僕の親友に捧げる

粒豆

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悪夢3

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夢は続く。

どれだけ走って、逃げても、俺の夢は覚めなかった。
走っていたら俺は水の中へ落ちた。
川なのか、海なのか、あるいは沼なのか分からない。
だけど深い、水の底へ、沈んで行く。

「また逃げたね」

香澄が目の前に現れて、俺の手を取る。
恋人のように手が繋がれる。


「何度逃げるの。なんで逃げるの。また、逃げるの?
 ねえ、今度こそ一緒に来てくれるよね? 一緒に死んで、くれるだろ?」


息が苦しくなって、俺は香澄の手を振りほどいて水面を探した。
酸素を求めてもがき、宙へと登った。
俺に振り払われた香澄は、そのまま一人で水の底へと沈んで行った。



水から這い上がった先にもまた香澄が居て、俺を責めた。


「……まぁた逃げた。また逃げた、また逃げた、また逃げた。
 また僕を置いてった。また僕を見捨てた」


鉄骨に突き刺さったまま、香澄は妖しい笑みを浮かべる。
血を流して、瀕死のまま、俺を責め、嘲笑う。



「弱虫。臆病もの。卑怯もの。
 …………ウソツキ」

「う、うるさい……!」

いい加減うっとうしくなって、香澄に怒鳴った。


「僕待ってたのに。君は来なかった。
 今でも待ってる。迎えに来たよ。一緒に行こう?」

「うるさい、うるさい!
 お、お前が……っ、お前が、死んでから、もう10年以上経ってるんだよ!!」

「…………」

「もういいだろっ!?
 もう、時効だろ……!?
 いい加減俺を解放してくれよ!!!」
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