王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

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4章 王妃と側妃

24.リリーのお忍び

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「寒くない?大丈夫?」

レオの肩に乗っている私に、寒くないか気遣ってくれる。
見た目がこんなだからか、寒そうに見えるのかもしれない。
王宮に忍び込むのに、どうしても私が変化しても目立ってしまうというので、
今は小鳥の姿に変化してレオの肩にのせてもらっていた。
…姿は小鳥なのに、どうしても飛べなかったからだけど。

レンメール国から魅了を使う令嬢がこの国へと入国し、
リーンハルト様の指示で牢に入れられていることを聞いた。
作戦を聞いたときは王宮内を使って捕らえるなんてと驚いた。
レンメールの貴族たちも協力したようで、
令嬢を無事に幽閉できたと知った時はほっとした。
だけどこんなに大っぴらに捕まえてしまったら処罰しなければいけなくなる。
魅了を使った罪を公表したら処刑される可能性が高かった。

私が王宮に行きたいと言うとレオは最後まで嫌がっていたけど、
このまま処刑されるのを待つのは気持ちが落ち着かなかった。
せめて、どんな令嬢なのかを確認して、
害意が無ければ魅了を封じるのもいいかと思ってた。

でも、これは難しいかもしれない。



「ねぇ、ここは寒いの。暖かいスープと毛布を持ってきて?」

「話し相手が欲しいのよ。もっと若い男性はいないの?」

「ここから出してくれない?昨日までいた部屋でもいいから~。
 え?牢番なのに鍵を持ってないの?じゃあ、盗んできて?」

冷え切った牢の中から無邪気な声が聞こえてくる。
黒髪の細い令嬢が我がままを言うたびに、牢番へと魔力の帯が伸びていく。
だけど、その色は青でも白でもない。混ざり合うように絡み合って水色に見える。
…この令嬢の魅了は多すぎてあふれた魔力じゃない。
自分自身の生命力を外に出して、無理やりにあふれさせて魅了している。
これじゃ私が青の魔力を吸いだして封じることは出来ない。
そんなことをすれば命を失うことになってしまう。


どうしよう。

「ねぇ、リリー。もういいんじゃないか?帰ろう?」

すぐ近くにあるレオの顔が心配で曇ってるのがわかる。
私が悩んでいることがわかったのだろう。
めんどうなことにこれ以上関わらせたくないようだ。

「レオ、お願い。陛下にこのことを話したいの。
 もしかしたら、処刑じゃない方法で処罰できるかもしれないし。
 残念だけど、私が助けることはできないみたい。」

「…俺としてはもうこの件に関わらせたくないんだけど、仕方ないか。
 兄貴に会って話すだけならいいよ。
 そしたら帰るって約束できる?」


「ありがとう。約束するわ。」


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