僕の親友に捧げる

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悪夢4

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俺がまだ学生だった頃、香澄という友人が居た。
俺は捻くれた性格で、その癖臆病で、人付き合いが上手くない。
だからクラスで上手く友達を作れないで居た。
一方香澄は大層変わり者で、俺とは違う意味でクラスで浮いていた。
大勢で騒ぐのは苦手だけど、一人で居るのも嫌だった俺は、同じ余り物の香澄と仲良くなった。
香澄以外に友達が作れなかった。
それは香澄も同じで、だから俺達はいつも二人で居た。
そしてある日、香澄からこんな事を言われたんだ。


「ねえ、この世界ってくだらないと思わない?」


「はあ?」


「僕、君のことは好きだけれど、それ以外は好きじゃないよ」


俺は黙って香澄の言葉に耳を傾ける。
香澄の事は嫌いではないが、別に好きというわけでもない。
ただ、他に友達が居ないから仕方なく一緒に居るだけ。
寧ろ香澄は変なヤツだし、たまにすごくめんどくさい。
今だってほら、きっと面倒なことを言おうとしてる。


「ねえ、一緒に死んでくれない?」


ほら見ろ。
ほらめんどくさい。
意味不明なヤツ。
気味の悪い男。
そんなんだからクラスで浮いて、俺以外に友達が居ないんだ。
まあこんなやつと一緒に居る俺も、大概変人なのかもしれないけれど。


「生の最期の時、死の瞬間に、君と一緒に居られたらそれほど幸せなことってないと思うんだ。
 僕にとって死って恐ろしい物ではなくて、ロマンチックな物なんだ。
 だから若く綺麗なうちに死にたいし、出来れば大好きな人と手を繋いで死にたい」



……電波だ、コイツ。
そんなこと言ってるから友達が出来ないんだぞ。
なにがロマンチックだ。
死んだら燃やされて骨になって終わりなんだぞ。
いくらお前の顔が整っていようと、骨になっちまったら意味ないんだぞ?


「ねえ、一緒に死んでよ、薺くん」

「……………………いいよ」


この時は、別に死んでもいいかって思ったんだ。
香澄みたいに死にロマンを感じているとかじゃなくて、
ただ生きてても良い事なんてなにもないし、
勉強とか、人間関係とか、将来とか、親とか、
そういうものの全てが、くだらなくて、
どうでもよくて、つまんないから……
だから、死んでもいいかって思ったんだ。
軽い気持ちだった。
香澄は普段から変なことばかり言ってたから、本気じゃないかもしれないしって思って……
だから軽い気持ちで『いいよ』って言ったんだ。
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