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7章 それは、偽りの存在~その研究者は~(1)
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一九九二年、行き詰まっていた作業がようやく軌道に乗り出した。当時、彼のチームには四人の人間しか所属していなかった。
たった二人で始まり、志願者が現れて三人になり、新人を迎え入れて四人となった。機材や資料が押し込められた部屋で黙々と続く作業には、メイン・コンピューターであるオリジナル・マザーが欠かせなかった。
彼は、利益や昇格といった内容には興味がなかった。
以前いた部署の研究が廃止された際、他に行くあても決めていなかった。彼は秘密を多く知り過ぎており、それなりの実績を抱えていた事もあって、Sランクの極秘研究が閉鎖された後も、ここに残るよう説得されていた。当時は珍しい、人工知能を持つコンピュータ・ブログラムを抱えていた事も、その理由の一つにはあったのかもしれない。
しばらくは時間をゆっくり使い、適当に好きな事を進めるといい。――彼の直属の上司は、そう助言した。そして、こうも嘆いた。
「……とはいえ、君の探究心や仕事に対する姿勢は、結局のところ、彼らの期待するような結果を出してしまうのだろうな。仕事に精を出している君の心根は、まるで軍人そのものだよ」
彼は軍人ではないし、戦争や争い事は好きではなかった。
解剖や医学が専門であった為か、以前は生物の生死に対する感情が薄くもあったが、あの研究も、結局のところは否応なしに巻き込まれたに過ぎない。彼は幼い頃から勘で物事が成功してしまう事が多く、その閃きや思考能力も買われていた。
まだ研究テーマが定まっていない間に、彼が以前から個人部屋として使っていた部屋が、第一研究室として許可された。
しばらく休暇をもらった彼は、とりあえず一つのテーマを決めてみた。科学者としては容認されないような、個人的な願望が含まれていた事もあり、書類をでっちあげて適当に申請を出した。
断られたら長期休暇でもとって、しばらくは研究から離れてやろうかとも思ったが、許可は早々に下りた。
これまで巨大な研究施設に勤め、複数の研究に足を踏み入れて時期もあったから、たった一人で研究にゆっくりと浸れる日々は穏やかだった。何故か、ドーマとかいう人物の研究資料が届いたので少し目を通してみたが、興味は湧かなかった。
しばらく、一人で『夢』というテーマを調べた後、新人の女性所員を迎え入れた。人員を増やす気はなかったが、上からあてがわれたので、彼自身に拒否権はなかった。上層部としては、上辺だけでも、ちゃんと研究チームらしく整えたかったのだろうと思われた。
具体的な研究が早急に進み始めたのは、この頃からだ。
未知の領域への糸口が見つかるたび、彼の好奇心は次第にのめり込んでいってしまった。軍のためになる研究だとでっちあげ続けた報告書が、いつか現実の物になりそうで悪寒も覚えたが、彼は自身の純粋な探究心に逆らえなかった。
というのも、彼は物心ついた頃から『夢』というものを見た事がなかった。夢も希望も、想像する意欲もなかったせいだろうか。
他人から話しを聞くたびに、いつか自分も見てみたいものだと思った。テレビや漫画などで興奮するだけでなく、自分がスーパーヒーローになって空を飛んだり、未知の世界で大冒険を繰り広げたり魔法を使えるような、そんな体験をしてみたかった。
「子供っぽい発想だと思うかい?」
ある日、唯一の部下となった新任の女性にそう訊いてみた。世界の不思議を追い求める興奮が、私を突き動かしてやまないのだ、と。
すると、彼女は柔らかく微笑んでこう言った。
「素敵だと思うわ。ロマンチックな世界を追い求めて、一体何が悪いというの?」
彼は、夢に関わる不思議な体験を収集し始めた。初めは、ほんのちょっとした出来心だった。科学では計り得ない、神秘的な可能性が楽しかった。
「あなたの『勘』とやらも、きっとそうなのじゃないかしら。私もね、不思議な体験をいくつもするのよ。恥ずかしくて他の人には教えた事がないけれど、――きっと、虫の知らせのようなものなのかしらね。私、あなたに出会う前から、こうしてここでお話をしている風景を『夢』で見た事があったのよ。研究所であなたを見掛けた時、ああ、きっと私、あの人の元へゆくのだわ、とも思ったの」
いつしか、二人は多くの時間を共有するようになった。彼女が話す『夢』は、どれも暖かくて幻想的だった。
不思議なもので『夢』にも、いくつか種類があるらしい。意識を持って夢の中を散策するもの、リアルに映像の断片だけが流れるもの、勝手にストーリーが進んで、いつの間にか目が覚めてしまうもの……すべて異なった類の夢だと、彼女は説いた。
「難しいのだけど、――そうね。視ている私は『あ、これは違うな』って感じるの。自分の記憶が作り上げた映像と、不思議な力が働いた夢は、感じるリアリティーが全く違っているのよ」
大好きな祖母が亡くなった日に見た不思議な『夢』を、彼女は彼に話し聞かせてくれた。七色に輝くダイヤの花弁を持った美しい花畑があり、光りの雫が空に向かって、いくつも吸い込まれてゆくような世界だった。そこには元気な頃の祖母が立っており、祖母は駆け寄る彼女に「夢を渡ってこんなところまで来たのね」と言ったのだそうだ。
その夢の中で、祖母は彼女に、死に抱かれる者の夢から覚めるよう助言したという。再開を喜び、そして現実を知って涙する彼女を優しく抱きとめて、静かに別れを告げた。彼女はその時に、誰かに後ろ手を掴まれて振り返ったところで、『夢』が覚めてしまったのだという。
「『死に抱かれる者の夢』……?」
「ええ、おばあ様は、そう言っていたわ。すべてが眠りにつく場所なんですって。きっと、天国と夢の境目なのかしらね。『私と同じぐらいおばあちゃんになって、もう十分だと思えるぐらいの頃に、もう一度ココで会いましょう』って、私はそう言われたのよ」
彼は、彼女の見る『夢』の世界を、共有してみたいと思い始めた。彼女に協力してもらい、彼は『夢』を人工的に作り上げる研究を本格的に進めた。
ゆっくりと流れる時間の中で、二人は、いつしか手と手を取り合って眠るようになっていた。彼は生まれて初めて、心が満ち足りるような恋を知った。眠る時も、意識すら彼女と離れてしまいたくなかった。
そんなある日、彼は、彼女の手の温もりの中で一つの『夢』を見た。
七色に輝く、ぼんやりとした眩しい空間で、彼は彼女と出会った。夢の中で、彼女は何だか少し活発的で子供っぽかったが、楽しそうに笑って、宙をふわふわと浮いたまま彼と見つめ合い、二人はまたココで合う事を約束した。
目が覚めた時、お互いの手を握りしめ合っていた。彼女は興奮隠しきれぬ様子で、「私、『夢』の中であなたを見たわ」と呟いた。
二人はまるで、視えない力に突き動かされるように研究に没頭し始めた。
彼は、これまで大事にしてきた人工知能の基盤プログラム、オリジナル・マザーを使う事にした。人工知能が発する信号が、より深く複雑に思考するよう手を加え、研究を手伝わせたのだ。
偶然にも、そこで第二の人工知能が誕生した。彼は、そのプログラムをマザー・プログラムから引き離し、『ナイトメア』という名前をつけた。
たった二人で始まり、志願者が現れて三人になり、新人を迎え入れて四人となった。機材や資料が押し込められた部屋で黙々と続く作業には、メイン・コンピューターであるオリジナル・マザーが欠かせなかった。
彼は、利益や昇格といった内容には興味がなかった。
以前いた部署の研究が廃止された際、他に行くあても決めていなかった。彼は秘密を多く知り過ぎており、それなりの実績を抱えていた事もあって、Sランクの極秘研究が閉鎖された後も、ここに残るよう説得されていた。当時は珍しい、人工知能を持つコンピュータ・ブログラムを抱えていた事も、その理由の一つにはあったのかもしれない。
しばらくは時間をゆっくり使い、適当に好きな事を進めるといい。――彼の直属の上司は、そう助言した。そして、こうも嘆いた。
「……とはいえ、君の探究心や仕事に対する姿勢は、結局のところ、彼らの期待するような結果を出してしまうのだろうな。仕事に精を出している君の心根は、まるで軍人そのものだよ」
彼は軍人ではないし、戦争や争い事は好きではなかった。
解剖や医学が専門であった為か、以前は生物の生死に対する感情が薄くもあったが、あの研究も、結局のところは否応なしに巻き込まれたに過ぎない。彼は幼い頃から勘で物事が成功してしまう事が多く、その閃きや思考能力も買われていた。
まだ研究テーマが定まっていない間に、彼が以前から個人部屋として使っていた部屋が、第一研究室として許可された。
しばらく休暇をもらった彼は、とりあえず一つのテーマを決めてみた。科学者としては容認されないような、個人的な願望が含まれていた事もあり、書類をでっちあげて適当に申請を出した。
断られたら長期休暇でもとって、しばらくは研究から離れてやろうかとも思ったが、許可は早々に下りた。
これまで巨大な研究施設に勤め、複数の研究に足を踏み入れて時期もあったから、たった一人で研究にゆっくりと浸れる日々は穏やかだった。何故か、ドーマとかいう人物の研究資料が届いたので少し目を通してみたが、興味は湧かなかった。
しばらく、一人で『夢』というテーマを調べた後、新人の女性所員を迎え入れた。人員を増やす気はなかったが、上からあてがわれたので、彼自身に拒否権はなかった。上層部としては、上辺だけでも、ちゃんと研究チームらしく整えたかったのだろうと思われた。
具体的な研究が早急に進み始めたのは、この頃からだ。
未知の領域への糸口が見つかるたび、彼の好奇心は次第にのめり込んでいってしまった。軍のためになる研究だとでっちあげ続けた報告書が、いつか現実の物になりそうで悪寒も覚えたが、彼は自身の純粋な探究心に逆らえなかった。
というのも、彼は物心ついた頃から『夢』というものを見た事がなかった。夢も希望も、想像する意欲もなかったせいだろうか。
他人から話しを聞くたびに、いつか自分も見てみたいものだと思った。テレビや漫画などで興奮するだけでなく、自分がスーパーヒーローになって空を飛んだり、未知の世界で大冒険を繰り広げたり魔法を使えるような、そんな体験をしてみたかった。
「子供っぽい発想だと思うかい?」
ある日、唯一の部下となった新任の女性にそう訊いてみた。世界の不思議を追い求める興奮が、私を突き動かしてやまないのだ、と。
すると、彼女は柔らかく微笑んでこう言った。
「素敵だと思うわ。ロマンチックな世界を追い求めて、一体何が悪いというの?」
彼は、夢に関わる不思議な体験を収集し始めた。初めは、ほんのちょっとした出来心だった。科学では計り得ない、神秘的な可能性が楽しかった。
「あなたの『勘』とやらも、きっとそうなのじゃないかしら。私もね、不思議な体験をいくつもするのよ。恥ずかしくて他の人には教えた事がないけれど、――きっと、虫の知らせのようなものなのかしらね。私、あなたに出会う前から、こうしてここでお話をしている風景を『夢』で見た事があったのよ。研究所であなたを見掛けた時、ああ、きっと私、あの人の元へゆくのだわ、とも思ったの」
いつしか、二人は多くの時間を共有するようになった。彼女が話す『夢』は、どれも暖かくて幻想的だった。
不思議なもので『夢』にも、いくつか種類があるらしい。意識を持って夢の中を散策するもの、リアルに映像の断片だけが流れるもの、勝手にストーリーが進んで、いつの間にか目が覚めてしまうもの……すべて異なった類の夢だと、彼女は説いた。
「難しいのだけど、――そうね。視ている私は『あ、これは違うな』って感じるの。自分の記憶が作り上げた映像と、不思議な力が働いた夢は、感じるリアリティーが全く違っているのよ」
大好きな祖母が亡くなった日に見た不思議な『夢』を、彼女は彼に話し聞かせてくれた。七色に輝くダイヤの花弁を持った美しい花畑があり、光りの雫が空に向かって、いくつも吸い込まれてゆくような世界だった。そこには元気な頃の祖母が立っており、祖母は駆け寄る彼女に「夢を渡ってこんなところまで来たのね」と言ったのだそうだ。
その夢の中で、祖母は彼女に、死に抱かれる者の夢から覚めるよう助言したという。再開を喜び、そして現実を知って涙する彼女を優しく抱きとめて、静かに別れを告げた。彼女はその時に、誰かに後ろ手を掴まれて振り返ったところで、『夢』が覚めてしまったのだという。
「『死に抱かれる者の夢』……?」
「ええ、おばあ様は、そう言っていたわ。すべてが眠りにつく場所なんですって。きっと、天国と夢の境目なのかしらね。『私と同じぐらいおばあちゃんになって、もう十分だと思えるぐらいの頃に、もう一度ココで会いましょう』って、私はそう言われたのよ」
彼は、彼女の見る『夢』の世界を、共有してみたいと思い始めた。彼女に協力してもらい、彼は『夢』を人工的に作り上げる研究を本格的に進めた。
ゆっくりと流れる時間の中で、二人は、いつしか手と手を取り合って眠るようになっていた。彼は生まれて初めて、心が満ち足りるような恋を知った。眠る時も、意識すら彼女と離れてしまいたくなかった。
そんなある日、彼は、彼女の手の温もりの中で一つの『夢』を見た。
七色に輝く、ぼんやりとした眩しい空間で、彼は彼女と出会った。夢の中で、彼女は何だか少し活発的で子供っぽかったが、楽しそうに笑って、宙をふわふわと浮いたまま彼と見つめ合い、二人はまたココで合う事を約束した。
目が覚めた時、お互いの手を握りしめ合っていた。彼女は興奮隠しきれぬ様子で、「私、『夢』の中であなたを見たわ」と呟いた。
二人はまるで、視えない力に突き動かされるように研究に没頭し始めた。
彼は、これまで大事にしてきた人工知能の基盤プログラム、オリジナル・マザーを使う事にした。人工知能が発する信号が、より深く複雑に思考するよう手を加え、研究を手伝わせたのだ。
偶然にも、そこで第二の人工知能が誕生した。彼は、そのプログラムをマザー・プログラムから引き離し、『ナイトメア』という名前をつけた。
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