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5章裏切りと真実の愛
7,ぬいぐるみ皇后は全力で愛されている
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「キャンディ。俺のキャンディ」
朦朧とする意識の中で誰かが私の名前を呼んでいる。
どこかで聞き覚えのある声はとても耳に心地良い。
その声は私を勇気づけ強くする。
その声は私を甘やかし弱くする。
その声の主は……。
「バルバド帝国の皇帝陛下。
レインバルバド様ね」
はっきりとその人の名前を思い出した私はゆっくりと瞼をひらいた。
そして真っ先に目に飛び込んできた顔に頬を染める。
「貴方は本当にレインバルバド様ですか?
私は長い夢を見てたんじゃなかったの?
だってぬいぐるみになるなんて考えられないもの」
そこまで言うとハッとして自分の体に視線を移した。
とても豪華なベッドに横たわっているその姿は人間そのものだ。
「え? やっぱりあれは夢だったの? それとも元に戻れたの?」
首を傾けながらなんとか上半身をおこした。
「夢なんかじゃない。
貴方はバルバド帝国に嫁いできたが、なぜかすぐにぬいぐるみに姿をかえた。
そして帝国に潜む俺の反勢力を一掃したのだ。
可愛いウサ公は実は最強の皇妃だった」
立ち上がって私の隣に座ったレイン様はそう言いながら、私の肩に逞しい腕をそっと回した。
レイン様の身体の温かさが腕を通してこちらに伝わってくる。
その温かさはとても私を幸せにした。
「だんだん思い出してきたわ。
確か私はパリスに毒矢で刺されたのよ。
なのになぜ。こうして生きているのかしら」
「ルーカスが皇太后の部屋に貴方を連れていく前に毒消しを飲ませていたからだ」
「ルーカス様が。あっそう言えば。酔い止めをもらったけど。あれがそうだったのね。
でも。なぜ。ルーカス様がそんな事をしたの?」
「実はな。今回の事件は俺とダンとルーカスで仕組んだんだ。
皇太后一派を一網打尽にする為にな」
「なら私にも教えてくれたら良かったじゃない。
ずごく怖かったんだから」
「すまん。でも貴方は上手に嘘がつけないだろう?」
「それはそうだけれど」
私の顔をとろけるような瞳でのぞきこむレイン様にドキマギしてうつむいた瞬間、レイン様に両手で強く抱きしめられた。
「これからは二度と貴方を騙したりしない。約束する。
だから一生俺のそばにいて欲しい。
考えてみればちゃんとプロポーズをしてなかっただろ。
これがそうだと思ってくれ」
「わかりました」
「で、返事を聞かせてくれないか」
レイン様は少し身体を固くする。
「これからもとんでもない物になって、いっぱい迷惑をかけるかもしれないけど。
それでもいいならお受けします」
「決まってるだろ。貴方のかける迷惑なら大歓迎だ」
レイン様を私の顎を持ち上げるとソッと唇を重ねた。
その瞬間、ヨレヨレになったうさぎのぬいぐるみがベッドからポトリと転げ落ちる。
「あ。私のウサちゃんが」
あわてて拾い上げようと身体をモゾモゾさせたが、レイン様の腕の中から逃れられない。
「おい。キャンディ。ワシの方もよろしく頼むぞ」
そんな私を見て空中でラビが楽しそうに目を細める。
今のラビはあの時の恐ろしいラビじゃない。
キラキラと七色に光る身体に丸い虹色の瞳をもついつものラビだ。
廃位された皇太后様はもう皇都にはいない。
今は淋しい孤島で幽閉生活を送っているという。
皇太后派の残党は皆処刑されたので、もう誰も助ける者はいないだろう。
いつまでも過去の恨みにしがみつく愚かの女に明るい未来はもうない。
「こちらこそ。よろしくね」
レイン様のキスを何度もうけながら、ラビに目で合図をおくる。
これからは皇妃として聖女としてバルバド帝国を支えていくの。
ぬいぐるみになってしまった皇妃を全力で愛し守ってくれたレイン様が大好きだから。
ー完ー
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朦朧とする意識の中で誰かが私の名前を呼んでいる。
どこかで聞き覚えのある声はとても耳に心地良い。
その声は私を勇気づけ強くする。
その声は私を甘やかし弱くする。
その声の主は……。
「バルバド帝国の皇帝陛下。
レインバルバド様ね」
はっきりとその人の名前を思い出した私はゆっくりと瞼をひらいた。
そして真っ先に目に飛び込んできた顔に頬を染める。
「貴方は本当にレインバルバド様ですか?
私は長い夢を見てたんじゃなかったの?
だってぬいぐるみになるなんて考えられないもの」
そこまで言うとハッとして自分の体に視線を移した。
とても豪華なベッドに横たわっているその姿は人間そのものだ。
「え? やっぱりあれは夢だったの? それとも元に戻れたの?」
首を傾けながらなんとか上半身をおこした。
「夢なんかじゃない。
貴方はバルバド帝国に嫁いできたが、なぜかすぐにぬいぐるみに姿をかえた。
そして帝国に潜む俺の反勢力を一掃したのだ。
可愛いウサ公は実は最強の皇妃だった」
立ち上がって私の隣に座ったレイン様はそう言いながら、私の肩に逞しい腕をそっと回した。
レイン様の身体の温かさが腕を通してこちらに伝わってくる。
その温かさはとても私を幸せにした。
「だんだん思い出してきたわ。
確か私はパリスに毒矢で刺されたのよ。
なのになぜ。こうして生きているのかしら」
「ルーカスが皇太后の部屋に貴方を連れていく前に毒消しを飲ませていたからだ」
「ルーカス様が。あっそう言えば。酔い止めをもらったけど。あれがそうだったのね。
でも。なぜ。ルーカス様がそんな事をしたの?」
「実はな。今回の事件は俺とダンとルーカスで仕組んだんだ。
皇太后一派を一網打尽にする為にな」
「なら私にも教えてくれたら良かったじゃない。
ずごく怖かったんだから」
「すまん。でも貴方は上手に嘘がつけないだろう?」
「それはそうだけれど」
私の顔をとろけるような瞳でのぞきこむレイン様にドキマギしてうつむいた瞬間、レイン様に両手で強く抱きしめられた。
「これからは二度と貴方を騙したりしない。約束する。
だから一生俺のそばにいて欲しい。
考えてみればちゃんとプロポーズをしてなかっただろ。
これがそうだと思ってくれ」
「わかりました」
「で、返事を聞かせてくれないか」
レイン様は少し身体を固くする。
「これからもとんでもない物になって、いっぱい迷惑をかけるかもしれないけど。
それでもいいならお受けします」
「決まってるだろ。貴方のかける迷惑なら大歓迎だ」
レイン様を私の顎を持ち上げるとソッと唇を重ねた。
その瞬間、ヨレヨレになったうさぎのぬいぐるみがベッドからポトリと転げ落ちる。
「あ。私のウサちゃんが」
あわてて拾い上げようと身体をモゾモゾさせたが、レイン様の腕の中から逃れられない。
「おい。キャンディ。ワシの方もよろしく頼むぞ」
そんな私を見て空中でラビが楽しそうに目を細める。
今のラビはあの時の恐ろしいラビじゃない。
キラキラと七色に光る身体に丸い虹色の瞳をもついつものラビだ。
廃位された皇太后様はもう皇都にはいない。
今は淋しい孤島で幽閉生活を送っているという。
皇太后派の残党は皆処刑されたので、もう誰も助ける者はいないだろう。
いつまでも過去の恨みにしがみつく愚かの女に明るい未来はもうない。
「こちらこそ。よろしくね」
レイン様のキスを何度もうけながら、ラビに目で合図をおくる。
これからは皇妃として聖女としてバルバド帝国を支えていくの。
ぬいぐるみになってしまった皇妃を全力で愛し守ってくれたレイン様が大好きだから。
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