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第一章 森のほとり
6 天使爆誕※
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6 天使爆誕※
「あ……えと……僕は男だよ」
沈黙に耐えかねてどうでもいい発言をしてしまった。
「わかっている。わかっているさ……。だからこんなにうろたえている! ああ、神は何故、分別無き赤子のクピドに、恋の矢をお与えになったのか!」
ホクト君は陶酔したように叫ぶと、頭を抱えてうずくまってしまった。余りにイタい台詞に僕は震えた。
「ついていけないや……」
盛り上がっているホクトくんをほっといて、僕はドレスを脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと! 何をしているんだい、ハニー!?」
妙な呼び方をされたような気がするが無視する。
「こんなのうまく行くはずないよ」
「どうして! 絶対にうまくいく!」
「女装してスケスケパンツ買うなんて無理だよ。街の人に気味悪がられて終わりだよ!」
「いや……それはない。それは」
ホクトくんは僕を鏡の前に立たせた。
「見てごらん。どこからどう見ても、君は美しい娘じゃないか」
「ん?」
確かに、鏡の中の金髪の女の子は、普段の僕とは別人のように見えた。
本当に女の子みたいだった。これなら、ザクロさんのおつかいもちゃんと行けるかもしれない。
呆然として見ていたら、その顔をホクトくんがニコニコしながら覗き込んできた。
「ほら、まんざらでもない顔してる」
恥ずかしくて思わずホクトくんを突き飛ばしたら、僕の方がくらくらしてしまった。
「ああっ! 大丈夫かいハニー!」
空腹に、窮屈な服で、貧血に拍車がかかったみたい。ホクトくんが僕を抱えて、長椅子に腰掛けさせてくれた。
コルセットを外してもらうと、ようやく息ができた。ほっとしたのも束の間、コルセットなしでまたドレスを着せられる。僕は無抵抗で、されるままになる。どうせ僕はやせっぽちだし、コルセットがなくてもドレスは着れた。
「何か少し、食べないと」
ホクトくんは、テーブルから果物をいくつか取って、戻ってきた。
「はい、あーんして」
お腹がすいていたから、思わず食いついてしてしまった。果実が口の中に押し込まれる。
「おいしいかい? ハニー?」
「むぐっ……おぇっ」
いきなり変な風に呼ばれて、食べてたものが喉に詰まりかける。 僕の名前はアリオト。父さんが星の名前にちなんで付けてくれた大事な名前だ。
「その呼び方やめて」
「はいはい。じゃあもう一個。あーん……」
さすがに二回目は無い。ばかにすんなと口をとがらせていると。
「仕方ないなー。僕が食べさせてあげよう」
ホクトくんはぽいぽいっといくつか果物を頬張ると、今度は、がばあっと覆いかぶさってきた。
「んんー!」
さすがに殴ってしまった。いくら恩人でも今のはいかん。
「お、落ち着いてくれ! 君がちゃんとレディらしく対処できるか試しただけさ」
「だったらそっちこそ紳士らしくしてよ!」
僕は口を拭いながらホクトくんを睨む。
「怒った顔も天使みたいだ……」
鳥肌がたつ。僕はもうホクトくんから逃げたかった。
「……僕、もう行くね」
「行くって、どこに?」
「えっと、だから……お使い」
ホクトくんは後ずさる僕の腕を掴んだ。
「お使いなんかもうしなくていい! もっと良い方法がある」
ひしと抱きしめられる。
「僕のお嫁さんになればいい!」
………は?
「僕と結婚しよう!!」
そのまま長椅子に押し倒され、キスを浴びせかけられた。頬に、首に、胸に……。
「わっ、ちょっ、やめ……」
犬みたいに息荒くのしかかるホクトくんを撃退すべく、僕は思いっきり身を捩って暴れた。
「もー! やめろってば!」
僕の足はホクト君の急所を思いっきり蹴とばしてしまったみたいだ。ホクト君はソファから転げ落ちて、床にうずくまってしまった。
「あ……えと……僕は男だよ」
沈黙に耐えかねてどうでもいい発言をしてしまった。
「わかっている。わかっているさ……。だからこんなにうろたえている! ああ、神は何故、分別無き赤子のクピドに、恋の矢をお与えになったのか!」
ホクト君は陶酔したように叫ぶと、頭を抱えてうずくまってしまった。余りにイタい台詞に僕は震えた。
「ついていけないや……」
盛り上がっているホクトくんをほっといて、僕はドレスを脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと! 何をしているんだい、ハニー!?」
妙な呼び方をされたような気がするが無視する。
「こんなのうまく行くはずないよ」
「どうして! 絶対にうまくいく!」
「女装してスケスケパンツ買うなんて無理だよ。街の人に気味悪がられて終わりだよ!」
「いや……それはない。それは」
ホクトくんは僕を鏡の前に立たせた。
「見てごらん。どこからどう見ても、君は美しい娘じゃないか」
「ん?」
確かに、鏡の中の金髪の女の子は、普段の僕とは別人のように見えた。
本当に女の子みたいだった。これなら、ザクロさんのおつかいもちゃんと行けるかもしれない。
呆然として見ていたら、その顔をホクトくんがニコニコしながら覗き込んできた。
「ほら、まんざらでもない顔してる」
恥ずかしくて思わずホクトくんを突き飛ばしたら、僕の方がくらくらしてしまった。
「ああっ! 大丈夫かいハニー!」
空腹に、窮屈な服で、貧血に拍車がかかったみたい。ホクトくんが僕を抱えて、長椅子に腰掛けさせてくれた。
コルセットを外してもらうと、ようやく息ができた。ほっとしたのも束の間、コルセットなしでまたドレスを着せられる。僕は無抵抗で、されるままになる。どうせ僕はやせっぽちだし、コルセットがなくてもドレスは着れた。
「何か少し、食べないと」
ホクトくんは、テーブルから果物をいくつか取って、戻ってきた。
「はい、あーんして」
お腹がすいていたから、思わず食いついてしてしまった。果実が口の中に押し込まれる。
「おいしいかい? ハニー?」
「むぐっ……おぇっ」
いきなり変な風に呼ばれて、食べてたものが喉に詰まりかける。 僕の名前はアリオト。父さんが星の名前にちなんで付けてくれた大事な名前だ。
「その呼び方やめて」
「はいはい。じゃあもう一個。あーん……」
さすがに二回目は無い。ばかにすんなと口をとがらせていると。
「仕方ないなー。僕が食べさせてあげよう」
ホクトくんはぽいぽいっといくつか果物を頬張ると、今度は、がばあっと覆いかぶさってきた。
「んんー!」
さすがに殴ってしまった。いくら恩人でも今のはいかん。
「お、落ち着いてくれ! 君がちゃんとレディらしく対処できるか試しただけさ」
「だったらそっちこそ紳士らしくしてよ!」
僕は口を拭いながらホクトくんを睨む。
「怒った顔も天使みたいだ……」
鳥肌がたつ。僕はもうホクトくんから逃げたかった。
「……僕、もう行くね」
「行くって、どこに?」
「えっと、だから……お使い」
ホクトくんは後ずさる僕の腕を掴んだ。
「お使いなんかもうしなくていい! もっと良い方法がある」
ひしと抱きしめられる。
「僕のお嫁さんになればいい!」
………は?
「僕と結婚しよう!!」
そのまま長椅子に押し倒され、キスを浴びせかけられた。頬に、首に、胸に……。
「わっ、ちょっ、やめ……」
犬みたいに息荒くのしかかるホクトくんを撃退すべく、僕は思いっきり身を捩って暴れた。
「もー! やめろってば!」
僕の足はホクト君の急所を思いっきり蹴とばしてしまったみたいだ。ホクト君はソファから転げ落ちて、床にうずくまってしまった。
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