな角の男は立ち上がった。
すると、周りにいたヤギ頭と狼男と蛇女は道を開けるように下がり、頭を下げる。
「よく来たな、異世界の人間よ。我はイグニス。魔の者たちを統べる者、この国の王である」
ビリビリと鼓膜を揺らす、低くてハリのある声。
どうやっても適うことはないと思わせる、圧倒的な力の差を声だけで見せつけられ、永遠は思わずその場に平伏してしまった。
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