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10章 夢人と宿主~そしてエル達~(4)
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鼠男達は、三人の軍人を追いかけるのに忙しいのかもしれない。
無人の工場に入ってすぐの場所で座り込んだエルは。そう考えながら膝を引き寄せて、少しでも身体を休めるべく目を閉じた。
軍が追っているマルクという科学者の命令で、この世界のセキュリティーの一部が動いているとしたのなら、鼠男が見も知らぬエルへ執着しないのは肯ける。
「……でも俺、詳しくは知らないから、大まかな予想しか立てられないんだけど」
エルは目を閉じたまま、乱れた呼吸を整え、弱々しく工場内に吹きこむ風に身体の熱が冷まってくれるのを待った。
目を閉じていると、思考が勝手に回り始めた。仮想空間に入ってからの時間が、エルの中で走馬燈のように過ぎていく。
エリスの支配は完全ではないのから、まだ大丈夫だろう。各エリアには、それぞれ『宿主』が存在している。
彼らの世界を完全に支配する事など、現状の『エリス・プログラム』には無理だろう。その身一つで突破するには、あまりに難しいが、でも、やらねばならない。約束された、結末を迎える為に……
不意に、エルは目を見開いた。
一体何の話だろう。俺は、今、何を考えていた?
思考していたはずの事が、途端におぼろげになった。鈍い眩暈を覚え、一瞬、目の奥を刺すような頭痛に顔を顰める。
エルの脳裏に、見覚えのない記憶がフラッシュバックした。セピア色の映像が、色彩を鮮明に蘇らせ、エルの目の奥でちらついた。
蘇った記憶の中で、懐かしい古い家の戸が見えた。戸の前には、見知らぬ小さな革靴を履いた子共の足がある。子共は、左足に包帯を巻いていた。開いた戸には、サンダルを履いた大きな男の足がある。
それは、見慣れたオジサンの足だとは分かった。視点は下に向けられたままで、動かない子共の前に一歩、サンダルを履いた男の足が踏み寄った。
チリン、と鈴の音が木霊した。
小さな子共の足元を、毛並みの良い若々しい一匹の美しい黒猫が通り過ぎる。傍らに白衣の裾が覗き、脇から飛び出して来たらしい犬が、目の前を走り去る……
映像は、そこでプツリと途切れてしまった。五感が急速に元の時間軸へと引き戻され、エルは強い吐き気を覚えた。
気付けば、年老いたクロエが、心配そうにエルを見つめていた。
地面についたエルの手に、クロエがその身をすり寄せた。エルは吐き気を抑え込みながら、クロエの頭を撫で「大丈夫だよ」と声を掛けた。
先程フラッシュバックした映像は、恐らくオジサンと出会った、一番古い頃の記憶だろうと推測出来た。エルは、オジサンとの出会いを覚えていないのだ。気付いた時には一緒に寝起きし、クロエとポタロウが側にいたのである。
その時、不意に、一つの物音がエルの耳に飛び込んで来た。
研ぎ澄まされた緊張感が、工場内に別の人間の気配を敏感に察知した。エルは、反射的に体勢を整えると、警戒の声を発した。
「誰だッ」
すると、工場の奥から、恐る恐るこちらへ近づいて来ていた一人の少年が、驚いたように足を止めた。
「お、俺は、その、君に危害を加えるような人じゃないよ、本当だよ。だから、怖い顔しないでよ」
少年は十六、七歳ぐらいで、皺だらけの白いシャツに黒いスラックスのズボン、上には紺色のスーツという格好をしていた。おしゃれなカフェか、バーの見習い店員のようにも見える。
癖っ毛のくすんだ砂色の髪、身体の線は少し細い。頼りなさそうな臆病さが、震える足元や下がった目尻から見て取れて、顔はこれといった特徴がなく目鼻立ちも薄かった。
「そ、その、体調が良くないのかと思って、心配で……」
少年は、半ば目尻に涙を浮かべてそう言った。まるで、蛇に睨まれた仔兎のようだ。
彼は一歩前進したが、エルに警戒されたと遅れて実感したのか、鼻をぐすぐすやりながら胸の前で両手を組み「ほんとだよ、全然敵意はないんだよ」と涙声で必死に続けて来た。
ホテルマンとは違った意味で、面倒そうなタイプだ。
エルは心の中で呟いたが、何故か、特に目立った要素もないその少年に目が引かれてもいた。他のエキストラとは、どこか違うように感じたのだ。少年がまとう空気の密度は、このエリアに来て出会ったどの人間よりも、人間らしく思えた。
どうやら彼に敵意はないらしい。エルは一旦、殺気を抑える事にした。
「――ごめん、俺は平気だよ。走って来たから、少し休んでいただけなんだ」
エルがそう告げると、少年は、恐る恐るこちらに近づきながら「本当に?」と訊いた。
彼は、毛繕いを始めたクロエも気になったようだった。鳶色の瞳を、エルとクロエへ往復させた後、遠慮がちに口を開いた。
「……この子、君の猫?」
「うん。クロエって言うんだ」
「へぇ、可愛いね。ちょっと触ってもいいかい?」
エルが肯くと、少年はクロエの前にしゃがみ込んだ。彼は、躊躇しつつ彼女の頭をそっと撫でたが、すぐに手を引っ込めてしまう。
クロエは、害のない人間には爪を立てたりしない猫だ。少年の涙を止める為か、エルが声を掛ける前に、一役買う事にしたらしいクロエが、エルに一度目配せし、手をひっこめた少年の膝に己の頭をすり寄せて「ニャーン」と可愛らしい声で鳴いた。
少年は感激したのか、クロエの頭を撫で、続いて背中も撫でて幸せそうに表情を綻ばせた。
エルは、近い距離から少年を改めて観察した。背丈は、エルよりも頭一個半ぐらいは高い。外国人風なので、年齢的にはもっと若い可能性はあるが、とりあえず自分よりは年下ぐらいだろうと考えた。
クロエと親睦を深めた少年は、すっかり警戒心を解いてくれたようだった。彼は、思い出したように怯えた目で外を見やったが、異変のない様子を確認すると、ほっと胸を撫で下ろした。
「君も、誰かに追われたの?」
「え? どうして俺が誰かに追われたと思ったの?」
エルが驚いて尋ね返すと、少年が、困ったように言い躊躇った。
「俺、変な奴らに追われているんだ。鼠の顔した奴らなんだけど……」
エルは、しばし返す言葉に困った。
自分が置かれている状況を改めて頭の中で整理し、先程の出来事について順を追って思い出した後、思わず「はぁ?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。
そんな馬鹿な、と思う。だって、あれはセキュリティーのはずで……?
すると、少年はエルの反応をどう受け取ったのか、途端に「当然な反応だと思うよ。誰も信じてくれなかったし」と気落ちした様子で、エルの隣に腰を降ろし、膝を抱えて話し始めた。
「……突然だったんだ。あいつらが出て来て、怖い顔で俺の事を追い駆けて来たんだ。街の人達が奴らと入れ変わって、もう滅茶苦茶なんだ。あいつら、掴まえて俺を取って食うつもりなんだよ。俺、何も――ぐすッ――何も悪い事してないのに」
少年は泣き出したが、しばらくすると、咄嗟に青ざめた顔で外を振り返った。敏感に何かを察知した顔だった。
違和感や殺気は覚えなかったものの、エルは少年の反応が気になって、腰を屈めつつ彼が向ける視線の先へと目をやった。
桑を背負った麦わら帽子の老人が、片足を引きずりながら、工場の駐車場となっている砂利を歩いて来た。彼は工場には目もくれず、駐車場の奥まで進んだところで、腰に巻いていた布を地面に敷いた。
無人の工場に入ってすぐの場所で座り込んだエルは。そう考えながら膝を引き寄せて、少しでも身体を休めるべく目を閉じた。
軍が追っているマルクという科学者の命令で、この世界のセキュリティーの一部が動いているとしたのなら、鼠男が見も知らぬエルへ執着しないのは肯ける。
「……でも俺、詳しくは知らないから、大まかな予想しか立てられないんだけど」
エルは目を閉じたまま、乱れた呼吸を整え、弱々しく工場内に吹きこむ風に身体の熱が冷まってくれるのを待った。
目を閉じていると、思考が勝手に回り始めた。仮想空間に入ってからの時間が、エルの中で走馬燈のように過ぎていく。
エリスの支配は完全ではないのから、まだ大丈夫だろう。各エリアには、それぞれ『宿主』が存在している。
彼らの世界を完全に支配する事など、現状の『エリス・プログラム』には無理だろう。その身一つで突破するには、あまりに難しいが、でも、やらねばならない。約束された、結末を迎える為に……
不意に、エルは目を見開いた。
一体何の話だろう。俺は、今、何を考えていた?
思考していたはずの事が、途端におぼろげになった。鈍い眩暈を覚え、一瞬、目の奥を刺すような頭痛に顔を顰める。
エルの脳裏に、見覚えのない記憶がフラッシュバックした。セピア色の映像が、色彩を鮮明に蘇らせ、エルの目の奥でちらついた。
蘇った記憶の中で、懐かしい古い家の戸が見えた。戸の前には、見知らぬ小さな革靴を履いた子共の足がある。子共は、左足に包帯を巻いていた。開いた戸には、サンダルを履いた大きな男の足がある。
それは、見慣れたオジサンの足だとは分かった。視点は下に向けられたままで、動かない子共の前に一歩、サンダルを履いた男の足が踏み寄った。
チリン、と鈴の音が木霊した。
小さな子共の足元を、毛並みの良い若々しい一匹の美しい黒猫が通り過ぎる。傍らに白衣の裾が覗き、脇から飛び出して来たらしい犬が、目の前を走り去る……
映像は、そこでプツリと途切れてしまった。五感が急速に元の時間軸へと引き戻され、エルは強い吐き気を覚えた。
気付けば、年老いたクロエが、心配そうにエルを見つめていた。
地面についたエルの手に、クロエがその身をすり寄せた。エルは吐き気を抑え込みながら、クロエの頭を撫で「大丈夫だよ」と声を掛けた。
先程フラッシュバックした映像は、恐らくオジサンと出会った、一番古い頃の記憶だろうと推測出来た。エルは、オジサンとの出会いを覚えていないのだ。気付いた時には一緒に寝起きし、クロエとポタロウが側にいたのである。
その時、不意に、一つの物音がエルの耳に飛び込んで来た。
研ぎ澄まされた緊張感が、工場内に別の人間の気配を敏感に察知した。エルは、反射的に体勢を整えると、警戒の声を発した。
「誰だッ」
すると、工場の奥から、恐る恐るこちらへ近づいて来ていた一人の少年が、驚いたように足を止めた。
「お、俺は、その、君に危害を加えるような人じゃないよ、本当だよ。だから、怖い顔しないでよ」
少年は十六、七歳ぐらいで、皺だらけの白いシャツに黒いスラックスのズボン、上には紺色のスーツという格好をしていた。おしゃれなカフェか、バーの見習い店員のようにも見える。
癖っ毛のくすんだ砂色の髪、身体の線は少し細い。頼りなさそうな臆病さが、震える足元や下がった目尻から見て取れて、顔はこれといった特徴がなく目鼻立ちも薄かった。
「そ、その、体調が良くないのかと思って、心配で……」
少年は、半ば目尻に涙を浮かべてそう言った。まるで、蛇に睨まれた仔兎のようだ。
彼は一歩前進したが、エルに警戒されたと遅れて実感したのか、鼻をぐすぐすやりながら胸の前で両手を組み「ほんとだよ、全然敵意はないんだよ」と涙声で必死に続けて来た。
ホテルマンとは違った意味で、面倒そうなタイプだ。
エルは心の中で呟いたが、何故か、特に目立った要素もないその少年に目が引かれてもいた。他のエキストラとは、どこか違うように感じたのだ。少年がまとう空気の密度は、このエリアに来て出会ったどの人間よりも、人間らしく思えた。
どうやら彼に敵意はないらしい。エルは一旦、殺気を抑える事にした。
「――ごめん、俺は平気だよ。走って来たから、少し休んでいただけなんだ」
エルがそう告げると、少年は、恐る恐るこちらに近づきながら「本当に?」と訊いた。
彼は、毛繕いを始めたクロエも気になったようだった。鳶色の瞳を、エルとクロエへ往復させた後、遠慮がちに口を開いた。
「……この子、君の猫?」
「うん。クロエって言うんだ」
「へぇ、可愛いね。ちょっと触ってもいいかい?」
エルが肯くと、少年はクロエの前にしゃがみ込んだ。彼は、躊躇しつつ彼女の頭をそっと撫でたが、すぐに手を引っ込めてしまう。
クロエは、害のない人間には爪を立てたりしない猫だ。少年の涙を止める為か、エルが声を掛ける前に、一役買う事にしたらしいクロエが、エルに一度目配せし、手をひっこめた少年の膝に己の頭をすり寄せて「ニャーン」と可愛らしい声で鳴いた。
少年は感激したのか、クロエの頭を撫で、続いて背中も撫でて幸せそうに表情を綻ばせた。
エルは、近い距離から少年を改めて観察した。背丈は、エルよりも頭一個半ぐらいは高い。外国人風なので、年齢的にはもっと若い可能性はあるが、とりあえず自分よりは年下ぐらいだろうと考えた。
クロエと親睦を深めた少年は、すっかり警戒心を解いてくれたようだった。彼は、思い出したように怯えた目で外を見やったが、異変のない様子を確認すると、ほっと胸を撫で下ろした。
「君も、誰かに追われたの?」
「え? どうして俺が誰かに追われたと思ったの?」
エルが驚いて尋ね返すと、少年が、困ったように言い躊躇った。
「俺、変な奴らに追われているんだ。鼠の顔した奴らなんだけど……」
エルは、しばし返す言葉に困った。
自分が置かれている状況を改めて頭の中で整理し、先程の出来事について順を追って思い出した後、思わず「はぁ?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。
そんな馬鹿な、と思う。だって、あれはセキュリティーのはずで……?
すると、少年はエルの反応をどう受け取ったのか、途端に「当然な反応だと思うよ。誰も信じてくれなかったし」と気落ちした様子で、エルの隣に腰を降ろし、膝を抱えて話し始めた。
「……突然だったんだ。あいつらが出て来て、怖い顔で俺の事を追い駆けて来たんだ。街の人達が奴らと入れ変わって、もう滅茶苦茶なんだ。あいつら、掴まえて俺を取って食うつもりなんだよ。俺、何も――ぐすッ――何も悪い事してないのに」
少年は泣き出したが、しばらくすると、咄嗟に青ざめた顔で外を振り返った。敏感に何かを察知した顔だった。
違和感や殺気は覚えなかったものの、エルは少年の反応が気になって、腰を屈めつつ彼が向ける視線の先へと目をやった。
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