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ネフェリア、学園編
兄と弟
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コンコン
ヴィヴァリアンの部屋をノックする音にヴィヴァリアンの顔は不機嫌な表情へと変化する。
返事をせずに無視すると、ノックをした人物からの声が上がる。
「兄上、カウディリアンです。ネフェリアはそちらにいらっしゃいますか?」
ヴィヴァリアンは顎でキリウスに指示を出すと、キリウスは大きく息を吐き、扉を開けた。
そこにはカウディリアンとアリウスが立っていた。
「失礼します。…ネフェリア!探したぞ!」
「カウディリアン様、アリウス。ごめんなさい。」
心配そうに眉を下げたカウディリアンとアリウスがネフェリアに近づく。
「部屋にいないから、…1人での行動は危ないから、不安になり探した。」
そっとネフェリアを抱き寄せようと、手を伸ばしたカウディリアンをヴィヴァリアンは間に入り、制す。
「カウディリアン、アリウス、話がある。エスティリオ、ネフェリアを部屋まで送ってあげなさい。」
ヴィヴァリアンの言葉にエスティリオはネフェリアの肩を抱き、外へと促すが、ネフェリアは心配そうに振り返る。
「大丈夫だよ。夕食は皆でとろう。後で迎えに行く。」
コクンと頷いて、お辞儀をしてエスティリオと部屋を出た。
さて…とヴィヴァリアンとキリウスは2人に厳しい眼差しを向ける。
「カウディリアン。ネフェリアは私が保護したから問題ないが、お前じゃまだ役不足のようだな。ネフェリアを1人でウロウロさせるとは……しかも、ヤード家の者と一緒にいたぞ?」
「ヤード家?イザベラ・ヤードと?」
カウディリアンの顔色が変わる。
「息子の方です。マリック・ヤード。」
キリウスの言葉にアリウスも反応し、唇を噛み締める。
「お前も、他の男と一緒にいさせるとは…情けねぇ、弟だ。しかも、ネフェリアに声も掛けてもらえないとは。」
アリウスはキリウスの言葉に、悔しそうに拳を握る。
「しかも、前からの知り合いだそうだ。」
「えっ!?マリックとネフェリアが!?」
カウディリアンは驚きを隠せずアリウスと視線を交わす。
いつだ!?ネフェリアにはそんな時間なかったはず…。
兄達が学園に行ってからの3年は殆どカウディリアン、ナヴィルリアン、アリウス、サリファンと共にいて、出掛けたとしても騎士が護衛に付き、カウディリアンに報告が入っていた。
「ネフェリアは、王都に出掛けた際に出会ったと言っていたぞ?」
ヴィヴァリアンの言葉に今度顔色を変えたのはアリウスだった。
カウディリアンもアリウスを見て、眉を寄せる。
「アリウス?私に報告が上がってないが。」
カウディリアンの言葉に頭を下げるアリウス。
「申し訳ございません。いつ、ネフェリアに接触したのかわかりません…。」
「なっ!?アリウス!お前…!!」
「申し訳ございません!!」
2人のやり取りを呆れたように見るヴィヴァリアンとキリウス。
「ネフェリアの話では、本屋で会ったそうだが、心当たりはあるか?」
キリウスの問いに、ピクッと身体を反応させる。
「……絵本を買いに本屋にネフェリアが入り、私と護衛騎士は外で待機しておりました。数分でネフェリアも店から出てきております。」
「その数分で、ネフェリアは1人の男と友人となった。…ネフェリアが今までどんな目に合い、俺達と友人となってからでも、不審な者がいたのはお前も承知の事実だろう?…まあ、事前にいつも騎士団が対象しているが……。その数分で、ネフェリアを危険に晒されたかも知れないんだぞ!!」
キリウスの厳しく低い声に、アリウスは深く頭を下げたまま、歯をギリギリと喰い縛り、己に悔いた。
「お前らには、やはりネフェリアは任せられない。同じ歳だからと甘えているような輩にはな。」
ヴィヴァリアンは椅子に腰掛け、足を組む。
「……兄上。確かに、今回の事は私共の力不足です。今後一層警護に当たります。ですが、ネフェリアが誰と添い遂げるかは、ネフェリアが決める事、兄上が決める事ではありません。」
グッと怒りを堪えて、カウディリアンはヴィヴァリアンに向かう。
「…お前、勘違いしていないか?第一皇子の私がネフェリアを望めば、いつでも手に入るのだ。…私がそうしないのはネフェリアに望んで欲しいからなだけだ。お前達にチャンスを与える為じゃない。まぁ、父上がネフェリアの気持ちを尊重しているのもあるがな。……この分だと、私とキリウスぐらいしかネフェリアを守れないだろう。」
「兄上……!!」
カウディリアン、アリウスは兄達を睨みつける。
「……必ず、ネフェリアを惚れさせて見せます。私に惚れたネフェリアを無理矢理兄上と婚約させても、兄上は虚しさと辛さに耐えれないことになりますから。まだ、何も始まっていない。」
カウディリアンの言葉に兄達も瞳を鋭くし、弟達を見下ろした。
「……とにかく、ネフェリアにこれ以上男を近付けるな。それと、あの男爵家を調べろ。」
「……かしこまりました。」
カウディリアン、アリウスは頭を下げ、ヴィヴァリアンの部屋を後にした。
「キリウス…。邪魔な弟達を牽制する為に手を組んだが、お前にも渡すつもりはないぞ?」
弟達が出て行って扉を見つめながら、ヴィヴァリアンはキリウスに宣戦布告をする。
「私も1人の男として負けるつもりはありません。」
キリウスの発言に、ヴィヴァリアンは笑った。
「頭が回る、ズルイ男だ。だから、お前が1番厄介だ。」
1人の男として、勝負しろってことだろう。
王族としてではなく、権力の無い、ただネフェリアに惚れた男。
「弟には、ああ言ったが、元々そのつもりだよ。キリウス。」
ネフェリアには、1人の男として認められたいからな。
ヴィヴァリアンの部屋をノックする音にヴィヴァリアンの顔は不機嫌な表情へと変化する。
返事をせずに無視すると、ノックをした人物からの声が上がる。
「兄上、カウディリアンです。ネフェリアはそちらにいらっしゃいますか?」
ヴィヴァリアンは顎でキリウスに指示を出すと、キリウスは大きく息を吐き、扉を開けた。
そこにはカウディリアンとアリウスが立っていた。
「失礼します。…ネフェリア!探したぞ!」
「カウディリアン様、アリウス。ごめんなさい。」
心配そうに眉を下げたカウディリアンとアリウスがネフェリアに近づく。
「部屋にいないから、…1人での行動は危ないから、不安になり探した。」
そっとネフェリアを抱き寄せようと、手を伸ばしたカウディリアンをヴィヴァリアンは間に入り、制す。
「カウディリアン、アリウス、話がある。エスティリオ、ネフェリアを部屋まで送ってあげなさい。」
ヴィヴァリアンの言葉にエスティリオはネフェリアの肩を抱き、外へと促すが、ネフェリアは心配そうに振り返る。
「大丈夫だよ。夕食は皆でとろう。後で迎えに行く。」
コクンと頷いて、お辞儀をしてエスティリオと部屋を出た。
さて…とヴィヴァリアンとキリウスは2人に厳しい眼差しを向ける。
「カウディリアン。ネフェリアは私が保護したから問題ないが、お前じゃまだ役不足のようだな。ネフェリアを1人でウロウロさせるとは……しかも、ヤード家の者と一緒にいたぞ?」
「ヤード家?イザベラ・ヤードと?」
カウディリアンの顔色が変わる。
「息子の方です。マリック・ヤード。」
キリウスの言葉にアリウスも反応し、唇を噛み締める。
「お前も、他の男と一緒にいさせるとは…情けねぇ、弟だ。しかも、ネフェリアに声も掛けてもらえないとは。」
アリウスはキリウスの言葉に、悔しそうに拳を握る。
「しかも、前からの知り合いだそうだ。」
「えっ!?マリックとネフェリアが!?」
カウディリアンは驚きを隠せずアリウスと視線を交わす。
いつだ!?ネフェリアにはそんな時間なかったはず…。
兄達が学園に行ってからの3年は殆どカウディリアン、ナヴィルリアン、アリウス、サリファンと共にいて、出掛けたとしても騎士が護衛に付き、カウディリアンに報告が入っていた。
「ネフェリアは、王都に出掛けた際に出会ったと言っていたぞ?」
ヴィヴァリアンの言葉に今度顔色を変えたのはアリウスだった。
カウディリアンもアリウスを見て、眉を寄せる。
「アリウス?私に報告が上がってないが。」
カウディリアンの言葉に頭を下げるアリウス。
「申し訳ございません。いつ、ネフェリアに接触したのかわかりません…。」
「なっ!?アリウス!お前…!!」
「申し訳ございません!!」
2人のやり取りを呆れたように見るヴィヴァリアンとキリウス。
「ネフェリアの話では、本屋で会ったそうだが、心当たりはあるか?」
キリウスの問いに、ピクッと身体を反応させる。
「……絵本を買いに本屋にネフェリアが入り、私と護衛騎士は外で待機しておりました。数分でネフェリアも店から出てきております。」
「その数分で、ネフェリアは1人の男と友人となった。…ネフェリアが今までどんな目に合い、俺達と友人となってからでも、不審な者がいたのはお前も承知の事実だろう?…まあ、事前にいつも騎士団が対象しているが……。その数分で、ネフェリアを危険に晒されたかも知れないんだぞ!!」
キリウスの厳しく低い声に、アリウスは深く頭を下げたまま、歯をギリギリと喰い縛り、己に悔いた。
「お前らには、やはりネフェリアは任せられない。同じ歳だからと甘えているような輩にはな。」
ヴィヴァリアンは椅子に腰掛け、足を組む。
「……兄上。確かに、今回の事は私共の力不足です。今後一層警護に当たります。ですが、ネフェリアが誰と添い遂げるかは、ネフェリアが決める事、兄上が決める事ではありません。」
グッと怒りを堪えて、カウディリアンはヴィヴァリアンに向かう。
「…お前、勘違いしていないか?第一皇子の私がネフェリアを望めば、いつでも手に入るのだ。…私がそうしないのはネフェリアに望んで欲しいからなだけだ。お前達にチャンスを与える為じゃない。まぁ、父上がネフェリアの気持ちを尊重しているのもあるがな。……この分だと、私とキリウスぐらいしかネフェリアを守れないだろう。」
「兄上……!!」
カウディリアン、アリウスは兄達を睨みつける。
「……必ず、ネフェリアを惚れさせて見せます。私に惚れたネフェリアを無理矢理兄上と婚約させても、兄上は虚しさと辛さに耐えれないことになりますから。まだ、何も始まっていない。」
カウディリアンの言葉に兄達も瞳を鋭くし、弟達を見下ろした。
「……とにかく、ネフェリアにこれ以上男を近付けるな。それと、あの男爵家を調べろ。」
「……かしこまりました。」
カウディリアン、アリウスは頭を下げ、ヴィヴァリアンの部屋を後にした。
「キリウス…。邪魔な弟達を牽制する為に手を組んだが、お前にも渡すつもりはないぞ?」
弟達が出て行って扉を見つめながら、ヴィヴァリアンはキリウスに宣戦布告をする。
「私も1人の男として負けるつもりはありません。」
キリウスの発言に、ヴィヴァリアンは笑った。
「頭が回る、ズルイ男だ。だから、お前が1番厄介だ。」
1人の男として、勝負しろってことだろう。
王族としてではなく、権力の無い、ただネフェリアに惚れた男。
「弟には、ああ言ったが、元々そのつもりだよ。キリウス。」
ネフェリアには、1人の男として認められたいからな。
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