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8.大公家
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もう一度馬車に乗って向かった大公の屋敷は王宮の近くにあった。
もしかしたら王宮の離宮だったところなのかもしれない。
所々に使われている真っ白な石は王宮でよく使用されている石材だ。
レミアスの王宮でもよく見ていた。
結界を張るのに調和しやすい素材だと聞いたことがある。
この屋敷でも何かあれば結界を張るのだろうか。
まじまじと見過ぎていたのだろうか、ジルがおかしそうに声をかけてくる。
「ねぇ、リア。大公家に来て石だけ見てる令嬢はなかなかいないよ。
そんなにその石が気になる?」
「笑わないでよ。結界を張る石じゃないかと思って見てたの。」
「よく知ってるね。王宮の離宮だった名残で石が残ってるんだ。
普段は使わないけど、何かあれば結界を張ることもできるはずだよ。」
「やっぱりそうなんだ。」
「…他も見てくれる?ここがリアの部屋だよ。」
案内してくれたその部屋は、
ずっと前から自分のために用意されていたんじゃないかと思うくらい、
自分の好みにぴったりな部屋だった。
白と緑を基調として、植物も置かれている部屋は日当たりも良かった。
窓の外はバルコニーになっていて、その奥は中庭へとつながっているようだ。
「素敵…こういう部屋、大好き。」
「それは良かった。用意したかいがあるよ。」
「え?ジルが用意したの?」
「うん。リアのためっていうわけじゃなくて悪いけど、
いつかくる嫁のために部屋を作ることが、大公家では大事だと言われていて。
婚約者はいなかったし、結婚できるとも思ってなかったけど、
いつか出会えるならこんな部屋を気に入ってくれる人だったらいいと思ってた。
リアが気に入ってくれて良かったよ。」
そう言って、後ろからまた抱きしめられる。
今日会ったばかりなのに、こんなに自然にふれられると抵抗できなくて困る。
…婚約者だからいいのかもしれないけど、
男性経験の全くない私には少し…いや、かなり刺激がありすぎる。
「ジル?婚約者を連れてきたのなら、まず紹介しなさい?」
いつの間にか開いていた扉の外からかけられた声で驚いて振り返ると、
地味目のドレスを着た全然地味じゃない夫人が仁王立ちしていた。
青く光る銀髪紫目で顔立ちはジルによく似ている。
こんな妖艶な美女が笑わずにいると少し怖い。
「母上、邪魔しないでください。」
「何言ってるの。まず挨拶は大事でしょう?」
どうやらジルのお母様らしい。
私としても婚約者のお母様に初めてお会いしたのだから、きちんと挨拶したい。
なのに、どうしてこの人は私を抱きしめたまま離してくれないのだろう。
「こんな状態で申し訳ありません。
レミアス国から来ました。イルーレイド公爵家のリアージュと申します…。
ジル、離して…。」
「ああ、もう。いいのよ。ジルが悪いのだから。
というよりも、この子は本当にうちの息子かしら。
こんな性格じゃなかったはずなんだけど?」
「母上、大丈夫ですよ。ちゃんと息子です。
ただ、ようやくできた婚約者ですからね。
少しくらいゆっくり実感させてくれてもいいじゃないですか?
夕食の時に父上と一緒にちゃんと会わせますから。」
「もう。仕方ないわね。
じゃあ、リアージュちゃん、また夕食の時にゆっくりお話ししましょうね。」
「はいぃ…。」
ジルのお母様にも助けてもらえなかった私は、
その後夕食まで抱きしめられたままソファに座って過ごすことになった。
もしかしたら王宮の離宮だったところなのかもしれない。
所々に使われている真っ白な石は王宮でよく使用されている石材だ。
レミアスの王宮でもよく見ていた。
結界を張るのに調和しやすい素材だと聞いたことがある。
この屋敷でも何かあれば結界を張るのだろうか。
まじまじと見過ぎていたのだろうか、ジルがおかしそうに声をかけてくる。
「ねぇ、リア。大公家に来て石だけ見てる令嬢はなかなかいないよ。
そんなにその石が気になる?」
「笑わないでよ。結界を張る石じゃないかと思って見てたの。」
「よく知ってるね。王宮の離宮だった名残で石が残ってるんだ。
普段は使わないけど、何かあれば結界を張ることもできるはずだよ。」
「やっぱりそうなんだ。」
「…他も見てくれる?ここがリアの部屋だよ。」
案内してくれたその部屋は、
ずっと前から自分のために用意されていたんじゃないかと思うくらい、
自分の好みにぴったりな部屋だった。
白と緑を基調として、植物も置かれている部屋は日当たりも良かった。
窓の外はバルコニーになっていて、その奥は中庭へとつながっているようだ。
「素敵…こういう部屋、大好き。」
「それは良かった。用意したかいがあるよ。」
「え?ジルが用意したの?」
「うん。リアのためっていうわけじゃなくて悪いけど、
いつかくる嫁のために部屋を作ることが、大公家では大事だと言われていて。
婚約者はいなかったし、結婚できるとも思ってなかったけど、
いつか出会えるならこんな部屋を気に入ってくれる人だったらいいと思ってた。
リアが気に入ってくれて良かったよ。」
そう言って、後ろからまた抱きしめられる。
今日会ったばかりなのに、こんなに自然にふれられると抵抗できなくて困る。
…婚約者だからいいのかもしれないけど、
男性経験の全くない私には少し…いや、かなり刺激がありすぎる。
「ジル?婚約者を連れてきたのなら、まず紹介しなさい?」
いつの間にか開いていた扉の外からかけられた声で驚いて振り返ると、
地味目のドレスを着た全然地味じゃない夫人が仁王立ちしていた。
青く光る銀髪紫目で顔立ちはジルによく似ている。
こんな妖艶な美女が笑わずにいると少し怖い。
「母上、邪魔しないでください。」
「何言ってるの。まず挨拶は大事でしょう?」
どうやらジルのお母様らしい。
私としても婚約者のお母様に初めてお会いしたのだから、きちんと挨拶したい。
なのに、どうしてこの人は私を抱きしめたまま離してくれないのだろう。
「こんな状態で申し訳ありません。
レミアス国から来ました。イルーレイド公爵家のリアージュと申します…。
ジル、離して…。」
「ああ、もう。いいのよ。ジルが悪いのだから。
というよりも、この子は本当にうちの息子かしら。
こんな性格じゃなかったはずなんだけど?」
「母上、大丈夫ですよ。ちゃんと息子です。
ただ、ようやくできた婚約者ですからね。
少しくらいゆっくり実感させてくれてもいいじゃないですか?
夕食の時に父上と一緒にちゃんと会わせますから。」
「もう。仕方ないわね。
じゃあ、リアージュちゃん、また夕食の時にゆっくりお話ししましょうね。」
「はいぃ…。」
ジルのお母様にも助けてもらえなかった私は、
その後夕食まで抱きしめられたままソファに座って過ごすことになった。
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