「俺の親友がモテ男で俺はその親友で」

晴樹

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第10話 続きの続き

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ダメだ、迷った……

3人がいるであろう生徒会室を目指していた俺だったが、目的の場所がどこにあるかわからず迷っていた。
二年生にもなって学校で迷うことになるとは些か恥ずかしいことだと思う。でも仕方なくないか?

今まで生徒会役員でもない俺が行くことがあるわけがない。行ったことがなければ場所が分からないことくらいあってもおかしくないと思うんだ俺は。
それにさっきは迷ったと言ったが今自分がいる場所もわかっているし、ただ生徒会室の場所が分からないだけで迷っているわけではない。

俺が今いるのは2階中央階段前。
さて、生徒会室は上だろうかしただろうか……
仕方ない、そこら辺の奴に場所を聞こう。
それが一番手っ取り早いだろう。

俺は放課後になり人通りの少なくなった廊下で、生徒会室の場所を聞くためにちょうど近くを通りかかった男子生徒に話しかけた。

「悪い、ちょっといいか」
「はい?」

話しかけた男は高校生にしては話しかけやすいタイプだった。オラオラ系でなくて良かったと心よりホッとした。

その男子生徒は俺よりも身長が低く、幼い顔立ち。多分1年生だろう。彼は優しそうで、しかも制服をちゃんと着ている所を見ると真面目な生徒だということが見てわかった。

「あのさぁ、生徒会室ってどこにあるか教えてくれないか?」

俺は言って気がついたが、誰かを探して声をかけたならまだいいが、まさかこの後輩君も先輩から生徒会室の場所を聞かれるとは思わなかったはずだ。
そしてこう思ったはずだ。

この先輩、僕よりも1年早く入学しておいて、生徒会室の場所も知らないのかよ……ぷっ。

と腹の中では笑っているに違いない。
こう優しそうな顔をした奴が一番そんなことを考えているはずだ。

「生徒会室ですか。生徒会室は上の階の……ここの階段を上がって右の一番端の教室です」

「ありがとう教えてくれて」

教えてくれた優しい後輩君に感謝を告げた。
この後輩君にどう思われようが知ったことではない。今は生徒会室に向かうことに専念せねばならないからな。

俺は教えてもらったことを心の中で復唱した。
そして生徒会室を目指してこの場を去ろうとした。

「今は行かない方がいいと思います」
と突然後輩君そんなことを言い始めた。

いかないほうがいい?

どういうことだろう。俺は後輩君の言っている意味がわからなかった。

「え、どうして?」

「何か生徒会室の入口で揉めてるみたいなんです」

と後輩くんは教えてくれた。

揉めている……

そう聞いたとたん、なんだか嫌な予感がした。

あいつらじゃないだろうな……

俺はもっと詳しく教えてもらうために後輩君に尋ねた。

「そ、それはどうして揉めてるんだ?」

とおそるおそる聞いた。

「えっと、よくわからないんですけどなんだか突然訪ねてきた女子3人と生徒会長とが揉めているみたいなんです。どうして揉めているのかは僕には分からないです」

「いや、それだけ聞ければ十分だ」

女子3人という部分が聞ければ十分だった。
俺は後輩君に感謝を告げて別れると、生徒会室に急いだ。

生徒会室のある階に着くと、遠目からでもわかるあの3人の姿が見えた。
俺は走ってその3人がいる所に向かった。

「よう、何してるんだ?」

「がるる~」

なぜか紅羽ちゃんは獣のような声を出していた。
いったい何事?
と思った瞬間、紅羽ちゃんが俺目がけて襲いかかってきた。
俺は必死に力いっぱい押さえ込んだ。
紅羽ちゃんが小さくてよかった。
小さな猛獣で助かった、とでもいようか。もし大きな猛獣だったなら俺はもう食われてるだろうよ……

「それで何やってんだお前ら。部室で学人待ってるぞ! さっさとしないと嫌われるぞ」

「え、学人君が? 帰らなきゃ」
「それは急がなくちゃな」

とぎゃると武道家は我に戻ったのか、いや恋する狂った乙女に戻ったと言った方が正しいか、二人は部室へと帰り出した。よしよし、予想通りだ。

だが二人はまっすぐ帰ろうとしていたので、俺は二人を止めた。

「紅羽ちゃんも連れていけ!」

と言うと、そうだな…と言った顔をして
「行くぞー、妹ちゃん」
と二人に両脇をがっしり掴まれて連行されていった。

あれ、俺は……

俺はポツンと一人廊下に立っていた……
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