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第一章

第三話 アル -1-

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 紅茶をアルのために用意することになったが、俺に紅茶はわからない。だからアルに付き添ってもらい茶器と茶葉を買うこととなった。
 毎日店を閉めた後にアルに紅茶の淹れ方を教わり、その礼としてアルの宿まで送っていく。そんな日々が暫く続いていた。


 アブゾルフはというとアルから文字を教わっている。
 一般的な市民であれば日常会話程度は書くことも読むこともできるが、冒険者となると自分の名前と住んでいる街、それと依頼書で散見するような単語しか読み書きはできない。
 アブゾルフもその1人だ。いや、正確にはだった、である。

 3ヶ月程ほどでアブゾルフは娯楽に用いるような本であれば読むことができるようになったし、書く方に関しても格段に成長をしている。

 アル曰くあそこまで熱心に勉強をするのは学者くらいという。
 アブゾルフを見る彼女の目はまるで手のかかる弟へ向けるそれであり、見ているこちらも微笑ましかった。
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