5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi(がっち)

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2章 次代へ

25.夜会

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「ジョルノ、こちらに参れ。」

「はい。」


夜会の開始と共に陛下に呼ばれる。
王子ではあるが、公爵家の俺が一人で呼ばれる理由が思いつかないのだろう。
広間のあちこちから疑問の声が聞こえる。


「皆の者に伝える。
 ルールニー王国、次の王太子はジョルノを指名する。
 王太子の婚約者はレガール国のバンガル公爵家レミーア嬢とする。
 先日、公爵家の養女となったが、バンガル公爵の実姪だ。
 両国の同盟を強化する良縁となるだろう。」

広間中から悲鳴や怒号が飛び交い、うろたえる人が続出する。
父上が冷気を飛ばし、広間の中を冷静にしようと試みる。
どこからか抗議の声が聞こえた。

「フラン王子はそれでいいのですか!?」

一斉にフランに視線が集まる。
それを涼しい顔で受け止め、フランが答える。

「ええ、もちろん。
 王子3人の中で一番優秀なのはジョルノ王子で間違いないだろう。
 私からも陛下に推薦したくらいだよ。」

「そんな!じゃあ、ジークハルト王子はどうなるんですか!?」

「まだ話は続いておる。最後まで静かに聞け。
 ジークハルトはレガール国のアンジェリカ王女と結婚し、
 レガール国のオーガスト公爵家を継ぐことになった。」

令嬢たちが気を失って倒れていく。
ジョルノに続いてジークハルトまで結婚が決まってしまった。

「そして、コンコード公爵家はローゼリアが継ぎ、娘婿としてフランが入る。
 全て王命とする。異議はないな?」

さすがに王命だと言われてしまっては、抗議する理由が無い。
抗議したい理由は自分の娘を嫁がせたかった、ただそれだけなのだから。
広間の貴族たちが何も言えず黙り込んだ瞬間、飛び込んできたものがいた。

「私は認めません!」

桃色のドレスを着たエリーゼだった。
エリーゼは発表が終わってから夜会に入場させる予定になっていた。
女官と護衛の制止を振り切って来たのだろう。

「お前の許可など必要ない。」

「お父様、王太子がジョルノで良いなら、
 私とジークハルトでこの国を継ぎます!
 ジークハルトを王太子にしてください!」

あまりの発言に、誰もが唖然としてしまった。
この王女は何を言ってるんだ?
王命に抗議しただけではなく、自分を王妃にしろと?

「陛下、発言してもいいですか?」

アンジェをかばうように立っていたジークが陛下に発言を求めた。
公の場でジークが発言するのは初めてだろう。

「好きに発言していいぞ。許す。
 言いたいことも多いだろう。」

もう好きにしろと、本気で呆れている様子の陛下に、
ジークが軽く礼をして前にでる。

「エリーゼ王女。」

「やっと会えたわ、ジークハルト!」

満面の笑みでエリーゼが答えてるが、ジークは冷たい表情のままだ。

「俺は…昔からエリーゼ王女が苦手だった。」

「え?」

「俺は、エリーゼ王女が大嫌いだ。結婚するなんて絶対に嫌だ。
 俺はレガール国に行くから、もう二度と関わらないでくれ。」

完全な拒絶だった。
今まで信じなかったことも、本人から言われたら認めるしかないだろう。
誰もがそう思ったのに。

「どうしてよ。どうして私じゃダメなのよ。
 私と結婚して国王になればいいじゃない!」

「お前は、自分がどういう人間なのか考えたことがあるか?
 王女としての教養も気品もない、令嬢としての礼儀作法すらできない。
 人の話は聞かず、女官たちにはわがまま放題。
 どこをどう見たら惚れるところがあるっていうんだ?」

「じゃあ、その女には惚れるところがあるっていうの!?」

「あるに決まってるだろう?
 王女として厳しく育てられたアンジェは教養も気品もあるし、
 俺と一緒に飛び級できるくらい優秀でもある。
 アンジェを助けるためなら、
 命を懸けてもいいと思ってる女官や護衛たちばかりだ。
 この王宮内にエリーゼを助けるために命を懸けてくれるものなど、一人もいない!
 それがアンジェとエリーゼの大きな違いだ!」

「そんな…そんな…。」

さすがにここまではっきり拒絶されて、蒼白になってしまっている。
やれやれ…これでエリーゼもあきらめておとなしくなるだろう。
そう思ったのに、エリーゼは無言でアンジェに向かって行った。
危険を察知してジークが何かしたのだろう。
ジークとアンジェを中心に丸い透明な壁が広がった。
エリーゼがアンジェにかけようとした何かは、
跳ね返ってエリーゼの顔にかかった。



ぎゃああああああああああああああああ。
すさまじい悲鳴と共に、エリーゼが崩れ落ちる。
その顔の半分は溶けかけ、髪も禿げかかっていた。


「皆の者、下がれ!その液体にさわるな!」


父上の声がきっかけで、貴族たちは我先にと広間から逃げ出していく。
それを混乱の無いように、衛兵たちに外へと誘導させる。
その間もエリーゼは転がり苦しみ続けていた。
だが、その隣に寄り添って助けようとするものは、誰もいなかった。











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