【完結】欲張りSubは欠陥Domに跪く

秋良

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64. 信頼のかたち *

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 キングサイズのベッドの上で、綾春は恋人に肌を舐め回されていた。

 ベッドに上がったときに放たれた〈Strip脱がせて〉のコマンドによって、すでに蓮哉も綾春の手によって衣服を脱ぎ捨てているので、体を纏うものは何もない。
 二匹の美しい獣が、愛を確かめ合うようにして、肌を重ねていく。

「蓮哉さん、っ……も、胸ばっか、やだ……」

 リビングスペースでのお仕置きのあと、連れ込まれたベッドルームで綾春は、もうずっと胸ばかりを弄られている。下肢の中心で息づくものにも、その奥に隠れる窄まりにも触れずに、延々と胸ばかりを愛撫され、二つの突起は桃色に色づき、蓮哉の唾液でぬらぬらと照っていた。

「どうしてほしい?」
「んっ……もっと下も、可愛がって、っ」

 びくびくと波打つ体は、もっと直接的な刺激を求めている。

「ふふっ、わかった。——俺の荷物の中に黒い袋が入ってるんだ。Take取ってきて

 ちゅっと額にキスをされ、綾春は蓮哉と離れるのを寂しく思いつつも、いそいそとベッドを降りた。
 ベッドルームにはオープンクローゼットスペースがあって、キャビネットと一体になったバゲージラックがある。その上に、一泊分の旅行荷物がまとめられた蓮哉のボストンバッグが置かれていた。

「蓮哉さん、これ?」

 ボストンバッグを開けると、中には蓮哉の言う黒い袋が入っていた。
 ベルベット生地で作られた黒い袋は、手のひら二つ分くらいの大きさのものだ。中には四角いケースのようなものが入っているようで、それが何かは想像がつかない。

「そう、それ。中身はまだ開けるなよ?」
「ん。わかった」

 綾春は疑問に思いながらも、その袋を手に取って、蓮哉が待つベッドへと戻ってきた。

Good boyよくできました。それじゃあ、Crawl四つん這いになって

 袋の中身を確かめる前に命じられ、綾春は訝しく思いながらも、蓮哉に言われたとおりに四つん這いになる。後孔が露わになる体勢に、肌が羞恥で染まった。

「蓮哉さん、何するつもり……?」
「いいことだよ。ちょっと待ってな」
「ひゃ、っ……」

 四つん這いになりつつ、首だけで尻のほうへ振り返ると、蓮哉がにやにやしながら綾春の尻を撫で、ちゅっと尻たぶを吸った。
 僅かな刺激を拾って体を揺らしていると、蓮哉は黒い袋を開けて、中に入っていた箱を取り出す。その箱も黒くて、箔押しで何か書かれているようだけど、綾春からは文字は読めない。

 蓮哉はその箱の蓋を開け、中から何かを取り出した。

「……そ、れ……」

 彼の手がしていたのは、透明なアナルプラグだった。
 挿入部は小振りな男根のような卑猥な形をしていて、根本にはリング状の輪っかが付いている。

「こういうプレイは嫌い?」

 その問いに唾を呑む。
 蓮哉と恋人になって、正式なプレイパートナーとなってから半年経つが、バイブやローター、ディルドといった玩具は意外にも使ったことがない。手錠や拘束具、スパンキング用の鞭などは使うけれど、その手のものは出てきたことがなかった。なので、蓮哉はそういうものは使わない主義なのかと思っていた。

「嫌いじゃ、ない」
「好き、の間違いじゃなくて?」
「っ……」

 蓮哉は、くすくすと笑った。

「たまには、こういうのもいいと思って。下、可愛がってほしいんだろ?」

 そう言いながら、蓮哉はローションボトルを手にして、綾春の後孔にとろみのある液体を垂らす。

「あ、んっ……」
「大丈夫。さすがにまだ入れないよ。たっぷり解してから、な」

 つぷりと指を一本入れられると、体がひくりと震えた。
 もう何度も体を重ねたけれど、後孔を最初に弄られるときはいつもそわそわする。これから、体の奥まで暴かれるのだという期待と、どこまで彼が侵入してくるのかという僅かな不安で。

 胸をさんざん弄られて、敏感にさせられた体はすぐに快感を拾った。

「ん、ふっ……あっ、あっ、んんっ」
「ははっ。綾春のここ、絡みついてくる。ずっと欲しかった?」
「欲し、かった……あ、ぅっ!」

 前立腺を捏ねられて、嬌声を上げるうちに、指は二本に増える。中でバラバラに動いたり、一緒に突き動かされると手足がガクガクと震えて、思わずシーツを握り締めた。

「まだちょっとキツいかもだけど、いいか。綾春、力抜いてて」
「は、ぁ……なに…………あぁっ」

 指を抜かれたと思ったら、先ほどとは違う感触のものがぐっと後孔に侵入してきた。聞くまでもなく先ほど蓮哉が見せつけてきた透明な性具だとわかり、体が熱くなる。蓮哉のものよりは小さいが、指より硬いそれに体内を犯されていく感覚が、変態じみていてドキドキした。

「あ……は、ぁ、んん……はぁ……」
「そうそう、そのまま飲み込んで。ふふっ、いいね。上手」

 ぐっと最後に押し込まれると、全部飲み込めたのか、蓮哉が綾春の尻を撫でて、感心した様子で言った。

「これ、透明だから綾春の中が丸見えだな」

 いい眺め、なんてテラスやラウンジで言ったようなセリフを口にされて、肌が赤く染まる。

「み、見ない、で……」
「やだよ。綾春のこと、全部見たい」

 蓮哉にはすべて包み隠さずにしておきたいけれど、後孔の奥まで観察されるのは恥ずかしすぎる。体を捩ろうかと膝を動かすと「だーめ」と掴まれてしまった。
 そして、蓮哉はリングに指をひっかけて、性具を前後に動かし始めた。

「あっ! ひ、あっ、ゃあ、んんっ」

 無機質な性具が、綾春のナカを蹂躙していく。
 リングに指をかけて動かしているので、中を突くたびに手のひらで尻を軽く叩かれる。その小さな痛みとも言えないような感覚と、中を穿たれる快楽に声はひっきりなしに上がった。

「こんなのに犯されて、気持ちいいんだ?」
「あんっ、あ……ひ、あぁ、だって……んぁッ」
「俺のじゃないのに。嫉妬するなぁ」
「うぅ、んッ……ずる、っ、ずるい、ぃアっ」

 性具を用意したのは蓮哉だし、それで綾春を甚振って愉しんでいるのも蓮哉なのに、彼はその玩具にさえ嫉妬すると言ってのける。

 ——どこがいいんだ? どう動かされたい?

 そんな質問を投げかけながら、蓮哉はアナルプラグで綾春を犯していく。

「こんな玩具おもちゃで綾春ががってると複雑だけど……まあ、眺めは悪くないな。ははっ、奥まで真っ赤だ」
「ぁっ、あ……ナカ、ぐちゅぐちゅ、されんの、おかしく、な、あッ」

 内部をぐずぐすにされて、蓮哉が言っている言葉が宙に溶けていく。
 上の口も下の口も、だらしなく開けて快楽に身を任せていると、コマンドが降ってきた。

「綾春、Lickフェラして
「ん……ふぅ、っ」

 性具の動きが止められた。それを合図に、綾春は上体を一度起こして、蓮哉の足元へとにじり寄った。
 もう立派に怒張している性器を躊躇うことなく口に含んだ。と同時に、動きが止まっていた性具を蓮哉が再び動かし始めた。

「んぐっ、んっ……ふ、んんっ」
「頑張って舐めて。もっと奥まで入れて……ほら」

 ぐいっと性器を喉の奥まで差し込まれる。
 その間もアナルプラグをぐちゅぐちゅと突き動かされて、体は内側から暴れるように跳ねるけれど、綾春は必死に蓮哉の雄を口いっぱいにしゃぶった。

 蓮哉の性器は大きい。それを舌を使って、上顎や頬の内側で吸い上げていくと、さらに膨らんで、綾春の呼吸ごと押し潰す。苦しくて、酸欠でクラクラしながらも、夢中で続ける。
 頭上から聞こえる色気を帯びた吐息が、綾春の耳すらも犯していった。

「はぁ、っ……俺もそろそろ、我慢できない。綾春、離していいよ」
「んあっ……! はぁっ、はぁっ」

 綾春の口から性器を抜くのと同時に、蓮哉はアナルプラグを抜いて、ベッド脇へと放り投げた。ぐちゅっと淫猥な音を立てて抜けた後孔は、はくはくと蠢き、新たな熱を待ち侘びる。

「ご褒美だ」

 くるりと体をベッドに仰向けにされて、両脚を大きく割られた。そこへ大きな体が入ってきて、待ち侘びた熱を一気に埋め込まれる。

「あぁ——……ッ。は……あっあっ、あぅんッ」

 ついさっきまで綾春の口内を埋め尽くしていた熱が、体の奥までみっちりと侵入する。入口の襞がいっぱいに頬張るように飲み込んで、もっと奥まで入れてほしいと内襞が蠕動した。

「……きっつ」

 挿れられただけなのに、綾春の性器からは白濁が吐かれていた。腹を汚しながらも、ぴくぴくと体は小さく跳ね続けている。

「綾春……スペース入ってるか?」
「あ……あっ……」

 とろんと蕩けきった瞳は、蓮哉を映しているようでいて、どこか焦点が定まっていない。意識はあるし、快楽も拾っているし、名前を呼べば返事もするけれど、気持ちの良い場所を揺蕩っている。

 Subがサブスペースに入るのは、Domを十分に信頼しているからだ。信頼して、服従していることに喜びを得て、すべてを明け渡してくれている証。
 自分のSubがサブスペースに入れば、Domも強い多幸感を得る。

 ——二人の世界ができあがる。

 恍惚とした表情で、身も心もとろとろになった綾春の姿に、蓮哉は嬉しそうに頬を緩めた。そして、とちゅとちゅと優しい動きで腰を動かし始める。

「綾春、かわいい。そのままずっと気持ち良くなってていいからな。俺に全部委ねて、いっぱい啼いて、訳わかんなくなってて」
「あっ、んん、ひ、あっ」

 白濁で汚れた綾春の薄い腹がひくひくと痙攣して、ずっと中だけでイっているのがたまらなく愛おしくて。蓮哉は腰をゆるゆると動かしながら、綾春のすべてを食べ尽くしていく。
 ぷっくりと勃った乳首、赤く染まった首筋、ラインが綺麗な鎖骨……形の良い耳朶も、しなやかに伸びる手足も、潤んだ瞳とと甘く感じる唇も。キスを落として、舐めて、食んで、齧って。蓮哉のものだと、内側からも外側からも余す所なく刻みつけていった。

 甘く濃く深く、二つの体が溶け合うように、夜は更けていった。



 ◇◇◇
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