王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

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4章 王妃と側妃

21.王女の面会

目が覚めたら知らない部屋だった。
昨日、レフィーロ国の王宮について、
夕食を食べて部屋に戻ったところまでは覚えている。
知らない間に寝ちゃってた?

起きると、王宮なのに質素なつくりの部屋だった。
寝台とテーブルとソファが2つ。クローゼットが壁に備え付けてある。
あとは何一つなかった。おかしくない?書き物用の机すらない。
客間にしてはいろいろとおかしい。
何より、昨日はあんなに張り付くようにいた女官は一人もいなかった。

「誰かいないの?」

誰の返事もなく、静まり返っている。
とにかくクリスティアかゲイルの所に行こう。
部屋から出ようとして扉にふれると、いや、ふれようとしたのにさわれなかった。

え?今、扉の取っ手掴もうとしたよね?
どうして?見えるのにさわれない?

扉を開けようとして取っ手を掴もうとするのに、するんと通り抜ける。
この扉は内側に開く型だから、取っ手を掴まないと開けることができない。
何度か試してみて開かず、他に何か別な物でひっかければと思ったが、
物も通り抜けた。

じゃあ、窓は?ここは何階なのかわからないけど、
とりあえず外の人に声をかけられれば。
そう思って窓を開けようとしたが、窓にもさわれなかった。
どうなっているの?

「誰か!ここを開けて!クリスティア!ゲイル!助けて!」

何度も叫んでみたけど、返事は聞こえなかった。
この部屋の外に声が届いているのかも怪しかった。
どう考えても、ここは普通の部屋じゃない。
昨日のゲイルの言葉を思い出した。
王弟と王弟妃はすごい魔術師だ、魔術具もある。
そういうたぐいのものなんだとしたら、どうあがいても外に出れるわけがない。

しばらくはあきらめきれずに色々と試そうとしていたが、すべて無駄に終わり、
力尽きてソファに深く沈みこんだ。
誰かがここに来るのを待つしかなさそうだ。


どのくらい時間が過ぎたのか、ガチャっと扉が開く音がした。
扉が開いたと思って振り返ったが、扉は閉まったままだった。
聞き違い?そう思った次の瞬間、目の前に知らない女性が現れて驚いた。

「えっ。誰!」





目の前に現れた女性はあきらかに女官とは違った。
質のいい黄色のドレスを身にまとった銀髪の令嬢が、
何の感情も見せない紫の目でこちらを見ていた。

「誰なの?どうして私はこの部屋に閉じ込められているのか知ってる!?」

今まで何もわからずに閉じ込められていた苛立ちを思わずぶつけてしまう。
この人が閉じ込めたんじゃないかもしれないけど、
出られないこの部屋に急に入って来たからには何か知っている。
そう思ったから聞いたのに、その令嬢は少しだけ不快だという表情をした。
え?この人に何か悪いことした?

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