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9章 旅は新たなステージへ(2)
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「バイクの免許を持ってるんだろ。運転もバッチリ出来てんじゃねぇか」
「そういう問題じゃねぇよ。お前が先にそっちの方に乗るから、俺が自然と運転席に座っちゃったんだよッ」
「運転には問題ないって話だろ? なら問題ないじゃねぇか、引き続きさくっと走らせろ」
エルは舌打ちした。振り落としてやろうかとも思ったが、彼が抱えるボストンバックの中で、気持ち良さそうに眠っているクロエを想うと、行動には移せなかった。
少し先を走っていたスウェンとセイジが、気遣うようにこちらを振り返り、愛想良く手を振った。
現状、四人はノーヘルであり、一台も車のない国道で信号指示などお構いなしに走り続けていた。どこから突っ込んでいいのか分からず、エルは引き攣った愛想笑いで、二人に応えた。
サイドカーでログが頭の後ろに手を置き、欠伸を一つもらした。
「俺だってな、ちょっとは疲れてんだよ。気を利かせて少しは休ませろ」
「お前は、スウェンを見習うべきだ」
エルは反論したが、運転は安全に続けた。ログが持つ破壊の力が、体力や精神力を消費するらしい事については、少し配慮してやっているつもりだった。
「――慣れてるな」
唐突に、ログがそうぼやいた。風が耳元を切る音が大きい為、エルは「なに?」と声を荒上げて訊き返した。
「ハーレーの運転だよ。普通、お前ぐらいのガキなら、運転しないような代物だろ」
「俺はガキじゃない――まぁ、オジサンがハーレーを持っていたから、免許取った後に運転させてもらったんだよ。オジサンの移動手段って、あの頃にはハーレーだけだったから」
「ずいぶん良い趣味した『おじさん』じゃねぇか」
そう指摘されて、エルは少し考えた。
親族の人は彼を嫌っていたようだけれど、エルは、オジサンが大好きだった。彼を褒められるのは素直に嬉しくて、エルは「うん」とはにかんだ。
バイクを走らせながら、エルはオジサンとの思い出を振り返り、ログにちらりと語った。
「オジサンは、すごく良い人だったよ。使い古しの道具も、全部大事にする人だったよ。新しい物は、なかなか買わない人だったなぁ」
冷蔵庫やテーブルや箪笥など、あの家にあったものは、ほとんどが年代物だった。早くに亡くなった妻との思い出を、薄れさせたくないような一面もあった気がする。
車庫に入っていた動かない車も、結局は彼が死ぬまで廃車される事はなかった。妻と、いつも二人で乗っていたアメリカ製の軽自動車だ、とオジサンは語っていた。
エルは、珍しくよく喋るログに不信感を覚えた。
言葉が聞き取りにくい状況の中で話しかけられても、余計苛々するだけだ。隣のログを盗み見ると、彼は向こうの車道を向いていた。預かったボストンバッグの外側から、丸くなっているクロエの背中を、軽くあやしている。
「おい。お前、俺に何か言いたい事でもあるの?」
エルは先手を打ってそう尋ねたが、ログから返事はなかった。
自分で喋りたい時に喋り、楽をしたい時は小さい人間にバイクの運転すら押し付ける横暴振りに呆れて、エルは正面へと向き直りつつ、思わず口の中で悪態を吐いた。
「くっそ、マジで振り落としてやりてぇッ」
二台のハーレーの純正サイドカーは、一本道の大通りを、ひたすら真っ直ぐ走り続けた。
エルも苛立ちを忘れ、衣服や髪が潮風にバタバタと音を立てる様子を、しばし楽しんでしまった。途中、スウェンが蛇行運転でセイジを楽しませるというパフォーマンスを行い、それを見たログが「お前もやれ」とエル言ったが、エルは「黙ってろ」と一刀両断した。
数十分後、次のエリアへの接合地点へ辿り着いたらしく、スウェンがバイクを減速し始めた。
エルもバイクを停められるようギアを操り、ゆるやかな減速を始めたのだが、不意にログが「おい」と声を掛けた。
「お前、大丈夫なのか」
「何が」
「うちは男ばっかりだからな。下着の替えとか女の事情だとか、そういう細かい事には力になれねぇぞ」
途端に、エルは半ば急ブレーキでバイクを停めてしまった。
サイドカーのログを振り返ったが、彼は反対方向へと首を傾けており、こちらからは後頭部しか見えなかった。
「――びっくりした。お前、いつから気付いてたの」
「始めは薄々だったが、確信を得ちまう事があってな」
ログは顰め面のまま言い、ボストンバッグを片手に抱えて立ち上がった。ちらりと小声で、普通上に乗っかられたら気付くだろ、と呟いたような気がした。
エルが「何か言った?」と尋ね返すよりも早く、ログが口を開いた。
「とにかく、普通だったら分かるだろ。身体の線だって、考えてみりゃあ男のものとは全然違う」
「ふうん? そんなものかな」
バイクを降りたエルは、ログから、クロエの入ったボストンバッグを受け取った。
クロエは、エルの腰元にボストンバッグが落ち着いたのを確認すると、満足げに再びボストンバックの中で丸くなった。
「俺、隠しているつもりはないんだ」
エルはログの視線を感じ、答えながら足元に目を落として、ぽつりぽつりと答えた。
「いつからなのか覚えてないけど、喋り方だって気付いたらこうなってたし、勝手に勘違いされる事も多くて。訂正するのも面倒だし、都合を考えら、それでもいいかなとも思えて。そもそも、俺は女の子って柄じゃないし、そういうのは似合わないから」
エルにも、テディ・ベアが欲しかった時期はあったが、今では実感も薄くなっていた。父を保育園まで迎えに行った時の事や、母親とお揃いのワンピースを着て町を散歩した事も、今では、全てが自分の事じゃないように思える。
いつからかは覚えていない。長い髪に憧れがなくなって、唐突に違和感を覚えてしまい、オジサンに切ってよと頼んだのだ。喧嘩だってした事がなかったのに、オジサンの家で怪我が癒えてからは、ずっと走り回ってもいた。
思えば、幼い頃はもっと女の子らしかった気がするが……両親との暮らしについては、あまり記憶にないので比べようもなかった。
すると、ログが、やや拍子抜けした顔をした。
「なんだ。無理してる訳じゃねぇのか」
「無理はしてないよ。こっちが素なんだけど、何か問題でもあるの?」
「――いや、特にねぇな。お前はまだガキだし。多分、問題ねぇんだろうな」
難しい事は俺も分からねぇ、とログが問題を放り投げるように言って歩き出した。
スウェンとセイジは、既にバイクを降りて合流地点で二人を待っていた。エルとログが追いつくと、スウェンが不思議そうに「何を話していたの」と訊いた。
エルは、ここぞとばかりにスウェンに愚痴った。
「こいつ、信じられねぇ。俺に運転手させやがった」
「あはは、疲れていたみたいだからねぇ。そこは少し協力して頂けると助かるかな」
「おい、俺はそんなに疲れてねぇぞ」
隣からログが張り合った。
「そういう問題じゃねぇよ。お前が先にそっちの方に乗るから、俺が自然と運転席に座っちゃったんだよッ」
「運転には問題ないって話だろ? なら問題ないじゃねぇか、引き続きさくっと走らせろ」
エルは舌打ちした。振り落としてやろうかとも思ったが、彼が抱えるボストンバックの中で、気持ち良さそうに眠っているクロエを想うと、行動には移せなかった。
少し先を走っていたスウェンとセイジが、気遣うようにこちらを振り返り、愛想良く手を振った。
現状、四人はノーヘルであり、一台も車のない国道で信号指示などお構いなしに走り続けていた。どこから突っ込んでいいのか分からず、エルは引き攣った愛想笑いで、二人に応えた。
サイドカーでログが頭の後ろに手を置き、欠伸を一つもらした。
「俺だってな、ちょっとは疲れてんだよ。気を利かせて少しは休ませろ」
「お前は、スウェンを見習うべきだ」
エルは反論したが、運転は安全に続けた。ログが持つ破壊の力が、体力や精神力を消費するらしい事については、少し配慮してやっているつもりだった。
「――慣れてるな」
唐突に、ログがそうぼやいた。風が耳元を切る音が大きい為、エルは「なに?」と声を荒上げて訊き返した。
「ハーレーの運転だよ。普通、お前ぐらいのガキなら、運転しないような代物だろ」
「俺はガキじゃない――まぁ、オジサンがハーレーを持っていたから、免許取った後に運転させてもらったんだよ。オジサンの移動手段って、あの頃にはハーレーだけだったから」
「ずいぶん良い趣味した『おじさん』じゃねぇか」
そう指摘されて、エルは少し考えた。
親族の人は彼を嫌っていたようだけれど、エルは、オジサンが大好きだった。彼を褒められるのは素直に嬉しくて、エルは「うん」とはにかんだ。
バイクを走らせながら、エルはオジサンとの思い出を振り返り、ログにちらりと語った。
「オジサンは、すごく良い人だったよ。使い古しの道具も、全部大事にする人だったよ。新しい物は、なかなか買わない人だったなぁ」
冷蔵庫やテーブルや箪笥など、あの家にあったものは、ほとんどが年代物だった。早くに亡くなった妻との思い出を、薄れさせたくないような一面もあった気がする。
車庫に入っていた動かない車も、結局は彼が死ぬまで廃車される事はなかった。妻と、いつも二人で乗っていたアメリカ製の軽自動車だ、とオジサンは語っていた。
エルは、珍しくよく喋るログに不信感を覚えた。
言葉が聞き取りにくい状況の中で話しかけられても、余計苛々するだけだ。隣のログを盗み見ると、彼は向こうの車道を向いていた。預かったボストンバッグの外側から、丸くなっているクロエの背中を、軽くあやしている。
「おい。お前、俺に何か言いたい事でもあるの?」
エルは先手を打ってそう尋ねたが、ログから返事はなかった。
自分で喋りたい時に喋り、楽をしたい時は小さい人間にバイクの運転すら押し付ける横暴振りに呆れて、エルは正面へと向き直りつつ、思わず口の中で悪態を吐いた。
「くっそ、マジで振り落としてやりてぇッ」
二台のハーレーの純正サイドカーは、一本道の大通りを、ひたすら真っ直ぐ走り続けた。
エルも苛立ちを忘れ、衣服や髪が潮風にバタバタと音を立てる様子を、しばし楽しんでしまった。途中、スウェンが蛇行運転でセイジを楽しませるというパフォーマンスを行い、それを見たログが「お前もやれ」とエル言ったが、エルは「黙ってろ」と一刀両断した。
数十分後、次のエリアへの接合地点へ辿り着いたらしく、スウェンがバイクを減速し始めた。
エルもバイクを停められるようギアを操り、ゆるやかな減速を始めたのだが、不意にログが「おい」と声を掛けた。
「お前、大丈夫なのか」
「何が」
「うちは男ばっかりだからな。下着の替えとか女の事情だとか、そういう細かい事には力になれねぇぞ」
途端に、エルは半ば急ブレーキでバイクを停めてしまった。
サイドカーのログを振り返ったが、彼は反対方向へと首を傾けており、こちらからは後頭部しか見えなかった。
「――びっくりした。お前、いつから気付いてたの」
「始めは薄々だったが、確信を得ちまう事があってな」
ログは顰め面のまま言い、ボストンバッグを片手に抱えて立ち上がった。ちらりと小声で、普通上に乗っかられたら気付くだろ、と呟いたような気がした。
エルが「何か言った?」と尋ね返すよりも早く、ログが口を開いた。
「とにかく、普通だったら分かるだろ。身体の線だって、考えてみりゃあ男のものとは全然違う」
「ふうん? そんなものかな」
バイクを降りたエルは、ログから、クロエの入ったボストンバッグを受け取った。
クロエは、エルの腰元にボストンバッグが落ち着いたのを確認すると、満足げに再びボストンバックの中で丸くなった。
「俺、隠しているつもりはないんだ」
エルはログの視線を感じ、答えながら足元に目を落として、ぽつりぽつりと答えた。
「いつからなのか覚えてないけど、喋り方だって気付いたらこうなってたし、勝手に勘違いされる事も多くて。訂正するのも面倒だし、都合を考えら、それでもいいかなとも思えて。そもそも、俺は女の子って柄じゃないし、そういうのは似合わないから」
エルにも、テディ・ベアが欲しかった時期はあったが、今では実感も薄くなっていた。父を保育園まで迎えに行った時の事や、母親とお揃いのワンピースを着て町を散歩した事も、今では、全てが自分の事じゃないように思える。
いつからかは覚えていない。長い髪に憧れがなくなって、唐突に違和感を覚えてしまい、オジサンに切ってよと頼んだのだ。喧嘩だってした事がなかったのに、オジサンの家で怪我が癒えてからは、ずっと走り回ってもいた。
思えば、幼い頃はもっと女の子らしかった気がするが……両親との暮らしについては、あまり記憶にないので比べようもなかった。
すると、ログが、やや拍子抜けした顔をした。
「なんだ。無理してる訳じゃねぇのか」
「無理はしてないよ。こっちが素なんだけど、何か問題でもあるの?」
「――いや、特にねぇな。お前はまだガキだし。多分、問題ねぇんだろうな」
難しい事は俺も分からねぇ、とログが問題を放り投げるように言って歩き出した。
スウェンとセイジは、既にバイクを降りて合流地点で二人を待っていた。エルとログが追いつくと、スウェンが不思議そうに「何を話していたの」と訊いた。
エルは、ここぞとばかりにスウェンに愚痴った。
「こいつ、信じられねぇ。俺に運転手させやがった」
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