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第12話 帰路

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俺はロリ先生と別れて部室に向かっていた。
階段を下ると部室が見えてきた。
もう皆んな帰っているとは思うが。
俺は遠目から部室の方を見た。すると部室の前にが目が入った。何かいる?
あれは……

「遅い!」

そのものは俺が近づいて来ているのに気がつくと、物凄いスピードで近づいてきてそう俺に向かって怒鳴った。
同時に大きく揺れるツインテールを俺は目で追いかけてしまう。
そう、目の前にいるのは学人の妹である紅羽ちゃんだった。
遠目からであるが部室の扉の前で体育座りをしていたのが見えていた。

「どうして紅羽ちゃんが?他の奴らは?」

「帰った」

「帰ったのかよ!?」

やはり奴らは帰っていったのか。まあ、予想通りではある。
しかしそれなら紅羽ちゃんはどうしてここに?その疑問が俺の脳内を支配していた。

「紅羽ちゃんは帰らなかったのか?」

「それはあんたを待ってたからでしょ」

「それって……」

まさか俺と一緒に帰りたいということか!これがツンデレというやつか!

「ちょっと何勘違いしてるの?」

「え?」

そういうと紅羽ちゃんは部室の扉の前を指差した。
そこには俺のカバンがポツンと置かれていた。

「あんたのカバン渡すようにお兄ちゃんに頼まれただけだから」

と紅羽ちゃんは言った。
ですよね~。
紅羽ちゃんが学人と帰るのをやめてまで俺と帰りたいと思うはずがあるわけないですもの。

「さぁ、帰ろっと。はぁ、あんたが遅いせいで、今日はもうお兄ちゃんと一緒帰れないじゃない」

と紅羽ちゃんは自分のカバンを持つと歩き始めた。文句を放ちながら。

プルプルッ

ハッ、突然股間に衝撃が走る。
メールか。
俺はポケットから携帯を取り出しの画面を開いた。
画面には学人からのメールが表示されていた。

(ちゃんと紅羽を送ってきてくれ。親友より)

と書かれていた。何が親友だ。ほって帰りやがって……

俺は携帯を閉じると先を歩いていく紅羽ちゃんをみた。もう紅羽ちゃんの背中は小さくなっていた。もとから小さいが。俺は廊下にポツンと置かれたカバンを背負うと紅羽ちゃんを追いかけた。

「待ってくれ!俺も帰るぞぉ~」

「キモ」

と紅羽ちゃんは後ろから追いかけてくる俺に向かってキツめな罵倒を浴びせた。
全く俺の方が年上なんだが……そんなこと御構いなしだな。

「はぁ、どうしてあんたと帰らなきゃならないわけ。はぁ…」

とため息を2度も吐きながら俺と紅羽ちゃんは帰路に着いた。

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