1 / 38
プロローグ
しおりを挟む
ここバルバド皇国のラビット村も、どうやら梅雨入りしたようだ。
それが証拠にもう三日も銀色の雨が降り続いている。
だからてっきり今日も雨だと思っていたのに……。
見上げる空はコバルトブルー。そして燦燦と太陽は輝いている。
「もうお父様たら。朝からずーとしかめっ面ね。けど今日、私はラビット伯爵家を発つのよ。
お願いだから、笑顔で送り出してほしいの」
邸の庭に立って、両親と嫁ぎ先からのお迎え馬車を待っている私は、深く額に皺をよせるお父様に薄く笑う。
「だけどキャンディ。私は胸騒ぎがして、しかたないんだよ。
冷酷非道な竜人皇帝陛下に娘が嫁ぐのを止められないなんて、自分が情けなくてしかたない。
ああああ。なんで鉱山が爆発なんかしたんだ!!!
あれがなければ、私が山のような借金をせおう
事もなかったはずだ!!!」
お父様は両手で自分の耳をおさえて絶叫する。
「やめて。お父様。自然災害は誰のせいでもないでしょ。
それに皇帝陛下が冷酷非道だなんて、ただの噂だわ。
実際に会ってみないと、本当のことはわからないはずよ。
それにほら。
『六月の晴れた日に嫁ぐ花嫁は誰よりも幸せになる』って言うじゃない。
まさに今日の私の事だわ。
だからお父様。もうこれ以上悲しまないで欲しいの」
「まあ。お前がそれほど言うなら……」
お父様が渋々口角を上げて、ひきつった笑顔をつくろうとした時だった。
今度はお父様の隣にいた小柄なお母様が真っ白な頬を真っ赤に染めて、いらだった声を上げる。
「あんなのはただの言い伝えで、保障じゃないわ。
キャンディ。お願い。借金の為に無理をするのはやめてちょうだい。
今ならまだ間に合うわ。この縁談はお断りしなさい」
「あら、お母様。
どうしてそんな事をおっしゃるの?
まさかお忘れになったわけじゃないでようね。私のお相手はこの国の皇帝陛下なのよ。
そう簡単に破談にできるわけないでしょ。
もしそうしたらラビット伯爵家はお取り潰しになって、私達は平民になるのよ」
「「それでもいい。どうせ今でも伯爵とは名ばかりの貧乏暮らし。
平民になるのは全然こわくない」」
二人が申し合わせたように、声をそろえる。
「お父様とお母様がそうでも、私は貧乏なんかまっぴらごめんよ。
継ぎはぎだらけのワンピースを着て、人参畑を耕していた貧乏伯爵令嬢が、この国の皇妃になれるの。
こんなチャンスは二度とないわ」
「だけどキャンディ。私達はおとぎ話の中にいるんじゃない。この結婚にハッピーエンドはないはずだ」
「そうよ。キャンディ。竜獣人あがりの野蛮な竜族と私達ウサギ族がうまくいくはずないでしょ。
第一、みすぼらしいラビット家から皇帝陛下とあろうお方が妻を迎えるなんて、どう考えても普通じゃないわ。
きっとこの縁談にはとんでもない裏があるはずよ」
「裏があろうがなかろうが、私はお金さえもらえればいいの」
「「だから私達の事は心配しなくて……」」
「じゃあ。私の可愛い妹。パンちゃんはどうなるの?
お金がなくて、いいお医者様にも診せてあげられないでしょ。
だから私は貧乏が大嫌いなの!」
「キャンディ! 」
私の名前を呼んで、お父様が悔しそうに唇を強く噛んだときだった。
ーゴトゴトゴトー
大きな音をたてて、見るからに豪華そうな四頭立ての馬車がやってきて、私達の前で停車した。
「約束通り迎えにきたぞ。
お前がキャンディラビットだな」
皇家の紋章が刻まれた扉がバタンと開くと同時に、威圧感のある低い声が耳に届く。
声の主は誰もがおそれる皇帝陛下、レインファンバルバドだ。
「陛下自らのお出迎えに感謝いたします」
「そんな社交辞令は必要ない。
俺は急いでいるんだ。はやく馬車にのれ」
陛下は不機嫌そうに眉をよせると、大きな腕で私を横抱きにする。
その瞬間、食べられると思った私は固く目を閉じ身体をピクリと震わせた。
「「あ! キャンディ!」
たぶん両親も私と同じように思ったのだろう。
悲痛な声をだすと、両手で顔をおおった。
すると皇帝陛下は突然空を仰いで豪快に笑う。
「心配はいらない。
竜獣人がウサギ獣人を好んで食ったのは遥か昔の話だ。
では、伯爵。
キャンディはもらってゆくぞ」
鍛え上げられた広い胸に、顔をおしつける形になった私は間近でみる陛下の迫力ある美しさに、一瞬息がとまりそうになる。
燃えるような金髪の長い髪。
どこか憂いをおびた琥珀色の瞳。
整った鼻や口元。
まるで歩く彫刻だ。
こんな立派な方が、なぜ僻地の貧乏伯爵令嬢なんかを皇妃にするのだろう。
遅ればせながら、さっき両親が口にした疑問が頭をよぎる。
「さっそくだが、これから教会で式をあげる」
「おそれながら皇帝陛下。今日が挙式とは聞いておりませんが」
馬車の中の重厚なソファーに座ったとたん、私は目を丸くした。
「実はな。本当は別の女と挙式をあげるはずだったんだ。
だが数日前に逃げられてしまった。
ある貴族の娘で皇后という地位欲しさに結婚を承諾したのだろうが、式が近ずくにつれ嫌になったのだろう。
それで今度は不意打ち作戦にでたんだ」
「花嫁に逃げられないようにする為ですか?
ひょっとして、逃げないような娘なら誰でも良かったって事ですか?」
真向かいに座る皇帝陛下に首を傾けた。
「ああ。そうだ。
ぐずぐずしていると、反皇帝陛下派の息がかかった女を押しつけられるからな。
何をそんな不思議そうな顔をしている。
王族や貴族の結婚に愛など必要ないだろ。
それに貴方だってこの結婚を承諾したのは、はっきりいって金の為のはずだ」
「それはそうだけれど……」
端正な顔を向けられて、思わずうつむいてしまう。
確かにそうだった。
けれど、陛下。
貴方があまりに素敵だから、私の胸の鼓動はなりやまないの。
なんて素直な気持を口にする事なんか、できなかった。
「気にしなくていい。
俺も貴方を愛するつもりはないのだから。
言っておくが、俺は女が大嫌いだ。
だから、子供をもつことは諦めてくれ」
皇帝陛下は氷つくような瞳で私を見据える。
「はい。わかりました」
ラビット家の借金を帳消しにして、妹によりよい
治療を受けさせたい。
その一心で皇妃になる事を決めた。
だから結婚生活にはなんの期待ももってなかった。はずなのに、あまりに麗しい皇帝陛下のお姿に甘い夢を見てしてしまった私は大馬鹿だ。
「やっぱりおとぎ話のようにはいかないようね」
馬車の窓から空を見上げれば、美しい青空がひろがっている。
「六月の晴れた日に嫁ぐ花嫁は誰よりも幸せになる。のよね」
胸が不安と恐怖でいっぱいになった。
けれどもう、引き返す事はできない。
なんの根拠もない古い言い伝えを呟くと、目をとじて黙って馬車に揺られた。
それが証拠にもう三日も銀色の雨が降り続いている。
だからてっきり今日も雨だと思っていたのに……。
見上げる空はコバルトブルー。そして燦燦と太陽は輝いている。
「もうお父様たら。朝からずーとしかめっ面ね。けど今日、私はラビット伯爵家を発つのよ。
お願いだから、笑顔で送り出してほしいの」
邸の庭に立って、両親と嫁ぎ先からのお迎え馬車を待っている私は、深く額に皺をよせるお父様に薄く笑う。
「だけどキャンディ。私は胸騒ぎがして、しかたないんだよ。
冷酷非道な竜人皇帝陛下に娘が嫁ぐのを止められないなんて、自分が情けなくてしかたない。
ああああ。なんで鉱山が爆発なんかしたんだ!!!
あれがなければ、私が山のような借金をせおう
事もなかったはずだ!!!」
お父様は両手で自分の耳をおさえて絶叫する。
「やめて。お父様。自然災害は誰のせいでもないでしょ。
それに皇帝陛下が冷酷非道だなんて、ただの噂だわ。
実際に会ってみないと、本当のことはわからないはずよ。
それにほら。
『六月の晴れた日に嫁ぐ花嫁は誰よりも幸せになる』って言うじゃない。
まさに今日の私の事だわ。
だからお父様。もうこれ以上悲しまないで欲しいの」
「まあ。お前がそれほど言うなら……」
お父様が渋々口角を上げて、ひきつった笑顔をつくろうとした時だった。
今度はお父様の隣にいた小柄なお母様が真っ白な頬を真っ赤に染めて、いらだった声を上げる。
「あんなのはただの言い伝えで、保障じゃないわ。
キャンディ。お願い。借金の為に無理をするのはやめてちょうだい。
今ならまだ間に合うわ。この縁談はお断りしなさい」
「あら、お母様。
どうしてそんな事をおっしゃるの?
まさかお忘れになったわけじゃないでようね。私のお相手はこの国の皇帝陛下なのよ。
そう簡単に破談にできるわけないでしょ。
もしそうしたらラビット伯爵家はお取り潰しになって、私達は平民になるのよ」
「「それでもいい。どうせ今でも伯爵とは名ばかりの貧乏暮らし。
平民になるのは全然こわくない」」
二人が申し合わせたように、声をそろえる。
「お父様とお母様がそうでも、私は貧乏なんかまっぴらごめんよ。
継ぎはぎだらけのワンピースを着て、人参畑を耕していた貧乏伯爵令嬢が、この国の皇妃になれるの。
こんなチャンスは二度とないわ」
「だけどキャンディ。私達はおとぎ話の中にいるんじゃない。この結婚にハッピーエンドはないはずだ」
「そうよ。キャンディ。竜獣人あがりの野蛮な竜族と私達ウサギ族がうまくいくはずないでしょ。
第一、みすぼらしいラビット家から皇帝陛下とあろうお方が妻を迎えるなんて、どう考えても普通じゃないわ。
きっとこの縁談にはとんでもない裏があるはずよ」
「裏があろうがなかろうが、私はお金さえもらえればいいの」
「「だから私達の事は心配しなくて……」」
「じゃあ。私の可愛い妹。パンちゃんはどうなるの?
お金がなくて、いいお医者様にも診せてあげられないでしょ。
だから私は貧乏が大嫌いなの!」
「キャンディ! 」
私の名前を呼んで、お父様が悔しそうに唇を強く噛んだときだった。
ーゴトゴトゴトー
大きな音をたてて、見るからに豪華そうな四頭立ての馬車がやってきて、私達の前で停車した。
「約束通り迎えにきたぞ。
お前がキャンディラビットだな」
皇家の紋章が刻まれた扉がバタンと開くと同時に、威圧感のある低い声が耳に届く。
声の主は誰もがおそれる皇帝陛下、レインファンバルバドだ。
「陛下自らのお出迎えに感謝いたします」
「そんな社交辞令は必要ない。
俺は急いでいるんだ。はやく馬車にのれ」
陛下は不機嫌そうに眉をよせると、大きな腕で私を横抱きにする。
その瞬間、食べられると思った私は固く目を閉じ身体をピクリと震わせた。
「「あ! キャンディ!」
たぶん両親も私と同じように思ったのだろう。
悲痛な声をだすと、両手で顔をおおった。
すると皇帝陛下は突然空を仰いで豪快に笑う。
「心配はいらない。
竜獣人がウサギ獣人を好んで食ったのは遥か昔の話だ。
では、伯爵。
キャンディはもらってゆくぞ」
鍛え上げられた広い胸に、顔をおしつける形になった私は間近でみる陛下の迫力ある美しさに、一瞬息がとまりそうになる。
燃えるような金髪の長い髪。
どこか憂いをおびた琥珀色の瞳。
整った鼻や口元。
まるで歩く彫刻だ。
こんな立派な方が、なぜ僻地の貧乏伯爵令嬢なんかを皇妃にするのだろう。
遅ればせながら、さっき両親が口にした疑問が頭をよぎる。
「さっそくだが、これから教会で式をあげる」
「おそれながら皇帝陛下。今日が挙式とは聞いておりませんが」
馬車の中の重厚なソファーに座ったとたん、私は目を丸くした。
「実はな。本当は別の女と挙式をあげるはずだったんだ。
だが数日前に逃げられてしまった。
ある貴族の娘で皇后という地位欲しさに結婚を承諾したのだろうが、式が近ずくにつれ嫌になったのだろう。
それで今度は不意打ち作戦にでたんだ」
「花嫁に逃げられないようにする為ですか?
ひょっとして、逃げないような娘なら誰でも良かったって事ですか?」
真向かいに座る皇帝陛下に首を傾けた。
「ああ。そうだ。
ぐずぐずしていると、反皇帝陛下派の息がかかった女を押しつけられるからな。
何をそんな不思議そうな顔をしている。
王族や貴族の結婚に愛など必要ないだろ。
それに貴方だってこの結婚を承諾したのは、はっきりいって金の為のはずだ」
「それはそうだけれど……」
端正な顔を向けられて、思わずうつむいてしまう。
確かにそうだった。
けれど、陛下。
貴方があまりに素敵だから、私の胸の鼓動はなりやまないの。
なんて素直な気持を口にする事なんか、できなかった。
「気にしなくていい。
俺も貴方を愛するつもりはないのだから。
言っておくが、俺は女が大嫌いだ。
だから、子供をもつことは諦めてくれ」
皇帝陛下は氷つくような瞳で私を見据える。
「はい。わかりました」
ラビット家の借金を帳消しにして、妹によりよい
治療を受けさせたい。
その一心で皇妃になる事を決めた。
だから結婚生活にはなんの期待ももってなかった。はずなのに、あまりに麗しい皇帝陛下のお姿に甘い夢を見てしてしまった私は大馬鹿だ。
「やっぱりおとぎ話のようにはいかないようね」
馬車の窓から空を見上げれば、美しい青空がひろがっている。
「六月の晴れた日に嫁ぐ花嫁は誰よりも幸せになる。のよね」
胸が不安と恐怖でいっぱいになった。
けれどもう、引き返す事はできない。
なんの根拠もない古い言い伝えを呟くと、目をとじて黙って馬車に揺られた。
13
あなたにおすすめの小説
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される
柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。
だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。
聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。
胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。
「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」
けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」
噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情――
一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。
木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。
しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。
ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。
色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。
だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったロメリアはとてもわがままな女性だったからである。
彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。
そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。
しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる