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16章 白い大地の駅(5)
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大きなベッドで四人一緒に寝た時も、スウェンは、エルが猫に語り聞かせていた独り言をハッキリと耳にしていた。一人と一匹の間で交わされるやりとりを、聞き逃しているメンバーは、もう一人もいないのだという事を、エルだけが知らないでいる。
ああやって気取らない顔をして微笑んでいる時、彼女がより一層幼く見えてしまう事を、彼女自身気付いていないのだろう。その時だけ、スウェンには、気配も完全に少年だったエルが、ただ一人の少女に戻ったようにも見えた。
猫に話しかけたところで、言葉が返ってくる訳でもない。
それでも、エルは、心から楽しそうに猫に話し聞かせるのだ。こちらが気付かない振りをしている間に、自分が感じた事、思った事を素直に口に出来る相手は、いつも猫のりクロエだけだった。
「……猫じゃなくて、僕らに話しかけてくれればいいのに」
きっと、何だって答えてやるだろう。スウェン達は、エルよりも長く生きて来たのだから、空の色の青さの不思議や、眼下で煌めく広大な海の美しさ、風の心地良さや、共感出来る全てを、多く話してやれるだろう。
些細な事だって構いやしないのだ。
例えば、エルが「雨が降りそうだ」と言えば、こちらは「そうかもしれないね」と、人の言葉で応えてあげられる。セイジなら、風の中に含まれる湿度に鼻をきかせ、経験から別の言葉を引き出すかもしれない。ログならきっと、動物的な勘で、自分が判断した結果を口にするだろう。
「別れが待っている確率が大きいと仮定したとしても、今、貴方様が口にした願いは、変わらないでしょうか」
不意に、ホテルマンが言葉を紡いだ。
スウェンは、ざわりと胸騒ぎを覚え、ホテルマンの横顔を睨み付け、考えるまでもなく「どういう意味だい?」と威嚇のような声を上げていた。
別れという言葉を聞いて冷静でいられず、スウェンは思わず、普段の猫を破り捨てて高圧的に低く問い掛けた。
「それは、どういう意味かな?」
声にハッキリと棘を含ませたが、ホテルマンは、相変わらず涼しげな横顔でエルの方を見つめていた。
「『親切なお客様』、貴方様は利口で賢い方だ。周りの人間から恐れられ、怨まれようが、貴方様は部下を守り、多くの他者を犠牲に戦場を勝ち抜ける頭脳と、強い心を持った素晴らしい指揮官です。戦地に置いては、余計な心配事は抱え込まない方が懸命である事は、貴方様が一番ご存知のはずでしょう」
何故知っているのだ、とスウェンは殺気を向けた。
普通の人間であれば気圧される視線をあてられても、ホテルマンは眉一つ動かさず、淡々と言葉を続けた。ログとセイジは、隊長であるスウェンのやりとりを邪魔しないよう待機していたが、僅かな変化も見逃さないよう、ホテルマンの横顔を見据えていた。
「彼女だって、そうなのです。あの子は、本物の戦場は知らなくとも、その余計な考えが戦いにおいては不利になる事を知っている。暗黙の間に、貴方達はお互いが、それを了承されていたはずでは?」
そこで、ホテルマンが確認するように、くるりと首だけでスウェンを振り返った。
スウェンは、痛い所を突かれて押し黙った。確かに彼は、エルと話をしたあの時、お互いが何者であるかを聞かない事を沈黙の中で決めた。エルは自身の事情に関しては、口に出したくないようだったので、都合が良いと考えていたのは事実だ。
育て親を失ったという事は、エルは元より早いうちに、両親を亡くしたのだろうとも想定出来た。
身内も友人も知人もなく、現在は自由気ままな一人と一匹の旅をしている、とエルは何でもないように語っていたが、――スウェンは、彼女が伏せているであろう真実が、少し気掛かりに思い始めてもいた。
彼女の旅の目的は定かではない。
けれど、簡単に命を投げ出してしまうような危うさを、年老いた猫を見つめるエルの優しい眼差しに、時々覚える事がある。身寄りもない状況で、彼女は何を考えて旅を続けているのだろうか?
「……君は、エル君絡みだと何でも知っているようだね。同時に、僕らの過去や思考についてもお見通しみたいだ。それが君の『能力』の一つである訳だね? ――つまり、僕を牽制しているのかな?」
「いいえ、滅相もございません。貴方様の中で、当初に持っていた思考が変化されたのかと、疑問に思っただけですよ?」
思考が読めているのなら、変化はとっくにお見通しだろうに、とスウェンは苦々しく目を細めた。
本当に、食えない男だ。だからこそ苦手でもある。
「あのね、君達の世界の常識ではどうかは知らないけれど、人間の場合、予想や確率で推測立てをしたとしても、起こり得た身近な結果を材料に、常々変動するもので……だけど、そうだね」
強く反論しようとしたスウェンは、人ではないホテルマンに、その件で張り合うのも何だか馬鹿らしく思えて、言葉を途切らせた。全部お見通しであるのなら、見栄を張る必要もないのだろうと、彼の頭脳はそう答えを出してしまう。
それを察しているのか、ホテルマンも話を遮ろうとする様子はない。だから、スウェンは、想いのままに自分の本音を口にこぼしてみた。
「……気付いた時には、僕のペースが、すっかり乱されていたんだ。きっと、それだけの事なんだとは思うのだけれど…………多分、もう離れ難いのかもしれないなぁ」
スウェンは、遠く向こうへと目を向けながら、無意識に組み合わせた指を動かせた。
黙って話を聞いていたログが、「お前らの話は小難しいな」と背もたれから身を起こした。
「で。お前は実際のところ、名前はなんていうんだ。不便でならねぇぜ」
ログの突拍子もない質問に、ホテルマンとスウェン、様子を見守っていたセイジが、ほぼ同時に「は?」と揃って間の抜けた声を上げた。
ホテルマンは、ぼんやりとした顔でしばらくログを見つめた後、とってつけたような眉を僅かに顰めて見せた。小馬鹿にするような表情だ、と見ていた一同にそんな印象を抱かせる表情だった。
「『夢人』は、想像された世界で『宿主』の姿と名を写し取りますが、私は『夢人』ではありませんから、名前なんてありませんよ。まぁ時代によって、色々と呼び名はありましたが ――」
ホテルマンは皮肉気に笑った。しかし、ログは「だから何だ?」と、馬鹿だから分からん、と言わんばかりに真面目な顔で眉間に皺を刻み、スウェンが「ログらしいや」と苦笑し、セイジも笑った。
返答を待たれてしまったホテルマンは、またして、そっと眉を顰めた。彼はポケットに手を入れ、珍しく礼儀を取り払ったようにベンチに背を持たれて姿勢を楽にすると、「そうですねぇ」と、どこか思案するように空を眺めた。
「――もう忘れてしまいました。あまりにも、長い時間を過ごしましたから」
「名前が沢山あったのか?」
永く生きるという概念が理解出来ず、セイジは遠慮がちに訊いた。彼もログのように、難しいやりとりや思考を苦手としていたから、単純に思い付いた質問を口にするしかなかったのだ。
スウェンは、その場を部下二人に任せて聞き手に回っていた。人間よりも遥かに賢いホテルマンには、彼らのような、特に人間らしい素直な感情のままの言葉が、一番効くのではないかと思えたのだ。
ああやって気取らない顔をして微笑んでいる時、彼女がより一層幼く見えてしまう事を、彼女自身気付いていないのだろう。その時だけ、スウェンには、気配も完全に少年だったエルが、ただ一人の少女に戻ったようにも見えた。
猫に話しかけたところで、言葉が返ってくる訳でもない。
それでも、エルは、心から楽しそうに猫に話し聞かせるのだ。こちらが気付かない振りをしている間に、自分が感じた事、思った事を素直に口に出来る相手は、いつも猫のりクロエだけだった。
「……猫じゃなくて、僕らに話しかけてくれればいいのに」
きっと、何だって答えてやるだろう。スウェン達は、エルよりも長く生きて来たのだから、空の色の青さの不思議や、眼下で煌めく広大な海の美しさ、風の心地良さや、共感出来る全てを、多く話してやれるだろう。
些細な事だって構いやしないのだ。
例えば、エルが「雨が降りそうだ」と言えば、こちらは「そうかもしれないね」と、人の言葉で応えてあげられる。セイジなら、風の中に含まれる湿度に鼻をきかせ、経験から別の言葉を引き出すかもしれない。ログならきっと、動物的な勘で、自分が判断した結果を口にするだろう。
「別れが待っている確率が大きいと仮定したとしても、今、貴方様が口にした願いは、変わらないでしょうか」
不意に、ホテルマンが言葉を紡いだ。
スウェンは、ざわりと胸騒ぎを覚え、ホテルマンの横顔を睨み付け、考えるまでもなく「どういう意味だい?」と威嚇のような声を上げていた。
別れという言葉を聞いて冷静でいられず、スウェンは思わず、普段の猫を破り捨てて高圧的に低く問い掛けた。
「それは、どういう意味かな?」
声にハッキリと棘を含ませたが、ホテルマンは、相変わらず涼しげな横顔でエルの方を見つめていた。
「『親切なお客様』、貴方様は利口で賢い方だ。周りの人間から恐れられ、怨まれようが、貴方様は部下を守り、多くの他者を犠牲に戦場を勝ち抜ける頭脳と、強い心を持った素晴らしい指揮官です。戦地に置いては、余計な心配事は抱え込まない方が懸命である事は、貴方様が一番ご存知のはずでしょう」
何故知っているのだ、とスウェンは殺気を向けた。
普通の人間であれば気圧される視線をあてられても、ホテルマンは眉一つ動かさず、淡々と言葉を続けた。ログとセイジは、隊長であるスウェンのやりとりを邪魔しないよう待機していたが、僅かな変化も見逃さないよう、ホテルマンの横顔を見据えていた。
「彼女だって、そうなのです。あの子は、本物の戦場は知らなくとも、その余計な考えが戦いにおいては不利になる事を知っている。暗黙の間に、貴方達はお互いが、それを了承されていたはずでは?」
そこで、ホテルマンが確認するように、くるりと首だけでスウェンを振り返った。
スウェンは、痛い所を突かれて押し黙った。確かに彼は、エルと話をしたあの時、お互いが何者であるかを聞かない事を沈黙の中で決めた。エルは自身の事情に関しては、口に出したくないようだったので、都合が良いと考えていたのは事実だ。
育て親を失ったという事は、エルは元より早いうちに、両親を亡くしたのだろうとも想定出来た。
身内も友人も知人もなく、現在は自由気ままな一人と一匹の旅をしている、とエルは何でもないように語っていたが、――スウェンは、彼女が伏せているであろう真実が、少し気掛かりに思い始めてもいた。
彼女の旅の目的は定かではない。
けれど、簡単に命を投げ出してしまうような危うさを、年老いた猫を見つめるエルの優しい眼差しに、時々覚える事がある。身寄りもない状況で、彼女は何を考えて旅を続けているのだろうか?
「……君は、エル君絡みだと何でも知っているようだね。同時に、僕らの過去や思考についてもお見通しみたいだ。それが君の『能力』の一つである訳だね? ――つまり、僕を牽制しているのかな?」
「いいえ、滅相もございません。貴方様の中で、当初に持っていた思考が変化されたのかと、疑問に思っただけですよ?」
思考が読めているのなら、変化はとっくにお見通しだろうに、とスウェンは苦々しく目を細めた。
本当に、食えない男だ。だからこそ苦手でもある。
「あのね、君達の世界の常識ではどうかは知らないけれど、人間の場合、予想や確率で推測立てをしたとしても、起こり得た身近な結果を材料に、常々変動するもので……だけど、そうだね」
強く反論しようとしたスウェンは、人ではないホテルマンに、その件で張り合うのも何だか馬鹿らしく思えて、言葉を途切らせた。全部お見通しであるのなら、見栄を張る必要もないのだろうと、彼の頭脳はそう答えを出してしまう。
それを察しているのか、ホテルマンも話を遮ろうとする様子はない。だから、スウェンは、想いのままに自分の本音を口にこぼしてみた。
「……気付いた時には、僕のペースが、すっかり乱されていたんだ。きっと、それだけの事なんだとは思うのだけれど…………多分、もう離れ難いのかもしれないなぁ」
スウェンは、遠く向こうへと目を向けながら、無意識に組み合わせた指を動かせた。
黙って話を聞いていたログが、「お前らの話は小難しいな」と背もたれから身を起こした。
「で。お前は実際のところ、名前はなんていうんだ。不便でならねぇぜ」
ログの突拍子もない質問に、ホテルマンとスウェン、様子を見守っていたセイジが、ほぼ同時に「は?」と揃って間の抜けた声を上げた。
ホテルマンは、ぼんやりとした顔でしばらくログを見つめた後、とってつけたような眉を僅かに顰めて見せた。小馬鹿にするような表情だ、と見ていた一同にそんな印象を抱かせる表情だった。
「『夢人』は、想像された世界で『宿主』の姿と名を写し取りますが、私は『夢人』ではありませんから、名前なんてありませんよ。まぁ時代によって、色々と呼び名はありましたが ――」
ホテルマンは皮肉気に笑った。しかし、ログは「だから何だ?」と、馬鹿だから分からん、と言わんばかりに真面目な顔で眉間に皺を刻み、スウェンが「ログらしいや」と苦笑し、セイジも笑った。
返答を待たれてしまったホテルマンは、またして、そっと眉を顰めた。彼はポケットに手を入れ、珍しく礼儀を取り払ったようにベンチに背を持たれて姿勢を楽にすると、「そうですねぇ」と、どこか思案するように空を眺めた。
「――もう忘れてしまいました。あまりにも、長い時間を過ごしましたから」
「名前が沢山あったのか?」
永く生きるという概念が理解出来ず、セイジは遠慮がちに訊いた。彼もログのように、難しいやりとりや思考を苦手としていたから、単純に思い付いた質問を口にするしかなかったのだ。
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