上 下
316 / 342
第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第316話 エクストラ・マッチ開幕

しおりを挟む

「ヘイフゥ選手とパイロン選手の一騎打ちはエレオノーラ選手の同意の上で行われていた、と聞いていたのですが……。」


 司会の方が戸惑いながら、私に確認してきた。今まで気を失っていたので、私はこの場で起きていたことを知らない。先生は試合を成り立たせるために嘘をついていたことは今、理解した。私もそれに合わせた上で、説得する事にした。


「ええ。それで間違いありません。……ですが、私の気が変わりました。私たちのチームは負けでも構いませんけど、このまま、あの人との対戦を続行させてください。私の応援に来て頂いている方は多いと思うので、その希望に応えたいんです。」

「そうおっしゃるんでしたら、パイロン選手も同意しているようですし、お言葉に甘えさせて頂きます! 特別にエクストラ・マッチとして続行します!」


 先程まで戸惑いのどよめきで満ちていたが、一転して会場から声援が巻き起こった。私はずるいことをした。会場の人々を利用して、強引に試合を成り立たせてしまった。罪悪感はあるけれど、彼の命を守るためなら何でもする! 悪人だと蔑まれても構わない!


「大したものだ。私と一戦交えるために、一計打つとはな。ますます気に入った。是が非でも貴様を弟子にしたくなった!」

「あなたの弟子になるつもりはありません! ここであなたを倒して、全てを白紙にさせてみせます。」


 大鎌の刃を展開し、構えを取る。相手に対して、戦闘の意志を見せつけ、それに応じるのを待つ。でも、彼はまだ構えを取ろうとしなかった。


「もしここで、貴様が弟子になれば、あの男を見逃す、と言えばどうする?」


 もしかしたらその手の提案はしてくるかもしれないと思っていたら、本当に来た。でもそれは出来ない。応じれば彼の命は助かるかもしれない。でもおそらく、彼と会うことを禁じられると思う。その可能性がある以上は出来ない。彼と離ればなれになるのは、絶対に嫌。


「出来ません。あなたと戦うことは避けられそうにありません!」

「そうか。強情なものよ。ならば、覚悟せよ。格の違い、流派梁山泊を真に極めし者の実力を見せてやろう。」


 ズン、と更に重苦しい威圧感が彼から発せられた。今まで感じたことのないような恐ろしさを感じる。……魔王ですら比較にならないほどに……。
しおりを挟む

処理中です...