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浮かれているかもしれない
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翌朝はいつも通り、六時半に目が覚めた。
待ち合わせは十時なのに、早く目が覚め過ぎた。
とりあえず朝の支度をして、朝食用のサンドイッチを食べつつコーヒーを飲む。テレビをつけて、天気予報を確認して見ると、今日は一日晴れていて、相変わらず暑そうだ。
日曜はどこも混んでいるだろうから、気を付けないといけない…。
サンドイッチを食べ終わるころに洋服の事を思い出し、衣装ケースからチノパンとジーンズ、Tシャツとポロシャツを取り出して、どう合わせるのが良いのか悩んだ。
普段、仕事の時はスーツだ。ワイシャツの替えとネクタイが数本あれば、事足りる。近所のコンビニやスーパーに買い物に行くなら、Tシャツとジーパンで充分。そんな生活をしていたので、いわゆる『出かける服』というのを持っていない。
さんざん悩んだが、無い物は仕方が無い。無難な組み合わせを考えて、白のポロシャツにベージュのチノパンとスニーカーを選んだ。
副島と並んだら、自分は少しでもスッキリと見えて、暑苦しくないようにしなくてはという精いっぱいの努力だった。
あれこれ悩んでいたせいで気が付いたら、時間は九時を少し回った所だった。
最寄り駅までは徒歩で十分もかからないが、年上の相手を待たせるわけにいかないので、日和は十五分前には着くように家を出た。
日和の住んでいるマンションの最寄り駅は、それほど大きい駅ではないので、改札は一つしかない。
行けばすぐわかるだろうと思いながら歩いて行くと、時間より二十分も早く着いたのに、改札の中に副島が居た。
黒のTシャツの上から半そでの白いシャツを羽織って、下は黒のスキニーパンツというラフな格好なのに、長めの茶髪と色の薄いサングラスのせいで、とんでもなく目を引く。
改札を通るために副島の横を通り過ぎる女の人が何人も、チラチラと見ている。
そりゃ…見るよな。と日和が副島を見ながらそんな風に思っていると、副島がこちらに気づいた。
サングラスを取ってシャツのポケットにしまうと、手を挙げて、
「三上さぁん、こっちこっち!」
と、結構大きめの声で呼びかけて来た。
副島の声につられたように、一斉に視線がこちらに向いたような気がした。
日和は慌てて副島の方へ駆け寄る。
「すみません、お待たせしないように出て来たつもりだったんですが…!」
「大丈夫、大丈夫。僕が電車の時間読み間違えて、ちょっと早めに着いちゃったんだ」
「そうなんですか…。あ、えっと、電車乗る感じですか?」
「あ、うん! 言うの忘れてたね」
はは、と笑った副島の顔は、あの時の少年の様な笑顔だった。
「じゃあ、そっち行きますね」
「うん」
改札を通って、副島のところへ行くと、日和は何となくだが上から下まで見られたような気がした。
待ち合わせは十時なのに、早く目が覚め過ぎた。
とりあえず朝の支度をして、朝食用のサンドイッチを食べつつコーヒーを飲む。テレビをつけて、天気予報を確認して見ると、今日は一日晴れていて、相変わらず暑そうだ。
日曜はどこも混んでいるだろうから、気を付けないといけない…。
サンドイッチを食べ終わるころに洋服の事を思い出し、衣装ケースからチノパンとジーンズ、Tシャツとポロシャツを取り出して、どう合わせるのが良いのか悩んだ。
普段、仕事の時はスーツだ。ワイシャツの替えとネクタイが数本あれば、事足りる。近所のコンビニやスーパーに買い物に行くなら、Tシャツとジーパンで充分。そんな生活をしていたので、いわゆる『出かける服』というのを持っていない。
さんざん悩んだが、無い物は仕方が無い。無難な組み合わせを考えて、白のポロシャツにベージュのチノパンとスニーカーを選んだ。
副島と並んだら、自分は少しでもスッキリと見えて、暑苦しくないようにしなくてはという精いっぱいの努力だった。
あれこれ悩んでいたせいで気が付いたら、時間は九時を少し回った所だった。
最寄り駅までは徒歩で十分もかからないが、年上の相手を待たせるわけにいかないので、日和は十五分前には着くように家を出た。
日和の住んでいるマンションの最寄り駅は、それほど大きい駅ではないので、改札は一つしかない。
行けばすぐわかるだろうと思いながら歩いて行くと、時間より二十分も早く着いたのに、改札の中に副島が居た。
黒のTシャツの上から半そでの白いシャツを羽織って、下は黒のスキニーパンツというラフな格好なのに、長めの茶髪と色の薄いサングラスのせいで、とんでもなく目を引く。
改札を通るために副島の横を通り過ぎる女の人が何人も、チラチラと見ている。
そりゃ…見るよな。と日和が副島を見ながらそんな風に思っていると、副島がこちらに気づいた。
サングラスを取ってシャツのポケットにしまうと、手を挙げて、
「三上さぁん、こっちこっち!」
と、結構大きめの声で呼びかけて来た。
副島の声につられたように、一斉に視線がこちらに向いたような気がした。
日和は慌てて副島の方へ駆け寄る。
「すみません、お待たせしないように出て来たつもりだったんですが…!」
「大丈夫、大丈夫。僕が電車の時間読み間違えて、ちょっと早めに着いちゃったんだ」
「そうなんですか…。あ、えっと、電車乗る感じですか?」
「あ、うん! 言うの忘れてたね」
はは、と笑った副島の顔は、あの時の少年の様な笑顔だった。
「じゃあ、そっち行きますね」
「うん」
改札を通って、副島のところへ行くと、日和は何となくだが上から下まで見られたような気がした。
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