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7.引っ越し
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「少しは落ち着いた?」
「うん、少しだけね。留学初日なのに受けた授業は一時間だけ。
気が付いたら王宮で、婚約者まで出来ている。
落ち着くとは思えないのだけど、もうあきらめちゃったのかしら。
もうどうにでもなれと思えてきちゃった。」
「そうか。このあと数日はこんな感じかもしれないな。
でも、その後は普通に授業受けられるようになるから安心していい。
俺も同じ教室だから。」
「え?そうなの?だから私が最終学年だってわかったのね?」
「ああ。留学生が来るのは知らなかったけどな。
王宮に滞在しているわけじゃないから気が付かなかったよ。」
「そうね。王宮への滞在はやめたほうがいいってお婆様が…。
今考えると、シャハル王子のことを知っていたのかもしれないわ。」
「そうだろうな。シャハルの女好きは少し調べればわかる。
じゃあ、寮にいるのか?」
「そうよ。寮も昨日着いたばかりで、まだ一日しかいないの。」
「…そうか。残念だけど、寮からは引っ越ししてもらうよ。」
「え?」
「寮はシャハルから守ってくれないからな。」
「…女子寮なのに…?」
「残念だが、何がおこるかわからない。
だから留学中は俺の家に来てもらうことになる。」
「え?」
「婚約者だろう?大公家に来るんだから、花嫁修業だと言えばいい。
と言っても、リアにする教育はもうなさそうだけど。
まぁ、表向きはそういう理由で引っ越しするけど、
リアを守るには俺の家にいてもらうのが確実だから。
俺の家に住んで、一緒に馬車で行き来していれば、一番安全だからね。」
「そこまでしてもらっていいの?」
「いいんだよ。リアにとってはこれから一生住むかもしれない家だし。
ゆっくり住んでみて判断すればいいよ。」
一生住む…本当に?
考えが追いつかない。
もう考えるだけ無駄なのかもしれない。
「ジル、レミアスから書簡が返って来たぞ。」
「父上、思ったよりも早かったですね。で?」
「ああ、婚約は成立した。リアージュ嬢にも手紙が来ている。」
そう言って私に手紙を渡すと宰相は出て行ってしまった。
突然の婚約騒ぎで忙しいのだろう。手紙を見ると、お婆様からだった。
開いて読んでみると、
思ったよりも早かったわね。
でも、無事にリアが運命の相手に出会えて良かったわ。
レミアスでのことは忘れて幸せになりなさい。
短い三行だけが書かれた手紙。
思ったよりも早かったって、こうなると予想してたってことよね。
お婆様が婚約者をって言ってたのはジルのことだったの?
ジルは知らなさそうだから、お婆様が勝手に思っていらしたってことかしら。
レミアスのことは忘れていいのかな。
まだ実感がなくて、お婆様からの祝福の言葉も受け止められなかった。
「ああ、侍女が着いたようだよ。」
「ミト!」
「お嬢様!ご無事でしたか!」
私が急にいなくなったことがよほど心配だったのだろう、
部屋に入ってくるなり半ば抱き着くかのように無事を確認し始める。
もしかしたらシャハル王子に追いかけられていたのを誰かから聞いたのだろうか。
「大丈夫よ、ミト。私は無事だから安心して。ジルが助けてくれたの。」
「そうでしたか…ご無事で安心しました。」
「あのね、ジルと婚約したの。」
「は?」
「それでね、寮から引っ越ししなきゃいけないみたいなの。」
「…え?お嬢様が婚約されたのですか?」
「うん。ここにいるジル。ジル、私の侍女でミトよ。
レミアスの子爵家の令嬢だけど、侍女としてついてきてくれているの。」
「そうか。ミト嬢、リアと婚約したジルアークだ。
これからリアには大公家に引っ越ししてもらわなければいけない。
くわしくはそこにいる二人に聞いてくれ。リンとファンだ。」
「リンです。ミト嬢を連れてきたほうです。」「ファンです。」
先ほど見た茶髪のほうがリンで、黒髪のほうがファンらしい。
どちらも年齢は私より少し上くらいだろう。20歳のミトと同じくらいかもしれない。
「リンとファン、ミトをよろしくね。」
ミトはまだ納得できていない顔をしていたが、
時間が無いと言われ侍従二人と共に出て行った。
これからもう一度学園に戻って寮から私の荷物を取ってくるのだろう。
「じゃあ、俺たちは先に大公家にいこうか。」
「ええ。」
「うん、少しだけね。留学初日なのに受けた授業は一時間だけ。
気が付いたら王宮で、婚約者まで出来ている。
落ち着くとは思えないのだけど、もうあきらめちゃったのかしら。
もうどうにでもなれと思えてきちゃった。」
「そうか。このあと数日はこんな感じかもしれないな。
でも、その後は普通に授業受けられるようになるから安心していい。
俺も同じ教室だから。」
「え?そうなの?だから私が最終学年だってわかったのね?」
「ああ。留学生が来るのは知らなかったけどな。
王宮に滞在しているわけじゃないから気が付かなかったよ。」
「そうね。王宮への滞在はやめたほうがいいってお婆様が…。
今考えると、シャハル王子のことを知っていたのかもしれないわ。」
「そうだろうな。シャハルの女好きは少し調べればわかる。
じゃあ、寮にいるのか?」
「そうよ。寮も昨日着いたばかりで、まだ一日しかいないの。」
「…そうか。残念だけど、寮からは引っ越ししてもらうよ。」
「え?」
「寮はシャハルから守ってくれないからな。」
「…女子寮なのに…?」
「残念だが、何がおこるかわからない。
だから留学中は俺の家に来てもらうことになる。」
「え?」
「婚約者だろう?大公家に来るんだから、花嫁修業だと言えばいい。
と言っても、リアにする教育はもうなさそうだけど。
まぁ、表向きはそういう理由で引っ越しするけど、
リアを守るには俺の家にいてもらうのが確実だから。
俺の家に住んで、一緒に馬車で行き来していれば、一番安全だからね。」
「そこまでしてもらっていいの?」
「いいんだよ。リアにとってはこれから一生住むかもしれない家だし。
ゆっくり住んでみて判断すればいいよ。」
一生住む…本当に?
考えが追いつかない。
もう考えるだけ無駄なのかもしれない。
「ジル、レミアスから書簡が返って来たぞ。」
「父上、思ったよりも早かったですね。で?」
「ああ、婚約は成立した。リアージュ嬢にも手紙が来ている。」
そう言って私に手紙を渡すと宰相は出て行ってしまった。
突然の婚約騒ぎで忙しいのだろう。手紙を見ると、お婆様からだった。
開いて読んでみると、
思ったよりも早かったわね。
でも、無事にリアが運命の相手に出会えて良かったわ。
レミアスでのことは忘れて幸せになりなさい。
短い三行だけが書かれた手紙。
思ったよりも早かったって、こうなると予想してたってことよね。
お婆様が婚約者をって言ってたのはジルのことだったの?
ジルは知らなさそうだから、お婆様が勝手に思っていらしたってことかしら。
レミアスのことは忘れていいのかな。
まだ実感がなくて、お婆様からの祝福の言葉も受け止められなかった。
「ああ、侍女が着いたようだよ。」
「ミト!」
「お嬢様!ご無事でしたか!」
私が急にいなくなったことがよほど心配だったのだろう、
部屋に入ってくるなり半ば抱き着くかのように無事を確認し始める。
もしかしたらシャハル王子に追いかけられていたのを誰かから聞いたのだろうか。
「大丈夫よ、ミト。私は無事だから安心して。ジルが助けてくれたの。」
「そうでしたか…ご無事で安心しました。」
「あのね、ジルと婚約したの。」
「は?」
「それでね、寮から引っ越ししなきゃいけないみたいなの。」
「…え?お嬢様が婚約されたのですか?」
「うん。ここにいるジル。ジル、私の侍女でミトよ。
レミアスの子爵家の令嬢だけど、侍女としてついてきてくれているの。」
「そうか。ミト嬢、リアと婚約したジルアークだ。
これからリアには大公家に引っ越ししてもらわなければいけない。
くわしくはそこにいる二人に聞いてくれ。リンとファンだ。」
「リンです。ミト嬢を連れてきたほうです。」「ファンです。」
先ほど見た茶髪のほうがリンで、黒髪のほうがファンらしい。
どちらも年齢は私より少し上くらいだろう。20歳のミトと同じくらいかもしれない。
「リンとファン、ミトをよろしくね。」
ミトはまだ納得できていない顔をしていたが、
時間が無いと言われ侍従二人と共に出て行った。
これからもう一度学園に戻って寮から私の荷物を取ってくるのだろう。
「じゃあ、俺たちは先に大公家にいこうか。」
「ええ。」
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