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第十章 近衛隊長の屋敷
1 ナイフの鞘※
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1 ナイフの鞘※
貴賓館を後にして歩きながら、僕はしょんぼりしていた。今日の訪問は、思い描いていたような皇女様のおもてなしとはかけ離れていた。領主様とも、どう接すればいいのか最後まで分からなかった。僕は、あの場に何しに行ったのだろう。
ザクロさんにはさんざん言われてきたことだったけど、本当に自分で自分を愚かで、穢らわしいもののように思ったのは、今日が初めてだった。
無性にジュンの顔が見たくなって、近衛兵舎まで来てしまった。近衛の若い男の子と話してだいぶ元気が出たものの、いざ報告となると、言葉に詰まった。
屋敷に着くと、僕はジュンに、今日の出来事を話した。僕の取り止めのない話をジュンは黙って聞いてくれた。僕の話が終わると、やがて口を開いた。
「……領主様も人の子だったようで」
皇女様のこともトーマのこともすっ飛ばしていきなり領主様の考察に入る。さすがジュンだ。
「どういうこと?」
「やっぱり恋には勝てないんですよ」
ジュンの言わんとすることが、僕には飲み込めなかった。氷の森の説明をした時とは逆に、今回は僕の方が、出来の悪い生徒になったみたいな気持ちだった。
「恋に勝てないのは僕の方だよ。キスしちゃったんだ。だけど領主様は、こんなことは間違ってる、やめようって言ったんだ」
「ははあ。言いそうですね……目に浮かびます」
ジュンはふんと鼻で笑った。
「領主様は貴方を忘れるのが互いのためになるとでも思ったのでしょう。だけど全然未練が断ち切れてない」
ジュンが、笑顔なのが不思議だった。
「ジュン、怒らないの」
「お二人の幸せが私の幸せ……という綺麗事では納得できませんか?」
僕は頷いた。
「僕はジュンに酷いことをしてる」
ジュンは僕の髪をなでて、しばらく言葉を探していたが、やがて口を開いた。
「初めてお会いした時に、貴方に言った事は嘘ではありません。私の瞳の中心に貴方がいる時だけは、ケイトは束の間、過去になる。私にとって、貴方はそれくらい愛しい存在なんです」
ジュンは腕を組んだ。
「今やケイトは貴方の虜。でも、不思議と悔しくはない。むしろ快感です。ケイトが恋の苦しみをようやく知ってくれたのだと思うと」
首をかしげる僕にジュンは笑い、自分でもこの感情が何かわからないと言った。
「それにしてもトーマのやつ、許せませんね」
ジュンは話を変えてしまった。
「どさくさに紛れて、今日の訪問を一番楽しんだのはおそらくあいつですよ」
「トーマはすごく良い人だったよ」
「だまされちゃダメですよ……悪い男なんですから」
「トーマじゃなくて僕だろ? 一番悪いのは……」
ジュンは僕の顔を見て、ため息をついた。
「一体、貴方のどこが悪いんですか……振り回されて可哀想に」
そういうとジュンは僕を抱き寄せた。
「トーマみたいなやつが貴方に触ったなんて……改めてムカムカしてきました」
領主様もジュンも、僕に対する過剰な優しさを少しでいいからトーマに分けてあげてほしい。
トーマはおどけているけど、周りがよく見えている人だった。小姓の扱いに慣れていない僕にもさりげなく、ああいう状況での振る舞い方を教えてくれていたんだと思う。
「さあ、風呂を用意させていますから、一緒に入りましょう」
「お風呂?」
「私が消毒してあげます」
手を引かれて浴室に連れて行かれた。バスタブの脇には、マーサさんが運んでくれたのだろうか、薬草を浮かべたお湯が用意されていた。マーサさんも毎日大変だろう。明日からは僕が用意しておこう。
そんなことを考えている間に、僕の服はジュンにどんどん脱がされていた。僕はジュンの肩につかまって片足を上げながらふと、これじゃあまるで赤ん坊だと思った。
「僕、一人で脱げるから」
「させてください。してあげたいんです」
僕を裸にすると、ジュンはさっと自分のシャツを脱いだ。
「うわっ、さすが近衛兵だね!」
ジュンの逞しい筋肉に、僕は思わず声を上げてしまった。見た目は女の人のように細いのに、こんなにバキバキだったとは。
「何年鍛えたら、こんなふうになれる?」
ジュンは微笑むと、僕の体をひょいと抱きあげてバスタブの中に横たわらせた。
「行きますよ……」
ざあっと言う音とともに、お湯が注ぎ込まれる。僕は目を閉じて、うっと身構えた。温かいお湯がどんどん身体を浸していき、僕の胸の辺りで止まった。
そろりと目を開ける。目の前にいたはずのジュンがいない。あれっと思っていると不意にまたお湯のかさが増して、僕の首まで溢れてきた。ジュンが本当に一緒に入ってきたのだ。
「わあっ」
水遊びみたいで楽しい。歓声をあげる僕を、ジュンはお湯の中で、背後から抱きかかえた。
「あ、溢れちゃうよ……」
僕が立ちあがろうとするのを、ジュンの腕がぐいと引き留めた。
「いいから、私の上に座って」
ざぶっとお湯が揺れて、僕はジュンのお腹の上に乗ってしまった。
「大丈夫、重くない?」
「軽すぎて心配なくらいです」
そしてジュンは、「消毒」と称して僕の体の至る所にお湯をかけては撫でさすった。
「消毒って、なんの」
「私以外の人にたくさん触られたんでしょう?」
「……そんなとこ誰も触らないよ」
お尻の割れ目にまで指を入れようとするので、僕は笑った。
「じゃあここは?」
ジュンは脇の下から手を入れて、僕の胸を指先で撫でた。僕はくすぐったくて身悶えてしまった。
「ふ、やめろって」
笑いながら身をよじって振り返ると、ジュンと目が合った。
「あっ……」
僕はゾッとした。ジュンはまた、吸血鬼みたいな目をしていたのだ。
「僕もう……出よっかな……」
「だめ。まだ早い」
ジュンは僕の頬にチュッとキスをして、腕と脚を絡みつけてきた。
「うっ……」
くすぐったさと、お風呂の薬湯のぬめりで、うまく力が入らない。ジュンの唇は僕の首筋を這い、指は僕の胸と、太ももの内側を撫で続けている。
「離して……」
僕がそう言ったのとほぼ同時に、ジュンが僕の身体のある箇所に触れた。その瞬間、不思議な痺れが体を駆け抜けた。
「ふあっ!」
妖精の贈り物の最中に一度、こんな痺れを感じたことがあった。
「ジュン……僕、なんか変……」
「力抜いて、もたれて。大丈夫だから」
ジュンが何をしているのかも、よくわからなかった。ジュンの手に握られたそこから湧き上がる刺激で、身体が勝手に震えてしまう。
「それやだ、怖い……」
胸を摘まれると、恥ずかしいのにぴくぴくするのを止めることができなくて、壊れたオモチャになったみたいな気になる。僕が僕でないみたい。
「やだってばあ」
僕は思わず泣き声を出してしまった。ジュンはようやく手を止めてくれた。
「そんな、泣くほど嫌がらなくても」
「な、泣いてない」
僕は鼻を啜って、顔を擦った。
「今の、なに?」
「気持ち良くなかったですか?」
さっきの衝撃を気持ちいいなんていう言葉で片付けていいのか僕には分からなかった。
「わかんない……変な気持ちになって怖い……」
「……」
ジュンが身を起こし、僕の目を覗きこんできた。
「ご自分で触ったりとかしないんですか?」
「えっ? こんなとこを?」
僕はびっくりしてジュンの顔を見た。ジュンも、多分僕と同じくらいびっくりしてるようだった。ジュンは真顔で僕の手を取って、自分のお臍の下辺りに導いた。
「なにこれ!」
僕と同じものとは到底思えない。どうしてこんなに大きくて硬いんだろう。
「近衛兵だから?」
「違います」
「鍛えた?」
「うーん」
ジュンは僕を抱えなおすと、顎までお風呂にざぶっと浸かった。
「これはじっくりお育てするかいがありそうですね……」
「うう……なんなんだ一体」
ジュンはもう変なことはしてこなかったけど、僕を膝に乗せたまま、ずっと何か考えている。このままじゃ、のぼせてしまいそうだ。
「きっと、教えてくれる人が身近にいなかったのでしょう。色々とお話しますが、どうか落ち着いて聞いてくださいね」
そう前置きをしたジュンは僕に、それがなんであるかを、咬んで含めるように説明してくれた。
**********
僕は軽い眩暈がした。さっきまでは気にならなかったけれど、僕はジュンのそれの上に座っているのだ。
そういえば、昼間、領主様の膝に乗っていた時も、同じような感触があった。あれは、ナイフの鞘なんかじゃなかったんだ……。
「わあああ」
僕は頭が沸騰しそうになったので立ち上がって、バスタブを飛び出した。ジュンもあわてて僕の後を追う。タオルで包まれて水滴を拭われている間も、ドキドキが止まらない。
「オト、落ち着いて……」
ジュンが耳元で囁くその低い声にも、ぞくっと鳥肌が立ってしまう。なんだか裸でいることが恥ずかしくなってきた。
「僕、ちょっと頭を冷やしたい……」
僕はバスローブをひっかけるように羽織ると、足早に浴室を出た。
「待ってオト! どこへ」
僕はぼんやりしたまま、寝室のドアを開けた。
「えっ!?」
女の人の声がした。顔を上げると、そこには見知らぬ若いメイドさんが座っていた。
「オト! そこは応接間……!」
僕が目を丸くして立ち尽くしているところに、ジュンがあわててやってきた。メイドさんは小さく悲鳴をあげて、顔を両手で覆った。
「失礼!」
ジュンはびしょ濡れのまま腰にタオルを巻いただけで、僕以上に恥ずかしい格好だった。
「寝室はこっち!」
僕はそんな人にお姫様抱っこをされた状態で、メイドさんの前から退場する羽目になった。
貴賓館を後にして歩きながら、僕はしょんぼりしていた。今日の訪問は、思い描いていたような皇女様のおもてなしとはかけ離れていた。領主様とも、どう接すればいいのか最後まで分からなかった。僕は、あの場に何しに行ったのだろう。
ザクロさんにはさんざん言われてきたことだったけど、本当に自分で自分を愚かで、穢らわしいもののように思ったのは、今日が初めてだった。
無性にジュンの顔が見たくなって、近衛兵舎まで来てしまった。近衛の若い男の子と話してだいぶ元気が出たものの、いざ報告となると、言葉に詰まった。
屋敷に着くと、僕はジュンに、今日の出来事を話した。僕の取り止めのない話をジュンは黙って聞いてくれた。僕の話が終わると、やがて口を開いた。
「……領主様も人の子だったようで」
皇女様のこともトーマのこともすっ飛ばしていきなり領主様の考察に入る。さすがジュンだ。
「どういうこと?」
「やっぱり恋には勝てないんですよ」
ジュンの言わんとすることが、僕には飲み込めなかった。氷の森の説明をした時とは逆に、今回は僕の方が、出来の悪い生徒になったみたいな気持ちだった。
「恋に勝てないのは僕の方だよ。キスしちゃったんだ。だけど領主様は、こんなことは間違ってる、やめようって言ったんだ」
「ははあ。言いそうですね……目に浮かびます」
ジュンはふんと鼻で笑った。
「領主様は貴方を忘れるのが互いのためになるとでも思ったのでしょう。だけど全然未練が断ち切れてない」
ジュンが、笑顔なのが不思議だった。
「ジュン、怒らないの」
「お二人の幸せが私の幸せ……という綺麗事では納得できませんか?」
僕は頷いた。
「僕はジュンに酷いことをしてる」
ジュンは僕の髪をなでて、しばらく言葉を探していたが、やがて口を開いた。
「初めてお会いした時に、貴方に言った事は嘘ではありません。私の瞳の中心に貴方がいる時だけは、ケイトは束の間、過去になる。私にとって、貴方はそれくらい愛しい存在なんです」
ジュンは腕を組んだ。
「今やケイトは貴方の虜。でも、不思議と悔しくはない。むしろ快感です。ケイトが恋の苦しみをようやく知ってくれたのだと思うと」
首をかしげる僕にジュンは笑い、自分でもこの感情が何かわからないと言った。
「それにしてもトーマのやつ、許せませんね」
ジュンは話を変えてしまった。
「どさくさに紛れて、今日の訪問を一番楽しんだのはおそらくあいつですよ」
「トーマはすごく良い人だったよ」
「だまされちゃダメですよ……悪い男なんですから」
「トーマじゃなくて僕だろ? 一番悪いのは……」
ジュンは僕の顔を見て、ため息をついた。
「一体、貴方のどこが悪いんですか……振り回されて可哀想に」
そういうとジュンは僕を抱き寄せた。
「トーマみたいなやつが貴方に触ったなんて……改めてムカムカしてきました」
領主様もジュンも、僕に対する過剰な優しさを少しでいいからトーマに分けてあげてほしい。
トーマはおどけているけど、周りがよく見えている人だった。小姓の扱いに慣れていない僕にもさりげなく、ああいう状況での振る舞い方を教えてくれていたんだと思う。
「さあ、風呂を用意させていますから、一緒に入りましょう」
「お風呂?」
「私が消毒してあげます」
手を引かれて浴室に連れて行かれた。バスタブの脇には、マーサさんが運んでくれたのだろうか、薬草を浮かべたお湯が用意されていた。マーサさんも毎日大変だろう。明日からは僕が用意しておこう。
そんなことを考えている間に、僕の服はジュンにどんどん脱がされていた。僕はジュンの肩につかまって片足を上げながらふと、これじゃあまるで赤ん坊だと思った。
「僕、一人で脱げるから」
「させてください。してあげたいんです」
僕を裸にすると、ジュンはさっと自分のシャツを脱いだ。
「うわっ、さすが近衛兵だね!」
ジュンの逞しい筋肉に、僕は思わず声を上げてしまった。見た目は女の人のように細いのに、こんなにバキバキだったとは。
「何年鍛えたら、こんなふうになれる?」
ジュンは微笑むと、僕の体をひょいと抱きあげてバスタブの中に横たわらせた。
「行きますよ……」
ざあっと言う音とともに、お湯が注ぎ込まれる。僕は目を閉じて、うっと身構えた。温かいお湯がどんどん身体を浸していき、僕の胸の辺りで止まった。
そろりと目を開ける。目の前にいたはずのジュンがいない。あれっと思っていると不意にまたお湯のかさが増して、僕の首まで溢れてきた。ジュンが本当に一緒に入ってきたのだ。
「わあっ」
水遊びみたいで楽しい。歓声をあげる僕を、ジュンはお湯の中で、背後から抱きかかえた。
「あ、溢れちゃうよ……」
僕が立ちあがろうとするのを、ジュンの腕がぐいと引き留めた。
「いいから、私の上に座って」
ざぶっとお湯が揺れて、僕はジュンのお腹の上に乗ってしまった。
「大丈夫、重くない?」
「軽すぎて心配なくらいです」
そしてジュンは、「消毒」と称して僕の体の至る所にお湯をかけては撫でさすった。
「消毒って、なんの」
「私以外の人にたくさん触られたんでしょう?」
「……そんなとこ誰も触らないよ」
お尻の割れ目にまで指を入れようとするので、僕は笑った。
「じゃあここは?」
ジュンは脇の下から手を入れて、僕の胸を指先で撫でた。僕はくすぐったくて身悶えてしまった。
「ふ、やめろって」
笑いながら身をよじって振り返ると、ジュンと目が合った。
「あっ……」
僕はゾッとした。ジュンはまた、吸血鬼みたいな目をしていたのだ。
「僕もう……出よっかな……」
「だめ。まだ早い」
ジュンは僕の頬にチュッとキスをして、腕と脚を絡みつけてきた。
「うっ……」
くすぐったさと、お風呂の薬湯のぬめりで、うまく力が入らない。ジュンの唇は僕の首筋を這い、指は僕の胸と、太ももの内側を撫で続けている。
「離して……」
僕がそう言ったのとほぼ同時に、ジュンが僕の身体のある箇所に触れた。その瞬間、不思議な痺れが体を駆け抜けた。
「ふあっ!」
妖精の贈り物の最中に一度、こんな痺れを感じたことがあった。
「ジュン……僕、なんか変……」
「力抜いて、もたれて。大丈夫だから」
ジュンが何をしているのかも、よくわからなかった。ジュンの手に握られたそこから湧き上がる刺激で、身体が勝手に震えてしまう。
「それやだ、怖い……」
胸を摘まれると、恥ずかしいのにぴくぴくするのを止めることができなくて、壊れたオモチャになったみたいな気になる。僕が僕でないみたい。
「やだってばあ」
僕は思わず泣き声を出してしまった。ジュンはようやく手を止めてくれた。
「そんな、泣くほど嫌がらなくても」
「な、泣いてない」
僕は鼻を啜って、顔を擦った。
「今の、なに?」
「気持ち良くなかったですか?」
さっきの衝撃を気持ちいいなんていう言葉で片付けていいのか僕には分からなかった。
「わかんない……変な気持ちになって怖い……」
「……」
ジュンが身を起こし、僕の目を覗きこんできた。
「ご自分で触ったりとかしないんですか?」
「えっ? こんなとこを?」
僕はびっくりしてジュンの顔を見た。ジュンも、多分僕と同じくらいびっくりしてるようだった。ジュンは真顔で僕の手を取って、自分のお臍の下辺りに導いた。
「なにこれ!」
僕と同じものとは到底思えない。どうしてこんなに大きくて硬いんだろう。
「近衛兵だから?」
「違います」
「鍛えた?」
「うーん」
ジュンは僕を抱えなおすと、顎までお風呂にざぶっと浸かった。
「これはじっくりお育てするかいがありそうですね……」
「うう……なんなんだ一体」
ジュンはもう変なことはしてこなかったけど、僕を膝に乗せたまま、ずっと何か考えている。このままじゃ、のぼせてしまいそうだ。
「きっと、教えてくれる人が身近にいなかったのでしょう。色々とお話しますが、どうか落ち着いて聞いてくださいね」
そう前置きをしたジュンは僕に、それがなんであるかを、咬んで含めるように説明してくれた。
**********
僕は軽い眩暈がした。さっきまでは気にならなかったけれど、僕はジュンのそれの上に座っているのだ。
そういえば、昼間、領主様の膝に乗っていた時も、同じような感触があった。あれは、ナイフの鞘なんかじゃなかったんだ……。
「わあああ」
僕は頭が沸騰しそうになったので立ち上がって、バスタブを飛び出した。ジュンもあわてて僕の後を追う。タオルで包まれて水滴を拭われている間も、ドキドキが止まらない。
「オト、落ち着いて……」
ジュンが耳元で囁くその低い声にも、ぞくっと鳥肌が立ってしまう。なんだか裸でいることが恥ずかしくなってきた。
「僕、ちょっと頭を冷やしたい……」
僕はバスローブをひっかけるように羽織ると、足早に浴室を出た。
「待ってオト! どこへ」
僕はぼんやりしたまま、寝室のドアを開けた。
「えっ!?」
女の人の声がした。顔を上げると、そこには見知らぬ若いメイドさんが座っていた。
「オト! そこは応接間……!」
僕が目を丸くして立ち尽くしているところに、ジュンがあわててやってきた。メイドさんは小さく悲鳴をあげて、顔を両手で覆った。
「失礼!」
ジュンはびしょ濡れのまま腰にタオルを巻いただけで、僕以上に恥ずかしい格好だった。
「寝室はこっち!」
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