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3章 ポショットにはぬいぐるみ。陛下! 大丈夫ですか
9、長い耳は飾りじゃない
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「おおおお!!!」
レイン様がルーカス様の手をとり踊りだすと、すぐに周囲からどよめきが上がる。
優雅に舞う二人はまるで水面を流れるように泳ぐ白鳥のようだ。
レイン様は宝石が散りばめられた長い白い上着の下に同色の裾の広がったパンツを身に着けている。
「レインはダンスの天才ね」
私はポショットの中でうっとりした。
「ちがうな。あのダンスが素晴らしいのはルーカスのおかげだ。
見ろ。あのしなやかな腰さばき。
けど。ちょっと密着しすぎだろ。レインめ。ダンスを口実にルーカスを抱くつもりだな」
頭上でいらだった声をだしているのはダンアグレ騎士団長だ。
ポショットをしたまま踊りだそうとしたレイン様から、「みっともない」と強引にポショットをひったくって
会場の片隅で2人のダンスを眺めている。
確かにダンアグレ騎士団長の判断は大正解だったと思う。
なのにどうしてこんなに不機嫌なの?
「そんな事はないって。
ルーカス様の方からレインにせまっている感じがするわ」
「違う。お前はどこを見てる……」
そう言いかけた騎士団長は途中で言葉をとめて、額に指をあてて首を傾ける。
「ひょつとして、俺。ウサ公としゃべってたのか?
いやいや。それはない。あーあ。レインの病気がうつってしまったのかよー」
これは面白いわ。
さっきレイン様を侮辱した罰よ。ちょっとからかってやりましょう。
「はーい。ダンアグレ騎士団長」
ピョーンとポショットの中からジャンプする。
「お、お、お前。本当にしゃべれるのか?
いやいや。そんなハズない。俺は疲れているんだ」
騎士団長の顔から血の気がひいてゆく。
可哀そうだから、この辺でただのぬぐぐるみに戻りましょう
ダンアグレ騎士団長は私の身体を左右にふって反応を確かめていたが、ギュッと口をつぐんで一言も発しない。
「なんだ。ただの聞き間違いか。だよな。
それもこれもルーカスがイライラさせるからだ。
あいつめ。今度はシザー王と踊ってやがる。
なんだあの態度は」
ダンアグレ騎士団長は私の身体を持ったまま、手にギュツと力をいれる。
もうう。痛いでしょ。
身体をよじってなんとか手からのがれて、ポショットの中に戻った。
けど、ダンアグレ騎士団長はそんな私に気がつかない。
シザー王とピタリと身体を密着させ、今にもキスをしそうな感じで踊るルーカス様に視線が釘付けだったから。
「くそっう。俺をバカにしやがって」
ルーカス様もそんなダンアグレ騎士団長に気がついているのかな。
騎士団長の方に得意げな顔を向ける。
もしかしたら、この二人。ひょっとしたらひょっとするの?
ふふふ。なんだか話が面白くなってきたわ(笑)
「シザーのヤツ。ルーカスの腰に手を置きやがって」
髪を逆立てた騎士団長が歯ぎしりしている。
イライラが絶頂に達したようなダンアグレ騎士団長はいきなり、ポショットから私をワシ掴みにするとブンブンと振りまわす。
わあーん。このまま放り投げられたらどうしよう。こわいわ。
目をクルクル回しながら宙を回転していたら、
「俺の皇妃に乱暴するのはやめろ」
と眉をつり上げたレイン様が現れた。
ふうー。地獄に仏とはこの事だわ。
「あ。すまん。ついカッとしてしまって」
「一体何にそんなに腹をたてているんだ? ガオー側に気に障る事でも言われたのか?」
もしそうなら許さんぞ。というようにレイン様は完璧に美しい顔を引き締める。
「いやあ。そうじゃなくて。
ルーカスがお前やシザー王と喜しそうに踊っているのが気に食わん。
それにお前もお前だぞ。レイン。
さっきのダンスは身体を密着しすぎだ。まったく品格が感じられなかった」
「ダン。お前の口から品格という言葉を聞くとは思わなかったぞ。
なるほどな。俺が思っていたとおりお前はルーカスが……」
「あら。ダンは私をどう思っているのかしら?」
レイン様の言葉を途中でさえぎったは、いつのまにか側にいたルーカス様だ。
少し乱れたダークブルーの長い髪。
勝気そうに光る髪と同じ色の瞳。
ほんのりと上気した頬。
ダンスをおえたルーカス様はいつも以上にセクシーだった。
そんなルーカス様に騎士団長は顔を真赤にしながら、がなりたてる。
「どうって大嫌いに決まってるだろ!」
まったく素直じゃないんだから。
「そんな事ぐらい言われなくてもわかってるわ。
それにその口の利き方は何よ。たかが騎士団長風情のくせに。
これまでは大目にみてたけど、そろそろわきまえなさいよ!」
ルーカス様は気丈に踏ん張っていたけど、一瞬すごく残念そうな顔になっていた。
喜べ! ダンアグレ騎士団長。
きっと脈はあるわよ。
「二人ともいい加減にしろ。
これ以上皇帝陛下の前で痴話ゲンカを続けるなら不敬罪に処するぞ」
しばらく黙っていたレイン様がとうとう怒りを露わにした。
「「陛下。申し訳ありません」」
二人は言い合いをやめると、同時に頭を下げる。
なんて息ピッタリなんでしょう。
「いや。許さん。これまで甘い顔をしていた俺がバカだった」
「「そんなあ……」」
「罰として、今から二人でダンスを披露しろ」
「え! こんな女と俺が」
「それはこっちのセリフだわ。高貴な私がこんな男と踊るだなんて」
「つべこべぬかすんじゃない。これは王命だ。
それとダン。そろそろ自分の気持ちに素直になれ。
それはルーカスにも言える。
皇太后に俺を落とすように命じられてるようだが、
一番大事なのは自分の気持ちだろ。よく考えるんだな」
レイン様は誰よりも二人の幸せを考えているのね。
クールそうに見えても、いい人なんだ。
「わかったよ。王命にはさからえないぞ。
おい。手をだせ」
「たしかに王命だとしかたないわね」
ルーカス様は少し照れながら、陶器のような手をゴツゴツとした騎士団長の手にそえた。
「自分の気持ちに素直になれ、か。
それは俺自身にも言えるな」
ぎこちなくダンスを始める二人を見守りながら、レイン様が呟いた。
そしてそのあと、
「キャンディラビット。
貴方に話したい事がある」
と私に言う。
どうやらレイン様はウサ公の私ではなく、人としての私に伝えたい事があるようだ。
「二人きりになりたい。
庭園へでよう」
レイン様は人をかきわけて、会場を後にする。
それはいいのだけど、誰かの足音がずーと私達を追ってきていた。
勘違いなら良いのだけど。
長い耳は飾りじゃない。聴覚だけはとてもいいのよ。
私はとても不安だった。
レイン様がルーカス様の手をとり踊りだすと、すぐに周囲からどよめきが上がる。
優雅に舞う二人はまるで水面を流れるように泳ぐ白鳥のようだ。
レイン様は宝石が散りばめられた長い白い上着の下に同色の裾の広がったパンツを身に着けている。
「レインはダンスの天才ね」
私はポショットの中でうっとりした。
「ちがうな。あのダンスが素晴らしいのはルーカスのおかげだ。
見ろ。あのしなやかな腰さばき。
けど。ちょっと密着しすぎだろ。レインめ。ダンスを口実にルーカスを抱くつもりだな」
頭上でいらだった声をだしているのはダンアグレ騎士団長だ。
ポショットをしたまま踊りだそうとしたレイン様から、「みっともない」と強引にポショットをひったくって
会場の片隅で2人のダンスを眺めている。
確かにダンアグレ騎士団長の判断は大正解だったと思う。
なのにどうしてこんなに不機嫌なの?
「そんな事はないって。
ルーカス様の方からレインにせまっている感じがするわ」
「違う。お前はどこを見てる……」
そう言いかけた騎士団長は途中で言葉をとめて、額に指をあてて首を傾ける。
「ひょつとして、俺。ウサ公としゃべってたのか?
いやいや。それはない。あーあ。レインの病気がうつってしまったのかよー」
これは面白いわ。
さっきレイン様を侮辱した罰よ。ちょっとからかってやりましょう。
「はーい。ダンアグレ騎士団長」
ピョーンとポショットの中からジャンプする。
「お、お、お前。本当にしゃべれるのか?
いやいや。そんなハズない。俺は疲れているんだ」
騎士団長の顔から血の気がひいてゆく。
可哀そうだから、この辺でただのぬぐぐるみに戻りましょう
ダンアグレ騎士団長は私の身体を左右にふって反応を確かめていたが、ギュッと口をつぐんで一言も発しない。
「なんだ。ただの聞き間違いか。だよな。
それもこれもルーカスがイライラさせるからだ。
あいつめ。今度はシザー王と踊ってやがる。
なんだあの態度は」
ダンアグレ騎士団長は私の身体を持ったまま、手にギュツと力をいれる。
もうう。痛いでしょ。
身体をよじってなんとか手からのがれて、ポショットの中に戻った。
けど、ダンアグレ騎士団長はそんな私に気がつかない。
シザー王とピタリと身体を密着させ、今にもキスをしそうな感じで踊るルーカス様に視線が釘付けだったから。
「くそっう。俺をバカにしやがって」
ルーカス様もそんなダンアグレ騎士団長に気がついているのかな。
騎士団長の方に得意げな顔を向ける。
もしかしたら、この二人。ひょっとしたらひょっとするの?
ふふふ。なんだか話が面白くなってきたわ(笑)
「シザーのヤツ。ルーカスの腰に手を置きやがって」
髪を逆立てた騎士団長が歯ぎしりしている。
イライラが絶頂に達したようなダンアグレ騎士団長はいきなり、ポショットから私をワシ掴みにするとブンブンと振りまわす。
わあーん。このまま放り投げられたらどうしよう。こわいわ。
目をクルクル回しながら宙を回転していたら、
「俺の皇妃に乱暴するのはやめろ」
と眉をつり上げたレイン様が現れた。
ふうー。地獄に仏とはこの事だわ。
「あ。すまん。ついカッとしてしまって」
「一体何にそんなに腹をたてているんだ? ガオー側に気に障る事でも言われたのか?」
もしそうなら許さんぞ。というようにレイン様は完璧に美しい顔を引き締める。
「いやあ。そうじゃなくて。
ルーカスがお前やシザー王と喜しそうに踊っているのが気に食わん。
それにお前もお前だぞ。レイン。
さっきのダンスは身体を密着しすぎだ。まったく品格が感じられなかった」
「ダン。お前の口から品格という言葉を聞くとは思わなかったぞ。
なるほどな。俺が思っていたとおりお前はルーカスが……」
「あら。ダンは私をどう思っているのかしら?」
レイン様の言葉を途中でさえぎったは、いつのまにか側にいたルーカス様だ。
少し乱れたダークブルーの長い髪。
勝気そうに光る髪と同じ色の瞳。
ほんのりと上気した頬。
ダンスをおえたルーカス様はいつも以上にセクシーだった。
そんなルーカス様に騎士団長は顔を真赤にしながら、がなりたてる。
「どうって大嫌いに決まってるだろ!」
まったく素直じゃないんだから。
「そんな事ぐらい言われなくてもわかってるわ。
それにその口の利き方は何よ。たかが騎士団長風情のくせに。
これまでは大目にみてたけど、そろそろわきまえなさいよ!」
ルーカス様は気丈に踏ん張っていたけど、一瞬すごく残念そうな顔になっていた。
喜べ! ダンアグレ騎士団長。
きっと脈はあるわよ。
「二人ともいい加減にしろ。
これ以上皇帝陛下の前で痴話ゲンカを続けるなら不敬罪に処するぞ」
しばらく黙っていたレイン様がとうとう怒りを露わにした。
「「陛下。申し訳ありません」」
二人は言い合いをやめると、同時に頭を下げる。
なんて息ピッタリなんでしょう。
「いや。許さん。これまで甘い顔をしていた俺がバカだった」
「「そんなあ……」」
「罰として、今から二人でダンスを披露しろ」
「え! こんな女と俺が」
「それはこっちのセリフだわ。高貴な私がこんな男と踊るだなんて」
「つべこべぬかすんじゃない。これは王命だ。
それとダン。そろそろ自分の気持ちに素直になれ。
それはルーカスにも言える。
皇太后に俺を落とすように命じられてるようだが、
一番大事なのは自分の気持ちだろ。よく考えるんだな」
レイン様は誰よりも二人の幸せを考えているのね。
クールそうに見えても、いい人なんだ。
「わかったよ。王命にはさからえないぞ。
おい。手をだせ」
「たしかに王命だとしかたないわね」
ルーカス様は少し照れながら、陶器のような手をゴツゴツとした騎士団長の手にそえた。
「自分の気持ちに素直になれ、か。
それは俺自身にも言えるな」
ぎこちなくダンスを始める二人を見守りながら、レイン様が呟いた。
そしてそのあと、
「キャンディラビット。
貴方に話したい事がある」
と私に言う。
どうやらレイン様はウサ公の私ではなく、人としての私に伝えたい事があるようだ。
「二人きりになりたい。
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