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4章 王妃と側妃
23.ジュリア・デジェル
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どうして?どうしてこうなったの?
私の何がいけなかったの?
ちょっと第一王子と仲良くなってみたかっただけじゃない。
もしかしたら妃にと求められるかもしれないって期待したけど、ダメなの?
産まれてすぐに孤児院に入れられ、こき使われるように生きてきた。
孤児院を出たら、宿屋に売られるんだと覚悟していた。
そんな時に破落戸に絡まれ、逃げようと抵抗した時に魔力が発現した。
貴族しか持たない魔力が発現したから、すぐさま神殿で鑑定をされて、
伯爵家の娘だということがわかった。
嫌そうな顔を隠そうともせず引き取りに来た伯爵に、
引き取られてから一度も顔も会わせてくれない伯爵の奥様。
どうやら宿場で遊んだ時の子どもだったらしい。
御当主様はなんて運が悪いと使用人達がこぼしていた。
引き取られたのは良いけど、別邸のはじに小さな部屋を与えられ、
その部屋から出てはいけないと命令された。
使用人が食事だけは運んできてくれたけど、何もすることがない。
だんだん閉じこもっているのが嫌になって、ここから出してと叫んでしまった。
そしたら近くにいたらしい執事が飛び込んできて、すぐに出してくれた。
え?もしかして言えば叶えてくれる?
それからは言いたいことはどんどん言った。
お菓子が食べたい。ドレスを着てみたい。宝石が欲しい。
話し相手に綺麗な男性をつけてほしい。学園に行ってみたい。
初めて行った学園で、とても素敵な人を見た。
公爵家のクリスティア様。隣には侯爵家のゲイル様もいた。
身分の下の者から話しかけちゃダメって聞いていたけど、少しくらいいいよね。
そう思って話しかけたら、二人とも怒らずに話してくれた。
すぐに仲良くなって、毎日一緒にいるようになって、いろんな話を聞いた。
その中で第一王子のフレッド様の話を聞くことができた。
王子様だなんて、本当にそんな人がいるんだ。会ってみたかった。
クリスティアたちに王宮に連れて行ってもらって、
面会を申し込んだのに王子様はいないと言われてしまった。
何度も何度も王宮まで行って面会を申し込んだのにダメで、
それでも会ってみたくて宰相に聞きに行くことになった。
最初は良い顔しなかった宰相だけど、最後には留学していることを教えてくれて、
私も留学に行きたいって我がままを聞いて書簡を送ってくれた。
これでやっと王子様に会える。
でも、そういうとクリスティアもゲイルも面白くなさそうだから、
二人の前ではあまり言わないことにした。
二人とも私のことが好きなんだって。
うれしいけど、公爵家や侯爵家に嫁ぐより、王子様に嫁いだ方がいいな。
だって、私がお姫さまになれるってことでしょう?夢みたいだよね。
幸せ過ぎるなんて思ってた次の日、この部屋で目覚めた。
何が起こってるのか全く分からなかった。
急に現れた王女に大罪だって言われても、私は何もしてないのに?
宰相が送った書簡が偽造だって言われても、それは私のせいじゃないでしょう?
クリスティアとゲイルは王女と知り合いだから良くて、
私は会ったことが無いから牢に入れられて処刑されるの?おかしくない?
なんでよ。なんで私だけこんな目にあうの?処刑なんて絶対に嫌。
気が付いたらテーブルの上に食事が置いてあって、
悔しいけどお腹減ってたから全部残さず食べた。
そのまま眠くなって横になったはずだったのに、
目が覚めたら薄暗い石畳の床の部屋にいた。
粗末な寝台に、水桶のような物が部屋の片隅にポツンと置いてある。
…ここどこ?出られなくてもあの部屋のほうが良かったのに。
「…ここはどこ?」
「起きたのか。ここは牢だよ。調べは後で来るそうだ。
それまで大人しくしてるんだな。」
部屋の外から声が聞こえた。牢?牢って言った?
もう牢に入れられたっていうの?
…嫌よ。処刑されるなんて、絶対に嫌。
私の何がいけなかったの?
ちょっと第一王子と仲良くなってみたかっただけじゃない。
もしかしたら妃にと求められるかもしれないって期待したけど、ダメなの?
産まれてすぐに孤児院に入れられ、こき使われるように生きてきた。
孤児院を出たら、宿屋に売られるんだと覚悟していた。
そんな時に破落戸に絡まれ、逃げようと抵抗した時に魔力が発現した。
貴族しか持たない魔力が発現したから、すぐさま神殿で鑑定をされて、
伯爵家の娘だということがわかった。
嫌そうな顔を隠そうともせず引き取りに来た伯爵に、
引き取られてから一度も顔も会わせてくれない伯爵の奥様。
どうやら宿場で遊んだ時の子どもだったらしい。
御当主様はなんて運が悪いと使用人達がこぼしていた。
引き取られたのは良いけど、別邸のはじに小さな部屋を与えられ、
その部屋から出てはいけないと命令された。
使用人が食事だけは運んできてくれたけど、何もすることがない。
だんだん閉じこもっているのが嫌になって、ここから出してと叫んでしまった。
そしたら近くにいたらしい執事が飛び込んできて、すぐに出してくれた。
え?もしかして言えば叶えてくれる?
それからは言いたいことはどんどん言った。
お菓子が食べたい。ドレスを着てみたい。宝石が欲しい。
話し相手に綺麗な男性をつけてほしい。学園に行ってみたい。
初めて行った学園で、とても素敵な人を見た。
公爵家のクリスティア様。隣には侯爵家のゲイル様もいた。
身分の下の者から話しかけちゃダメって聞いていたけど、少しくらいいいよね。
そう思って話しかけたら、二人とも怒らずに話してくれた。
すぐに仲良くなって、毎日一緒にいるようになって、いろんな話を聞いた。
その中で第一王子のフレッド様の話を聞くことができた。
王子様だなんて、本当にそんな人がいるんだ。会ってみたかった。
クリスティアたちに王宮に連れて行ってもらって、
面会を申し込んだのに王子様はいないと言われてしまった。
何度も何度も王宮まで行って面会を申し込んだのにダメで、
それでも会ってみたくて宰相に聞きに行くことになった。
最初は良い顔しなかった宰相だけど、最後には留学していることを教えてくれて、
私も留学に行きたいって我がままを聞いて書簡を送ってくれた。
これでやっと王子様に会える。
でも、そういうとクリスティアもゲイルも面白くなさそうだから、
二人の前ではあまり言わないことにした。
二人とも私のことが好きなんだって。
うれしいけど、公爵家や侯爵家に嫁ぐより、王子様に嫁いだ方がいいな。
だって、私がお姫さまになれるってことでしょう?夢みたいだよね。
幸せ過ぎるなんて思ってた次の日、この部屋で目覚めた。
何が起こってるのか全く分からなかった。
急に現れた王女に大罪だって言われても、私は何もしてないのに?
宰相が送った書簡が偽造だって言われても、それは私のせいじゃないでしょう?
クリスティアとゲイルは王女と知り合いだから良くて、
私は会ったことが無いから牢に入れられて処刑されるの?おかしくない?
なんでよ。なんで私だけこんな目にあうの?処刑なんて絶対に嫌。
気が付いたらテーブルの上に食事が置いてあって、
悔しいけどお腹減ってたから全部残さず食べた。
そのまま眠くなって横になったはずだったのに、
目が覚めたら薄暗い石畳の床の部屋にいた。
粗末な寝台に、水桶のような物が部屋の片隅にポツンと置いてある。
…ここどこ?出られなくてもあの部屋のほうが良かったのに。
「…ここはどこ?」
「起きたのか。ここは牢だよ。調べは後で来るそうだ。
それまで大人しくしてるんだな。」
部屋の外から声が聞こえた。牢?牢って言った?
もう牢に入れられたっていうの?
…嫌よ。処刑されるなんて、絶対に嫌。
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