16 / 38
2章 なぜかウサギのぬいぐるみになりました
4,キャンディと皇帝陛下のうちあけ話
しおりを挟む
「キャハハハ。そっか。レインは私の事をぜんぜーん知らないから疑うのね。
私はね。ウサギ村では天使のキャンディーと呼ばれていたほど純粋なの。そんな私があの恐ろしそうな皇太后様と
組むなんて絶対にありえないでちゅよ。キャハハハ」
今まで限界まで飲んだ事がないからわからなかったけど、私は酔えば陽気になるタイプみたい。
だってなぜか可笑しくてしかたないんだもの。
「天使のキャンディーだと?」
逆にレイン様はお酒が入ればより不愛想になるのかしら。
眉間に深い皺をよせて、人差し指で私の小さな額をつついた。
「おっとと」
ヨロケそうになったけど両足をふんばって阻止する。
「そうよ。天使よ」
「嘘つけ。ただの強欲女のくせに」
「あら、失礼ね。そりぁ、お金が欲しくてレインに嫁いできたけど贅沢がしたかったからじゃないわ。
家族が苦しんでいるのを助けたかったからでちゅ。
ひょっとして、ダンから何も聞いてまちぇんか。キャハハハ」
「俺は忙しいんだ。女の身の上話なんか聞く時間はない」
レイン様はそういうと私の盃に景気よくザクロ酒を注ぐ。
そしてそれを一気に飲む私。飲めば飲むほど身体が温まって幸せな気分になるの。で、すぐに笑ってしまう。
「じゃあ。今、聞いて下さい」
「好きにしろ」
テーブルに頬杖をついて、片手で琥珀色の液体のはいったグラスを傾けるレイン様は相変わらずの塩対応だ。
「じゃあ。しゃべりまーす」
そう言って耳をピクピク動かしてみる。するとレイン様がフッと目を細めた。
陛下はこういうのがツボなのね。ちょっと意外。
そしてそのギャップはウサギのぬいぐるみの中にいる私の心をキュンとさせる。
ダメ、ダメ。しっかりしなくちゃ。
相手は竜族の冷酷皇帝陛下よ。弱小ウサギ族の貧乏令嬢なんか本気で相手にするわけない。
私は大きく深呼吸を一つつくと、嫁いできたまでの経緯を話し始めた。
「その鉄道会社の投資話は俺も耳にしたが、社長の評判が悪くてな。
まともな人間は誰も手をださなかったはずだ」
「嘘よ」
「本当だ。話をもってきたのは誰だ」
「グレーキラメック伯爵で、実はお父様の弟なの」
「キラメック伯爵だって?
なるほどな。貴方の親父様は弟にめぐまれなかったわけか」
失礼ね! と怒らなけらばいけないのだろうけど……。
気がつけば大声を上げて肯定していた。
「でしょ! でしょ!
私、昔からなんとなく叔父様は苦手なの。
あと叔父様の娘のスエレンも大嫌い。私の婚約者を奪ったんだもの。
元婚約者はね。シマウマ族の公爵令息だったんだけど彼と結婚すれば、ラビット家の借金を返してくれる約束だったのよ」
「その事をスエレンは知っていたのか?」
「もちろんよ。お父様が借金をしていた相手はスエレンのお父様だもの」
「なるほどな。そういうわけか。
それで困っていた所にダンが現れたというわけか」
「そーです。大正解!」
「元婚約者にしろ俺にしろ、お金のために嫁ぐのは同じだ。
その虹色の丸い目で見てきたのはシビアな現実ばかりなのか?」
酔いがより身体中に回ってきたのだろうか。
変にテンションが上がってピョンピョンはねている私をレイン様はそっと掌にのせて、今まで聞いたことのない
深い優しい声をだした。
こんな事をされたら心臓のドキドキがとまらない。
「やーね。虹色の瞳はぬいぐるみでしょ。本物の私の瞳はエメラルド色……」
と言っている途中で頬にレイン様のキスがおちてきた。
「これは俺からのねぎらいだ」
「あ、ありがとうございます。でもできればお金の方が良かったかな」
なんて憎まれ口をたたいたのは心臓が張り裂けそうなぐらいドキドキしていたから。
今の私はぬいぐるみだ。だからレイン様も軽い気持ちでチュッとしただけ。
なのにこんなに動揺していると知られたら、生きていけないほど恥ずかしかった。
「お金がダメなら、今度はレインの事を教えて欲しいな」
掌にのったままレイン様を見上げる。
「聞いてもつまらんと思うがな」
てっきり拒否されるかと思っていたのにレイン様は綺麗な唇を静かに開いた。
「貴方は貧しい家庭に育ったようだが、俺の場合は違う」
「わかってますって。そんなお金持ち自慢しなくってもさー」
私はピョンと跳ねるとレインの頭を前足でピシャリとうつ。
「黙れ。ウサギ。俺は自慢じゃなくてただ事実を言っているだけだ」
レイン様はうっとおしそうに私を手で払うと、グラスの中のお酒を一気に飲み干した。
「俺の母は白鳥族の踊り子だった。
ある祝宴のさいに城に呼ばれて踊っている所を父に見初められたと聞いている」
「そうだったんだ。何も知らなかったわ。
お母様はさぞ綺麗な人だったんでしょうね」
それはレイン様の煌めく容貌を見ればわかる事でもある。
「側妃となった母はすぐに俺をみごもった。
そしてそれは子供のいない皇妃を深く傷つけた」
「皇妃? あ、今の皇太后様のことね」
「そうだ。生前母は離宮に住んでいたが、一番の理由は皇太后の嫌がらせに耐えられなくなったからだと聞いている。
本当は俺も母と一緒に離宮で暮らしたかったが、なにしろたった一人の跡取りだからな。
許されなかった。城に残り帝王学をたたきこまれた。
気がつけば俺のまわりは皇太后派がほとんだ。まるで捕虜のような気分だった」
「皇太子様はストレスだけらの生活をおくっていたんだ」
「その通りだ。
唯一のストレス解消は変装して、下町を歩くことだった。
そんなある日。俺は好奇心で貧民街の中にはいっていった。
そしてそこでダン率いる悪ガキ達に襲われそうになったんだ。
もちろんソイツらはその場で捕獲されたが、それがダンとの出会いだった」
「悪党の親玉が今では大親友だなんて面白いわね」
「だな。孤児だったダンは生きる術でああしてただけで、本質はとてもまっすぐな男だ。
ヌクヌクと育った貴族の子弟は違う。そう感じたから、城につれてきた」
「なるほどねー。冷たいお城の中で唯一心を許せるのがダンだったんだ。
さみしかったね」
話しおえると、テーブルにつっぷして寝息をたてるレイン様の頭をヨシヨシとなでる。
そうしていると、畏怖していた竜が急に大型犬の子犬になった気がしてきたの。
と同時にたまらなく切ない気持ちになってしまう。
お金の為に皇帝陛下に嫁いだら、なぜかウサギのぬいぐるになってしまった私。
この先どうなるか不安しかない。
けど、こうしてレイン様に触れているとこわばった心がどんどんと柔らかくなってくる。
これってイケナイ事なのかな……。
私はね。ウサギ村では天使のキャンディーと呼ばれていたほど純粋なの。そんな私があの恐ろしそうな皇太后様と
組むなんて絶対にありえないでちゅよ。キャハハハ」
今まで限界まで飲んだ事がないからわからなかったけど、私は酔えば陽気になるタイプみたい。
だってなぜか可笑しくてしかたないんだもの。
「天使のキャンディーだと?」
逆にレイン様はお酒が入ればより不愛想になるのかしら。
眉間に深い皺をよせて、人差し指で私の小さな額をつついた。
「おっとと」
ヨロケそうになったけど両足をふんばって阻止する。
「そうよ。天使よ」
「嘘つけ。ただの強欲女のくせに」
「あら、失礼ね。そりぁ、お金が欲しくてレインに嫁いできたけど贅沢がしたかったからじゃないわ。
家族が苦しんでいるのを助けたかったからでちゅ。
ひょっとして、ダンから何も聞いてまちぇんか。キャハハハ」
「俺は忙しいんだ。女の身の上話なんか聞く時間はない」
レイン様はそういうと私の盃に景気よくザクロ酒を注ぐ。
そしてそれを一気に飲む私。飲めば飲むほど身体が温まって幸せな気分になるの。で、すぐに笑ってしまう。
「じゃあ。今、聞いて下さい」
「好きにしろ」
テーブルに頬杖をついて、片手で琥珀色の液体のはいったグラスを傾けるレイン様は相変わらずの塩対応だ。
「じゃあ。しゃべりまーす」
そう言って耳をピクピク動かしてみる。するとレイン様がフッと目を細めた。
陛下はこういうのがツボなのね。ちょっと意外。
そしてそのギャップはウサギのぬいぐるみの中にいる私の心をキュンとさせる。
ダメ、ダメ。しっかりしなくちゃ。
相手は竜族の冷酷皇帝陛下よ。弱小ウサギ族の貧乏令嬢なんか本気で相手にするわけない。
私は大きく深呼吸を一つつくと、嫁いできたまでの経緯を話し始めた。
「その鉄道会社の投資話は俺も耳にしたが、社長の評判が悪くてな。
まともな人間は誰も手をださなかったはずだ」
「嘘よ」
「本当だ。話をもってきたのは誰だ」
「グレーキラメック伯爵で、実はお父様の弟なの」
「キラメック伯爵だって?
なるほどな。貴方の親父様は弟にめぐまれなかったわけか」
失礼ね! と怒らなけらばいけないのだろうけど……。
気がつけば大声を上げて肯定していた。
「でしょ! でしょ!
私、昔からなんとなく叔父様は苦手なの。
あと叔父様の娘のスエレンも大嫌い。私の婚約者を奪ったんだもの。
元婚約者はね。シマウマ族の公爵令息だったんだけど彼と結婚すれば、ラビット家の借金を返してくれる約束だったのよ」
「その事をスエレンは知っていたのか?」
「もちろんよ。お父様が借金をしていた相手はスエレンのお父様だもの」
「なるほどな。そういうわけか。
それで困っていた所にダンが現れたというわけか」
「そーです。大正解!」
「元婚約者にしろ俺にしろ、お金のために嫁ぐのは同じだ。
その虹色の丸い目で見てきたのはシビアな現実ばかりなのか?」
酔いがより身体中に回ってきたのだろうか。
変にテンションが上がってピョンピョンはねている私をレイン様はそっと掌にのせて、今まで聞いたことのない
深い優しい声をだした。
こんな事をされたら心臓のドキドキがとまらない。
「やーね。虹色の瞳はぬいぐるみでしょ。本物の私の瞳はエメラルド色……」
と言っている途中で頬にレイン様のキスがおちてきた。
「これは俺からのねぎらいだ」
「あ、ありがとうございます。でもできればお金の方が良かったかな」
なんて憎まれ口をたたいたのは心臓が張り裂けそうなぐらいドキドキしていたから。
今の私はぬいぐるみだ。だからレイン様も軽い気持ちでチュッとしただけ。
なのにこんなに動揺していると知られたら、生きていけないほど恥ずかしかった。
「お金がダメなら、今度はレインの事を教えて欲しいな」
掌にのったままレイン様を見上げる。
「聞いてもつまらんと思うがな」
てっきり拒否されるかと思っていたのにレイン様は綺麗な唇を静かに開いた。
「貴方は貧しい家庭に育ったようだが、俺の場合は違う」
「わかってますって。そんなお金持ち自慢しなくってもさー」
私はピョンと跳ねるとレインの頭を前足でピシャリとうつ。
「黙れ。ウサギ。俺は自慢じゃなくてただ事実を言っているだけだ」
レイン様はうっとおしそうに私を手で払うと、グラスの中のお酒を一気に飲み干した。
「俺の母は白鳥族の踊り子だった。
ある祝宴のさいに城に呼ばれて踊っている所を父に見初められたと聞いている」
「そうだったんだ。何も知らなかったわ。
お母様はさぞ綺麗な人だったんでしょうね」
それはレイン様の煌めく容貌を見ればわかる事でもある。
「側妃となった母はすぐに俺をみごもった。
そしてそれは子供のいない皇妃を深く傷つけた」
「皇妃? あ、今の皇太后様のことね」
「そうだ。生前母は離宮に住んでいたが、一番の理由は皇太后の嫌がらせに耐えられなくなったからだと聞いている。
本当は俺も母と一緒に離宮で暮らしたかったが、なにしろたった一人の跡取りだからな。
許されなかった。城に残り帝王学をたたきこまれた。
気がつけば俺のまわりは皇太后派がほとんだ。まるで捕虜のような気分だった」
「皇太子様はストレスだけらの生活をおくっていたんだ」
「その通りだ。
唯一のストレス解消は変装して、下町を歩くことだった。
そんなある日。俺は好奇心で貧民街の中にはいっていった。
そしてそこでダン率いる悪ガキ達に襲われそうになったんだ。
もちろんソイツらはその場で捕獲されたが、それがダンとの出会いだった」
「悪党の親玉が今では大親友だなんて面白いわね」
「だな。孤児だったダンは生きる術でああしてただけで、本質はとてもまっすぐな男だ。
ヌクヌクと育った貴族の子弟は違う。そう感じたから、城につれてきた」
「なるほどねー。冷たいお城の中で唯一心を許せるのがダンだったんだ。
さみしかったね」
話しおえると、テーブルにつっぷして寝息をたてるレイン様の頭をヨシヨシとなでる。
そうしていると、畏怖していた竜が急に大型犬の子犬になった気がしてきたの。
と同時にたまらなく切ない気持ちになってしまう。
お金の為に皇帝陛下に嫁いだら、なぜかウサギのぬいぐるになってしまった私。
この先どうなるか不安しかない。
けど、こうしてレイン様に触れているとこわばった心がどんどんと柔らかくなってくる。
これってイケナイ事なのかな……。
1
あなたにおすすめの小説
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される
柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。
だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。
聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。
胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。
「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」
けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」
噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情――
一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。
木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。
しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。
ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。
色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。
だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったロメリアはとてもわがままな女性だったからである。
彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。
そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。
しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる