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50.お留守番

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「え?ノエルさんの両親が来ているの?」

「うん。何度か手紙をやり取りしていたんだけど、納得できないみたいでさ。
 王宮の面会室に来ているらしい。
 ユキ様からも一度は直接会って話しておいた方がいいだろうって。」

「もしかして、公爵家との婚約の話?」

「だと思う。もう何度も断ってるんだし、
 俺は侯爵家に籍無いんだからあきらめてくれって言ってるんだけど。
 まぁ、今日はユキ様も立ち会ってくれるみたいだから、ちょっと行って来るよ。
 ルーラはこの部屋から出ないようにしててくれる?」

「…私も行って謝った方が良い?」


「ルーラが謝ることは何もないんだよ。
 俺が傷物になったって捨てたのはあっちなんだから。
 今更何か言われても、はいそうですかとは言いたくないよ。
 そんな心配しなくても大丈夫。すぐ帰ってくるから。」

「うん…。」

「ルーラ、今日は私と一緒にお茶してましょう?」



今日の担当はサージャさんだった。
ミラさんとヘレンさんは王妃様の手伝いに呼ばれているらしい。
サージャさんと二人でお茶するのも久しぶりだから、それは楽しみなのだけど。

「何か落ち着かない?」

「うん…もしかしてノエルさんに迷惑かけてるんじゃないかなって。」

「大丈夫よ。もし迷惑ならはっきり言ってるわ。
 ノエル様って、ここだけの話だけど、すごく冷たいのよ。」

「冷たい?ノエルさんが?」

「そう。婚約者がいたからもあるんだろうけど、夜会に出ても令嬢とは話もせず、
 ダンスを申し込まれても断るし。
 令嬢側からダンスを申し込むって、すごいことなのよ?
 それなのにあっさりと断っちゃうの。迷惑だって。
 青の騎士は女嫌いで有名だったのよ…
 なのに、ルーラを抱っこしている姿は衝撃的だったわ。」

「…えっと、ごめんなさい?」

「あら。ルーラのせいじゃないからいいの。
 でもね、女官は秘密を守るのが当然と思って働いてきたけど、
 あの時ばかりは苦しかったわ。
 あの青の騎士が女の子抱っこしてるわ!って思いっきり叫びたかった。」

「えええ~?」

「もちろん、そんなことしないわよ?
 これでもうちの家は陛下付きの女官として有名なんだから。
 私もそのうち王太子付きになると思うわ。」

「そのうち?」

「まだ王太子が決まってないからよ。
 陛下付きになる予定の女官が誰か一人の王子についてしまったら、
 その王子が王太子だと思われてしまうでしょう?
 だから、私や姉さまは今は他の人についているの。
 と言っても、王太子が決まるのは早くてもあと5年はかかるから、
 それまではルーラと一緒よ。」

「良かった。すぐに変わっちゃうのかと思った。」

「大丈夫よ。次期王宮薬師長は重要な役目だから。
 そう簡単に女官が変わることは無いわ。」

「うん、安心した。」
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